津軽ダムに沈む美山湖周辺の調査

こんばんは。からあげです。

 

バックパックの自作を終えてプツリと何かが切れてしまったおっさん。
今はご機嫌を窺いつつ、緩やかに準備をしているところ。

以前から気になっていた下書き状態になったままの記事。
もう半年近くも経とうとしている。
このまま放置していると、目障りだしなんか勿体無い。
それにやるべきことを少しずつ片付けて、少しでも楽になりたいという気持ちもある。
ようやく思い腰を上げて処理することにした。

それはそうと、村上春樹の新刊本、騎士団長殺しを読んでいるところ。
第一部 顕れるイデア編も残り僅かとなり、急激に物語が動き始めた。
今後、主人公はどうなってしまうのか?
今夜も遅くまで本を読むことになるだろう。

 

美山湖周辺調査報告(2016.9.17)

【注】この記事は調査直後に作成し始めて途中で放置したものを加筆訂正を加えてアップするものです。

 

今、白神山地にいて、あちこちの沢に入ったりして遊んでいるところ。
山に入る度に白神山地の良さがジワリジワリと分かってくる。
やっぱり白神のブナ林は良いもんだ。

先日食糧の調達の時、弘前市の方まで出たが、その時目立つのは建設中の津軽ダムだ。

津軽ダムの位置。
弘前市内から西へ約20km、車で40分の山中。

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岩木川沿いに建設中の津軽ダム。
展望広場からダムを撮影した。

目屋(めや)ダムの直ぐ下流側に新たに津軽ダムを作って更なる自然破壊を行っている。
いったい、こんな巨大なダムを作ってどうするというのだ!
私は巨大な人工物を目の当たりにして、心の底からフツフツと怒りが湧いてきた。

津軽ダムの完成は平成28年。
すでに本体工事が終わって最終段階に入っている。

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居森平という集落から津軽ダムの方向を見る。
もっとダムに近づいて至近距離から見学したかったが、進入路はどこもかしこも厳重に閉鎖されて立ち入り禁止となっていた。

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頑丈な柵で囲まれて工事現場に入れないようになっている。
テロ防止というということだが、ダム建設に反対する人間に付近を彷徨いてもらいたくないのだろう。
工事を強行する断固とした姿勢がにじみ出ている。

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岩木川を遡って近づけないか、下流の橋の上から眺めてみたが、水深が深くて徒歩では厳しいと感じた。
工事現場へと続く道路は、入り口が厳重な警戒されていて入り込む余地はない。

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それで今度は上流部のダム湖(津軽白神湖)に沈む周辺を調査しようと思った。
道路から旧道に架かる橋が見えていたのを思い出して急に行きたくなった。
邪魔にならない場所に車を停めて斜面を下りてゆく。
おっさんが行きたい行きたいと言って、人を引っ張ってゆく。
もう私はなすがままに身を任せることにした。
雑草まみれの斜面を下ってゆく。
どこにも立ち入り禁止の看板は見られない。

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作業道跡のような場所を下りて行った。
すると前方に橋が見えてきた。
道路から見えていた橋だな。
よし、行ってみよう!

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橋の手前に送水管のようなものが延びていた。

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ようやく橋に辿り着いた。
なんの変哲のない普通の橋に見えた。

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草藪の斜面を登って道路上に上がったところ。
旧道は工事車両しか通っていないようすで、あちこち傷んでいる。
すぐにダム湖に沈むので、お金をかけて整備するのは勿体無い。
この時は、まだ気が付いていなかったが、あとになって写真を見て橋の欄干が撤去されているのに気がついた。

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芹沢橋(せりざわばし)

年月の経過を思わせる錆びたネームプレート。

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芹沢橋から下流方向を望む。
水没予定地の木は伐採されてさっぱりしている。
なんとも殺風景な景色が広がっている。

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上流側に向かって道路を歩く。
周囲は静まり返っている。
時折、バイパスを通る車の音が聞こえてくるのみ。

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集落にあったコンクリートのよう壁だろうか。
この付近には、川原平という集落があったはず。
見渡す限りどこにも廃屋は見当たらない。
どうやら全て解体されてしまったようだ。
当時の痕跡を求めてやって来たのに無念だ。。。

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作業道の脇に重機が置かれていた。
作業は休みのようで人気はない。
どんどん奥に向かって歩いてゆく。

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2つ目の橋、大沢橋(おおさわばし)。

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ネームプレートには、大沢橋の表示あり。
こちらはひらがな表記の方。

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太い橋の隣に細い橋が架けられている。
こちらは旧道の旧道か。

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アーチ状の橋で色あせた赤色がいい味を出している。
よし、こっちの方も渡ってみよう。

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太い橋を渡ると、細い橋の方に上がった。
若干、こちらの方が高くなっている。
草をかき分けて入り口に立った。

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この時になってようやく気が付いたのだが、橋の欄干は根本で切断されていた。
ダム湖に沈むため、不要なものはあらかじめ撤去しておく方が良いのか。
生えている木を伐採するのは分かるが、こうした金属の構造物はそのうち朽ち果ててしまうので、そのまま沈めおいても良さそうな気がするが。

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橋の欄干が無いので、慎重に橋の下を覗き込む。
なかなか高度感がある。

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細い橋を渡ったところ。
見た目は老朽化しているが、渡っていて危ないと感じることはなかった。
ダム湖に沈んだあとは、魚の住処となることだろう。

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伐採されて丸坊主となった斜面。
なんとも痛々しい。

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大沢橋からバイパスの川原平橋を望む。
ここはかなり目立つ。
さっさと先にゆくとしよう。

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人気のない道を歩いていると、サルの群れが現れた。
突如現れたおっさんに怯えるサルたち。
人間では到底下りることができないであろう、コンクリートの急斜面を下ってゆく。
凄い身体能力だ。

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アスファルト舗装路から未舗装の道になった。
水はけが悪くて湿地帯のようになっていたようだが、今は干上がっている。
そこにクマの足跡を発見した!

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さらにもう一つの足跡を発見する。
そしてこの先に、大量のクマの糞が山のようになっているところがあった。
同じクマが何度も同じ場所で用を足したように見えた。
(ツキノワグマは縄張りを誇示するために、同じ場所で糞をするのか?)
こんな何もない場所でクマはいったい何をしていたのか。
ひょっとしたら、ここで人間のようすをじっと窺っていたかもしれない。

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クマの足跡を見て心細くなって、途中で戻ろうと思った。
しかし、出口で草刈りをしていた人がいたので、引き返して先に進むことにした。
本当に何もない場所で、歩いていても単調で飽きてくる。

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新しい橋が見えたので、寄ってみることにした。
これはさすがにダム湖に沈まないだろう。

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前を流れる暗門川(あんもんがわ)に架かる橋。
津軽ダムまでの下流域が岩木川、ダムから上流部は暗門川となっている。
ここにも立ち入り禁止の看板はなし。
ということは、どうぞ渡ってください!という意味だな。

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欄干に取り付けられたネームプレートはまだ新しい。

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美山橋から下流方向を撮影する。
遠くに巨大な津軽ダムのコンクリートの壁が見える。

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美山橋から上流方向を撮影する。
小さなダムが2つ建設されている。
手前のダムから下流側に向かって送水管が延びている。

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バイパスから大沢橋の方向を撮影した。

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さらに歩いて新しい川原平橋から大沢橋をズームで撮影した。
2つの橋が重なって、一つの橋のように見える。

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その後、日を改めて別な日に大川周辺の調査を行った。
調査というが、単に暇つぶし。
雨が降りそうでハッキリしない天気だったので、ビレッジANMONから歩いてやって来た。
ずいぶん暇なおっさんだと自分でも思った。

写真に写っているのは、大川白神橋(おおかわしらかみばし)。
新しいバイパスの方の大川に架かる橋だ。

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暗門川に建設された小さなダムを撮影する。
前回、調査を行った時、美山橋から見えたダムが2つ見えたうちの上流側のもの。

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ダムをズームで撮影した。
これは取水目的に建設されたダムのようだ。
Wikipediaの津軽ダムのページに次のようなことが記載されていた。

目屋ダム完成以後、40年にわたり濁水問題が継続しており地元住民から「清流岩木川が泣く」と批判されていたため、岩木川の河床固定化改善を含めた流水機能改善も求められていた。

中略

濁水については、渇水時に水位が低下した際に河岸段丘部が削り取られ、濁水が長期化することが推測されたため複数の方法で濁水の長期化を回避する対策を採った。まず取水塔に選択取水設備を設け、貯水池上層の比較的清澄な水を下流に放流することで濁水防止の他、河川生態系に影響を及ぼす温水・冷水放流を抑えて岩木川の水温を一定に保たせるほか、貯水池上流に水質保全ダムを建設してそこからバイパストンネルを下流まで建設して上流部の澄んだ水を放流する、洪水時に可及的速やかに濁水を放流して貯水池への滞留を防ぐ環境放流設備をダムに設置するなど濁水の長期化を回避する対策を講じた。さらに目的の一つに河川維持放流目的を持たせ、目屋ダムから岩木川第一発電所間の水が常時少なくなっている区間に一定量の水を放流して河川生態系を維持すると共に流砂連続性を改善して河床の固定化を防ぐ対策を採った。

 

Wikipediaによるところの水質保全ダムというものか。
それにしても、この新たな水質保全ダムの建設によって森林が水没し、新たな環境破壊を招いている。
貴重な観光資源を破壊していることになぜ気が付かないのか!
今もなお密かにビレッジANMONまで道路の複線化工事をしようと目論んでいるに違いない。

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小さなダムに水をせき止められて水位が上がり水没した木々。
大川白神橋から大川の上流部分を撮影した。
葉っぱが黄色く変色していたり、落葉して丸坊主になっている木々があるのが分かる。
これは紅葉ではなくて、水攻めにされて枯れていっている。
こうして新たに環境破壊は確実に進行している。

青秋(せいしゅう)林道入り口

暇つぶしに林道を1時間ほど歩いて戻ってきた。
なんとも面白みのない道だった。
この林道は青森県から秋田県まで抜ける予定だったが、地元の人の反対を受けて工事中止を余儀なくされた。
当然だ。こんな無駄なもの造ってどうする?

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これが秋田県側の終点。二ッ森登山口の駐車場。
以前、8月14にに立ち寄っている。
二ッ森は面白みに欠ける山で道路が無ければ、誰も登りに来ない山だと感じた。
こんな道があるばっかりに人が寄ってくる。

大潟村から白神山地まで 二ツ森に登る
本日は大潟村から白神山地まで移動して二ツ森を登りました。 お盆休み真っ只中で人が多くて疲れました。 明日は静かな場所に移動することにします。

 

以上、忘れていた記事をようやくアップしてみた。
ああ、スッキリ。

 

おわり

コメント

  1. 大伴細人 より:

    写真から静けさが伝わってきて、なんともいえない感じですね。

    • karaage より:

      道路は意外に交通量があって賑やかです。
      もう少し奥の方にゆくと静かになります。

  2. 一式陸攻昼食中 より:

    東北のダムは、乙ですね。
    ダムマニアがヨダレを垂らします。

    PCTの道中でもUSAのでかいダムに巡り会えるのでしょうか?

    • karaage より:

      ダムは無機質な巨大な塊で大嫌いです。
      良い車中泊スポットですがね。

      アメリカでわざわざ行くことはないでしょう。

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