PCT2017スルーハイクの記録~消沈の北CaliforniaからSierra後半編 その5~

こんにちは。からあげです。

当初の予定では、3ヶ月もあればPCT関連の記事はアップし終わるだろうと呑気なことを考えていた。ところが実際にやってみると、とてつもなく時間がかかることに気がついた。自分の中ではすでに終わっているPCT、ノートに書いたメモや資料を見ながらコツコツ書いてゆく必要がある。今、猛烈に作業中だ。

非日常のロングトレイルは、歩いているうちに日常となり、新鮮味を感じられなくなる。気がつくと惰性で毎日ハイキングを繰り返すようになる。飽きっぽいおっさんが大の苦手なことは単調なこと。単調な作業は好きだが、単調な日常は耐えられない。

今にして思うと、当時は本当に勿体ないことをしていたなあと。距離を稼ぐためにただただ歩きまくった。周囲を見ず、前のみを向いて。

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South Lake Tahoe(1092.3mile地点)からKennedy Meadows Resort North(1016.9mile地点)
PCT88日目 7月22日(土)~PCT91日目 7月25日(火)

行程75.4mile

7月22日 1092.3mile地点~1071mile付近 21.3mile
7月23日 1071mile付近~1044mile付近 27mile
7月24日 1044mile付近~1025mile付近 19mile
7月25日 1025mile付近~1016.9mile地点 8.1mile

5時20分、明るくなったころ起床。耳栓をして眠ったため、道路の音はさほど気にならなかった。

夜中、自転車に乗った人間がウロウロしていて気になったが、私に危害を加えるような雰囲気はなかった。近くのスーパーは24時間営業だが、ヒッチハイクの時間には早すぎるため、バックパックの修理などをして時間を潰した。

7時ころ近くのスーパーマーケット「Safe Way」までやって来た。リーズナブル価格で休憩コーナーもあり、野宿者には奇跡のような癒やしスポットだ。朝早いにも関わらず、すでに駐車場には車がたくさん停まっていた。

昨晩、寝ながら折りたたみキーボードとモバイルソーラーパネルをどうするか、ずっと考えていた。ただでさえブログ更新にストレスを感じているのに、壊れた道具を使っているとさらにストレスが溜まる。

キーボードとソーラーパネルを処分すると、およそ600gも大幅に軽量化できる。さらにシステムが簡略化するため、手間も掛からないようになる。ただし、電気が自給できなくなるため、トレイルタウンで充電する必要がある。軽さを取るか、自由を取るかの間で迷っていたが、やはり状態の悪い機器は必要ないと判断した。

キーボードは3つ折りの折りたたみ式で、重さは収納袋込みで約200g。フリック入力に較べて格段に速く、効率よくブログ更新することができた。キーの間隔が狭くて慣れるまでミスタイプを連続するが、使い慣れると通常のキーボード並みに打てるようになる。
タッチタイプを身に着けたお陰で、このキーボードを使いこなすことができた。使用期間はおよそ3ヶ月。日本ではあまり使わなかったが、アメリカでは大活躍してくれた。

過酷なPCTでよく3ヶ月も保ってくれたといっていいだろう。コンパクトに折り畳めるのはいいが、蝶番の部分の耐久性が気になった。開け閉めしてしているうちにコードが断線したようでいくつかのキーが使用不能となった。

これに懲りて次のキーボードは折りたたみ式ではない、薄くて一枚もののキーボードを購入した。またの機会でレビューをアップすることにしよう。

こちらが軽量化を行ったモバイルソーラーパネル。

スペックは出力16WでUSBポートが2つ、重さは420g。不要な部分を落として334gまで軽量化した。

使用は日当たりの良い場所に固定して充電するのは全く問題なし。高出力のため、短時間でもモバイルバッテリーを充電することができた。試しにバックパックに取り付けて歩きながら充電してみたが、樹木のない南部の乾燥地帯を除き、あまり充電してくれなかった。朝昼晩の食事休憩の時、日当たりの良い場所において充電しておくだけで、全ての電気を賄うことができた。

ソーラーパネルとスマホを直結しても充電できたが、過充電と電気が逆流することがあるので、スマホの充電はモバイルバッテリーから行ったほうがいい。スマホはソーラーパネルの不安定な電源ではしっかり充電することは難しい。気をつけるべき点を押さえておけば、非常に有効なアイテムだ。

こんばんは。からあげです。 ずっと気分が優れない。 しかし、このままただぼっーと時間を消費するのは勿体無い。 何かすることはあ...

キーボードとソーラーパネルを処分してスッキリしたおっさんはスーパーで買い物をする。安全にそして少しでも楽にハイキングするためにはしっかり食べておく必要がある。普段食べられないフルーツなども購入した。

これだけ買って約$18。浄水用の水ボトルが傷んできたので、新たにSmart Waterを購入した。美味しいミネラルウォーターだが、本当に欲しいのは適度な剛性のあるボトルだ。硬すぎず柔らか過ぎないボトルは、浄水器を付けて中央部分を握り潰して圧をかけるのに最適だ。細身でサイドポケットに挿せるのも良い。アメリカ土産としてSmart Waterのボトルを持ち帰りたかったが、荷物として飛行機に持ち込めないので諦めた。

9時前、すぐ近くの待避所のある場所でヒッチハイクを開始した。すでに交通量が十分あり期待できる。ものの10分も経たないうちにヒッチハイクに成功した。

載せてくれたのは、父親がかつて沖縄アメリカ空軍基地で働いていた青年で、なんと沖縄生まれだった。
車はスバルレガシー、Back to the futureのMichael J Foxに似た男前だった。空いている裏道を通ってPCTまで超特急で送り届けてくれた。

9時20分ころ、茂みの中に隠しておいた自作杖を回収してTrail Headを出発する。スムーズに復帰できたため、非常に気分がいい。他人任せのヒッチハイクでは非常に珍しいことだった。感覚的に4回に1回くらいはあっけないほど簡単に決まる。(ただし、Californiaのみ。Oregon以北は難しくなる。)

Lake Tahoeを望む。今度アメリカ西海岸に来る機会があったら、是非Tahoe Rim Trailを歩いてみたい。ビザが有効なうちに自転車で来ようか?

南に下るにつれて、より一層山深くなってゆくSierra。辺り一面濃い緑に包まれている。

フラットで開放的なTrailが続く。土曜日のためか、ハイカーの数がかなり多い。
こんな良い天気なのに、山にハイキングに出かけない方がおかしい。雨が降ったら、家に引きこもって思う存分ネットやゲームをすればいい。

16時過ぎ、Carson Passを通るHwy88に到着。道に迷い峠の手前で道路に出てしまったので、しばらく道路歩きすることになった。

Carson Pass Ranger Station

公園内をパトロールするパークレンジャーが待機する建物。夕飯前にもうひと頑張りするため、ここで少し休憩してゆくことにした。

施設の中で目についたのは、丸太を縦に割って作った柵。木のプランターも割った板で作られていた。製材した木材にはない味があった。

何気なく中を覗くと、なんとTrail Majicがあった!これは非常に嬉しかった。朝方町で食べてきたところだったが、日中の暑さでかなりバテていた。キンキンに冷えたコーラと美味しいリンゴを頂いた。Ranger Stationに寄ってゆくハイカーが少ないためか、クーラーボックスの中にはまだ大量に食べ物や飲み物が残っていた。

おばちゃんが「もっと持ってゆきなさいよ!」勧めてくれたが、慎み深いおっさんはコーラとリンゴだけで十分だった。まだ氷がたくさん残っていたので、翌日までは保つだろう。こういうものは一人占めしてはいけない。お礼にDonation Boxに気持ちの2$を放り込んでおいた。朝、スーパーで貰った2$がそのまま流れたことになる。

Frog Lake

カエルの鳴き声がこだまする大きな湖。夕方のため、湖畔でキャンプするハイカーの姿がちらほら見られた。ここで晩ご飯用の水を汲んでおいた。

Elephants Back(9585ft 約2,900m)

象さんの背中。言われて見れば、そういう風に見える。面白い山だ。

Carson Passを越えてさらにSierraの奥深くへ入ってゆく。開放感抜群のTrailで自然とテンションが上がる。楽しい楽しすぎる!

日没前、ねぐらを求めて歩き続ける。できれば見晴らしがよく、蚊の少ない、稜線付近でキャンプしたい。おっさんは非常にワガママ。

20時前、太陽は西の山陰に入った。そろそろ寝る時間だ。

20時ころ、1071mile付近、なだらかな稜線の木陰でカウボーイキャンプする。
途中で蚊が多いことに気がついたので、頭にヘッドネットを被って眠った。ネットが顔と接すと効果がないため、帽子を被ってつばで空間を維持しておいた。お陰で朝まで熟睡することができた。

明くる日、5時20分起床。朝から蚊がやたらと多い。ここは気温が上昇して蚊の活動が活発化する前に少しでも距離を稼いでおくことにした。Echo Lake手前でしつこい蚊の大群に悩まされたが、まだそれほどでもない。

朝焼けに染まる山

馬鹿野郎なバイク乗りによって痛めつけられたTrail。林道から故意にTrailに入り込み荒らしているようす。これを見てCalifornia南部Mojave砂漠周辺の酷い有様を思い出した。人間動力に頼るとロクでもないことをしでかす。オートバイ、モーターボート、ジェットスキー、スノーモービル、大音量スピーカー、アンプなどなど。道具が悪いわけではなく、使用する人間が悪いのだ。機械は人間の悪の一面を引き出しやすいところがある。自分も気をつけなければ。

バイクの轍がなくなったと思ったら、今度はマウンテンバイクの轍が現れた。本当に勘弁してくれ。

どこを切り取っても絵になる。それがSierra。

これはSierraの極一部で見かけた黄色い花。日当たりの良い砂礫帯の斜面に咲いていた。かなりレアな植物らしい。

木陰で一休み

木陰で食事をするおっさん。

景色は抜群に良いのだが、次第に雲が増えてきて空模様が怪しくなってきた。
Sierraに入ってからまだ雷雨には遭ったことはない。おっさんの本能が空に危険な兆候を感じていた。

山の向こう側にモクモクとした雲が出ている。強烈な日ざしで積乱雲に発達しなければ良いのだがと弱気になって歩き続けた。

ゴツゴツした大きな岩が転がっている面白い場所。

気がかりな雲はさらに発達を続けていた。今の風向きだと雲の軌道からは外れているため、問題はなし。危険ではないと分かっているのだが、自然と足早となる。

気がかりな空模様だが、今すぐ危険というわけではないため、仕方なく歩き続ける。スルーハイカーが止まるには、それなりの明確な理由が必要。
先を急ぎ過ぎるあまり、途中で道間違いをやらかした。痛恨のミス!

20時過ぎ、1044mile地点Noble Lake近くでキャンプすることにした。
湖の周辺が凹地になっているため、ここなら落雷の危険は少ない。

木陰でカウボーイキャンプした。木に近づき過ぎず、遠すぎない距離にシートを敷いた。木に近づき過ぎると、電気はより抵抗の少ない人間の体を流れる。(人間の体は6割以上が水分でできているため。)これを側撃という。
もう少し下でキャンプしたかったのだが、先客がいたため距離を取る必要があった。

始め何事もなく夜が更けていったのだが、午前1時半ころから雨が降り始めた。
しばらくようすを見ていたのだが、すぐに止む気配はなかったため、荷物を片付けて木に下に避難してようすを見ていた。すると稜線の向こう側で激しい稲光が何度も見えた。雨が降ったのは雷雲本体からちぎれて流れてきた小さな雲だったようで、降っては止んでを繰り返すうちに雨は止んでくれた。

木の真下にいると危険なので、ポンチョを被り木から少し離れた岩の上に座っていたが、危険は去ったと思ったので、再び寝床の準備をして横になった。始めからツエルトを張っておけば面倒なことにならなくて良かったのだが、地面が硬くペグ効きが悪いため、やむなくカウボーイキャンプをしていたのだった。

不安な夜を過ごし、明るくなった5時過ぎ、荷物をまとめて出発した。
カウボーイキャンプで雷雨の直撃を受けていたら大変なことになっていたことだろう。

Noble Lakeからさらに登って峠まで来ると、なんとキャンプしているハイカーが二組もいた。
昨晩は私と同様に山の向こう側の稲光に不安な夜を過ごしたことだろう。

私の足音に気がついたテントの住人が顔を出して挨拶してきたので、私もにこやかに挨拶を返した。

この日ももっぱらの関心事は空模様。大気の不安定はいまだ継続している状態だった。常に空を警戒して、逃げ込める安全地帯を把握しておく必要がある。

昨晩の寝不足のため、体が重たく全然歩けない。

平坦な雪原をゆく。目標物がないため道に迷いそうになる。

ダンプカーで砂礫を運んで作った人工の山のように見える。ここだけ地質が違っている。

Creek沿いをゆく。寝不足で体調が悪いため、無理は止めて早めに休むことにした。
これより先、高度を上げて峠に向かうため、雷の危険のない低地で休みたかったこともある。

16時ころ、早くも1025mile付近でツエルトを設営した。本日の歩行距離は19mile。
Sierraに入ってからは残雪が少ないため、1日25mileペースで歩くことができていた。だが、慢性疲労が蓄積されていて体が怠いため、休養日をいつとろうかと思っていたのだった。休養日をとるのはいいが、丸一日同じ場所で休んでいても退屈してしまう。それなら休養日をとらずに歩くペースを落としてゆっくり歩いた方が疲れがとれるのではないかと考えた。

5日間、1日20mileペースで歩くと、ちょうど1日休養日をとったことになる。5mileを歩くには2時間と少し、昼寝するか早めにストップすれば翌日に疲れを持ち越すことはないだろう。5日間ペースを落として歩けば、体調はすっかり良くなるはずだ。雪解けを終えたSierraをゆっくり歩いて景色を堪能しつつ体調を整えよう。そう思ったのだった。

この日、冷たい雪解け水のCreekで水浴び洗濯して体をサッパリして眠った。久しぶりにバックパックも洗った。汚れが酷いと傷みやすいような気がしたからだった。

7月25日 5時15分起床、5時45分出発 はれ

昨晩は雷雨なし。昨日は早めに晩飯を食べたため、朝からやたらとお腹が空く。1日ゆっくりしただけで体調が回復してくれたようだ。峠の手前、日当たりの良い場所で早速朝食にする。

峠に向かって北側斜面を登ってゆく。他のハイカーの足跡は消えてしまっていたが、分かりやすい地形だったため、いいペースで歩くことができた。

峠手前から北側の渓谷を望む。

峠から南側の景色

すぐ下に見えるのはWolf Creek Lake。

雪の斜面をゆく。赤く見えているのはスイカ雪。藻の一種で雪が赤く見える。

本日はSonora PassからKennedy Meadows Resortに下りて補給を行う。

Sonora Pass方向を望む。

雪の斜面にある残雪の塊。氷のように硬くなっていたため、アイゼンなしで歩くのは危険。
このような場所にはたいてい迂回路が付けられている。下側から迂回してクリアした。

10時過ぎ Sonora Passに到着。Hwy108から南へ29mileのWalker、南へ32mileのBridge Port、北へ10mileのKennedy Meadows Resortの3箇所に行くことができる。あとは遥か西、麓のSonoraの町に日本人大歓迎のTrail Angel宅がある。(なんと奥さんは日本人。)WalkerとBridge Portへはおよそ一月前スキップした時に通ったことのある町だ。

ここは当然、一番近いKennedy Meadows Resortを選択する。峠にはスルーハイカーかただのハイカーかよく分からないグループがいて一向にヒッチハイクする気配がなかったため、その上流で開始した。しばらくすると途中で抜いたハイカー二人組みも反対車線でヒッチハイクを開始した。通行車両は観光客の車が多く反応がかなり悪い。それでもめげずにやっていると待避所に車が止まってくれた。

二人組のハイカーと私が駆け寄ると、Kennedy Meadows ResortからSonora Passまで遊び来た車のようで、快く私達3人のPCTハイカーを載せてくれた。

一緒に乗った二人組みのハイカーは私と同じようにSierraをスキップしたハイカーだった。

彼らはBishopからChesterまでスキップした後、ChesterからAshlandまで北に向いて歩き、Chesterまで一旦戻り、今度はChesterからBishopへ南に向かって歩いている最中だった。電車やバスなどの公共交通機関は使わずに、全てヒッチハイクで移動したという。私も一部ヒッチハイクで移動したとはいえ、交通費が$130以上も掛かってしまった。

彼らはなぜこのような変則的な歩きをしたのか推測してみると、とりあえずChesterまで移動してから付近の雪の状態をチェックし、南に下るのはまだ早いと判断した。そしてChesterから南へ下らずAshlandに向かって北に上って行ったのだろう。私のように800mileもの距離を一気にスキップするのはヒッチハイクに時間がかかるし、無駄に多くスキップしてしまうことも考えられる。移動の手間を考えれば、スキップする距離は短いに越したことはない。ただ短すぎると、スキップの効果が低下する。彼らのようにTrailの状態を見てどちらに向かって歩くか決めた方が賢いやり方かもしれない。

スキップした箇所をゴール後に歩くという、後回しにする方法はいかがなものかと思う。Washington北部とSierraの2箇所の降雪時期が気になるからだ。早めに終わらせておいた方が気が楽だし、前方に意識を集中できる。私は飛行機が羽田~Los Angeles往復便だったので、ゴール後にスキップ箇所を歩いても良かったのだが、余韻に浸ることなく忙しなく戻って来なければならないのも嫌だった。

Kennedy Meadows Resort 1016.9mile地点 10mileヒッチ

Sierra山中のリゾート。お店はリゾートながら良心的な価格でだいたいのものは揃う。キャンプ場にはハイカー専用サイトがあって安く泊まれるらしい。

AC電源あり、無料Wi-Fiなし(有料Wi-Fiあり)、ハイカーボックスあり。

途中、停車して記念撮影などして、30分ほどで下りてきた。同乗したハイカーはフレンドリーで英語がほとんど話せない私にも付き合ってくれた。彼らのうちの一人とは、OregonのCascade Locksの手前で再会したのだった。小柄な方は金髪を後ろで縛っていたので、Sonora Passへ下る途中、遠目で見ると女性のように見えた。カップルハイカーだと面倒なので、極力関わり合いにならないようにしていたのだった。(二人っきりの時間を奪ってしまう、男が神経質なことが多い。)

ハイカーの溜まり場はお店の裏側にあり。表側はリゾートの一般客となっている。商売の邪魔をしないように裏手に回る。始め場所が分からなくて表側にバックパックを置いていたのだった。身なりの汚いハイカーの後に付いていって発見した。

軒が深く日陰スペースがあり快適な休憩スペースとなっていた。

ハイカーボックスを漁る。久しぶりに豪華だったのでかなり興奮する。スキップしてからは本当にロクなものがなかった。

文句を言っていたくせに、ロクでもないものを投入する。

日焼け止めクリームとアルミ製のカラビナ2個を投入する。日焼け止めクリームはMammoth Lakesの町で購入したものだが、結局ほとんど使わなかった。アルミカラビナはソーラーパネルをバックパックに付けるために使っていたものだが、ソーラーパネルをSouth Lake Tahoeで処分してから使いみちがなかった。

IDAHOAN(マッシュポテト)と手袋、靴下を手に入れた。
渡渉に失敗して唯一の手袋の軍手を流してからは手袋なしだった。始めは良さそうだと手にした手袋だったが、生地が厚くかさばるため、元に戻したのだった。

靴下はウエットスーツに使われるような厚手の防水生地だった。この後何度か履いたのだったが、足が蒸れて不快なためすぐに処分することになった。新品の靴下が入れてあったのは、そんな使いにくいものだったからだ。股下までの渡渉が頻繁にあるSierraで履くとすぐに濡れてしまい、防水生地であるため、なかなか乾かず始末に負えない。雪解け時の浅い泥濘を歩くのに使えるくらいだ。

荷物を置いてサンダルに履き替えて買い物にゆく。

お店で買物をする。貴重なタンパク質の袋入りツナがなかったため、仕方なくオートミールを買った。始め食べ慣れないオートミールは口に合わなかったのだが、食べているうちに大好きになってしまった。ラーメンと相性が良く、一袋入れるだけでボリュームがかなり増える。大麦が入っていて食物繊維が豊富なのも気に入った。便秘はハイキングに大敵だ。

これだけ買ってたったの25$。Echo Lakeのリゾートとは大違いだ。良心的な価格でハイカーにも優しい。あとは袋入ツナがあれば文句なし。

レストランで食事する。バーガーと骨なしフライドチキンでチップ込みで$22.35だった。
お店同様にレストランも良心的な価格だった。

外のテーブルに座ろうとすると、一緒に下りてきた二人組のハイカーが自分たちのテーブルに誘ってくれた。PCTの最中、レストランで一緒に食事をしたのは今回のみだった。(PCT以外ではCarolとArizonaの二人のみ)彼らはペアを組んで長いのか、ほとんど喋らずにゆっくり食事をしていたのだった。

私が注文したころには、彼らはすでに食べ始めていて、私が食べ終わる頃になると、請求書がテーブルにやって来て支払を済ませる段階になっていた。ふと大男の方が出したカードを見るとなんとブラックだった!選ばれし人間のみが持つ資格があると言われるブラックカードをスルーハイカーが持っていたのには驚いた。

控えめに見てもPCTのスルーハイカーは金に余裕がある人間ばかりだと思われたが、まさか本物の金持ちがいるとは。驚いた私が彼に聞くと、「いや、これは普通のカードだよ。」と笑っていたが、絶対にそんなはずはない。請求書に書かれたチップを見ると、なんと$6だった。$20ほどの食事をして3分の1近くもチップを弾むとは正気とは思えなかった。多すぎず、少なすぎない額が1/3、$10も出すとさすがに受け取りを拒否されるおそれがある。お金に余裕のある彼なりの気遣いなのだろう。

私が書き込んだチップの額は$3、$20では十分な気がしたが、彼の金額からしたら少なすぎる額だった。本来チップとはサービスに対する感謝の気持ちを表すために支払うもので、金銭の多寡は関係ない。と分かっていつつもケチな自分が嫌になるのだった。

Knnedy Meadows Resortでは犬ものんびりしている。宿泊受付の周りには死んだように転がっている犬が何匹もいた。実に気持ちよさそうだ。

こちらの犬はソファーの上で横になっていて、多くの人間が出入りしていても全く気にすることはない。ピンクの首輪が可愛い。

食後のおやつにアイスクリームとコーラを買おうとすると、レジの姉さんから訳の分からないことを言われる。私がその場で立ち尽くしていると、そこら辺にいたハイカーが食べ物を追加して$5以上にしてくれた。後から分かったことなのだが、買い物の額が$5よりも少ないとカード使用の手数料が加算されるらしい。

以前Echo Lakeのリゾートで買い物した時は手数料$1.5も支払ったのだった。会計は全部で$5.11。

リゾート内はなんと立木が電柱代わりとなっている。
無数の電線が固定されている。

コテージの屋根にもたくさんの電線が固定されている。
なんとも大雑把な作業だ。電線の多さは大昔に行ったタイ旅行のことを思い出させた。

暇なので記念撮影する。すると、奥にいるハイカーたちが反応した。
アメリカ人は陽気でいつもこうなる。

フレンドリーなハイカーたち

彼らは北向き南向きかは不明だったが、スルーハイクに全然拘っていないようすだった。のんびり楽しみながら自分のペースで歩く。町で補給だけ済ませてさっさとTrailに戻るような忙しないことはしない。こうして気が済むまでゆっくりする。

Drakesbadで交換したトレランシューズは300mileほど歩きあちこち傷んできた。
つま先を接着剤でコーティングして補強したが、すぐに剥がれてしまった。接着剤はバウンスボックス内にあり、今ここでは作業できない。

かかと部分が擦り切れて中のスポンジが見えるようになった。これくらいは可愛いものだ。今履いているトレランシューズはかかとがボロボロで大変なことになっている。

防水靴下のは着心地を確かめているところ。
この時はまだ蒸れておらず快適だった。
靴下の穴を直しても直してもすぐにまた穴が空くため、新しい靴下が欲しいと思っていたのだった。

午後3時前、買い出しと食事を済ませて出発する準備が整った。フレンドリーなハイカーからヒッチハイク用のダンボールを貰った。

気分次第では泊まることも考えたが、Sonora Passまで戻るのは手間がかかることが予想されたので、今日のうちに戻っておくことにした。空を見た感じ天気も安定していて雷雨のおそれはなし。

ハイカーたちに挨拶をしてお店を出発した。リゾート内の未舗装路を歩いていると、ロッジの前でパーティーしていた人たちに声を掛けられる。なんと、Trail Headまで送ってくれるという。ドライバーは毎年春になるとビジネスで日本にやって来ているアメリカ人でとても日本贔屓だった。助手席から外のようすを見ていると、私の前に出発したハイカーが歩いていたので、彼も載せて欲しいと頼むと快く了承してくれた。歩いていたハイカーはIndependenceからAshlandまでスキップした大男で、Tehachapi過ぎで見かけたことがあったのだった。

15時30分ころ、Trailに復帰した。同乗したハイカーは南に向かって歩いて行った。私はというと、茂みから杖を回収してSonora Pass周辺でキャンプすることにしたのだった。

日のあるうちにTrailに復帰することのメリットは、自分の歩きたいタイミングでスタートできることにある。翌日日の出とともに出ても良いし、暖かくなるまでゆっくりしても良し。全ては自分で決められる。ヒッチハイクは通行車両がないと話にならない。

峠から少し戻って開けた場所でツエルトを張った。この日歩いた距離は8.1mile。ゆっくり体を休めて慢性疲労を少し癒そうとしたのだった。

以前から調子が悪かったソーラーパネルと折りたたみキーボードを処分することに決めました。ソーラーパネルを処分することは、町の施設に依存することを意味するので躊躇しましたが、使えないものを持っていても仕方ないので諦めました。2つとも処分するとスッキリして気分が良くなりました。

Kennedy Meadows Resort North(1016.9mile付近)からTuolumne Meadows(942.5mile付近)
PCT92日目 7月26日(水)~PCT94日目 7月28日(金)

行程74.4mile

7月26日 1016.9mile付近から~988mile付近 28.9mile
7月27日 988mile付近~969mile付近 19mile
7月28日 969mile付近~942.5mile付近 26.5mile

5時20分、5時45分出発 晴れ

キャンプサイトからSonora Passまでゆくと、カウボーイキャンプしている3人組のハイカーがいた。彼らはまだ夢の中のようすで身動きをしない。寝袋は夜露で濡れていた。ダウンの寝袋は湿ると保温力が低下して寒く感じる。シュラフカバーを使えば濡れずに済むため保温力を維持できるが、無駄に嵩張るため使うハイカーは少ない。というか雨の少ないアメリカではシュラフカバーというものがないらしい。これ本当。

Sonora Passから北側斜面の登りで残雪が現れた。分かりやすい尾根伝いを真っ直ぐ登ってゆけば良かったのだが、途中傾斜がきつくなると危険なため、Trailを辿っていった。本日の難所はここだけで、あとは徐々に高度を下げてゆくことになる。

尾根の上に出れば雪は消え歩きやすくなった。風が強く蚊はいない。

若干雲は多いが、雨が降りそうな気配はなし。

Trail脇にポールが置かれていた。目印に挿していたポールだと思われる。
雪解けが進み必要ではなくなったため、こうして集められているようす。

お腹が空いた時、ちょうど峠に差し掛かったので、ここで朝食にする。一張分のスペースがありキャンプに最適だった。

Kennedy Meadows Resortのハイカーボックスで入れ替えてきたガスカートリッジが不調だった。ColemanのSelf-Ceiling機能があるボンベなのだが、ネジ山に負担をかけないように適度に締め付けると、ガスが出て来なくて使用できない。まったく余計な機能を付けやがってと腹を立てた。

Sierra Cityで購入したPrimusのガスは絶好調だった。ガスが多かったボンベに替えてトラブルが起きた。これに懲りて二度とColemanのガスは使わないことにした。
Mammoth Lakesに行くまで、この使いづらいガスをだましだまし使い続けたのだった。

Kennedy Meadows Resortのお店で買った1袋¢40のオートミール。昔ながらのOriginalが一番美味い。食べ続けるうちになくてはならない食べ物になった。マルチャンとは抜群に相性がいい。

オートミールをマルチャンに入れたところ。調理時間も短くて済むためガスの節約になる。

Sonora Pass以南はまだ残雪の量が多かった。一月前来ていたら、さぞかし大変だったことだろう。雲が多く日差しが少ないため、立ち止まっていると肌寒くなってくる。さっさと先に進もう。

ところどころ残雪の斜面を横切ってゆく。

高度を下げると残雪はほとんど消えて歩きやすくなった。ただ、蚊の活動が非常に活発でしつこくまとわり付かれるようになった。もう少しゆっくり歩きたいのだが、立ち止まると大変なことになる。常に動き回っている必要がある。落ち着きのない性質のおっさんでも無駄に動いて疲れた。

水量の多いCreekには橋が架かっていた。

Lake Harriet周辺で70歳くらいの2人組ハイカーに会う。一人はフレンドリーだったが、もうアンフレンドリーで非常に素っ気なかった。彼らはどこから来てどこに向かおうとしているのか、残雪期だというのに大雑把な地図のみでコンパスは持っていなかった。訛りが強く何を言っているのかあまり聞き取れず。私と同じくPCTを南側にゆくと思い道案内をしてみたが、途中で着いて来なくなった。遠くの方で彼らが手を降っていたので、私は彼らと別れてさっさと先に進むことにした。

峠を過ぎてDorothy Lake周辺から蚊が急に増えてきた。動き続けていても蚊に喰われて肌はボロボロになった。しつこく蚊にまとわり付かれて発狂寸前だった。一番蚊がしつこかったのはDorothy Lake周辺だった。景色が良いのに落ち着いて休めない。写真を撮る時だけ立ち止まり、またすぐに歩き始めた。

Creek沿いの道は雪解け水で泥濘み、酷い有様となっていた。
避けて歩こうにも乾いた場所がまったくない。そのまま水溜りの中を歩いて行った。

この間もしつこく蚊に追われている。

お腹が空いて食事がしたいのに、蚊が多くてできない状態が続いていた。ついに耐えられなくなり、開けた場所で食事にする。少し前の水場で水を汲んだ時にも蚊に刺されて散々な目に遭った。開けている場所だと風が吹き抜けるので、風が強まったすきに両手を使って準備をする。風が弱まるとそこら中を歩き回って蚊から逃げるの繰り返しだった。こういう時は調理せずに食べられるパンやパワーバーを多めに持っておくのが良い。

20時ころ、ついに我慢できなくなってTrail脇にツエルトを設営。すぐさま中に逃げ込んだ。

慢性疲労をとるために、しばらくはゆっくりと歩こうと思っていたところだったが、蚊がたくさんいてほとんど休憩をとれない状況だった。そのため、Sierra山中にも関わらずおよそ29mileも歩いてしまった。このまま蚊が多ければ、歩き続けてぶっ倒れてしまったところだろう。

7月27日 朝から蚊の大群に囲まれて非常に鬱陶しい。ゆっくりする間もなく歩き始める。

987mile地点で渡渉行う。川幅が広く水量が多いが、流れが緩やかなため、そのまま渡り切ることができた。水深は股下ギリギリだった。

今でさえ渡るのは大変だったというのに、一月前は非常に危険だったと思われる。

Wilma Lakeの湖畔を行く。蚊が多いためそのままスルー。

8時前、日当たりの良い岩場までやって来ると、なぜか蚊が少なくなったため、ここで朝食をとることした。蚊がいない理由は不明だが、ところどころ蚊がいないところがある。そういうところでまとめて休む。言い換えると、蚊がいなくなるまで休めない。

本日2回目の渡渉。水量が多いが、水が透明に澄んでおり一見して流れが緩やかに見える。
ここなら大丈夫。念のため、スマホはジップロックに入れて防水しておくことにした。

ベアキャニスターは耐衝撃ケースともなる。ジップロックに入れておけば、まず間違いはない。スマホ用のジップロックだけは常に新しいものに替えていた。

この日、PCTで3人目の日本人ハイカーに会う。すれ違いざま「からあげさんですか?」と声を掛けられた。思いがけない出来事で嬉しくなった。彼とは2時間以上も立ち話していただろうか。バックパックを背負って話しているうちに、疲れてきたため途中で下ろした。彼はSierraの残雪を避けるためにMexicoを5月中旬頃出発したという。スルーハイクするにはかなり遅い時期であったため、その後スルーハイクを達成できたのかは分からない。急いでいるところを足止めしてしまって申し訳ないことをした。

彼に強力虫除け薬のDEETを見せてもらう。これを肌に塗っておくと、しばらく蚊に刺されることはないらしい。肌に止まった蚊はDEETの成分を嫌ってすぐに飛び去ってゆくとのこと。ゆっくり長話できたのも、ここではなぜか蚊がいなかったため。

同じ方向に歩くのなら話しながら歩くこともできるのだが、反対方向なのでお互い立ち止まって話すしかない。いい加減彼を開放してあげることにした。非常に名残惜しい別れだった。

この日はアップダウンが多くかなり体力を消耗した。谷に下ってしばらく歩くと、再び尾根を越えて別の谷に下りてゆく。雪がほとんどない時期だったため歩くことができたが、一月前は無事に歩くことができたであろうか?いや、かなり厳しかったに違いない。当時の私は心身ともにボロボロでここを越える体力はなかった。

本日3回目の渡渉。水深はあるが流れが緩やか。泳いで渡れば問題ない。
しかし、すれ違うハイカーは泳いで来たようには思えない。どこかにあるはずだ。倒木が。

少し下流に向かって歩いたところに立派な倒木を発見した。倒木の表面にはハイカーの足跡がたくさん付いている。広い川幅いっぱいに倒れていて橋を架けたようになっていた。

ここも一月前は大変な修羅場と化していたことだろう。激流に浮かぶ倒木から落ちて流されたらまず命はない。落ちても濡れるだけの今とは全然違う。

この日、峠を越えたところでパークレンジャーに会い、許可証とベアキャニスターを見せるように言われる。20代後半と思われるパークレンジャーは、膝にホルスターを付けて自動拳銃を携帯していた。いかにも鍛えているようで細身でシャープな印象だった。スキップしてSouth Boundで歩いていると説明しても何も怒られず、ベアキャニスターはフタだけ見せただけでOKだった。

20時ころ、969mile付近でツエルトを張る。昨日同様に蚊が多くツエルトを張ると、すぐに中に逃げ込んだ。この日、2時間以上も長話していたため、歩いた距離はたったの19mileだった。自分のことよりも長話に付き合わせてしまった彼のことが気になった。

Sonora Passを出て3日目、この日もアップダウンが多い日だった。山を越え谷を越え歩いて行った。

次の補給ポイントはTuolumne Meadowsだが、PCTAの最新情報を見てもお店が営業を開始していなかった。仮に営業をしていなければ、Lee Viningに下りるか、有名な観光地、Yosemite Valleyに寄り道して補給しようと思っていた。

通りがかった親切そうなハイカーにお店のようすを聞いてみると、金曜日から営業を開始するらしいということだった。金曜日といえば、今日のことではないか!蚊に追われて消耗していたが、一気にやる気になった。

Tuolumne Meadowsが近づくにつれて一般ハイカーの数が増えてきた。彼らの身なりは綺麗で見た瞬間にスルーハイカーと区別がつく。本当は身なりの違いだけではないのだが、ここで説明するのは止めておこう。実際に歩いて見れば、その違いが身なりだけでないことに、すぐに分かるようになる。

Sierraは春は過ぎ初夏の陽気となっている。蚊が減ると今度はアブが増えてきた。

当初ハエかと思っていたら、チクっと刺されてアブだと気づいた。おっと危ねー。

この日もパークレンジャーに会う。許可証だけ見せてくれと言われる。どうも夏休みシーズンに入り、この付近を集中的にパトロールしているらしい。

Glen Aulin backpacker campgroundへの橋が無残な姿を晒していた。雪解け時の激流で壊れてしまったらしい。

橋で水量の多いCreekを渡る。周辺は雪解けがおおかた済んでいるというのに水量がかなり多い。近くからTuolumne Fallsの轟音が響いてくる。

橋から下流方向を望む。

Tuolumne Falls

水量が多くて落差があり非常に豪快な滝だ。Tuolumne Meadowsの方から多くのハイカーがやって来ていた。

滝は何段かに別れていて、そのどれもが素晴らしい。滝の水しぶきを浴びていると、真夏のような暑さを一瞬忘れさせてくれる。天然のクーラーだ。

Tuolumne Riverのようす

水量が非常に多く渡渉は困難。

Tuolumne Riverに架かる橋

水量の多い箇所のみ橋が架けられている。こうした場所では橋を渡らずに渡渉するのは無理。事前に橋の位置を把握しておく必要がある。

Tuolumne Meadowsに近づき次第に流れが穏やかになるTuolumne River。私と同時期のスルーハイカーはTuolumne Riverを数箇所泳いで渡渉したと言っていた。確かにこの辺ならできないことはないが、当時は水が冷たく水量も多い。失敗したら滝まで流されてバラバラになる。

Lembert Dorm

Tuolumne Meadows周辺には岩山がいくつも見られる。
周囲はハイカーや観光客が一気に増えた。

17時30分ころ、ようやくHwy120 Tioga Roadまでやって来た。なにわともあれお店に急ぐ。

手前のキャンプ場はなんとまだ整備中で営業を始めておらず。いつになったら営業を始めるのかは不明。7月下旬の稼ぎ時に休んでいつ稼ぐというのか。

アメリカでは無理をして急いででも準備をすることは一切しない。いつものようにマイペースで作業をして営業を始める。全く商売っ気はなし。

キャンプ場先にあるお店に到着した。今日から営業している割には閑散としている。

営業開始は7月28日の今日からだったが、すでに閉店時間を過ぎ入口は硬く閉ざされていた。非常に残念だった。
店の営業時間は、なんと午前9時から午後5時までとなっていた。もう少し早く来ていれば、食べ物にありつけていたのだが。開店時間はルーズなところが多いが、閉店時間だけはキチンと守る。これがアメリカンスタイル。日本も見習った方がいい。過労死するほどの長時間労働は悪。

すでに閉店していたが、山の麓まで下りる必要がないことを思えば非常にラッキーだった。例年より1月以上遅れての営業開始は、多くのハイカーに不便を強いらせたことだろう。

お店の前のピクニックテーブルで残り物のマルチャンなどを食べて食事を済ませた。

移動が面倒なので、お店の近くの目立たない場所でキャンプすることにした。
道路に近かったため耳栓をして眠った。

Tuolumne Meadows(942.5mile付近)からMammoth Lakes(906.6mile付近)まで
PCT95日目 7月29日(土)~PCT96日目 7月30日(日)

行程35.9mile

7月29日 942.5mile付近から926mile付近まで 16.5mile
7月30日 926mile付近から906.6mile付近まで 19.4mile

朝6時に起きると、とりあえずツエルトを撤収して店前のピクニックテーブルに移動する。
道路はほとんど交通量はなく静かなものだった。

店の開店は午前9時。ハイカーや観光客相手の商売の割にはのんきなものだ。せめて1時間早く営業を始めて欲しい。

メモを整理したり、靴下の修理をしたりして時間を潰す。

シーズン中はMammoth LakesからYosemite Valleyまでバスが運行している。いつ運行を開始したのかは不明。週末はバスの本数が増える。どこからともなくやって来たハイカーたちが乗り込んでいた。

Tuolumne Meadows 942.5mile地点 On trail

Sierra山中の重要な補給ポイント。例年6月下旬から営業を開始するが、2017年は大雪のため1月遅れの7月下旬(7月28日)から営業開始した。店の隣にPost Officeの出張所があったが、営業を開始していたかは不明。より好みはしなければ食料は手に入る。

AC電源なし、Wi-Fiなし、ハイカーボックスなし。AT&T圏外。

営業時間は午前9時から午後5時まで。時間はキッチリして店員の働く気は感じられなかった。
バーガーコーナーはまだ準備中で、開始の目処は全く立っていないようすだった。

9時の開店と同時に店内になだれ込む。陳列棚はまだ空きが目立つ。次のMammoth Lakesまでは約35mileと距離が短いので、2日分の食料を持つことにした。なんでもいいから適当な物をカゴに放り込んでいった。

営業開始直後のためか、品揃えは悪いが、値段はそれほど高くはなし。

開店直後からレジ待ちの長い列ができる。ヤレヤレ。遅い時間から始めるからこうなる。
買い物するのに20分も掛かってしまったぞ。それでも麓まで下りることを考えれば非常に楽だ。

10時過ぎ店を出発してTrailに復帰する。
PCTハイカーの姿は全くなく、周囲は一般のハイカーやJMTハイカーばかりであった。
スルーハイクするには遅すぎる。スキップして南向きに歩いているハイカーの姿もほとんどなし。Kennedy Medows Resortの二人組のハイカーとは現地で別れたきり会っていない。

Tuolumne Medowsの4mile以内ではキャンプ禁止。そのため、昨晩は道路脇の空き地に泊まった。Tuolumne MedowsからしばらくはLyell Fork沿いを歩く。

Tuolumne Medows周辺はとにかく水が豊富。心地よいせせらぎの音を聴きながら歩いた。

平坦なCreek沿いの道からDonohue Passに向かって登りに差し掛かる。
Tuolumne Medowsから一気にハイカーの数が増えた。

峠手前からTuolumne Medows方面を望む。ゆったりと蛇行するLyell Forkが見える。

峠手前、雪解け水でできた大きな水溜り

水面は鏡のように空や山を映している。

16時過ぎ Donohue Passに到着した。

だだっ広い峠で方向感覚がなくなる。とりあえず峠越えは終えたのでしばらくゆっくりする。
峠周辺には蚊は全くおらず、しっかり休むことができた。

休憩中、人懐っこいネズミのような小動物が現れた。ちょこまか動いて目に追うのは大変だった。

後ろ足で立って周囲を窺うハム太郎。この生き物のことは全く知らないが、雰囲気がハムスターっぽかったので、勝手にハム太郎と名付けた。

キョロキョロしてエサを探していた。

Donohue Passから随分下ってきたところ。空模様が怪しかったため少しでも高度を下げておきたかった。

峠から下りてくる時、態度のデカいパークレンジャーに大声で呼び止められて気分が悪くなった。嫌なことがあってもしばらく歩いているうちにすっかり忘れてしまう。それがSierra。

19時過ぎ、Island Pass手前、926mile付近でツエルトを設営。
この日は特にハイカーの数が多く、夕方になると良さそうな場所にはたいていテントが張ってあった。このまま行くとズルズルと歩くことになりそうだったため、早めにねぐらを確保した。

Trailから少し離れて斜面を登ってゆくと、そこそこ快適なサイトが見付かった。

Sierra最終日の7月30日、JMTの見どころの一つとされている1000 Island Lakeにやって来た。
穏やかな湖面に岩山が写っていた。

湖面には1,000ほどではないが、無数の小島が浮かんでいた。

1000 Island LakeからReds Meadow近くまで、JMTとPCTの2つのTrailが延びているが、ここは迷わずJMTを選択する。山の中腹を横切るPCTに対し、数々の湖を越えてゆく景観の良い区間で、多くのハイカーはJMTを歩く。

湖面に次々と映し出される風景に思わず見とれてしまう。
いきなりここから歩き始めていたら、あまりの衝撃にショック死するかもしれない。

目指すはMammoth Lakes。あともう少しだ。渡渉失敗から1月経ったCreekはどうなっているだろうか?

Shadow Lake湖畔にて

この日、JMTを歩く日本人ハイカーを数多く見かけた。季節は雪解けが終わり初夏を迎えようとしているところだった。PCTのスルーハイカーは日程の都合上、雪解け最中の早い時期に通過するが、JMTハイカーは一番見頃の季節に歩くことができる。

ただ、JMTはアメリカでも屈指の人気のTrailであるため、数少ない許可証を求めて半年前から激しい争奪戦が繰り広げられている。
現地の事情に疎い日本人の場合、いつどこでも取れたらラッキーに思った方がいいだろう。

14時半過ぎ、渡渉失敗したあの忌まわしのMinaret Creekに到着した。
当時かなりの水量があったCreekは水量が減り穏やかな流れとなっていた。

自作の杖2本をCreekの側に置いてきた。私の墓場となりかけた場所だった。

この日のうちにMammoth Lakesへ町へ降りようか迷っていたのだったが、空模様が怪しくなってきたため気が変わって、行けるようなら町まで下りることにした。
当時はまだ道路が開通しているかどうか分からない状態で、Reds Meadowまで行ってみて確かめようと思った。雨がパラパラ降りはじめて来たため、急いで下山していった。

18時30分ころ、Reds Meadow到着。なんと営業を開始していた。さらにバスも運行していて、ちょうど最終便がバス停前で待機しているところだった。

バスの運賃はスキー場からReds Meadowまで往復で$7するのだが、運転手さんに聞くとタダでいいと言う。非常にラッキーだった。

待ち時間にお店でおやつを買物してマネパカードで支払をすると、なんとエラーが出た。仕方なしにキャッシュで支払ったが、カード払いは有効でカード残高に反映されていた。その後、店が手続をしたのか、カード払いされたことになっていた支払分が払い戻しされていた。

バスに乗って麓に向かっていると、バスの窓からSierraの山々が見えた。厳しくもあったSierraではあったが、景色が良く最高の場所だった。スキップする前は毎日が気力体力の限界だったが、再び戻ってきた時には余裕ができて景色を楽しみながら歩くことができた。

Mammoth Lakesの町まで下りると真っ先にスーパーマーケットにやって来た。なにわともあれ食べ物だ。何でもいいから空腹を満たしたい。今日でスキップしたSierraを終わり、ようやく一息つくことができた。

駐車場の片隅には放置されたカートがたくさん。いいんだ、これで!所詮、人間なんて自分勝手な生き物だ。使ったカートを元に戻さないことくらい大したことじゃない。

さっさと買い物を終えてどこかで休みたいのに、レジ前には長蛇の行列ができていた。
どこのスーパーマーケットでも商品を選んで買い物カゴに入れるより会計を済ませる方が時間がかかる。

ショッピングセンターの片隅で食事をする。
この日、すでに遅い時間だったため、宿を探す気には全くなれず。一月前に来て多少の土地勘があるため、その気になればどこでも野宿できると思っていたのだった。これから再びバスでAshlandまでお金を使って行くというのに、宿泊費などという贅沢なものにお金をかける訳にはいかなかった。PCTで活動資金を使いすぎると、翌年以降の活動に影響が出る。アメリカ滞在中はできるだけ節約に努めていた。

ショッピングセンターが閉まる22時、休憩コーナーを出て向かうは図書館。図書館周辺に民家はなく、やる気になればどこでも野宿できる気がした。Mammoth Lakesの町は豊かなリゾートの町で治安は良いと感じられた。ホームレスは見かけたが、危害を加えるような人間には見えなかった。

長い長いSierraが終わりMammoth Lakesの町まで下りてきました。South Lake Tahoeを出てからはほとんど圏外でブログ更新できませんでした。圏外での生活は私をリラックスさせてくれました。これでSierraが終わると思うと寂しさでいっぱいになりました。

つづく

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