PCT2017スルーハイクの記録~森と湖のOregon編 その3~

こんにちは。からあげです。

毎日毎日歩き続けて10年分くらいまとめて歩いたのではないかと思うPCT。去年の今頃はSierraの玄関口Kennedy Meadowsに向かって歩いていたことを思い出す。Tehachapi~Kennedy Meadowsの間は25mileも水場が無い区間を歩かねばならなかった。水場で腹が出るまでがぶ飲みしたことが思い出される。非常に懐かしい。

今年の私は腑抜け状態になっていて、イマイチやる気が起きない。装備を含めて100万円も使ってしまったこともあるが、毎日歩き過ぎて心身ともに消耗してしまったことが大きい。
いくら好きでも歩き過ぎると嫌になってくる。私は単独で歩いていたため、気を紛らわすこともできないでいた。

そんな忌まわしのPCTだが、再びどこかのロングトレイルを歩いてもいいかな、という気持ちになってきている。自分でもビックリだ。おいおい、その費用どうするんだよ?と突っ込みたくなってくる。おっさんは気楽でいい身分だこと。

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Olallie Lake Resort(2043.1mile)からTimberline Lodge(2094.5mile)まで
8月17日(木)~8月19日(土)

行程 51.4mile

8月17日 2043.1mile~2060mile 16.9mile
8月18日 2060mile~2085mile 25mile
8月19日 2085mile~2094.5mile 9.5mile

Olallie Lakeで汲んだ水で昼食を作る。Power Line(送電線)付近にはたいてい空き地があって休憩できる。木陰にボロボロのタイベックシートを広げて休んだ。

2052mile付近 Trooper Spring

州警官の泉?Trooperという単語いえば、昔あった映画「Starship Troopers」を思い出した。バグとの壮絶な戦いを描いたSFもので、随所に笑いが織り込まれていて面白かった。

怪しげな佇まいを見せるTrooper Spring

不思議と蚊はいなかった。落ち着いて水を汲むことができた。

水を汲んで飲んでみると、冷たく非常に口当たりのよい美味しい水だった!

Oregonは水場事情があまり良くなくて、湖の水を飲むことも多い。大きな湖の水質は良好だが、干上がりかけの小さな池ような湖は、いろいろな成分が濃縮された色付きの水で後味が良くない。それでも、重たい水を持ち運ぶことに比べると全然マシだった。

Trooper Springは当たりの水場。通りがかったら是非立ち寄って欲しい。

YOGIのPCTHandbookの表紙に掲載されている標識と同種のもの。
見た瞬間、「おおあれだ!」と思い出した。出発前、常に枕元において何度も読み返していた。

Handbookのものより古めの標識。経年劣化して色が褪せ錆びているのがいい味を出している。

こちらがYOGIのPCTHandbook。

この日、20時過ぎまで歩き、暗くなる直前に暗い森の中でキャンプした。一昨日、迂回するために舗装路を歩いてかなりのダメージを受けた。アスファルトは硬くて足が痛くなるし、通行車両に注意を払うため気疲れもする。あれから1日経ったが、まだ疲れを引きずっていた。

手彫りの標識

よく見ると文字が浮き出ている。非常に手間がかかっている代物だ。

次の日、Timothy Lakeで昼休みをとる。8月中旬を過ぎて朝晩は寒くなってきたが、日中はまだ暑いままだった。水辺の木陰で涼む。

その後、再びトレイルを歩いていると、マウンテンバイクに乗ったおっさんに抜かれる。声を掛けられる前にハブの微かなチチチという音に気づいていたのだが、全く気付かないフリをして歩いていた。トレイルに轍が付いていたため、自転車が入り込んでいることが事前に分かっていたのだ。

自転車は徒歩に比べるとトレイルに与えるダメージが大きい。これは紛れもない事実だ。特に乗り手が下手だったり、後輪を滑らせて喜ぶ人間だと深い轍があちこちに残る。PCTは他のトレイルと重複している区間も多数あって自転車乗り入れ禁止でないところもあるが、PCTだけに限っていえば、徒歩と乗馬以外の通行は禁止されている。

抜いていった彼は単独で自転車から下りることなく、挨拶のみで走り去って行った。方やホーストレッキングツアーの集団が大勢で馬に乗ったまま通り過ぎる。馬に乗った集団と比較すると、環境に与えるダメージは自転車の方が明らかに少ない。ただ、昔からの慣習で乗馬が認められている。スルーハイカーが急増してハイカーによるダメージも深刻化している。何が良くて何が悪いのか。ハッキリと言えることはなるべく大人数で行動しないこと。

昼食を食べてしばらく歩いていると、急に睡魔に襲われた。ちょうど木陰のキャンプサイトがあったので、こ汚いタイベックシートを広げて眠った。するとリスが私の体の上に上ってきた。森の中でちょこまか動いているのが見えたが、まさか体の上に上ってくるとは思いもしなかった。びっくりして起き上がると逃げて行った。ハイカーに餌付けされたリスでもなし。危害を加えられることがないため、人間を恐れないのか。

樹木の隙間からMt.Hoodが現れた。

Mt.Hood周辺も山火事の煙で霞んで見えた。

17時ころ、Wapinitia Pass付近のHighway26に出たところ。ここからGovernment Campという国営キャンプ場まで7.4mile。キャンプ場近くにGroceryと呼ばれる食料品店がある。ここまで距離があるため、ヒッチハイクしてまで行き気はしないが、1.9mile先にガソリンスタンド併設のコンビニがある。コンビニなら距離も近くヒッチハイクも楽勝のように思えた。

CJ’s Foodmart(2084mile地点)1.9mileヒッチ

Govemment Camp手前、Hwy26沿いにあるガソリンスタンドChevron併設のコンビニ。PCTHandbookでは僅かに記載されているだけの隠れセーブポイント的なスポット。ワガママを言わなければ、ハイキングできるだけの食べ物は補給できる。

AT&T圏内。

楽勝モードでヒッチハイクを開始したが、観光客の車がほとんどで反応が非常に悪かった。サムアップしても無視をされるか、センターライン方向に逃げられてばかりいた。山奥だというのに交通量はそれなりにあったが、反応が悪く全くお手上げだった。

途中で諦めて歩きながらヒッチする作戦に変更した。半ばヤケクソに手を挙げていたら、なんと遠方から一人で来ていたキャンパーの車に拾われた。彼は仕事でたびたび日本にやって来ているらしく非常にフレンドリーだった。最後にはPortlandまで送ってやろうかとまで言ってくれた。

食料は十分にあったため、ジュースやアイス、お菓子を買ったのみ。全部で13.19$。
それほど高くはなかった。

トウモロコシで作られたお菓子。SANTITASという。大袋なのに$2という激安価格だった。これくらいの大袋だと$4してもおかしくはない。アメリカのお菓子は大袋ばかりで食後のおやつに食べたい小袋が全然おいてない。そのため、食いかけのお菓子がハイカーボックスに入れられていることも多い。空気が乾燥しているため、食べかけのお菓子でも湿気にくい。

このSANTITASには随分助けられた。PCT終了後の放浪の旅をしていた時によく食べていた。1袋丸ごと食べると、かなりお腹が膨れる。

外のピクニックテーブルでお菓子を食べていると、先ほど車に戻って行った子連れの若夫婦がやって来た。私がいるにも関わらず、なんと子供のおむつ替えを始める。トイレの中か自分の車の中でやろうとは思わなかったらしい。本当に酷い奴らだった。小さな赤ちゃんを連れていれば、なんでも許されると思っているのか!

彼らは私に断りの一言も全くなかった。どこぞの邪魔なホームレスとでも思われていたのだろう。身なりが汚いと雑に扱われるのが多いのはアメリカでも一緒。いちいち若夫婦に抗議をするのも面倒だったので、無言でベンチの方に移動した。

トレイルに戻るためお店の前でヒッチハイクを開始する。すると行き同様に反応が非常に悪く10分もしないうちに諦めた。ヒッチハイクを粘るより、歩いた方が手っ取り早かった。
PCTで行ったヒッチハイクはここが最後だった。最後の締めが非常に嫌な終わり方をしてしまって残念だった。今回のヒッチハイクは必要不可欠なものではなく、単なるお菓子を食べたいというワガママから行ったものだったため、成功しなかったのかもしれない。

20時近くまで歩いてトレイル脇でキャンプした。

5時半起床、6時出発。

歩きはじめて直ぐにBarlow Pass付近のHighway35に差し掛かった。Govemment Campへは4.9mile、Hwy35からヒッチハイクを行うのが良いらしいが、早朝のため交通量は非常に少なかった。

写真はHighway35の近くを通る幅の狭い道路。車でやって来たキャンパーたちが道路脇でキャンプしているのが見えた。

この日、Timberline Lodgeの手前、2092mileの水場で水をたらふく飲んで歩いてゆくと、北の方からやって来た日本人夫婦のハイカーに声を掛けられる。すれ違う時に「からあげさんですか?」と。

南向きに歩いていたSierra山中では日本人と会っていたが、Oregonに入ってからは全く姿はなかった。孤独なハイキングを続けていた私は日本語を話せるだけでも嬉しかった。

彼らはPortland在住の日本人で、アメリカにやって来てから十数年になるという。私のブログの読者で、Mt.Hoodにハイキングにやって来る今日、ひょっとしたら私とすれ違うかもしれないということで、特製のおにぎりやお菓子などをたくさん担いでくれていた。自宅の庭で採れたというプチトマトは新鮮で美味かった。日頃、マルチャンなどのインスタントものばかりであったため、トマトを食べると栄養が吸収されてゆくのが分かった。

特に嬉しかったのはおにぎり。米はPCT出発直前、San Diegoのホステルで食べたきりだった。町に下りてもバーガーばかりで本当に米に飢えていた。日本にいる間は3食玄米を食べていたのに、アメリカに来てからは白米すらほとんど食べる機会はなかった。トレイルタウンのスーパーマーケットには「SUSHI」と呼ばれる寿司風の食べ物があったが、アボガド味とかいう訳の分からないものだったため、食べられないでいた。おにぎりを1つ2つ食べると、体の底からパワーがもりもり湧いてくるのがハッキリと分かった。

当時の私は不平不満に満ちていて、ブログの大半は愚痴で埋もれていたというのに、彼らは批判がましいことは一切口にせずに、私に元気と勇気をくれて、たくさんの食べ物を持たせて送り出してくれた。

1時間ほど話してすっかり元気を取り戻した私は意気揚々とMt.Hoodに向かって歩いてゆく。樹林帯を抜けると、未だ雪を被ったMt.Hoodが現れた。私の気分同様、青々とした空に聳えていた。

Mt.Hoodに近づくにつれて、地面は砂地に変わり足をとられるようになっていった。
こういう時、ストックを持っていないと、歩行スピードが一気に落ちる。2本の足だけを頼りに歩くと、足が砂に埋まり体力のロスが大きい。自作の杖を持っていたため、楽に歩くことができた。

再びPCTを歩くとしたら、絶対に外せない装備はストック。あった方が絶対いい。もう少し早めにストックの必要性が分かっていれば、楽に歩くことができたと思う。1日2,3mile程度の差が積もり積もると大きな違いとなる。PCTHandbookでは、なぜかストック不要派のハイカーばかり登場する。これが誤解を与える一因になっている。PCTHandbookはPCT事情に疎い外国人ハイカーのバイブルとなっているだけに問題だ!

ストック使用をすると、当然シェルターは非自立式のモノポールやツエルトになる。非常に相性の良い組み合わせだ。私がテントポールをバラして、わざわざ自作のツエルトポールを作ったのは、ストックを使用しないためだった。
実際、自作の杖が邪魔だと思ったのは、ヒッチハイクをするときと立ち止まって写真を撮る時くらいだった。

こんにちは。からあげです。 今日は日差しがたっぷりと降り注いでポカポカ陽気で過ごしやすい。 最近、ずっと寒くて参っていたところだっ...

Mt.Hoodを見上げる。

山肌には雨水できた深い谷が刻まれていた。一つ一つが非常に深く段々模様となっていた。

Mt.Hoodから流れる美味しい雪解け水。日差しが強くて暑かったため、冷たい水をたらふく飲んだ。

Timberline Lodge付近には森のなかでひっそりとキャンプできる場所がある。テントの主はここをキープしてからLodgeに遊びに行ったらしく気配はなかった。

Timberline Lodgeを過ぎると、次はOregon最後の町、Cascade Locksとなる。景色の良いMt.Hoodでゆっくりしようという気になるのも頷ける。ただ、日中は一般ハイカーが多いので、場所を十分吟味する必要がある。よく探せば、隠れたサイトが見つかる。

Canadaまで550mileの標識

Mt.Hoodは標高11,239ft(約3,400m)の成層火山、日本人や日系人の間ではOregon富士と呼ばれているそうな。

Timberlineスキー場は南斜面にあるにも関わらず、標高が高いため残雪が多く夏でもスキーをすることができる。北米で年間を通してスキーできるのは、Timberlineスキー場唯一であるため、スキー客や登山者で大変な賑わいをみせるという。

人気がある理由は他にもある。Portlandからおよそ90mile、車だと3時間弱で来ることができるからだ。ドライブがてら週末ピクニックにやって来るのに最高の場所だろう。

Timberline Lodge(2094.5mile) On Trail

Mt.Hood中腹の歴史あるスキーリゾート。開放的な山の斜面にロッヂが建てられている。ロッジ内は落ち着いて休めるソファーが幾つもあって、ここで心ゆくまで寛げる。ロッジでの宿泊や食事はかなりの高額であるため、全くハイカー向けではなし。隣のスキー場のレストランがおすすめ。

AT&T圏内、AC電源あり、荷物受け取り可

駐車場に面した南側がロッヂの玄関となる。

PCTから下るとロッヂの裏手に出る。広大な裏庭に座り心地の良い椅子が幾つも設置されている。日差しは強いが、空気がカラリと乾燥しているため、非常に心地よい。Mt.Hoodを見上げながら、それぞれ寛ぎのひと時を過ごしている。

南側の展望テラスのようす

国旗がいくつか掲げられていたが、日本の日の丸はなし。

展望テラスからの眺め

ここから遥か遠くのMt.Jeffersonの姿も見えた。未だ山火事の煙で白く霞んでいた。

ロッヂ内のようす

クーラーが効いているかのようにひんやりと涼しい屋内。
天井は吹き抜けとなっていて非常に開放感がある。

暖炉は今も現役で使用されているのか、煤けてはいるが掃除が行き届いていて黒光りしていた。

建物を支える太い柱

直径が1mほどもありそうなほど太かった。柱と柱の接合には大きくて丈夫な金具が使われていた。

石でできた柱

綺麗に積み重ねられている。高い天井には温かい光を放つ照明が下がっている。

レストランのようす

こ汚いハイカーが入るには気が引けそうなほど高級感が溢れていた。まだランチタイムには早いためか、準備中の札が看板が置かれていた。(メニューを見るまでもなく、どれも高価だと分かった。)

人に撫でられてピカピカになっている手すりの柱

丸太を丸ごとそのまま立てている。

客室スペースは宿泊客以外は立ち入り不可、ここは手前にあるお店。

土産物やスナック類が置かれていた。
詳細は不明。面倒だったので、いちいちチェックせず。

ロッジ内には展示スペースがあって、昔のスキー道具などが展示されていた。どれもこれも非常に味があった。

石造りの玄関を通ってスキー場の施設の方に向かう。ロッジ内のサービスはどれも高そうで、私の経済力では気楽に利用することはできない。

スキー場施設の入口

駐車場を挟んでロッヂの南側にある建物に庶民的なお店がある。こちらの建物は現代的ではあるが、外観はロッヂと合うような落ち着いた雰囲気になっている。入口にいたマウンテンバイカー2人は、パークレンジャーたちと楽しそうに話していた。

スキー場レストランのようす

まるでファーストフード店のような雰囲気でできたてのバーガーやサンドイッチを購入することができる。カウンターのいた若い女性の心から楽しそうに仕事をするようすを見て私まで元気になった。ロッヂ内はキチンとした教育を受けたホテルマンがサービスをしているが、こちらはアルバイト感覚で気軽に仕事をしている人が多い印象だった。笑顔が素敵な彼女は、おそらくここで人気ナンバー1の女性に違いない。こういう自然な接客ができるのは、ある種の才能が必要だと思わずにはいられない。(Jack in the boxで不貞腐れて働く姉ちゃんはダメだ。)

私はというとサービス業には全く向かない。笑顔で愛想よく接客するなんてことは不可能に使い。引きつった笑顔を作るだけで疲れてしまう。それに人の顔や名前も全く覚えられないし、オーダーも直ぐに忘れてしまう。人間は適材適所というものがある。私の居場所は大自然の中にある。

レストランには食事のほか、パワーバーやスナック類なども購入することができる。ここで食料を少し買い足そうかと思っていたが、思いがけず日本人夫婦からたくさんの食べ物を貰ったため、ここで補給する必要は全くなかった。

アメリカはドリンクコーナーは手動で汲むシステム。ファミレスのドリンクバーのような感じ。日本の自販機のように紙コップが上から落ちてきて自動で入れてくれる訳ではない。自分で汲むほうが素早くていい。

大中小とカップが選べる。好きなモノをとって自分で汲む。

もちろん値段は異なる。かと言ってそんなに違わない。

バーガーを受け取り、バーの中を通って展望テラスに出て食事する。
ドリンク込みチップなしで$13.5。ファーストフード店と同様にチップは不要だった。

バーガーの味はレストランのものと比べると落ちたが、雰囲気の良い場所で食べる食べ物は何でも旨くなる。

食後、ロッヂに戻りソファーで寛ぐ。

一般観光客に混じって同じスルーハイカーを何人か見かけた。どこにいようとも同類だけはすぐ分かる。身なりがボロボロというだけではなく、身に纏った雰囲気がほかとは違う。それぞれロッヂの片隅で休んでいた。

座り心地の良いソファーに深く座り目を閉じると、外の喧騒が嘘のように感じられる。ロッジ内も大勢の人がいて賑やかなのだが、木が音を吸収するからなのか、はたまた高い天井が音を逃がすからなのか、かなり静かに感じられた。

頂いた食べ物

おにぎりとスナック類。トレイルでも食べやすい食べ物ばかりで嬉しい。
ジップロックに入ったお菓子の詰め合わせには大興奮!

おにぎりは白米と炊き込みご飯が半々。おにぎりは最高の行動食、一度に食べないで少しずつ食べることにした。普段ならバカ食いしてしまうおっさんであったが、貴重な白米に大人の行動を迫られた。

懐かしの日本語

柿の種やコーンスープ、牛丼の素まである。Portlandには日系人が多いため、日本食材を扱うスーパーもある。日本が恋しいと思った自分に驚いたが、そう思うのは食べ慣れた食べ物を食べられないからだった。

ロッヂで寛いでいたのは、およそ3時間。毎日忙しなくハイキングを続けていた身には貴重な時間だった。前日の金曜日からCascade Locksの町でPCT DAYSというイベントが開催されていたが、もうそんなことはどうでもよくなっていた。あと残り50mileもあり、どんなに頑張って歩いても終了までに間に合いそうもない。

ここ最近、ハイカーの姿が減ったのは、多くはCascade Locksに向かったためだったらしい。そんな人混みの中にゆくより、静かなトレイルを歩いた方が数倍良い。半分、間に合わなかった悔しさがあるのだが、山火事に阻まれなかったら行くことができただろうとは思う。律儀に道路を歩いていたため、余計に時間が掛かってしまった。でも私は自己満足のために、スキップすることなく自分の足で歩いた。歩く選択をするのはハイカーの自由だ。個人の判断で決めたらいい。

Oregonもあと僅か、日本を離れてずいぶん経ったころで、無性にご飯が食べたくて仕方がありませんでした。私の願いが天に通じたのか、読者が日本の食べ物を持って応援に駆けつけてくれました。おにぎりを食べて心身ともに回復してハイキングを続ける気力がもりもりと湧いてきました。

Timberline Lodge(2094.5mile)からCascade Locks(2144.4mile)
8月19日(土)~8月21日(月)

行程 49.9mile

8月19日 2094.5mile~2107mile 12.5mile
8月20日 2107mile~2137mile 30mile
8月21日 2137mile~2144.4mile 7.4mile

快適なTimberland Lodgeを出発して先に進む。トレイルはスキー場内を通ってMt.Hoodの山腹を巻くように続いている。周囲にはたくさんのハイカーがいるため、思うようにスピードを上げられない。ゆっくりしたペースで歩いていった。

Mt.Hoodを見上げる。圧倒的な存在感のある山。人気があるのも頷ける。

他のハイカーとともにスローペースで歩いていると、やけにフレンドリーなおじさんに話し掛けられる。彼の名はJohn。カメレオンを肩に載せて歩く彼は、只者ではないオーラを放っていた。日本のことが大好きなようで、京都、奈良、黒澤明のことを凄い勢いで話し始めた。訛りがあったが、簡単な言葉で話してくれたため、ほとんど理解することができた。

やけに馴れ馴れしいおじさん。でも嫌味なところは全くなし。彼と接していると、不思議と私もテンションが上がってきた。ワイワイとお互い訳の分からないことを言って盛り上がる。1時間ほど一緒に歩き、トレイルジャンクションで2ショット写真を撮ってお別れ。いやあ、楽しいおじさんだった。

彼はカメレオンを肩に載せてくれたり、杖の上に載せてくれたりと、サービス満点だった。
生きたカメレオンを見たのは子供の頃以来でもう30年以上は経つ。彼の飼っているカメレオンはどこにいようとも色を変えずに茶色と緑のツートンカラーのままだった。安全なところで生活していると、野生本来の能力を使わなくなってしまうのか。

お腹が空いたので、早速貰ったおにぎりを食べる。もぐもぐゴックン。

一つだけのつもりが2つ目を食べる。止められない止まらない。
こうしてみると、爪の中が真っ黒になっているな。まったく汚いおっさんだ。

貴重なおにぎりがどんどん減ってゆく。結局、夕方までには全て食べてしまった。

おにぎりの形をした岩

なぜかおにぎりに見えた。苔むした大きな岩は縦半分にヒビが生えている。

2100mile付近Lost Creekの渡渉

絶妙な場所に上流から流れてきた流木があった。私がこともなくすんなり渡ると、対岸にいたハイカーから拍手喝采が沸いた。丸太橋から落ちても死なないと分かると、リラックスして普段どおり歩けた。

RamonaFalls

Mt.Hood西側、森の中にある滝。上部の岩から末広がりに流れ落ちている。私の他は誰もおらず広場で静かなひと時を過ごした。

滝から先は植生が微妙に変化し、シダのような植物が目だった。トレイルの表面はほうきで掃いたように綺麗になっていた。

2106mile付近、濁った水が流れるMuddy Fork。雪解け水で増水中であったが、倒木があったため難なく渡ることができた。

Muddy Forkを渡った先、週末キャンパーがいなくなった対岸のキャンプサイトでツエルトを張った。時間は19時30分ころ。おにぎりを食べていたため、お腹は満足していた。
久しぶりにお腹が満たされた状態で眠ることができた。

翌日20日、久しぶりに寝坊する。キャンプ地が微妙に傾斜していたため、眠りが浅かったのか未だに謎。

少し遅れて歩き始めると、木々の合間からMt.Hoodの姿が見えた。北側から見ると、末広がりの綺麗な山に見えた。現地の日本人がOregon富士と呼ぶのも頷ける。

Lolo Passは何もなし。横切った道路は全く車の通行が途絶えていて、酔っぱらいみたいに道路にしばらく転がっていても大丈夫な気がした。Power Lineの下の丸坊主になっている空き地で朝食を食べた。

トレイルでの生活は、歩くことが日常となる。毎日毎日日のあるうちは歩き続ける。

スルーハイクは時間との戦いでもある。雪にトレイルが閉ざされるまえにゴールのCanadaまでたどり着く必要がある。戦いに破れた者はスルーハイクを断念せねばならない。立ち止まってゆっくり考える時間などない。常に前を向いて歩く。

何かトラブルが起きても、ハイキングを継続できるように最善の方法を考える。時間を失うことを恐れる。時には、多大な労力や大金を使うことさえ厭わない。

この日の午後、PCT DAYSに参加したと思われるSOBO(South Bound)ハイカーたちを多く見かけるようになる。どの顔も満ち足りて飢餓とは無縁なようすだった。イベントで暴飲暴食をして日頃の鬱憤を晴らしたらしい。イベントに間に合わせるために、Cascade Locksまでスキップして、イベント終了後にCascade Locksからスキップ地点に向かって歩いていたようだった。

私も同様の選択をできたのだが、ヒッチハイクの煩わしさが嫌だったため、イベントの参加は諦めた。そのお陰でしばらくは静かなトレイルを楽しめた。

たくさんのSOBOハイカーの中に、以前Kennedy Medows Resortで一緒だった二人組のハイカーの片割れを見かけた。そいつは金髪を後ろで縛った小柄な男だった。彼はあの後Bishopまで歩き、Ashlandまで移動して北向きに歩いていたのだった。イベントに参加するためSisters付近からスキップしたのだという。再会してしばし会話したあと彼と別れた。

気がかりだったのは、Eagle Creekで発生している山火事のこと。風光明媚なEagle Creekは滝の裏も歩くことができて非常に人気のあるコースとなっているのだが、山火事で閉鎖されている。PCTは通行可能なので何も問題はないのだが、Crater Lakeに続いて閉鎖されるとは全くツイてなかった。

写真は2125mile地点Indian Springs手前から撮影したもの。Eagle Creekから白い煙がモクモクと立ち上り、谷周辺が真っ白になっている。これではトレイル閉鎖になっても仕方ない。見晴らしの良い場所からパークレンジャーが山火事のようすを見守っていた。

ここが通る予定だったEagle Creek Trail。Columbia Riverに向かってまっすぐ北上するルート。ここもショートカットする絶好のポイントとなっている。

PCT正規のルートは距離が長い分、より楽しめるとも言える。距離では2.5mileしか差がないが、Eagle Creek Trailとはまっすぐ麓に向かって下っているのに対し、PCTはアップダウンがあって何度も登り返さないとイケない。

山火事迂回をしているわけでもないのに、心の中でブツブツ文句を言いながら歩く。とっととCascade Locksに下りてゆっくりしたいというのが本音だった。

Wahtum Lakeの湖畔のキャンプサイト

湖で水を汲むためキャンプサイトを横切った時、嫌なものを見た。

焚き火のかまどに捨てられたHalf MileのPCTの地図。くしゃくしゃに丸められた地図が捨てられていた。他にも燃えないアルミ系のゴミが煤けていたりと非常に見苦しかった。

増えすぎたハイカーの害。このようにゴミが捨てられていたり、水辺のすぐ近くでキャンプして水源を汚染したりと、トレイル上でスルーハイカーの悪行の数々が見られた。

8月も20日となると、トレイルのあちこちで紅葉する木々が見られるようになった。激しい雷雨に見舞われた時期は過ぎ去り、再びマイペースでハイキングできるようになっていた。

20時ころ、Cascade Locksが見える手前、尾根上のトレイル脇でツエルトを張った。
この日、Cascade Locksから出発してきたハイカーがかなり多く、地図に載っているキャンプサイトは全て埋まっている状態だった。行く先々で休んでいるハイカーを横目に歩き続けた。

ここを過ぎれば、しばらくの間はキャンプサイトはなかった。少し傾斜があって寝心地の良い場所とは言えなかったが、すでに日没が迫っていたためここで妥協した。

寝る前にはツエルトの中でキッチリとブログ更新してブロガーとしての仕事をこなす。

昨夜、寝ていると貨物列車の警笛の音やHwyを走る車の音が聞こえてきたが、耳栓をするほどは煩くはなかった。尾根道から山腹を横切る道へと変わると、眼下にColumbia Riverが見えた。山火事の煙が漂っていて白っぽくなっていた。

道は徐々に高度を下げてCascade Lockに向かって一直線で伸びていた。

9時過ぎ、Cascade Locksの町外れに下りてきたところ。Hwy84を勢いよく走る車の音が聞こえてくる。

Columbia Riverに架かるBridgeOfGods。橋の袂が公園となっていた。迫力のある橋で寄り道をしたくなったが、どうせ後日渡ることになるので、まっすぐ町に向かうことにした。

Cascade Locks(2144.4mile)On Trail

Oregon最後の町、ゴールのCanadaを目指すスルーハイカー達の重要拠点となっている。町全体がハイカーフレンドリー。Groceryは品揃えがよく、ガスボンベからハイカーフードまで充実している。Portlandは西へおよそ50mileと比較的近い。

トレイルエンジェル宅あり(AC電源付き)、安価なキャンプ場あり、AT&T圏内、Wi-Fiなし

町の大通りを歩く。そこら中にこ汚いハイカーが歩いている。

PCT DAYSというイベントが終わったのは前日で、まだ数多くのハイカーが町に留まっていた。

Post Officeの外で食料を箱詰めしているハイカーたち。カメラを向けると頼みもしないのにポーズをとってくれる。どうしてアメリカ人はいつもこうなんだ!

遠目で見るとそれほどではないが、近くで見ると女性ハイカーでもかなり身なりは汚い。普段どんなものを食べているのか興味深く見ていると、大きな筒に入ったオートミールをあげると言われた。せっかくくれるというので、貰えばよかったのだが、好きなOriginalではなかったため断ってしまった。女性らしく新種のフルーティーな味のやつだった。
フルーティーな味は邪道!オートミールはOriginalに限る。

Post Office内には分厚いレジスターあり。ボールペンを挟んでいるところが、現在のページ。なんと2000年から始まっていた。レジスターの中には日本人の名前もちらほらあった。残りのページから、あと2年くらいは持ちそうな気がした。

私も「Tokyo Joe」と記載する。

Post Officeを出て向かったのはすぐ近くにあるGroceryのColumbia Market。何でもいいから、何か食べてお腹を満たしたかった。サンドイッチと小さいプリングルスとBIGなコーラを購入した。

この日、アメリカでは皆既日食が見られて、田舎町のCascade Locksでさえ、なんだか盛り上がっていた。旅行者たちやそこら辺を歩いているハイカー、地元の人などが揃って太陽を見上げていた。

日食のようす

OregonではMt.Jefferson付近で皆既日食が見られたようだったが、山火事が発生していたため、ハッキリと見えていたかどうかは不明。ひょっとすると、煙のお陰で見やすかったのかもしれない。写真は遮光グラス越しに撮影したもの。肉眼では太陽がくっきりと欠けたようすが見えていた。

Marin Park RV Park

Columbia River沿いにあるキャンプ場。開放的なキャンプサイトで気持ち良いが、風当たりが強いため注意が必要。また夜になると小鳥たちがねぐらの木に戻ってくるため、木の下にテントを張ると糞まみれになる。

料金 1泊3$(シャワー代込み)
温水シャワーあり、AC電源なし

キャンプ場入口

キャンプ場内のようす

公園の一角がキャンプ場。オート区画とは別で、広大な芝生のエリアがハイカーサイトとなっている。昼間はテントの数が少ないが、夕方になると増える。日当たりが良すぎてテント内で居られないことと、風がやたらと強いため。風を遮るものがないため、川沿いから吹く強風がもろに当たる。

キャンプ場受付

料金は封筒に入れて料金ポストに入れるシステム。
チップ込み3泊分で$10入れておいた。
利用の注意事項が掲示されていた。

近くの物置がハイカーボックスとなっていた。大勢のハイカーが立ち寄るため品物の数は多いが、経験を積んでみな賢くなったためか、大したものは入っていなかった。

公園内の蛇口

かなりの水圧が掛かっているため、いきなり全開にすると大変なことになる。微調整が難しくたいてい下半身を濡らすことになる。水道は芝生の散水に使われるため、水圧がかなり高めてある。感覚的には日本の3倍くらい。

ハイカーサイトはオート区画と明確な境はなし。PCT DAYSでは全米からトレイルエンジェルたちが集結するので、スポンサーを探しに恰好な機会となっている。彼らと仲良くなれば多大な便宜を図って貰えるだろう。Portlandまでくらいなら気軽に連れて行ってくれるはず。キャンプ場にはハイカーの数はまだまだ多かったが、トレイルエンジェル達はすでに帰ったあとだった。

早速、キャンプ場の真ん中付近でツエルトを張った。川からの横風を受けてツエルトは横に大きく凹んでいる。

トイレ兼シャワールームで久しぶりにシャワーを浴びると、ついでに洗濯を済ませた。汚れた衣類からは墨汁のような汚い汁が出た。ロープを張って洗濯物を干すと鯉のぼりのようにはためいた。

トレイルエンジェル宅 Shrek’s House 

隠れた存在のトレイルエンジェル宅。キャンプ場にはないAC電源のサービスがあり非常に助かる。多くのハイカーが滞在しているため、情報収集には打って付けの場所となっている。裏手の部屋にドネーションボックスがあるので、奮発して入れておこう。

トイレ・水場・AC電源あり。

Columbia Marketより山手に少し上がった住宅地の中にトレイルエンジェル宅がある。
映画のキャラクターのShrekが好きなのか、それともShrekに似ているのかは謎。裏庭がハイカーたちに開放されている。

建物の壁にPCTマークが取り付けられていて、遠目でもトレイルエンジェルの家であることが分かる。
モバイルバッテリーとスマホを充電したいため、そこら中のハイカーに聞きまわって見つけた場所だった。まるで本物のRPGゲームの世界にいるような感覚にとらわれた。

大挙してハイカーが押し寄せると収集がつかなくなるためか、PCTHandbookには載っていなかった。PCTのスマホアプリには載っていたが、Shrek’s Houseとだけ表示されていたため、意味が全く分からなかった。

裏庭には狭いながら区画分けされたキャンプサイトが設けられていた。大部分は木陰となっているため、昼でもテントで過ごすことができる。行った時はちょうど昼過ぎていたためか、ほとんどのハイカーは出かけていて閑散としていた。

東屋の下にAC電源とピクニックテーブルあり。

電気欲しさにトレイルエンジェル宅までやって来た。South Lake Tahoeでモバイルソーラーパネルを手放してからは町での充電が必須となっていた。ブログ更新や情報収集などスマホは控えめにしてバッテリーの消費を抑えていた。

ハイカーたちは同じような品物を持っているため、自分のものに名前を書いておくと取り間違いを防げる。ハイカーが泥棒をすることはまずないが、うっかり間違えてしまうことはある。間違わないようにいつも注意するようにしていた。

建物の裏側がウッドデッキになっている。座り心地の良い椅子がおいてあって寛げる。
ドアから中に入るとテレビのある部屋と奥にトイレとシャワールームがある。

肘掛けがテーブルにもなる椅子。座って目を閉じるとハイキングで多忙な日常を忘れさせてくれる。

荷物の受け取りとレストランで食事をしようと思ってAle Houseまでやって来ると臨時休業となっていた。

あれ何かドアに貼り紙がしてあるぞ!ふむふむ、食べ物の臭いがする。一旦キャンプ場に戻ってみるか。

公園の奥のバーベキューエリアでパーティーを行っているらしいと情報を得た私は早速行ってみることにした。

食べ物があると知ればどこへでもゆく。こんな意地汚い自分だったとは思いもしなかった。スプリンクラーの攻撃を交わしつつ奥へ進んでゆく。

パーティー会場へようこそ!

東屋のところでバーガーパーティーが行われていた。中から肉の焼けるジュージューという音と香ばしい臭いが漂ってくる。おっさんは吸い寄せられるように入っていった。

東屋の下は飢えたハイカーでごった返していた。

うほー、肉だ肉!

パック詰めされた肉の塊

全て無料でハイカーたちに振る舞われていた。提供はとても気前の良いレストランパブ「Ale House」。お店に食べに行きたかったのだが、時間が合わず一度も行けなかった。Amazonかとバウンスボックスの3つの荷物を無償で受け取って貰ったので、店に行ってチップを弾みたかった。セコいことは言わない。$10くらいは払いたかった。これはPCTの中で心残りの一つとなっている。

肉は丸めて炭火で焼かれて肉汁が滴り落ちていた。熱々の肉を頂いてパンに挟んで食べる。

ケチャップをたっぷり掛けて皿に載せておいたパンが、風に飛ばされてケチャップを付けた面が芝生に落ちてしまった。捨てるなんて勿体ない。軽くパンを叩いてそのまま肉を挟んで食べたのだった。3秒ルールはどこでも適用される。

冷たいコーラで乾杯!

あまりの旨さに2本も頂いてしまった!ごちそうさまでした。

バーガーを食べて荷物を受け取ると、食料の買い出しと発送作業を行う。先のWashingtonでは十分な補給が受けられないため、予めリゾートに食料を発送しておかねばならない。

まずWhite PassとSnoqualmie Passへの2箇所へ送る荷物をまとめた。1回の買い出しで持てる荷物に限りがあるため、2回に分けて行った。

写真はSnoqualmie Pass送る7日分の食料。途中のStevens PassはUPS or FedExしか受付しないため、わざわざUPS営業所のある隣町のHood Riverまで向かう必要があった。そのため、Stevens Passでは補給せずにSnoqualmie PassからStehekinまでの178.8mileを一気に歩くことにした。

Post Office内のようす

たくさんのハイカーの荷物で大忙しだった。荷物を出して受け取ったのは、Sierra City同様、トラッキングNoが記載されたシールのみだった。キチンと印刷されたレシートが欲しかったのだが、忙しそうにしている郵便局の人に無理を言う気にはなれなかった。

2箇所に食料を発送すると、お店のツナが全てなくなってしまったので、やむなくキャンプ場に引き上げてきた。タンパク質豊富なツナは欠かせない食べ物で、手に入れるためなら隣町まで買いに行ってもいいとまで思っていた。

この日は早く町に着いたものの、その後の作業で疲れ切っていたため、問題は翌日に持ち越してとりあえずゆっくり休むことにした。お店で買ったサンドイッチを食べて夕食とした。奮発して普段飲めない炭酸水Perrierを購入。Perrierは美味しい水なのだが、大きな空き瓶が出るのがよくない。ついつい買ってしまうものの、飲む度に後ろめたい気持ちになるのだった。

夕方になり風が収まったため、外にマットを出して寛ぐ。届いた荷物をチェックする。
モバイルバッテリーと充電器、トレランシューズ、ミシン糸を受け取った!

Drakesbad Guest Ranchで受け取り、900mile歩いたトレランシューズ。$40とは思えないほどの耐久性だった。ところどころ傷んでいたものの、まだまだ十分履ける状態だった。新しいシューズを手に入れたため、勿体ないが処分することにした。歩き続けなければならないハイカーは余分なものは処分する必要がある。

つま先の状態

両足ともめくれてしまっている。かなりの初期から剥がれてきたが、あるところまで剥がれると傷みが進行しなくなった。

かかとのようす

両方ともにパックリと口を開けてしまっているが、まだこれなら大したことはない。

ソールは硬めでグリップ力はあまりないが、素晴らしい耐久性だった。900mile歩いたとは思えないほどしっかりとしていた。

ソールのようす

真ん中のピンク色のソールはSierra Cityで手に入れたもの、両端が付属のソール。下にピンク色のソールを敷いて履いていた。付属のソールはペラペラで薄かったため、もう一枚ソールを入れた。2枚入れると抜群のフィット感を得られた。付属のソールは処分して、ピンク色のソールを新しいもの下に敷いておいた。

色違いの新しいトレランシューズに靴紐を通し、ピンク色のソールを入れた。

さらに痛みやすいつま先部分を接着剤でコーティングした。接着剤はMt.Shastaのホームセンターで買ったもので、まだまだたくさんあった。

コーティングしたつま先のようす

やるやらないでは随分と違うような気がする。これが最後のシューズとなった。ゴールのCanadaの地を踏んだこのシューズは今でも大事にしていて、ボロボロになってもまだ履いている。

日食を見れる8月22日にCascade Locksの町に下りてきました。日食を見て一息付くと活動開始です。スルーハイカーは次に備えてあれこれ準備しないといけません。荷物の発送作業を終えるとグッタリしました。

8月22日 PCT119日目 Cascade Locks 休養日 

22日、キャンプ場で静かな朝を迎える。購入した新品のガスボンベは温存しておいて、ハイカーボックスで手に入れた中途半端なガスボンベを使用する。危険物のガスボンベを荷物として送るわけにはいなかない。重たいが半端物のガスと一緒に2つ持ってゆくことにした。

朝食で作るのは、これまたハイカーボックスで手に入れたスープスパに、オートミールを2袋も入れて増量する。スープスパは手軽でいいのだが、調理時間が7分もかかり燃料消費が大きいため、ハイキング用の食べ物には向かない。そのため、ハイカーボックスに放り込まれていることが多い。私も何度か買ったことがあるが、思ったよりガスを喰うため途中で買わなくなった。

日本から持ってきた糸はすでになくなり、Mammoth Lakesのドラッグストアで手に入れたミシン糸を使っていたのだが、糸が弱くて切れやすいためにAmazonで丈夫なミシン糸を買った。

アメリカのものはなんでも馬鹿みたいに丈夫で、このミシン糸で縫ったら切れることはなかった。

バックパックのエクステンションカラーに空いた小さな穴を修理しているところ。20Dのシルナイロンは丈夫だが、木の枝に引っ掛けると穴が空くことがある。早めに修理しておけば、簡単に直せる。補修シールを張って周囲を丈夫なミシン糸で縫った。

最も傷みが激しいバックパックのショルダーストラップも丈夫なミシン糸で縫うと、ぴたりと傷みの進行が止まってくれた。

修理したバックパック。途中、買い換えようと弱気になったこともあったが、ゴールのCanadaまで一緒に辿り着くことができた。ミシンの扱い方を覚えながら作ったバックパックで非常に愛着がある。

帰国後に大きな修理をして復活してくれた。今度、ボロボロになるまで使い続けることだろう。軽量コンパクトで気軽に担いで行けるのがいい。薄い生地で弱々しく見えるULのバックパックでも修理しながら使えば、途中でダメになることはない。

サコッシュの透明マップケースがボロボロになっていたため、新しいものと交換した。
素材は100均の柔らかいクリアケース。塩化ビニール製で耐久性はそこそこあるが、使っているうちに裂けてくる。透明ビニールテープを貼って補修して使い続けていた。

このクリアケースは予備としてではなく、先の地図を入れてリッジレストと背中の間に挟んでいたのだった。アメリカにも$1ショップはあったが、マップケースに使えそうな素材は見当たらなかった。

マップケースを交換すると、クリアになって非常に見やすくなった。

Columbia Market

町の中心部にある中規模なGrocery(食料品店)

午前7時半から午後10時まで無休で営業する。
大きな荷物のバックパックは店の入口に置いて店内に入る。

店の中にATMが設置されている。

現金の引き出しは、最大$100となっている。手数料は$2。
手持ちの現金が残り少なくなっていたため、最大の$100引き出した。
スルーハイク後のことも考えて$300は欲しかったが、手数料が掛かるため1回だけにしておいた。

食料のの品揃えは良くたいていのものは手に入る。PCT DAYS開催直後だったためか、マルチャンや袋入りツナの在庫が少なかった。パワーバーの類は非常に充実していた。

マルチャンは一袋¢45

ハイカーが大量に購入したため、棚がスカスカになっていた。

袋入りツナは$1.9。昨日、残っていたものを私が全て買ったため、空っぽになってしまった。

以上が昨日のようす

本日、残り1箇所、Stehekinに送る食料を調達するため、再度お店にやって来た。袋入りツナが無ければColumbia River対岸の隣町、Stevensonまで行こうと決めていた。昨日空っぽだった棚が一夜のうちに袋入りツナでいっぱいになることはないだろう。ちょっと覗くだけなら、手間は掛からない。

自分を納得させるためにお店の中に入ってゆくと、通路中央に商品が山積みにされていた。今朝入荷したらしい。小躍りしながら箱をチェックする。

すると袋入りツナを発見!

勝手にダンボール箱から出して1ケース丸ごと買い物カゴに放り込んだ。

食料購入してPost Officeまで移動したところ。
これからPriority Mail Flat Rate Largeの箱に詰めてゆく。

食料の送り先はCanada手前のリゾート「Stehekin」、4日分の食料とともにバウンスボックスの中身も送っておく。Mammoth Lakesで大幅に荷物を整理していたため、なんとかFlat Rate Largeの箱に全て詰め込むことができた。

Washington食料計画

Cascade Locks(2144.4mile)6日分食料
    ↓ 148mile
White Pass(2292.4mile)4日分食料
    ↓ 98.2mile
Snoqualmie Pass(2390.6mile)7日分食料
    ↓ 71mile
Stevens Pass(2461.6mile)補給無し
    ↓ 107.8mile
Stehekin(2569.4mile)4日分食料
    ↓ 89.5mile
Manning Park(2658.9mile)ゴール

1日25mile計算で食料計画を立てた。Washingtonの山場はSnoqualmie Passからの7日分の食料を持って歩く1,2日となる。食料が足りなくなれば、Skykomishへ下りてゆくことにしていた。

 
 
食料の発送が思いがけず早く終わったため、キャンプ場にまっすぐ戻ってゆっくりすることにした。体調が良ければ、明日出発しようという気持ちになってきた。
 
メインストリートのお店の前を通り掛かると、閑散とした朝とは違って大変な賑わいをみせていた。人が並んでいると、不思議と美味しそうに感じる。
 
 
ツエルト内は暑いので、外で横になり休憩する。気持ち良い風が吹き抜けていた。
Cascade Locksからは6日分の食料を持って歩くため、少しでも休んでおきたいところ。
 
 
その後、風がさらに強まりツエルトが崩壊しそうになったため、ポールを外して風を受けないようにした。この日は夕方まで外でゴロゴロして過ごしたあと、ポールを立ててツエルトの中で眠った。
前日、サイトの中央付近でツエルトで張っていたところ、酔払いのハイカーに張り綱を引っ掛けられてペグが曲がったため、サイトの端の方の木の下に移動していたのだった。それが仇となり、日没ともにねぐらに戻ってきたたくさんの鳥たちから糞の爆撃を受けることになった。
それまで、なぜ木陰となる木の下が空いているのか不思議だったが、その謎が一気に解けた。
 
 
中で寝ていると糞がツエルトに落ちてくる音が聞こえたが、移動するのも面倒だったためそのまま眠った。翌朝起きると、鳥の糞まみれとなっていたのだった。フン、大したことはない。
 
サコッシュとバックパックの修理、そしてResupplyの準備を終えて、いつでも出発できる態勢が整いました。食料を買いまくったお陰で、かなりのお金が消えてゆきました。食費はハイキングの必要経費だと思うようにしていましたが、日本ではBライフをしているため、かなり辛かったです。
アメリカで44歳の誕生日を迎えました。自分もワールドワイドで活動するようになったのだなと感慨深かったです。会社を辞めて好き勝手するようになってから私の人生は開けました!
 
 
つづく
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