2016日10月25日(19日目)
行程
根浜海岸から御箱崎を経て仮宿集落付近まで
歩行距離 26.5km
行動時間 8時間45分(休憩時間を含む)
ねぐら 仮宿集落過ぎ林道脇
04:00 起床 晴れ テント外8℃
昨日、テントを設営後から風が強まり、夜半過ぎまで吹き荒れた。
ポールが折れそうなほどの強風だったが、なんとか持ちこたえた。
風が弱まった時、テントの外に出て外回りのチェックしようとすると、異変に気が付いた。
前室に置いていたウォーキングシューズの片方が見当たらないのだ。
片方裸足のまま探し歩いていると、ようやく岸壁の海岸端に転がっている靴を発見した。
靴を乾燥させるために外して中に挿していたインソールは見当たらなかった。
靴の発見が遅れれば、海に落ちて流されていたと思うと、今回はかなりラッキーだった。
靴が失くなったことを想像したらゾッとした。
その後は、靴はビニール袋に入れてテント内に置いておいた。
一夜明けると風は穏やかになっていた。
朝晩の冷え込みが厳しくなってきて、寝袋から出る時に気合が必要となってきた。
06:00 出発
夜露に濡れたテントを畳み、ビニール袋に入れてザックにしまう。
夜明け早々から工事関係者の車両が行き交う。
ここは背後の松林の陰になっていて、目立たない場所にある。
散歩の人が来る前に出掛けることにしよう。
根浜海岸のようす
周囲はコンクリートで固められて人工的な海岸となっている。
なんだか寂しい風景だった。
06:30 箱崎漁港
漁港付近は地盤沈下しているため、大きな土嚢が並べられている。
トイレや水場などをチェックしながら先に進む。
漁港の道路脇にあった仮設トイレ
道路脇にあって、通りすがりの者でも使いやすい。手洗い場では水が出た。
岸壁前に設置されている簡易式の番屋。
耐久性のあるテントだった。
外にもいろいろと道具が置かれている。
漁港の建物にはトイレあり。漁師さんに頼めば使わせてくれるだろう。
ついでに水も汲ませてもらうといい。
07:45 箱崎白浜
箱崎から箱崎白浜までは、景色の見えない山道を延々と歩く。
まったく面白みのない道で朝から疲れを感じる。
箱崎白浜の海岸近くでも防潮堤の工事が行われていた。
林道に入る前に空き地でザックを置いて休む。
朝早くから重機の音が響いている。
休み終わると奥の方へと歩いて行った。
御箱崎へと向かう林道入口
角に目印の大きな木が生えている。
ここから林道を登ってゆく。
集落を抜けたところにある簡易浄水施設。
フェンスに囲まれた中にあるが、草が生い茂っていて何だかよく分からない。
奥へと続く道路脇には、漁業で不用となった道具がたくさん投棄されていた。
始めは後で使う予定で置いたものが、そのまま放置されたようすだった。
未舗装の林道を延々と歩く。
本当に面白くもなんともない道だった。
08:45 御箱崎分岐駐車場
駐車場に車はなし。
5台は停められそう。
このような場所にやって来る車は殆どないようだ。
静かな駐車場の片隅に腰を下ろしてゆっくり休む。
ピザパンを食べる。
もうすでにお腹が空いてしまった。
食べても食べても直ぐにお腹が空いてくる。
歩き旅は食費にお金がかかるのが痛い。
あまり気が進まないが、御箱崎に寄り道することにした。
ザックは置いて、魚肉ソーセージ2本、水入りペットボトルを持ってゆく。
駐車場から奥へと延びる道は、しばらく石畳となっている。
大きな赤い鳥居が設置されている。
この先にゲートがあったが、開けられたままとなっていた。
駐車場から御箱崎への道も未舗装でダラダラとした面白みのない道が続く。
道路に残る轍が時おり入って来る車が有ることを示している。
広場の手前に倒木2箇所あり。
これより先は車両は通れない。
迂回して先に進んだ。
御箱崎手前の林道終点広場
場所 御箱崎の直ぐ近く
トイレ(汲み取り式)あり、水場なし。
広場でテント設営可能。
09:45 林道終点広場
これより先は遊歩道となっている。
広場にはトイレと東屋があって野宿は可能。
トイレは汲取式。
出入り口のドアがないので、かなり傷んでいる状態だった。
広場の奥の方に東屋あり。
東屋外観
東屋の中のようす
備え付けのテーブルが邪魔でテントは張れない。
テーブルの天板にガソリンストーブで焦がしたような跡があった。
広場から先の遊歩道はなかなか雰囲気が良い。
今日はこのために延々と面白みのない林道を歩いてきたと言ってもいい。
千畳敷(せんじょうじき)という岩場に下りられる道があったが、帰りに寄ることにした。
灯台手前の御箱崎神社
赤い鳥居が幾つも並んでいた。
この鳥居を抜けたところに社務所があり。鍵が掛けられていて使用不能だった。
一番奥に石碑が立てられていた。
傍らには錆びた鉄剣が刺さっていた。
09:50 御箱崎(おはこざき)灯台
岬の先端にある小さな灯台。
付近を通る漁船のエンジン音しかしない静かな場所。
誰にも邪魔されずに考え事をするには、いい場所かもしれない。
灯台の周囲のコンクリートの上でもテント泊可能。
先ほどの広場といい、水なし、岬への往復を考えると、この付近で野宿しようとは思わない。
やはり御箱崎は、軽装で往復する方がいい。
灯台から吉里吉里方面を望む。
比較的穏やかな海岸線のようす。
帰りは千畳敷に寄ってゆく。
神社手前と終点広場の間に下りる道が付いている。
足元が悪くて滑りやすいので慎重に下った。
千畳敷のようす
だだっ広い岩場となっている。奥の方に見えるのは三貫島(さんがんじま)。
開放的な雰囲気が漂っている。
ここだけポカポカ陽気で過ごしやすかった。
三貫島をズームで撮影する。
三貫島(さんがんじま)
箱崎半島の南東方沖約1キロメートルにある、周囲約4kmの無人島である。植生は、タブノキを中心とした暖帯林で、オオミズナギドリやヒメクロウミツバメ、ウミネコなどの海鳥の繁殖地、ミサゴやオオワシなどの猛禽類の生息地となっている。そのため、1935年(昭和10年)12月24日に、国の天然記念物「三貫島オオミズナギドリおよびヒメクロウミツバメ繁殖地」に指定されている。また、1981年(昭和56年)11月1日には国指定三貫島鳥獣保護区(集団繁殖地)にも指定されている(面積25ha、全域が特別保護地区)。また全域が三陸復興国立公園に含まれている。釜石港から観光船「はまゆり」で遊覧できる。上陸は禁止されている。
駐車場手前の樹木の切れ間から三貫島が見えた。
10:50 御箱崎分岐駐車場
御箱崎まで往復して戻って来たところ。
やはり空荷だと疲れ方が全然違う。
駐車場の横に大沢遺跡という標識が立っていたので覗いてみる。
下草がぼうぼうに生えていて単なる山林と化していた。
標識が無ければ、縄文時代の遺跡があるとは全く気が付かない。
大沢遺跡
大沢遺跡は、縄文中期の土器が出土し、釜石最大の遺跡として知られる。むかし、この地に海賊を本業とした朝日の長者、夕日の長者が住んでいた。ある年に、鵜住居麓山(うのすまいはやま)神社の御神楽がやってきたが、どちらも宿を貸さなかったため、その後諸々の凶事がおき、共に滅びたという伝説の地でもある。
立て看板より
大沢貝塚
大沢遺跡のすぐ近くにある貝塚。
踏み跡が森の中へと続いていた。
どちらも全く興味がなかったので、そのまま通過する。
駐車場からも単調な未舗装の林道が続く。
しばらく行ったところの林道脇にマイクロバスが乗り捨てられていた。
全く見たこともないような古い型で、朽ちかけていた。
車内は漁網や古タイヤ、洗濯機などが捨てられている。
窓ガラスは全てなくなっている。
御箱半島一周は、ほとんど舗装路と未舗装の道路を歩くことになる。
見応えがあるのは、御箱崎、千畳敷くらいで、他は見慣れた田舎の風景が続く。
歩いていてかなり辛かった。
11:45 大仮宿(おおかりやど)隧道
林道歩きに飽き飽きしていたころ、突如前方にトンネルが現れた。
こんな人気のない山中にこんな立派なトンネルを建設するとは。
まったくもってお金の無駄だ。
銘板が埋め込まれていたので読んでみた。
大仮宿隧道
1981年3月
岩手県延長130M 巾4.0M
高 4.5M
施工 山長建設銘板より
建設されて35年にもなるが、丈夫な造りで全然傷んでいるようには見えない。
トンネル内の照明はなし。
荒天時の避難場所として利用できる。
出入り口に枝が落ちていたり、草が伸び放題に生えているところを見ると、通行する車はよほどの変わり者の車しかいないだろう。
本当に勿体ないトンネルだと思った。
土砂崩れの現場から海岸線を望む。
他は樹木が茂っていて全然景色が見えない。
12:45 大仮宿(おおかりやど)分岐
人気のまったくないT字路。
海岸の方に下る道は舗装されている。
樹木が茂っているため視界は効かない。
地図によれば海岸近くに建物が数軒あるが、電柱がないところを見ると、無人のように思われる。
かなり疲れていたので、そのまま通過することにした。
分岐の直ぐ近くに沢が流れているので、野宿に備えて水を汲んでおくことにした。
地図を見ると上流側には民家はなし。
試しに飲んでみたところ、大丈夫そうな気がした。
神経質になっていては、どこの水も飲めなくなってしまう。
13:45 仮屋(かりや)
大仮宿の次にある小さな集落。
この小さな漁村も津波の被害を受けていて、海岸端には民家がなく高台に造成中の土地があった。
集落内には三貫島神社があるようだが、高台の墓地から探してもどこにも見当たらない。
ザックを置いて集落の中を歩いて探してみることにした。
三貫島神社
集落の中にひっそりと建っている小さな神社。
集落の中の小道を抜けてやって来た。
赤い鳥居がやけに眩しい。
社殿は石段を登って社務所の奥にある。
海の方角に向かって建っている。
境内は狭くて、トイレ・水場がなく、付近に民家があるので、野宿には向いていない。
ルート上の道路脇にある東屋のような建物。
屋根が大きいので、雨の日の休憩にはピッタリ。
この日は、風が強くてゆっくり休憩している場合ではなかった。
ここは集落内の道路から未舗装の林道に入る入口。
通行止めの看板があるが、歩行者はOK。
トレイルルートはこの奥へと続いている。
14:45 林道脇にてテント設営
仮屋の集落から1kmほど歩いたところで、野宿適地を発見!
林道のカーブの膨らみのところが、風が弱くテントを張るには良い場所だった。
昨日の根浜海岸では強風に吹かれたので、今日は風のない場所で休みたかった。
天気予報では、夕方から雨ということだったので、早々とテントを張って休むことにした。
風当たりは弱くとも念のため、張り綱は張っておく。
ペグの代わりに草に縛って固定した。
この方法だとテンションがかかりにくくて良いと思った。
ウォーキングシューズの状態。
このようにソールを外して挿していて、片方がなくなってしまった。
インソールがないとクッション性がかなり悪くなった。
随分酷使してきてソールが硬化している。
いい機会なので、次の釜石の町で靴を買い換えようか。
靴の修理箇所
縫い目は問題なし。傷みの進行は止まってくれた。
食事
夕飯のメニュー
いつのもごはんとみそ汁では物足りない。ハンバーグを載せただけで随分豪華になった。
朝 白麦ごはん、みそ汁
昼 パン×2袋、食パン×2枚、魚肉ソーセージ×2本
夕 白麦ごはん、ハンバーグ、みそ汁
2016日10月26日(20日目)
行程
仮宿集落付近から釜石市両石町
歩行距離 12.6km
行動時間 3時間20分(休憩時間を含む)
ねぐら 水海(みずうみ)総合公園
04:00 起床 晴れ テント外16℃
夕方頃から降り始めた雨は、かなりの大降りとなったが、夜半過ぎには止んでくれた。
通行止めの林道のため、やって来る人はなし。
クマの気配も感じずにゆっくりすることができた。
06:15 出発
今日は出発から20日目となった。
これまで歩き続けてかなりの疲労が溜まっているのを感じる。
釜石市街に入る時は、早い時間に入り、日没前に市街地に脱出して野宿したい。
地図で見ると、釜石の手前に野宿できそうな公園がある。
強烈な誘惑に耐えられそうにない。
取り敢えず水海公園まで行ってみて、良ければそこで野宿することにした。
今日は朝から天気が良い。
気温も高めで寒さを感じない。
目的地は近くて気分が凄く楽だった。
木漏れ日の中をゆく。
ザックを下ろして一休み。
リアス式海岸の眺め
樹木の切れ間から両石(りょいし)湾を見下ろす。
07:50 桑ノ浜(くわのはま)
谷間にある小さな集落。
ここも津波の被害が目立つ場所で、高台に広大な住宅地が造成されていた。
まだ住宅は建っておらず、殺風景な風景が広がっていた。
漁港まで降りてきたところ。
海沿いの道をしばらく歩いてから、山の方に登ってゆく。
08:50 両石(りょういし)
漁港の広大な空き地に大きな漁網が広げられていた。
何人かの漁師さんが、座り込んで傷んだ箇所を修理していた。
両石漁港
岸壁に小型漁船がたくさん係留されていた。
今日は時間に余裕があるので、先を急ぐ必要はない。
小さな社の脇にザックを置いて休憩する。
近くの岸壁では、漁船を上げて船底洗いの作業をしていた。
船揚場の近くで防潮堤の工事が行われていた。
大きなクレーンで重量物を吊り上げていた。
国道45号線に出たところ。
歩道のない区間をしばらく歩く。
水海(みずうみ)総合公園
場所 釜石市両石町
トイレ、東屋、野外音楽堂あり。
海水浴場の施設あり。(更衣室、シャワー)
海水浴場シーズンオフの期間は、トイレの手洗い場で水を汲む。
(トイレの水は近くの沢から引いている水で、塩素消毒はしているが、水質検査をしていない水(釜石市に確認))
周囲に民家がなく静かな公園。野宿適地。野外音楽堂の中でテントを張ると快適。
近くにお店がないので、事前に食料を買っておく必要あり。
09:40 水海総合公園
国道45号線から1kmほどのところにある公園。
期待を胸にやって来た。
公園内の一角で工事をしているが、邪魔にならないところで野宿すれば問題ない。
早速各施設のチェックを行うことにした。
一番気になった野外音楽堂。
風と人目を避けるにはピッタリの建物だった。
中は広くてテントを張ることができる。
観客席から公園を見下ろす。
音楽堂は山の方を向いている。
音楽堂から観客席を撮影する。
施設は最近使われたようすはなく、あちこち傷んでいた。
新しい東屋
テーブルと椅子がなくて中にテントを張ることができる。
道路から丸見えのところで落ち着かない場所。
公園内にある石碑
なんだかよく分からない形の石碑。
噴水が出るようになっていたらしい。
海水浴場の施設
建物内に更衣室とトイレがあるが、シーズンオフのため閉鎖されている。
外にシャワーと水道があるが、水栓を閉じられていて水は出なかった。
外水道
「飲料水ではありません。」の貼り紙あり。
トイレの水と同様に塩素消毒されているが、水質検査されていない水。
公園前の海岸
砂と砂利が混じった浜となっている。
ここでテントを張るのも良さそう。
海岸に打ち上げられている流木。
小さな木もたくさんあるので、焚き火をすることができる。
トイレ
新しく整備された水洗トイレ。
「ヘビ注意」の貼り紙あり。公園でマムシが目撃されているようす。
トイレの手洗い場にも「飲料水ではありません。」の貼り紙あり。
手持ちの水はほとんどなかったので、野宿するにはどうしても水を汲む必要があった。
始め近くの作業員宿舎(元ホテル)に行って水を汲ませて貰おうと行ってみたが、昼間で誰もいなかった。
そこで、釜石市役所に電話をかけて、公園の水が飲めるかどうか聞いてみた。
「近くの沢から引いている水で、塩素消毒はしているが、水質検査していない水」とのことだった。付近に民家はなく汚染されていることはないだろうと判断して、今日はこの公園で野宿することに決めた。
10:30 テント設営
音楽堂の中でテントを張った。
公園内で工事をしているが、ここは邪魔にならない。
昼間からテントを張っていても全然目立たない場所だった。
テントを張ると衣類の洗濯をした。
日当たりの良いところのロープに干しておいた。
日が陰る頃までにはだいたい乾いてくれた。
ヘッドランプのゴムバンドが伸びたので、少し切って短くする。
写真はバンドを切る前。
バンドをつなぎ直したところ。
縫い針と木綿糸を使った。
バンドを10センチほど切った。
これでしっかり締め付けられるので、ヘッドランプがずれることはない。
ザック雨蓋のベルトの付け根の傷んできた箇所。
状態が悪化する前に修理しておく。
100均の補修シールを貼ってから、縫い針と木綿糸を縫った。
これでしばらくは大丈夫だろう。
昼食後は寝袋に入って昼寝したり、Kindleで読書をしてゆっくり過ごした。
こんなにゆっくりするのは、北侍浜キャンプ場に泊まった10月11日以来となる。
完全休養日をとるには、キャンプ場に泊まらないといけない。
こうして状況次第で、早めに切り上げて休む方がやりやすい。
食事
朝 白麦ごはん、みそ汁
昼 魚肉ソーセージ×2本、ココナッツサブレ、袋ラーメン
夕 そば(乾麺1袋)
2016日10月27日(21日目)
行程
釜石市両石町から釜石市街地を経て石塚峠手前まで
歩行距離 19.2km
行動時間 9時間50分(休憩時間を含む)
ねぐら 石塚峠手前の林道
04:00 起床 晴れ テント内16℃
夜中から風が出てきたが、山の斜面と建物の陰に入っているため、ほとんど影響なし。
日が暮れて人気が途絶えると、どこからともなく鹿が数匹現れて公園内を彷徨いていただけで、非常に静かだった。
05:45 出発
半日休んだだけなのに、体は歩きたくて仕方がないらしい。
体が勝手に動いてテキパキと準備を始める。
テント撤収時、まだ薄暗かったので、ヘッドランプを点灯しなければならなかった。
公園隣にある公園管理事務所。
昨日は夕方まで人が居てゴソゴソと作業しているようだったが、早朝の今は無人のようす。
早い時間から野宿していても別に咎められることはなかった。
海岸沿いの林道を歩く。
アスファルト舗装から未舗装に変わったところ。
06:40 遊歩道入口
周囲に民家は全くなし。
広場の片隅に壊れたトイレがあった。
海岸の方には津波で被害を受けた砂浜があった。
壊れたログハウス造りのトイレ。
中を覗くと便器があったので、トイレだと分かった。
以前は、ここは公園として整備されていたのか。
釜石市街地に向かって雑木林の中を歩く。
途中、いくつか分岐があったが、テープなどの目印があったので迷わず歩くことができた。
07:40 三陸浜街道の鳥谷坂(とやさか)峠
昔の浜街道が遊歩道として整備されている。
ところどころ朽ちた標識などがあった。
峠までやって来ると広場になっていてベンチが設置されていた。
トイレ・水場はなく、傾斜があるが、テント泊は可能。
麓の集落手前でも野宿できそうな場所は多数あった。
広場から近くの340.1m三角点方向に向かって尾根伝いに踏み跡が続いていた。
広場の片隅にあったお地蔵さん。
今もなお通行人の安全をひっそりと見守っている。
峠を過ぎると釜石港が見えてきた。
風に乗って船やクレーンの音が聞こえてくる。
今日は釜石市街で食料と新しい靴を購入する予定、まだ時間は早いのにどんどんと歩いて行ってしまう。
峠からの下りで数か所、紛らわしい分岐あり。
トレイルの標識やテープを見落とさないように注意して歩いた。
特に集落手前が迷いやすいと感じた。
遊歩道から石段を登ったところに、山神と彫られた石碑が設置されていた。
集落まで下りてきたところ。
標識はないので、勘を頼りに下りて行った。
08:15 鳥谷坂登り口
集落の中の太い道路まで下りてくると、「史跡浜街道鳥谷坂登り口 昭和56年9月 釜石市教育委員会」という標識が設置されていた。
市街地からは、麓の集落から太い道を道なりに登って来るとたどり着く。
西ノ澤不動尊
集落内にあった小さな神社。
神社の前でザックを下ろしてしばしの休憩。
鳥谷坂登り口の集落のようす
入口に標識はなし。
釜石市街地内のビルの1F
釜石港近くにあった丈夫そうな鉄筋コンクリート製のビル。
一階部分の壁や柱はモルタルが剥がれた状態で、むき出しのコンクリートが目立っていた。
港近くの市街地をゆく。
まだ時間が早いので、市役所に寄り道してゆくことにした。
08:35 釜石市役所
通勤する人の後に付いて高台にある市役所にやってきた。
見た感じかなり古い作りだった。
正面玄関のようす
入口の階段のところにザックを置いて庁舎内を見学することにした。
入って直ぐ右手に案内の人がいたので、話しかけてみた。
建物は築60年ほどのかなり古いもので、1階はギリギリなんとか津波の被害は免れたが、地下部分は海水に浸かってしまったらしい。という情報を得られた。
玄関ホールにある公衆電話。
電話ボックスもレトロな感じが漂う。
コンクリート製の階段
長年に人が歩いているので、中央部分が凹んでしまっている。
このくらい使い込まれた建物は味があっていい。
最上階の3Fは会議室のあるフロア。
ソファーがあったので勝手に座って休んだ。
地下の売店で買ってきたパンをここで食べる。
なかなか座り心地の良いソファーだった。
廊下の床は木製で、黒光りしている。
掃除のお姉さん(私より一回りくらい年下か)がせっせとモップで磨き上げていた。
青葉公園商店街
石応禅寺(せきおうせんじ)の参道両脇には仮設の商店が立ち並んでいた。
お店の外観からは、どんな店があるのか分かりにくい。
石応禅寺山門
重厚な造りの山門。両脇には東日本大震災の慰霊碑が建立されていた。
お寺の境内から墓地を眺める。
所狭しと墓石が並んでいる。真新しい墓石が朝日を浴びて光っていた。
薬師(やくし)公園
場所 釜石市街地近く山の中腹にあり。
トイレ、水場あり。
市街地の中の山の中腹にある小さな公園。
イオンタウン釜石まで約10分。食料品などの買い出しに非常に便利。
09:15 薬師(やくし)公園入口
市街地の景色の眺めと桜の名所と知られる公園。
トレイルマップに記載があったのでやってきた。
もちろん、野宿場所の調査を兼ねてのことである。
公園は石段を登った山の中腹にある。
公園まで石段を登って片道約3分。
階段の途中から下を見下ろす。
つづら折りの階段が続いている。
公園内のようす
手入れされた芝生の広場あり。
公園の端の方からは釜石の市街地を一望できる。
トイレ、水場があるので、野宿に可能。
公園奥には山の上の方へと続く道が続いていた。
ここが賑やかで落ち着かない場合は、もう少し上に登った方が良い。
トイレ
新しく整備された水洗トイレ。
トイレ横にある水場。
真新しい設備だが、元栓を閉められていて水が出なかった。
石段途中の神社の水道が出た。
公園から釜石市街地を見下ろす。
すぐ近くにイオンタウンがあって買い足しに便利なところ。
公園へと登る石段の途中にあった神社。
ここは人気がなくて穴場的な野宿スポットのように見えた。
境内にある水場。
蛇口をひねると水が出た。
イオンタウン釜石に向かっているところ。
寄り道しているうちに9時を過ぎて、ちょうどいい時間となった。
09:30 イオンタウン釜石
薬師公園から歩いて約10分。
イオンのショッピングセンターにやってきた。
まずはここで新しいウォーキングシューズを購入することにする。
イオンタウン前の公園。
非常に開放的。
さすがにこんな賑やかなところでは野宿は厳しい。
買い出し前後の休憩にピッタリな場所だ。
古いウォーキングシューズの状態。
2年前の四国歩き遍路の時、松山市内で購入したもの。
普段履きや登山、沢歩きと酷使していたので、ボロボロになってきた。
先日泊まった根浜海岸でインソールが飛ばされてしまった右。
靴底のようす
すでにツルツルで斜面の下りを降りる時にスリップしやすかった。
特に泥濘んだ斜面では全然グリップが効かなかった。
これまで何度転んだことか。
麻糸で縫って修理した箇所
左のインソール
親指とかかとの部分が特に負担がかかっている。
長年の使用で踏み潰されて、ないよりマシな程度となっていた。
こちらが新しいウォーキングシューズ。
古い靴は引きとってもらった。
車道歩きの安全対策として反射テープと反射バンドを購入した。
反射テープはトレッキングポールに貼り、反射バンドはたすきがけにして前につけているウエストバッグのベルトに取り付けた。
出入り口の休憩コーナーで休んでいるところ。
靴の購入を終えてから食料品の買い出しを行った。
久しぶりに食料をたくさん買い込んで満足するおっさんであった。
惣菜コーナーで買った白身魚のフライとフライドチキン。
たまに食べると非常に美味く感じる。
釜石市内を流れる大渡川(おおわたりがわ)に架かる橋近くにある公園。
先客が東屋のベンチでゴロ寝していた。
反対岸の方にはトイレが整備されていた。
賑やかだが、ここでも野宿は可能。
11:50 釜石駅
JR釜石線の終点、そして三陸鉄道南リアス線の始点となる釜石駅。
震災後に整備されたようで綺麗になっていた。
JRの駅舎の壁にイルミネーション設置の作業をしている最中であった。
三陸鉄道の駅名は、「イオンタウン釜石駅」に変わってしまったのか、出入り口の屋根の上に駅名の看板が設置されていた。
鮭の置物が設置されている郵便ポスト。
置物は鉄で作られていた。
鉄の歴史館方面へ向かって集落内の旧道を登っているところ。
この付近は高台なので津波の被害を免れたようす。
古い家から新しい家までびっしりと立ち並んでいた。
高台から釜石の町を振り返る。
この先、鉄の歴史館に向かうつもりが、道を間違えて通り過ぎてしまった。
後で気が付いたが、戻るのが面倒だったので、そのまま国道45号線まで下りた。
釜石大観音
釜石港を見下ろす高台にある巨大な観音像。
遠くからでもよく目立つ。
気まぐれで、観音像に寄り道してみることにした。
観音像入口にある公衆トイレ
ここにザックを置いて歩いてゆくことにした。
しかし、拝観料を見てすぐに引き返してきた。
高いお金を払ってまで見るようなものだと思えなかったからだ。
観音像へと通じる道路には商店が立ち並んでいるが、その多くは店じまいしてしまっている。
滅多に来ない観光客では商売にならない。
公衆トイレに戻ると、野宿に備えて水筒を満タンにする。
このトイレは、休憩コーナーもあって居心地はいいが、夜間は閉鎖されてしまう。
国道45号線への近道。
行きは高校の横を通って下って来たが、帰りは近道の階段をゆく。
行きはこんな道があるとは気が付かなかった。
国道45号線に出ると、そのまま国道を歩く。
途中、麓の海岸のところに埋め立て処分場のような施設が見えた。
同じ形をした盛り土にカバーが被せられていた。
一体何が埋められているのか。
14:15 三陸鉄道平田駅
雲一つない晴れの天気。
駅前の交差点にザックを置いて、国道から少し中にある平田駅までやってきた。
ちょうど逆光でこのような写真しか撮れず。
駅前広場には、トイレや水場があって野宿は可能だった。
トイレ
綺麗な水洗トイレ。
トイレ横の水場。
汚れ物を洗いやすいグレーチング排水仕様となっている。
何度も書くが、野宿者には汚れ物を気兼ねなく洗える水道は有り難い。
平田駅周辺のようす
津波の被害を受けて空き地が目立つ。
新しい家がポツポツと建っている程度。
国道脇にはスーパーがあって、食料の買い出しができる。
ここから唐丹駅(とうにえき)までは補給ポイントはなし。
14:45 平田公園
公園内の空きスペースに仮設住宅がたくさん立ち並び、避難している人の姿がたくさん見えた。
公園だから探せば水場はどこかにあるはずなのだが、被災者向けの施設に隠れてしまって分かりにくくなっていた。
用事はないので、そのまま通過した。
平田公園奥の工事事務所
この事務所の奥に石塚峠への登り口がある。
道路からは入口が全く見えない。
地図を見てあちこち探し回ってようやく見つけた。
資材置場の奥にトレイルの標識が設置されていた。
ただの作業道風の踏み跡で、標識が無ければ分からないような状態だった。
トレイルルートは伐採用の作業道だった。
数カ所分岐があったが、地図を見ながら峠の方へを登って行った。
峠手前にいくつかテープが取り付けられていたのみ。
15:40 テント設営
峠を越えた反対側の斜面の林道脇でテントを設営した。
近くの採石場のようなところはダンプカーが出入りしていて、重機の唸り声が終始聞こえてきて凄く耳障りだった。
しかし、風が当たらない斜面なので、テントを張る場所としては悪くない。
日没後しばらくはまだ作業を続けていて音がしていた。
市街地でのんびりしていたので、すでに夕暮れ間近。
野宿場所の選り好みをしていられる時間ではなかった。
購入した靴の履き心地はあまり良くない。
足にフィットはしているが、ソールが薄すぎて舗装路を歩く時の衝撃を吸収できない。
正直なところ、これまでのウォーキングシューズの方がマシだと思った。
だだ、ソールの溝がしっかりあるので、未舗装の道路の斜面では滑らなくなって歩きやすくなった。
ソールの薄さのメリットは、足裏の感覚が分かりやすく路面の状態を把握できることだ。
疲れる靴だが、このまま相馬市のゴールまで歩いてゆくことにした。
食事
朝 白麦ごはん、みそ汁
昼 パン×1袋、白身魚フライ×1個、フライドチキン1個、お菓子×1袋
夕 レトルトおでん、おにぎり×2個、お菓子×1袋
釜石の市街地での補給を無事に終えて、ほっと一息付いたところだった。
しかしまだみちのく潮風トレイルは半分も歩いていない。
どこまでもどこまでも海岸線の道は続く。
つづく