遠い過去の記憶

おはようございます。からあげです。

昨日、予定通り苫小牧発の名古屋向けの太平洋フェリーに乗った。
空調完備の二等船室の居心地は悪くはない。
ただし、他人のイビキや歯ぎしりの音が聞こえてくる。
耳栓をしても完全に聞こえなくなる訳ではないので、ある種の諦めが必要となる。

消灯が10時なのは少々辛かった。
無駄な電気は使わない生活だと、自然に太陽と共に過ごすようになる。
普段は遅くても9時前には寝ているので、夜更かしには慣れていない。

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今朝は4時前に起床した。
睡眠時間は4時間ほど。
車の移動で大して疲れている訳ではないので、これで十分だ。

ベッドを抜け出すと海の見えるラウンジへと向かう。
朝早いため人気はない。
ディーゼルエンジンの単調な音が響くのみ。

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階段を一つ上がってラウンジにやって来た。
居眠りしている人やパソコンを弄っている人が僅かにいるだけで静まりかえっている。
早朝の人気のない幽霊船のような状態が落ち着ける。

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朝のゴールデンタイムに本を読む。
頭が冴えている(昼間の私と比べて)ので、内容を理解しやすい。
先日、偶然本をゲットする前は本に飢えていた。
出発前に図書館で本を読んだが、飢えは癒されてはいなかった。

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夜明け前だが小腹が空いてきたので朝食にする。
カップラーメンにフランスパン、おやつのポテチ海苔塩付きだ。

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ご飯を食べている内に外が明るくなり始めた。
外に出ると真ん丸なお日さまが迎えてくれた。
海は穏やか天気は快晴だ。
行きとは正反対の天気となって、景色を存分に楽しむことが可能だ。

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過去の記憶が蘇る

船に乗っているのに、遊んでいられることが不思議に思えてくる。
かつては、船に乗れば出入港の作業とワッチがあった。
ワッチとは、3交代1回4時間の当直のこと。船種によっては荷役作業もある。
(語源は見るという英語のWatchからで船員用語)
デッキはブリッジで舵を握り目的地まで船を走らせ、エンジンはエンジンルームでエンジンを監視して、定期見回りして状況によって整備する。

私はエンジンだったので、喧しいところで機械のお守りをしていた。
何もなければ非常に楽だが、機械の調子が悪いと糞暑いところで作業することになる。
喧しいし暑いしで嫌になるが、自分のワッチ中に起きた問題は自分で直さないといけない決まり。
自分の手に終えない問題だと、次のワッチの先輩などにアドバイスを貰って自分で直すことになる。(たいてい手伝ってくれる。)
急を用さなければ、次回のワッチで作業すればいい。
しかし、あとが怖いので居残りして作業する。

若い頃は残業が多かった(何故か交代前に故障を見付けてしまうことが多かった)が、経験を積むと故障前に気が付いたり、後輩に振ったりして自分の時間が増えていった。

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フェリーに乗っていて本当に助かるのは、電気が使い放題なことだ。
昨日何気無しにスマホの充電器をコンセントに挿した時にふと思い出した。

船の電気は独立した発電機を回して発電している。
電気を食うのは、出入港時に使うキャプスタンとバウスラスタ、それにエアコンだ。
キャプスタンとは、係留索(ロープ)の巻き取り機械で、バウスラスタとは、船首(バウ)に付いている大きなプロペラで横移動に使う機械だ。
両方とも巨大なモーターが動力源で電気を非常に食う。
発電機1台では足りないので、もう1台回して並列運転とする。

それなら、始めから大出力の発電機を付ければいいように思えるが、話は簡単ではない。
出入港以外の航海中ではエアコン運転していても電気は余りまくっている。
照明がたくさんあると言ってもたかがしれている。
厨房はボイラーとガスで電気はそれほど使わない。(最近の船は知らない。)

低負荷な状態での運転は、カーボンが付着しやすくオイルが汚れやすくなってエンジンには良くない。
それで出入港時に発電機を並列運転にする。
いちいち面倒でも発電機1台の出力を抑えているのだ。

航海中は常に負荷が低い状態なので、電気を使ってやる必要がある。
船内の照明を消さないのはこういった理由があってのことで、コンセントの電気も使い放題となっている。
(電子レンジやドライヤーは集中して使われるとブレーカーが落ちるので分散使用して欲しい。)

エンジンからすれば、エンジン内部にカーボンが付いて燃焼状態が悪くなると加速度的にオイルが汚れてくるので、早めにばらして掃除する必要が出てくる。
(発電機のエンジンでも車とは違い大きくオイル量が多いので、オイル交換の費用が馬鹿高い。)
岸壁に着けて陸上から電気を取った状態であれば、静かで涼しく作業出来るが、定期フェリーのような場合はこうはいかない。

他のエンジンが回っている状態、尚且つ分解するエンジンも熱い状態で作業することになる。
これが結構堪える。
煩いので身振り手振りで仲間とコミュニケーションをとり作業を進める。
事前に分かっていればまだ気分的に楽だが、突発的で時間がない場合は緊張が一気に高まる。
エンジン総出で整備する。ヘマは許されない。
慎重かつスピーディーに作業を進める。
仲が悪いチームでも一時的に一致団結して仕事する。
無事作業を終えると和やかムードとなるが、それも長くは続かない。

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コンセントから私に電気が伝わるかのように昔の記憶が甦ってきた。
これをフラッシュバックと言うのか。(ただ感電したのか。)
懐かしいやら思い出したくないやらで複雑な気分だ。
今はソファーに体を沈めながら呑気にスマホを弄っていられる。

まるで夢のようだ。

いや、夢ではなく。これは現実だ。
自分の望むままに苦闘のすえに勝ち取った生活だ。
この自由な暮らしをいつまでも大事にしたい。

今日は10時に仙台に入港する。
食糧は十分あるので、上陸は取り止めだ。
船内でのんびりと過ごすことにしよう。
船旅らしく優雅に楽しもう。
(実態はカップラーメンを食べて二等の雑魚寝部屋でゴロゴロするだけ。)

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明日は名古屋だみゃー。

おわり

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『遠い過去の記憶』へのコメント

  1. 名前:retire2k 投稿日:2015/10/18(日) 04:31:55 ID:0de357823 返信

    冷凍機付きトラックへの給電もありますね。
    先日のさんふらわあだいせつの火災原因となりましたが…
    無事のご帰還をお祈りします

    • 名前:karaage 投稿日:2015/10/18(日) 22:18:46 ID:cd55714cd 返信

      なるほど、車両甲板にたくさんの電気ケーブルが這っていました。
      人件費が掛からないので無人航走のトラックは多いですね。

  2. 名前:JB23w-9型XG5MT白 投稿日:2015/10/18(日) 13:27:03 ID:184798873 返信

    船には乗客としてしか乗ったことが無いので「なるほど!」です。
    のんびり走っている船の機関室は戦争状態なのですね。

    私は一応法人の社長、ネットで飯を食っているので傍から見ればのんきに見えるでしょう。上司も無く連れ合いと二人なのでチームワークも不要。極力世間との接点を減らすようにしてきました。しかし効率が非常に悪く今日は日曜ですが仕事してます。寝ている以外は仕事も遊びもいっしょくたなので時間を切り売りしている感覚はありません。ネットといくらかの道具があれば仕事できますので遊牧民のように旅しながら仕事が出来れば・・・等と夢見ていますが移動する根拠が無い。
    養蜂家は年中春を追いかけて各地を移動するわけでいいなぁ・・・蜂蜜ネット販売しながら暮せたら面白そうです。

    • 名前:karaage 投稿日:2015/10/18(日) 22:21:47 ID:cd55714cd 返信

      何もなければ、結構おいしいです。
      故障が発生した時はバタバタしてギャップが激しいです。

      個人プレイで仕事出来るのは本当に気楽でいいですね。