こんにちは。からあげです。
今日は朝から日差しがたっぷりと降り注ぐ素晴らしい晴天だった。
昨日までの憂鬱な気分は綺麗さっぱり何処かに消えてしまった。
一体何だったのだろうか。
手持ちの物でフロントガラスとサイドのガラスの目隠しをする。
ダウンシュラフの保管バッグ
北オホーツクマラソンで貰った参加賞のタオルがフロントガラスにジャストフィットした。
北の浜頓別まではるばると来た甲斐があったもんだ。
昨日はブログ更新を終えると、名も無きトイレ付きの駐車場から出発して公民館図書館で本を読んだ。
すると随分と元気が出た。
その後は羅臼の道の駅に移動し車中泊モードにチェンジする。
人の視線によるストレスが馬鹿にならないほど大きいと分かったので、早速目隠しを取り付けることにした。
羅臼の町には100均なんてない。
そこである物でやってみると、意外や意外結構いい感じの目隠しとすることが出来た。
昨日の走行距離 4.0km
昨日のねぐら 道の駅「知床・らうす」
椿泊~観音岩 海岸トレッキング(2015.8.25)
歩行ルート
今朝の日の出
夜になると星が綺麗に輝いていた。
朝起きるといつにないほどスッキリと晴れ渡っている。
これは絶好のチャンスだ。
朝3時起きして食事を済ませると相泊に向かう。
終点手前の道路脇に車を停めて出発の準備をする。
今日は相泊(つばきどまり)から観音岩(かんのんいわ)まで行ってみることにする。
0555 椿泊 出発
相泊終点の様子
道路はここでおしまい。ここから海岸沿いを歩くことになる。
登山ポストがあるので、これより先にゆく場合は必要事項を記入する。
先人たちの記録に有益な情報があるかもしれないので、最近のものに目を通しておく。
終点を過ぎると奥の番屋へと続く作業道がある。
重機で踏み固められているので非常に歩きやすい。
この奥には番屋があって、車が出入りしているようで、あちこちに轍が残っている。
番屋とは、漁師さんが使っている作業兼倉庫のような小屋で、漁業の拠点として利用しているところだ。
漁師さんにとって仕事に大切な物なので、無断で立ち入ったりしないようにしたい。
相泊から崩浜(くずれはま)まで番屋が続く。
ナンバーのない軽トラックなどが停められている。
作業専用の車のようだ。
0630 崩浜最終番屋
30分ほど歩くと崩浜最終の番屋までやって来た。
これより先は番屋が所々に点在するのみ。
気を引き締めて歩く。
それにしても海岸歩きは気持ちいい。
潮風を浴びながら歩く。
最終番屋を過ぎると早速ヒグマの糞を発見する。
これは気をつける必要がある。
久しぶりの晴天だ。
一体何日ぶりだろうか。
斜里岳では山の上だけ晴れていたが、麓は曇天だった。
空気中の湿気も減り非常に清々しい。
今回はいつものヒグマ4点セット(剣鉈、熊スプレー、熊よけ鈴、爆音ホイッスル)に加えて双眼鏡も持ってきた。
海岸はゴロゴロとした大きな石が転がっているのでバランスを崩さないように足元を見て歩く。
しかし、足元ばかり見ているとヒグマに気づかないので、時々足を止めて双眼鏡で先の方までチェックする。
海岸が狭くなって来た。
ヒグマは山から下りてくる。なるべく海側を歩く。
磯には天然の昆布がビッシリと生えている。
波間に揺らめく昆布が凄い。これぞ知床だ!
相泊から見えていた先っぽは観音岩ではなかった。
このもう少し先のようだ。
大きな岩がゴロゴロするようになった。
岩陰にクマが潜んでいないかビクビクしながら笛を吹きまくって進む。
先の方に尖った岩が見えてきた。観音岩に違いない。
近づいてみないと何処を越えてゆくのか分からない。
踏跡の間からロープが見える。ルートはこれだ。
越えた先にクマがいるかもしれないので笛を吹きまくる。
風は向かい風で向こう側に聞こえているか怪しい。
早速、観音岩越えのルートに取り付く、下の方はしっかりとした手がかりがあって登りやすかったが、上部はほとんど手がかりはなく粘土質で非常に滑りやすかった。
やむなく設置されたロープを使って登った。
ロープは以前に設置されたもので、随分と劣化している。
体重をかけ過ぎると切れる恐れがあったので、ロープに頼り過ぎずに登った。
0730 観音岩
滑りやすい斜面を越えると歩きやすい道となった。
少し先にはフラットな場所がある。
資料に出ていた観音岩のテント泊適地だろう。
ところが、その付近にはヒグマの糞がゴロゴロ転がっている。
ヒグマの住処のような場所での野営は危険だ。
テント場の様子
手前が椿泊方面、奥が知床岬方面
あちこち落石が転がっている。
右手を登ると観音さまが祀られているちょっとした広場に出る。
岩陰になるので、荒天時は良い避難場所になりそう。
ヒグマの痕跡が多いので、ウナキベツ川を越えた番屋付近で泊まった方が良いかもしれない。
観音岩を振り返る。
海岸に下りる斜面が滑りやすいので注意を要する。
ウナキベツ川を越えてゆく。
濡れた石が非常に滑りやすかったので、乾いた部分に足を乗せて渡った。
ウナキベツ川を越えると番屋があった。
海岸の石が少し濡れている。沖にある定置網を上げたようだ。
番屋の中にはカッパなどが干してある。
船でやって来ては時々網を上げるのか。
0740 ウナキベツ川過ぎの番屋
時間の余裕はたっぷりとあるが、ヒグマが怖くてこの先どうしても進む気が起きなかった。
無理をすることはない。ここで休憩して引き返すことにした。
知床岳の登り口
ウナキベツ川左岸に沿って薄っすらと踏み跡が見える。
少し奥に入ってみたい気もしたが、怖いので止めた。
用は済んだのでさっさと帰る。
観音岩の下りは滑らないように慎重に下りた。
晴れの日でこれほど滑りやすいなら、雨天時、しかも重装備を背負った状態だと非常に危険だ。
観音岩を過ぎてホッとしたところ。
だが油断は禁物だ。どこからヒグマが現れるか分からない。
気を抜かず周囲を警戒しながら歩く。
険しい観音岩
岩の上には観音様が安置されていた。
拝んで行こうか迷ったが、狭い場所でヒグマと鉢合わせをしたら命はない。
止めておいた。
帰り道でキタキツネと会った。
このキツネは私には全く関心を示さず食べ物を探している。
人間には慣れているが、媚を売ることは全くない。
忙しくて暇なおっさんには構っていられないようだ。
険しい断崖を見上げる。
来た道を戻るのは気が楽だ。
天気も良いし極上の散歩日和だ。
海岸端の花も日差しを浴びて気持ちよさそうだ。
残りの夏を目一杯楽しんでくれ!
0905 崩浜最終番屋
観音岩から意気揚々と引き上げる。
相泊手前の番屋にやって来た。
やれやれあともう少しだなと思いながら歩いていると、前方から黒っぽい動物がやって来る。
ヒグマだ!
体が一瞬にして凍りつく。
距離は100mほど、安全距離だがこちらに向かってやって来る。
何とかしなければ。
双眼鏡でクマをよく観察する。
笛を何度吹いてもクマは止まらない。
風は追い風だ。聞こえているはず。
次第にクマは波打ち際にコースを変える。
私はゆっくり後ずさりしながらクマと距離をとる。
しかし徐々に距離が縮まってくる。
ここで焦っては駄目だ。
そういえば、先ほど海岸で釣りをしていた人が居たはずだ。
少し戻ってクマのことを知らせようとして笛を吹くが反応なし、大きな声で言っても同様だった。
私は山側に移動しつつクマと距離をとった。
クマのコースに立ち塞がると機嫌を損ねる恐れもある。行きたいところにそのまま歩かせてやって、クマをなんとかかわすことが出来た。
最接近距離は約20m、冷や汗が出た。
自分はいいが釣り人が心配だ。様子を見るとクマが見えている筈なのに平気で釣りを続けている。
ひょっとしてヒグマと会うのは慣れているのか、それならいいやと私は帰ることにした。
戻っていると後ろから爆竹のような音が聞こえた。
クマはそれほど大きくなかった。若グマだろうか。
人間には全くの無関心で我が道を行っていた。
0950 椿泊
10時前にようやく相泊に戻ることが出来た。
安全圏に戻ることが出来てホッとした。
途中の番屋の人とクマの話をすると、相泊の番屋の辺りに現れるのは珍しいとのこと。
おじさんいいもん見れたね、と言われた。
家族で昆布干しをやっていて一段落ついたところだったようで、話をしていると太っ腹なお祖母ちゃんが「持ってけ」と言って、なんと昆布を2枚もくれた。
思いがけずクマと会えたし、昆布も頂いた。
それに抜けるような青空。
山の神様はすっかり機嫌を直し、おっさんに大盤振る舞いしてくれたようだ。
養殖物の昆布で少し千切って食べてみると、塩味が効いて旨味のある非常に旨い昆布だった。
これで出汁をとったらどんな料理でも大幅にグレードアップするはずだ。
帰りは相泊温泉に寄って冷汗を流す。
こんな素晴らしいロケーションの風呂を独り占めする。
観光客の多くは素通りして何故か入りに来ない。何とも勿体無いことだ。
海の向こうに見える国後島をしっかりと目に焼き付ける。
お腹が空いたので途中の駐車場で昼飯とする。
振り返ると知床岳の辺りだけガスがかかっている。
今回は全く刃が立たなかった。惨敗だ。
しかし、これだけ酷いと悔しさは感じない。
清々しいくらいだ。
また一からやり直せばいい。
いつだって山はそこにある。
実力を蓄えてから再びチャレンジすればいい。
また来るぞ!知床岳。
二回りも三回りも大きくなって鮭のようにまた帰ってくるぞ!
この後、知床の地を出発する。
まだまだおっさんの旅は続く。
おわり
コメント
背筋が凍りますね
僕なら小便もらして卒倒してると思います
隊長は写真を撮る余裕があるみたいなので尊敬しますよ
見た瞬間ギョッとしました。
カメラを弄ることが出来たのは離れていた時だけです。
距離が縮まるにつれて写真を撮っている場合じゃないと思いました。
おぉ、ついにヒグマに遭遇されましたね。
釣り人さんは、熊と遭遇するのになれてるのかもしれないけど、こういうのって慣れが一番怖いのではと素人なんかは思ってしまいますけど、どうなんでしょうね。
慣れてヒグマはこう云うもんだと思った時に餌付けされた異常クマと遭ったら危険だと思います。
ヒグマは知能が高く個性が強いので個体毎に対処方法が異なるようです。
こんばんは
元気が戻ったようで何よりです!
ついに来る時が来ましたね、きっちり撮影していて尚びっくり。
興奮が伝わってアドレナリンが出ましたよ(たぶん)w
家の周囲も熊は出ますが出会ったことは無いですよ。
お天気が元気をくれたのかもしれませんね。
天気だけでこんなに気分が変わるとは思いませんでした。
自分は根っからの天気屋だったみたいです。
天然の羅臼昆布は関東のごく一部の高級料亭などで使われているんだに
香りがよく柔らかく黄色味を帯び少量で濃厚でこくのあるだしがとれるんだに
磯場にビッシリと生えている昆布はそれは旨そうでした。
頂いた養殖昆布は天然モノに比べて柔らかく食べやすいのだそうです。
大きな熊ですね、やはり知床には沢山いるんですね。
昨冬、山が食糧難で、熊たちが空腹すぎて冬眠がうまくできず、苛立ったまんま年を越した可能性もあると聞きました。
でも人家のそばに来ているのに、人も熊も苛立っているようには見えませんが・・・。
北海道も冷え込んで来て、冬眠準備のヒグマが出没して来るかもしれません、充分お気お付け下さい。
そのクマは天気が良かったのでプラっと人里に降りてきたように見えました。
人間を意識すること無く気ままに歩いていました。表情も穏やかでした。
人間がクマを意識し過ぎなのかもしれませんね。