朝日を浴びて赤色に染まる穂高の山々
涸沢にて
登山日 2014年10月7日~10日(3泊4日)
ルート
一日目
三股登山口~蝶ヶ岳~横尾~涸沢(テント泊)
二日目
涸沢~北穂高岳~奥穂高岳~涸沢(テント泊)
三日目
涸沢~屏風のコル~徳沢(テント泊)
四日目
徳沢~蝶ヶ岳~三股登山口
行動時間 約26時間(休憩時間を含む)
歩行距離 33.6km
山行まえがき
今回は安曇野付近に滞在中なので、紅葉シーズンになると大変な賑をみせる涸沢を拠点に北穂高から奥穂高を縦走することにした。
上高地から涸沢入りすると駐車料金とバス代が余計に掛かるので、無料駐車場のある三股登山口に車を停めて蝶ヶ岳を越えて涸沢入りすることにした。
山行概要
10月6日(登山前日)
安曇野市内で早めに買出しを済ませ、三股登山口の無料駐車場で車中泊することにした。
安曇野市内の下堀西交差点付近の大型スーパー
「ベイシア」で買出しを行う。
ベイシアの敷地内にATMあり。ゆうちょ銀行もあって便利。
ベイシアの北隣にはコインランドリーあり。
食料の買出しを済ませると三股駐車場に向けて車を走らせる。
烏川林道の途中に延命水という水汲みポイントがあるので、立ち寄ってポリタンクに満タン給水した。
水を汲んだら更に奥へと進みゲート前の三股登山口の駐車場に到着する。
工事車両が数台駐車しているほかは閑散としている。
駐車台数は約70台。少し傾斜しているので車中泊で多少眠りにくい。
10月7日(一日目)
0300 起床
台風通過後の雨上がりの中、車外においてガソリンストーブで煮炊きする。
昼食の玄米も余分に炊いてコッヘルに詰める。
0530 出発
食事とトイレを済ませるとパッキングをする。
車中泊後なので忘れ物をしないように慎重に行い準備OKとなる。
0545 登山補導所着
ゲートを潜ると登山補導所までは林道歩きとなる。
昨日までに降った雨で本沢は轟音をたてて流れている。
15分ほどで補導所に着く。
補導所にはトイレと水場あり。
昨日、ネットで登山届を提出できなかったので、手書きのものをポストに入れておいた。
ここで常念岳と蝶ヶ岳への道が分かれることになる。
0605 力水着
補導所からは本沢沿いの登山道を歩く。
20分ほどで最後の水場となる力水に到着する。
0700 まめうち平着
力水を過ぎると徐々に沢から離れて水音が小さくなる頃になると尾根伝いの道となる。
しばらく登って傾斜が緩くなるとまめうち平 に到着する。
まめうち平は広場になっていてベンチも設置してあるので良い休憩ポイントとなっている。
蝶ヶ岳の登りに備えてここで10分ほど休憩する。
0850 最終ベンチ着
まめうち平を過ぎるとしばらくフラットな道が続く。
そして徐々に傾斜がキツくなり本格的な登りとなる。
登山道はゴロゴロとした岩が転がっているが、整備されているので結構歩きやすい。
休み休み登っていると最終ベンチが見えてきた。
0920 蝶ヶ岳山頂着
最終ベンチを過ぎるとトラバース気味に登ってゆく。
徐々に常念岳の姿が顕になってくる。
蝶ヶ岳ヒュッテが見えてしばらくすると大滝山分岐に到着する。
ここから一息で蝶ヶ岳山頂に到着だ。
山頂から見る景色は素晴らしい。
台風18号通過後で素晴らしい好天だ。
乗鞍岳の向こうに噴火を起こして大惨事となった御嶽山が見える。
0925 蝶ヶ岳ヒュッテ着
山頂から少し下ると蝶ヶ岳ヒュッテに到着する。
ヒュッテの広場で少し休憩させてもらう。
ヒュッテ横にある物置小屋のような建物は、冬期になると登山者に開放される貴重な冬期小屋となる。
赤い縦長の箱が目印だ。
休憩時、スマホを取り出し通信を試みる。
電波が安定しないものの、メール受信や天気図閲覧など短期間の通信なら可能であった。
1000 横尾分岐着
ヒュッテからはしばらく尾根歩きとなる。
素晴らしい雲の上の散歩を楽しむ。
1110 槍見台着
横尾分岐を過ぎると急な下り坂となる。
膝に負担をかけないように出来るだけ段差が少ないところを選んで歩く。
途中、新設されたなんちゃて槍見台に通過する。
本当の槍見台よりしっかりと槍が見えるし、広場となっていてベンチもあるので良き休憩ポイントとなっている。
なんちゃって槍見台を過ぎると本物の槍見台に到着する。
1130 横尾山荘着
本当の槍見台は道の脇に小振りなベンチが置いてあるのみなので、そのまま通過する。
次第に傾斜が緩くなってくると山荘までもう少し。
横尾山荘に到着すると昼食をとることにした。
朝、コッヘルに詰めてきた玄米ご飯を食べる。
飲み物は水のみ。
食事をしながら周辺の調査を行った。
横尾周辺情報
トイレ 公衆トイレあり(チップ制)
水場 給水施設あり(水量豊富)
テントサイト 広さ約50張、使用料 大人一人700円
交通の要所となる横尾には多くの登山者が訪れる。
だから横尾は整備され登山者の安全の一役を担っている。
山荘前は開放的な広場となっていて、公衆トイレと水場があるので休憩して涸沢への登山道に向けて態勢を整えることが出来る。
テントサイトは、木々に囲まれて若干窪地にあるので、荒天時でもテントの中で十分やり過ごすことが出来そうだ。
営林署管轄の避難小屋は冬期のみ使用可で無雪期は閉められている。立派な小屋なので冬期登山の拠点として有効活用できそうだ。
1240 本谷橋着
横尾で食事を済ませると横を大橋を渡り、いよいよ涸沢に向かうことになる。
本谷橋までは横尾谷沿いの快適な道をゆく。
涸沢ヒュッテ手前の分岐
涸沢小屋とテントサイトは右に曲がったほうが近い。
1400 涸沢テントサイト着
本谷橋からは横尾谷と分かれを告げ、涸沢に向けいよいよ本格的な登りとなる。
橋を出てしばらくは急坂だが登り切ってしまうと道は少しなだらかになる。
今日は台風18号通過翌日の平日ではあったが、横尾からの登山道の通行量は意外に多い。
始めは道を譲ってもらってハイペースで登っていたが、徐々に疲れが出だし涸沢ヒュッテ目前のところで力尽きる。
涸沢の見晴らしの良い場所でザックを置きしばらく休憩する。
少し体力が回復したので再びザックを背負い人の流れに沿ってゆっくりと登ってゆくとヒュッテ手前の分岐に到着する。
分岐はそのまま真っ直ぐに行くと涸沢ヒュッテ、右に折れると涸沢小屋とテントサイトへの近道となる。
私はここで右に曲がりテントサイトへと向かう。
涸沢のテントサイトに到着するとまずはテント受付を済ませる。
受付小屋の前のテーブルに置かれた受付用紙に記入し小屋内で料金を支払う。
テントサイト使用料は今年から300円アップの1,000円に値上げされていた。
受付を済ませるとまずはテントを設営する。
さきほど目星を付けておいた場所周辺をウロウロとしていると丁度良い凹みを発見!
早速エスパースソロを組み立てる。
テント設営完了して荷物を整理すると涸沢ヒュッテに水を汲みに行く。
前を通りがかるとつい生ビールを一杯飲みたくなる。
私はもう酒は止めたので美味しそうに飲む登山者を横目に奥へと向かう。
ヒュッテに宿泊したことはないからハッキリとは分からないが、宿泊者もヒュッテの外トイレを使用しているようだ。
テント宿泊者もヒュッテの外トイレを利用する。
トイレの使用料はテントサイト利用料に含まれているので、ここでお金を払う必要はない。
涸沢ヒュッテの水場はしっかりと整備されていて蛇口の数が多いので順番待ちすることは少ない。
ここで折りたたみ式のプラティパス水筒を満タンにしてテントに戻る。
自分のテントに戻ると日が陰って寒くなり始めていたので、暗くなる前にご飯を済ませることにした。
夕食を済ませるとスマホが圏外で特にやることがないので早めに眠ることにした。
涸沢テントサイト情報
サイト使用料 一人 1,000円
サイトの広さ 広大(200張り以上)
地面 岩場 ペグは利かないので張り綱は石に縛って固定する。
(受付小屋でコンパネ一日500円でレンタルしている。)
トイレ 涸沢ヒュッテの外トイレを利用
(朝の時間帯はトイレ待ちの行列が出来るので注意。人と時間をずらしたほうが良い。)
水場 涸沢ヒュッテに給水施設あり
参考情報
10月8日(二日目)
0300 起床
テント内気温5.8℃、西の風8m
久しぶりに岩場で寝たので少々背中が痛い。
ヘッドランプを点けて少々音が大きなMSRのガソリンストーブで炊飯することにする。
0515 出発
今日は涸沢にテント張ったまま軽装で北穂から奥穂を縦走する予定。
余分な荷物をテントに残しパッキングを行う。
サブザックを持ってきていないので、75Lの大型ザックを二気室に分けて上の方に荷物を入れる。
0707 南峰直下の分岐着
テントサイトを出るとまずは涸沢小屋に向かう。
小屋の脇から北穂へと向かう登山道が伸びているのでこちらに進む。
しばらく歩くと暑くなってきたので、上着を脱いで呼吸を整えればウォーミングアップは終了だ。
途中、いくつかのハシゴと鎖を越えてゆくと北穂高小屋が見えてきた。
そこからはもう一息でまずは南陵のテント場に着く。
遅い時間だったためか、テントの姿は見えず。
テント場からほんの少し登ると分岐に到着する。
0715 北穂高岳山頂着
南峰の分岐から松涛のコルを抜けて目指す高みを登ればそこは北穂高北峰、北穂高岳の山頂だ。
今日は風が多少強いものの、昨日に比べ雲が少なく視界は抜群だ。
まずは槍ヶ岳の勇姿を堪能する。
0717 北穂高小屋着
北穂山頂から少し下りると小屋穂高小屋がある。
よくもまあこんな高いところに建てたものだと感心してしまう。
長年かけてお金と人手を注ぎ込みやっと建てられた小屋なのだろう。
私が建てたような素人DIYの小屋とはまるで違う雰囲気が漂っている。
小屋の前はテラスとなっていてテーブルとベンチが設置されているので、眺めが抜群に良い場所でゆっくりと休むことが出来る。
小屋の北側に回ると大キレットを一望できる。
寒さに震えながらしばらく大キレットを眺める。
テラスの方に戻ってピーナッツを食べて水分を補給し、靴紐を締め直すと準備万端だ。
0750 南峰分岐着
小屋で景色を堪能し十分体を休めるといよいよ今日のメインイベント。
北穂高から涸沢岳までの縦走だ。
0830 最低コル着
南峰分岐を過ぎるといよいよ涸沢岳まで続く険しい縦走路だ。
一歩一歩確実に歩を進め慎重に歩く。
今回の登山では落石やスリップに備えて涸沢より上ではヘルメットを被って歩くことにした。
岐阜県側の日陰部分には数日前に降り積もったであろう雪が残っていたのでさらに慎重に歩く。
次第に高度を下げていると先に鞍部が見えてきた。
ここが最低コルだ。
0915 涸沢岳山頂着
最低コルを過ぎると涸沢岳に向かって登ってゆくことになる。
しばらく登ってゆくと高度感のある岩場に辿り着いた。
上を見上げると登山者1名がゆっくりと下りてくる。
ここが北穂~涸沢岳間の一番の危険箇所となる。
鎖場と梯子が連続する区間で細心の注意を払い通過する。
ここを通過して傾斜が緩くなると涸沢岳の山頂も間近だ。
涸沢岳山頂に到着して縦走路を振り返ると充実感が沸き起こる。
険しい登山道が決して容易くはない行程を思わせる。
風が強いので早めに休憩を切り上げて白出のコルに下りることにした。
0930 穂高岳山荘着
涸沢岳山頂からは急ではあるが、危険な場所はないので安心して下りることが出来る。
ヘリポートとテント場を過ぎれば穂高岳山荘に到着する。
山荘の広場は涸沢側にあって綺麗に石を並べた石畳となっているので、落ち着いてゆっくりと休むことが出来る。
ここで少し休んだあと荷物を置いていかずに奥穂高岳に登ることにした。
1005 奥穂高岳山頂着
穂高岳山荘を出るといきなり危険箇所がやって来る。
急な登りでハシゴと鎖が連続する場所だ。
休憩後直ぐのことが多く、まだ気持ちが引き締まっていないことがあるので注意して通過する。
山荘~奥穂間で渋滞する箇所なので、落石を引き起こさないように慎重に歩き、安全な場所で他の登山者と譲り合う。
この危険箇所を過ぎて傾斜が緩くなれば一安心だ。
あとはなだらかな道を山頂に向かって歩いてゆく。
周囲から飛び出た社があるので遠くからピークを確認しやすい。
当日は人集りが出来ていた。
山頂に到着して景色を見ると特に西穂高方面のジャンダルムに目を奪われる。
険しい岩の塊で一般登山者を寄せ付けないその威容は見る者を圧倒する。
前穂高方面に目をやれば、吊尾根に付けられた縦走路が見える。
ここで全周囲の景色を堪能すると、風が強いので山荘まで下りて昼休憩とすることにした。
1055 穂高岳山荘着
山荘に到着すると建物によって風が遮られるので日差しに照らされ居心地が良い。
ちょっとお騒がせしてガソリンストーブでラーメンを作る。
ちょっと奮発して鯖の水煮缶付きだ。
涸沢を見下ろしなら食べるラーメンは格別だ。
食事を済ませて一息つくと涸沢に向けて下山することにした。
1300 涸沢ヒュッテ着
穂高岳山荘からはザイテングラートと呼ばれる尾根に沿って下山する。
急な下りなので膝に負担をかけないように出来るだけ段差の少ないところを選んで歩く。
まだ早い時間であるので続々と涸沢から登山者が登ってくる。
ここはキツイ急坂なので登り優先で先に行かせる。
ザイテングラートを抜けてゴロゴロした斜面をトラバース気味に歩いてゆくと分岐に至る。
涸沢小屋に向かって真っ直ぐ進むコースと広々とした岩場を横切ってお花畑を下山するコースとに分かれる。
当日は天気が良かったのでパノラマコースを進むことにした。
初冬を迎えた涸沢なのでパノラマコースには残雪は見当たらない。
整備された登山道を歩いてヒュッテを目指す。
テントについて荷物を片付けると、日のあるうちに寝袋を天日干しする。
短時間でも日差しが強いので湿気が飛びフカフカになってくれる。
ついでに今回持ってきたソーラー充電器で消費したヘッドライトの単4電池を充電する。
しばらくして日が陰ると急に寒くなる。
体を冷やさないように防寒着を着こみテントに入る。
時間はたっぷりあるのでゴロゴロして寛ぐ。
明るいうちに食事を済ませようと4時過ぎから炊飯を始めて食事を済ませて6時過ぎに寝てしまうことにした。
10月9日(三日目)
0510 起床
テント内気温 5.8度、南の風3m、晴れ
夜、蝶ヶ岳まで行こうかと悩んでいたが、蝶ヶ岳は水が有料であるため、水が無料で豊富な徳沢までとすることにした。
ゆっくり目の起床なので付近のテントでは食事の用意する音やこれから出発する登山者の足音が聞こえてくる。
0715 出発
テントを撤収し荷物をパッキングする。
朝起きたころはトイレで渋滞が起きていたが、出発前になって最後のトイレに行くと比較的空いていた。
待ち時間なく気持ちよく大を済ませると、いよいよ出発だ。
徳沢までの下山コースはパノラマコースとすることにした。
0805 屏風のコル着
涸沢から屏風のコルまでは鎖やロープが取付けられたガレ場が連続する。
足元がやや不安定なので転倒しないように慎重に歩いてゆく。
山の斜面をトラバース気味に徐々に高度を上げてゆくと屏風のコルに到着だ。
0830 屏風の耳着
時間に余裕があるので屏風のコルの広場にザックを置いて空荷で耳までピストンすることにした。
途中、賽の河原と呼ばれる岩場方面に伸びる道もあるので紛らわしい。
空荷なのでどんどんと高度を上げてゆくと間もなく屏風の耳に到着する。
屏風の耳は穂高の山々の良き展望スポットだ。
生憎ガスがわき始めていて上方の視界は良くなかったが、涸沢を望むことが出来た。
0855 屏風のコル着
風が強いので休憩もそこそこに下山することにした。
コルに到着すると水分を補給し態勢を整え早めの徳沢着を目指し出発する。
0950 中畠新道分岐着
屏風のコルからは徳沢に向かって高度を下げてゆく。
去りゆく秋を眺めながら時に急な段差を越えて下山してゆけば中畠新道分岐に到着する。
分岐より上に登ってゆけば岩登りのベースとなる奥又白池に行くことが出来る。
1045 徳沢着
中畠新道分岐からは随分と歩きやすい道となる。
奥又白谷沿いの快適な道を下山すると林道に合流する。
パノラマコース入り口の看板は朽ち果てていて目立たないので見落とさないように注意する必要がある。
林道に出てしばらく歩き新村橋を渡り15分ほど歩けば徳沢に到着する。
徳沢園でテントの受付を済ませると早速テントを設営することにした。
徳沢のテントサイトは開放的な草地のサイトで地面はふかふかで寝心地が非常に良い。
給水施設やトイレがきちんと整備されているので、小梨平とは違って静かなキャンプを楽しむことが出来る。
紅葉シーズンだけあって早い時間にも関わらず既に10張りほどのテントがある。
昼食のラーメンを済ませると陽が高いうちに寝袋に入り午睡を楽しむ。
目が覚めるとやることがないので早めの夕食をとり眠ることにした。
徳沢テントサイト情報
徳沢テントサイト
サイト使用料 大人 700円 小人 500円
広さ 広大 100張りは可能
地面 草地
石の移動は禁止されているので、ペグを使用してテントを固定す ることになる。
ペグ効きは良いのでしっかりと固定できる。
地面がふかふか柔らかいのでエアマットなしでも快適に眠ること が出来る。
トイレ 付近の公衆トイレを使用する。(無料)
水 給水施設あり。(水量豊富で無料)
なお、隣の徳沢ロッヂで外来入浴をやっているので、汗を流して気持よく泊まることが出来る。
徳沢ロッヂ外来入浴
営業時間 午後4時30分から午後8時まで
受付終了(午後7時30分)
入浴料 大人 600円(小学生以下 400円)
上高地から2時間近く歩いたところにあるので、小梨平に較べて観光客は少なく、比較的静かなテントサイトだ。
草地の広々としたサイトで施設が整っているので寝心地、居心地は抜群である。
料金もリーズナブルなので今後も利用したい良サイトだ。
参考リンク
10月10日(四日目最終日)
0300 起床
テント内気温 9.4度、晴れ
昨日は楽な行程で睡眠もバッチリなので何の苦もなく目覚める。
早朝で気が引けながらも爆音のXGKストーブに火を入れ煮炊きを開始する。
0520 出発
私がテントを撤収するころ周りのテントからゴソゴソと音が聞こえるようになる。
出発前にトイレを済ませて気力体力万全の様態で長塀尾根に挑む。
0800 長塀山山頂着
長塀尾根の登り口は徳沢園の建物の脇にある。
登山口を抜けてしばらく行くと急登となる。
歩き始めであるのでゆっくりしたペースで進み、上着を脱いで長袖一枚になるとペースを上げてゆく。
急坂を抜ければ傾斜は緩くなり、アップダウンを繰り返して徐々に高度を上げてゆくと長塀山山頂に到着する。
0850 蝶ヶ岳山頂着
長塀山まで来ればもう一息だ。
なだらかな登山道を登ってゆき樹林帯を抜ければヒュッテが見える。
穂高の山々を眺めながら歩いて山頂に立つ。
今日も天気は良いので穂高の眺めは良い。
しかし風が強くて休憩には不向きなので少し下りたところで早めの昼食とすることにした。
0900 大滝山分岐着
風の強い山頂から下山して山陰の大滝山分岐まで逃げてきた。
登りで通ったので、ここが休憩ポイントにピッタリだと分かった。
ここでパスタと味噌汁を食べ体力を回復させる。
休憩時間は約30分
1105 まめうち平着
大滝山分岐を出ると急な下りが続く。
よくもこんなところを登ってきたなと過去の自分に感心しつつ歩を進める。
登りでは感じなかったが、下りだと足元が気になる。
岩に足を取られないようにフラットな場所に着地して確実に歩いていると傾斜が緩くなり程なくしてまめうち平に到着する。
1200 登山補導所着
まめうち平まで来ればあともう少しだ。次第に大きくなる沢の水音を聞きながら高度を下げてゆく。
途中、力水で喉を潤し一息つく。
登山補導所手前に常念岳方面との分岐があるがそこを過ぎれば補導所目前だ。
補導所に到着すると行きは暗くて分かりにくかったので付近を調査する。
補導所には登山ポストが設置されクマ注意を促す張り紙がしてある。
補導所の横には公衆トイレがある。
トイレ脇には水場がありここで水筒に水を補給することが出来る。
1210 三股ゲート前着
登山補導所からは林道歩きとなる。
本沢に沿って歩けばゲート前だ。
林道歩きはライン取りを意識して歩くと時間短縮することが出来る。
ゲートを通過し駐車場を見ると出発時の景色とは一変する。
なんと駐車場は満車状態となっていた。
ザックを下ろして荷物を簡単にメンテナンスして三股を後にする。
食料
玄米2kg(1食250g、8食分)、味噌スプーン6杯、りんご1個、柿ピー小袋2袋、柿ピー大袋2袋、ピーナツ2袋、鯖水煮缶2個、袋ラーメン3袋、レトルトおでん1袋、切り餅3個、乾燥わかめ少々、高野豆腐6個、粗塩少々、黒ゴマ1袋、早ゆでパスタ(200g)1袋、ミートソース(レトルト240g)1袋、切り干し大根1/2袋、とろろ昆布1/2袋
残った食料
玄米2食分500g、切り餅1個、粗塩、黒ゴマ、袋ラーメン1袋のみ
装備
着衣
速乾性登山用靴下、ユニクロ速乾ボクサーブリーフ、長袖のブレスサーモ(一日目夕方まで速乾性Tシャツ)、登山用長袖シャツ、登山用ズボン(モンベルサウスリムパンツ)、登山靴(スカルパのシェルパ)、帽子、軍手、マフラータオル、ヘルメット
防寒服
フリースのみ
着替え
ウール登山用靴下、ユニクロ速乾ボクサーブリーフ、速乾性Tシャツ(一日目夕方で脱いだもの)、ユニクロ手袋
75Lザック、ウエストバッグ
合羽(モンベルストームハンター)、ザックカバー
シュラフ(モンベルダウン#3)、シュラフカバー
カット済み銀マット
テント装備一式
エスパースソロ本体、フライ、ポール、ペグ8本、アンダーグランドシート
ゴール0ソーラー充電器セット
USB充電ケーブル
エネループ単3✕8本
エネループ単4✕4本
ピンチ缶
タッパを入れ物として
安全ピン5個、耳栓1組、ダクトテープ少々、ペンライト(単4✕1本)、バンドエイド5枚、結束バンド5個、保温シート1枚、単4アルカリ乾電池✕4、ダイニーマ2mmロープ、10m
スマホ(ソニーExperia Z Ultra格安SIMのIIJみおふぉん)、腕時計(Gショックライズマン高度計、温度計装備)、携帯ラジオ(ソニー短波、AM、FM)、ヘッドランプ(ブラックダイヤモンド新ストーム単4✕4)
防水デジタルカメラ
水筒類
プラティパス2L、ナルゲンボトル1L、ハイドレーション用ストロー、サーモス保温水筒(500ml)
ストーブ、調理関係
MSR EX(別のストーブのハードケースに収納した)、メンテセット、チャッカマン2個、折りたたみ風防、遮熱板
燃料ボトル(30OZ、11OZフルで一本づつ)
燃料消費は、11OZボトル全消費、30OZ半分消費。
コッヘル大小1セット、折りたたみフォーク1本
その他
コンパス、登山地図(5万分の1)、運転免許証・保険証コピー、お金(約7万円)、笛、レザーマンのナイフ、予備メガネ、トイレットペーパー2巻
通信
スマホ(SONY Xperia Z Ultra 格安SIMのIIJみおふぉん)を定期的に取り出し通信可能かチェックしたところ、蝶ヶ岳山頂、北穂高小屋、穂高岳山荘で電波は不安定ながらも天気予報などの情報を入手することが出来た。
涸沢周辺はガラケーであれば通信可能と思われる。
三股第2駐車場
三股駐車場の手前1kmほどのところに第2駐車場がある。
入り口に小さな看板があるので見落とさないようにしたい。
ここで左下に下りてゆくと10台くらいは停められそうな駐車スペースがある。
林道を拡幅して作ったような駐車場で綺麗に整地され砂利が敷かれている。
奥の方に進むと数台停められそうな広場がある。
地元の作業者に聞いたところ、夏休みシーズン、特にお盆時期は混むので第2駐車場を整備した、とのこと。
付近に水場はないので、水は三股駐車場トイレ横の水場か延命水でポリタンクに汲んでおけばいい。
トイレもないので三股駐車場に行くか、そこら辺の山林に入って用を足すことになる。
まとめ
今回は、涸沢入りするために三股から蝶ヶ岳を越えることになったが、テント泊装備のザックを背負っても十分行動することが出来た。
以前は登りになると直ぐにシンドくなっていたので、随分と体力が付いたようだ。
食料は多めに持っていきモリモリと食べたので体力の回復が早かったのかもしれない。
装備品の取扱いは、スマホを除けば四国遍路に行っても問題ないレベルとなった。
ガラケーの時は稜線歩きで電波をよく掴んだが、スマホはほとんど通信できない状態で、バリエーションや冬山に行く場合問題あり。
今後どのようにして登山中にも通信できるモバイルを確保するか課題が出来た。
慣れた場所であったので、5万分の1の登山地図のみであったので、読図の訓練は出来ずじまいだった。
やはり事前に2万5千分の1の地図を入手し持ち運びしやすいように加工しておく必要がある。
コンパスと地図を疎かにする者は正規の登山ルートを外れる資格はないので、今後しっかりと準備していきたい。
おわり
ベイシアの敷地内にATMあり。ゆうちょ銀行もあって便利。
ベイシアの北隣にはコインランドリーあり。
食料の買出しを済ませると三股駐車場に向けて車を走らせる。
烏川林道の途中に延命水という水汲みポイントがあるので、立ち寄ってポリタンクに満タン給水した。
水を汲んだら更に奥へと進みゲート前の三股登山口の駐車場に到着する。
工事車両が数台駐車しているほかは閑散としている。
駐車台数は約70台。少し傾斜しているので車中泊で多少眠りにくい。
10月7日(一日目)
0300 起床
台風通過後の雨上がりの中、車外においてガソリンストーブで煮炊きする。
昼食の玄米も余分に炊いてコッヘルに詰める。
0530 出発
食事とトイレを済ませるとパッキングをする。
車中泊後なので忘れ物をしないように慎重に行い準備OKとなる。
0545 登山補導所着
ゲートを潜ると登山補導所までは林道歩きとなる。
昨日までに降った雨で本沢は轟音をたてて流れている。
15分ほどで補導所に着く。
補導所にはトイレと水場あり。
昨日、ネットで登山届を提出できなかったので、手書きのものをポストに入れておいた。
ここで常念岳と蝶ヶ岳への道が分かれることになる。
0605 力水着
補導所からは本沢沿いの登山道を歩く。
20分ほどで最後の水場となる力水に到着する。
0700 まめうち平着
力水を過ぎると徐々に沢から離れて水音が小さくなる頃になると尾根伝いの道となる。
しばらく登って傾斜が緩くなるとまめうち平 に到着する。
まめうち平は広場になっていてベンチも設置してあるので良い休憩ポイントとなっている。
蝶ヶ岳の登りに備えてここで10分ほど休憩する。
0850 最終ベンチ着
まめうち平を過ぎるとしばらくフラットな道が続く。
そして徐々に傾斜がキツくなり本格的な登りとなる。
登山道はゴロゴロとした岩が転がっているが、整備されているので結構歩きやすい。
休み休み登っていると最終ベンチが見えてきた。
0920 蝶ヶ岳山頂着
最終ベンチを過ぎるとトラバース気味に登ってゆく。
徐々に常念岳の姿が顕になってくる。
蝶ヶ岳ヒュッテが見えてしばらくすると大滝山分岐に到着する。
ここから一息で蝶ヶ岳山頂に到着だ。
山頂から見る景色は素晴らしい。
台風18号通過後で素晴らしい好天だ。
乗鞍岳の向こうに噴火を起こして大惨事となった御嶽山が見える。
0925 蝶ヶ岳ヒュッテ着
山頂から少し下ると蝶ヶ岳ヒュッテに到着する。
ヒュッテの広場で少し休憩させてもらう。
ヒュッテ横にある物置小屋のような建物は、冬期になると登山者に開放される貴重な冬期小屋となる。
赤い縦長の箱が目印だ。
休憩時、スマホを取り出し通信を試みる。
電波が安定しないものの、メール受信や天気図閲覧など短期間の通信なら可能であった。
1000 横尾分岐着
ヒュッテからはしばらく尾根歩きとなる。
素晴らしい雲の上の散歩を楽しむ。
1110 槍見台着
横尾分岐を過ぎると急な下り坂となる。
膝に負担をかけないように出来るだけ段差が少ないところを選んで歩く。
途中、新設されたなんちゃて槍見台に通過する。
本当の槍見台よりしっかりと槍が見えるし、広場となっていてベンチもあるので良き休憩ポイントとなっている。
なんちゃって槍見台を過ぎると本物の槍見台に到着する。
1130 横尾山荘着
本当の槍見台は道の脇に小振りなベンチが置いてあるのみなので、そのまま通過する。
次第に傾斜が緩くなってくると山荘までもう少し。
横尾山荘に到着すると昼食をとることにした。
朝、コッヘルに詰めてきた玄米ご飯を食べる。
飲み物は水のみ。
食事をしながら周辺の調査を行った。
横尾周辺情報
トイレ 公衆トイレあり(チップ制)
水場 給水施設あり(水量豊富)
テントサイト 広さ約50張、使用料 大人一人700円
交通の要所となる横尾には多くの登山者が訪れる。
だから横尾は整備され登山者の安全の一役を担っている。
山荘前は開放的な広場となっていて、公衆トイレと水場があるので休憩して涸沢への登山道に向けて態勢を整えることが出来る。
テントサイトは、木々に囲まれて若干窪地にあるので、荒天時でもテントの中で十分やり過ごすことが出来そうだ。
営林署管轄の避難小屋は冬期のみ使用可で無雪期は閉められている。立派な小屋なので冬期登山の拠点として有効活用できそうだ。
1240 本谷橋着
横尾で食事を済ませると横を大橋を渡り、いよいよ涸沢に向かうことになる。
本谷橋までは横尾谷沿いの快適な道をゆく。
涸沢ヒュッテ手前の分岐
涸沢小屋とテントサイトは右に曲がったほうが近い。
1400 涸沢テントサイト着
本谷橋からは横尾谷と分かれを告げ、涸沢に向けいよいよ本格的な登りとなる。
橋を出てしばらくは急坂だが登り切ってしまうと道は少しなだらかになる。
今日は台風18号通過翌日の平日ではあったが、横尾からの登山道の通行量は意外に多い。
始めは道を譲ってもらってハイペースで登っていたが、徐々に疲れが出だし涸沢ヒュッテ目前のところで力尽きる。
涸沢の見晴らしの良い場所でザックを置きしばらく休憩する。
少し体力が回復したので再びザックを背負い人の流れに沿ってゆっくりと登ってゆくとヒュッテ手前の分岐に到着する。
分岐はそのまま真っ直ぐに行くと涸沢ヒュッテ、右に折れると涸沢小屋とテントサイトへの近道となる。
私はここで右に曲がりテントサイトへと向かう。
涸沢のテントサイトに到着するとまずはテント受付を済ませる。
受付小屋の前のテーブルに置かれた受付用紙に記入し小屋内で料金を支払う。
テントサイト使用料は今年から300円アップの1,000円に値上げされていた。
受付を済ませるとまずはテントを設営する。
さきほど目星を付けておいた場所周辺をウロウロとしていると丁度良い凹みを発見!
早速エスパースソロを組み立てる。
テント設営完了して荷物を整理すると涸沢ヒュッテに水を汲みに行く。
前を通りがかるとつい生ビールを一杯飲みたくなる。
私はもう酒は止めたので美味しそうに飲む登山者を横目に奥へと向かう。
ヒュッテに宿泊したことはないからハッキリとは分からないが、宿泊者もヒュッテの外トイレを使用しているようだ。
テント宿泊者もヒュッテの外トイレを利用する。
トイレの使用料はテントサイト利用料に含まれているので、ここでお金を払う必要はない。
涸沢ヒュッテの水場はしっかりと整備されていて蛇口の数が多いので順番待ちすることは少ない。
ここで折りたたみ式のプラティパス水筒を満タンにしてテントに戻る。
自分のテントに戻ると日が陰って寒くなり始めていたので、暗くなる前にご飯を済ませることにした。
夕食を済ませるとスマホが圏外で特にやることがないので早めに眠ることにした。
涸沢テントサイト情報
サイト使用料 一人 1,000円
サイトの広さ 広大(200張り以上)
地面 岩場 ペグは利かないので張り綱は石に縛って固定する。
(受付小屋でコンパネ一日500円でレンタルしている。)
トイレ 涸沢ヒュッテの外トイレを利用
(朝の時間帯はトイレ待ちの行列が出来るので注意。人と時間をずらしたほうが良い。)
水場 涸沢ヒュッテに給水施設あり
参考情報
10月8日(二日目)
0300 起床
テント内気温5.8℃、西の風8m
久しぶりに岩場で寝たので少々背中が痛い。
ヘッドランプを点けて少々音が大きなMSRのガソリンストーブで炊飯することにする。
0515 出発
今日は涸沢にテント張ったまま軽装で北穂から奥穂を縦走する予定。
余分な荷物をテントに残しパッキングを行う。
サブザックを持ってきていないので、75Lの大型ザックを二気室に分けて上の方に荷物を入れる。
0707 南峰直下の分岐着
テントサイトを出るとまずは涸沢小屋に向かう。
小屋の脇から北穂へと向かう登山道が伸びているのでこちらに進む。
しばらく歩くと暑くなってきたので、上着を脱いで呼吸を整えればウォーミングアップは終了だ。
途中、いくつかのハシゴと鎖を越えてゆくと北穂高小屋が見えてきた。
そこからはもう一息でまずは南陵のテント場に着く。
遅い時間だったためか、テントの姿は見えず。
テント場からほんの少し登ると分岐に到着する。
0715 北穂高岳山頂着
南峰の分岐から松涛のコルを抜けて目指す高みを登ればそこは北穂高北峰、北穂高岳の山頂だ。
今日は風が多少強いものの、昨日に比べ雲が少なく視界は抜群だ。
まずは槍ヶ岳の勇姿を堪能する。
0717 北穂高小屋着
北穂山頂から少し下りると小屋穂高小屋がある。
よくもまあこんな高いところに建てたものだと感心してしまう。
長年かけてお金と人手を注ぎ込みやっと建てられた小屋なのだろう。
私が建てたような素人DIYの小屋とはまるで違う雰囲気が漂っている。
小屋の前はテラスとなっていてテーブルとベンチが設置されているので、眺めが抜群に良い場所でゆっくりと休むことが出来る。
小屋の北側に回ると大キレットを一望できる。
寒さに震えながらしばらく大キレットを眺める。
テラスの方に戻ってピーナッツを食べて水分を補給し、靴紐を締め直すと準備万端だ。
0750 南峰分岐着
小屋で景色を堪能し十分体を休めるといよいよ今日のメインイベント。
北穂高から涸沢岳までの縦走だ。
0830 最低コル着
南峰分岐を過ぎるといよいよ涸沢岳まで続く険しい縦走路だ。
一歩一歩確実に歩を進め慎重に歩く。
今回の登山では落石やスリップに備えて涸沢より上ではヘルメットを被って歩くことにした。
岐阜県側の日陰部分には数日前に降り積もったであろう雪が残っていたのでさらに慎重に歩く。
次第に高度を下げていると先に鞍部が見えてきた。
ここが最低コルだ。
0915 涸沢岳山頂着
最低コルを過ぎると涸沢岳に向かって登ってゆくことになる。
しばらく登ってゆくと高度感のある岩場に辿り着いた。
上を見上げると登山者1名がゆっくりと下りてくる。
ここが北穂~涸沢岳間の一番の危険箇所となる。
鎖場と梯子が連続する区間で細心の注意を払い通過する。
ここを通過して傾斜が緩くなると涸沢岳の山頂も間近だ。
涸沢岳山頂に到着して縦走路を振り返ると充実感が沸き起こる。
険しい登山道が決して容易くはない行程を思わせる。
風が強いので早めに休憩を切り上げて白出のコルに下りることにした。
0930 穂高岳山荘着
涸沢岳山頂からは急ではあるが、危険な場所はないので安心して下りることが出来る。
ヘリポートとテント場を過ぎれば穂高岳山荘に到着する。
山荘の広場は涸沢側にあって綺麗に石を並べた石畳となっているので、落ち着いてゆっくりと休むことが出来る。
ここで少し休んだあと荷物を置いていかずに奥穂高岳に登ることにした。
1005 奥穂高岳山頂着
穂高岳山荘を出るといきなり危険箇所がやって来る。
急な登りでハシゴと鎖が連続する場所だ。
休憩後直ぐのことが多く、まだ気持ちが引き締まっていないことがあるので注意して通過する。
山荘~奥穂間で渋滞する箇所なので、落石を引き起こさないように慎重に歩き、安全な場所で他の登山者と譲り合う。
この危険箇所を過ぎて傾斜が緩くなれば一安心だ。
あとはなだらかな道を山頂に向かって歩いてゆく。
周囲から飛び出た社があるので遠くからピークを確認しやすい。
当日は人集りが出来ていた。
山頂に到着して景色を見ると特に西穂高方面のジャンダルムに目を奪われる。
険しい岩の塊で一般登山者を寄せ付けないその威容は見る者を圧倒する。
前穂高方面に目をやれば、吊尾根に付けられた縦走路が見える。
ここで全周囲の景色を堪能すると、風が強いので山荘まで下りて昼休憩とすることにした。
1055 穂高岳山荘着
山荘に到着すると建物によって風が遮られるので日差しに照らされ居心地が良い。
ちょっとお騒がせしてガソリンストーブでラーメンを作る。
ちょっと奮発して鯖の水煮缶付きだ。
涸沢を見下ろしなら食べるラーメンは格別だ。
食事を済ませて一息つくと涸沢に向けて下山することにした。
1300 涸沢ヒュッテ着
穂高岳山荘からはザイテングラートと呼ばれる尾根に沿って下山する。
急な下りなので膝に負担をかけないように出来るだけ段差の少ないところを選んで歩く。
まだ早い時間であるので続々と涸沢から登山者が登ってくる。
ここはキツイ急坂なので登り優先で先に行かせる。
ザイテングラートを抜けてゴロゴロした斜面をトラバース気味に歩いてゆくと分岐に至る。
涸沢小屋に向かって真っ直ぐ進むコースと広々とした岩場を横切ってお花畑を下山するコースとに分かれる。
当日は天気が良かったのでパノラマコースを進むことにした。
初冬を迎えた涸沢なのでパノラマコースには残雪は見当たらない。
整備された登山道を歩いてヒュッテを目指す。
テントについて荷物を片付けると、日のあるうちに寝袋を天日干しする。
短時間でも日差しが強いので湿気が飛びフカフカになってくれる。
ついでに今回持ってきたソーラー充電器で消費したヘッドライトの単4電池を充電する。
しばらくして日が陰ると急に寒くなる。
体を冷やさないように防寒着を着こみテントに入る。
時間はたっぷりあるのでゴロゴロして寛ぐ。
明るいうちに食事を済ませようと4時過ぎから炊飯を始めて食事を済ませて6時過ぎに寝てしまうことにした。
10月9日(三日目)
0510 起床
テント内気温 5.8度、南の風3m、晴れ
夜、蝶ヶ岳まで行こうかと悩んでいたが、蝶ヶ岳は水が有料であるため、水が無料で豊富な徳沢までとすることにした。
ゆっくり目の起床なので付近のテントでは食事の用意する音やこれから出発する登山者の足音が聞こえてくる。
0715 出発
テントを撤収し荷物をパッキングする。
朝起きたころはトイレで渋滞が起きていたが、出発前になって最後のトイレに行くと比較的空いていた。
待ち時間なく気持ちよく大を済ませると、いよいよ出発だ。
徳沢までの下山コースはパノラマコースとすることにした。
0805 屏風のコル着
涸沢から屏風のコルまでは鎖やロープが取付けられたガレ場が連続する。
足元がやや不安定なので転倒しないように慎重に歩いてゆく。
山の斜面をトラバース気味に徐々に高度を上げてゆくと屏風のコルに到着だ。
0830 屏風の耳着
時間に余裕があるので屏風のコルの広場にザックを置いて空荷で耳までピストンすることにした。
途中、賽の河原と呼ばれる岩場方面に伸びる道もあるので紛らわしい。
空荷なのでどんどんと高度を上げてゆくと間もなく屏風の耳に到着する。
屏風の耳は穂高の山々の良き展望スポットだ。
生憎ガスがわき始めていて上方の視界は良くなかったが、涸沢を望むことが出来た。
0855 屏風のコル着
風が強いので休憩もそこそこに下山することにした。
コルに到着すると水分を補給し態勢を整え早めの徳沢着を目指し出発する。
0950 中畠新道分岐着
屏風のコルからは徳沢に向かって高度を下げてゆく。
去りゆく秋を眺めながら時に急な段差を越えて下山してゆけば中畠新道分岐に到着する。
分岐より上に登ってゆけば岩登りのベースとなる奥又白池に行くことが出来る。
1045 徳沢着
中畠新道分岐からは随分と歩きやすい道となる。
奥又白谷沿いの快適な道を下山すると林道に合流する。
パノラマコース入り口の看板は朽ち果てていて目立たないので見落とさないように注意する必要がある。
林道に出てしばらく歩き新村橋を渡り15分ほど歩けば徳沢に到着する。
徳沢園でテントの受付を済ませると早速テントを設営することにした。
徳沢のテントサイトは開放的な草地のサイトで地面はふかふかで寝心地が非常に良い。
給水施設やトイレがきちんと整備されているので、小梨平とは違って静かなキャンプを楽しむことが出来る。
紅葉シーズンだけあって早い時間にも関わらず既に10張りほどのテントがある。
昼食のラーメンを済ませると陽が高いうちに寝袋に入り午睡を楽しむ。
目が覚めるとやることがないので早めの夕食をとり眠ることにした。
徳沢テントサイト情報
徳沢テントサイト
サイト使用料 大人 700円 小人 500円
広さ 広大 100張りは可能
地面 草地
石の移動は禁止されているので、ペグを使用してテントを固定す ることになる。
ペグ効きは良いのでしっかりと固定できる。
地面がふかふか柔らかいのでエアマットなしでも快適に眠ること が出来る。
トイレ 付近の公衆トイレを使用する。(無料)
水 給水施設あり。(水量豊富で無料)
なお、隣の徳沢ロッヂで外来入浴をやっているので、汗を流して気持よく泊まることが出来る。
徳沢ロッヂ外来入浴
営業時間 午後4時30分から午後8時まで
受付終了(午後7時30分)
入浴料 大人 600円(小学生以下 400円)
上高地から2時間近く歩いたところにあるので、小梨平に較べて観光客は少なく、比較的静かなテントサイトだ。
草地の広々としたサイトで施設が整っているので寝心地、居心地は抜群である。
料金もリーズナブルなので今後も利用したい良サイトだ。
参考リンク
10月10日(四日目最終日)
0300 起床
テント内気温 9.4度、晴れ
昨日は楽な行程で睡眠もバッチリなので何の苦もなく目覚める。
早朝で気が引けながらも爆音のXGKストーブに火を入れ煮炊きを開始する。
0520 出発
私がテントを撤収するころ周りのテントからゴソゴソと音が聞こえるようになる。
出発前にトイレを済ませて気力体力万全の様態で長塀尾根に挑む。
0800 長塀山山頂着
長塀尾根の登り口は徳沢園の建物の脇にある。
登山口を抜けてしばらく行くと急登となる。
歩き始めであるのでゆっくりしたペースで進み、上着を脱いで長袖一枚になるとペースを上げてゆく。
急坂を抜ければ傾斜は緩くなり、アップダウンを繰り返して徐々に高度を上げてゆくと長塀山山頂に到着する。
0850 蝶ヶ岳山頂着
長塀山まで来ればもう一息だ。
なだらかな登山道を登ってゆき樹林帯を抜ければヒュッテが見える。
穂高の山々を眺めながら歩いて山頂に立つ。
今日も天気は良いので穂高の眺めは良い。
しかし風が強くて休憩には不向きなので少し下りたところで早めの昼食とすることにした。
0900 大滝山分岐着
風の強い山頂から下山して山陰の大滝山分岐まで逃げてきた。
登りで通ったので、ここが休憩ポイントにピッタリだと分かった。
ここでパスタと味噌汁を食べ体力を回復させる。
休憩時間は約30分
1105 まめうち平着
大滝山分岐を出ると急な下りが続く。
よくもこんなところを登ってきたなと過去の自分に感心しつつ歩を進める。
登りでは感じなかったが、下りだと足元が気になる。
岩に足を取られないようにフラットな場所に着地して確実に歩いていると傾斜が緩くなり程なくしてまめうち平に到着する。
1200 登山補導所着
まめうち平まで来ればあともう少しだ。次第に大きくなる沢の水音を聞きながら高度を下げてゆく。
途中、力水で喉を潤し一息つく。
登山補導所手前に常念岳方面との分岐があるがそこを過ぎれば補導所目前だ。
補導所に到着すると行きは暗くて分かりにくかったので付近を調査する。
補導所には登山ポストが設置されクマ注意を促す張り紙がしてある。
補導所の横には公衆トイレがある。
トイレ脇には水場がありここで水筒に水を補給することが出来る。
1210 三股ゲート前着
登山補導所からは林道歩きとなる。
本沢に沿って歩けばゲート前だ。
林道歩きはライン取りを意識して歩くと時間短縮することが出来る。
ゲートを通過し駐車場を見ると出発時の景色とは一変する。
なんと駐車場は満車状態となっていた。
ザックを下ろして荷物を簡単にメンテナンスして三股を後にする。
食料
玄米2kg(1食250g、8食分)、味噌スプーン6杯、りんご1個、柿ピー小袋2袋、柿ピー大袋2袋、ピーナツ2袋、鯖水煮缶2個、袋ラーメン3袋、レトルトおでん1袋、切り餅3個、乾燥わかめ少々、高野豆腐6個、粗塩少々、黒ゴマ1袋、早ゆでパスタ(200g)1袋、ミートソース(レトルト240g)1袋、切り干し大根1/2袋、とろろ昆布1/2袋
残った食料
玄米2食分500g、切り餅1個、粗塩、黒ゴマ、袋ラーメン1袋のみ
装備
着衣
速乾性登山用靴下、ユニクロ速乾ボクサーブリーフ、長袖のブレスサーモ(一日目夕方まで速乾性Tシャツ)、登山用長袖シャツ、登山用ズボン(モンベルサウスリムパンツ)、登山靴(スカルパのシェルパ)、帽子、軍手、マフラータオル、ヘルメット
防寒服
フリースのみ
着替え
ウール登山用靴下、ユニクロ速乾ボクサーブリーフ、速乾性Tシャツ(一日目夕方で脱いだもの)、ユニクロ手袋
75Lザック、ウエストバッグ
合羽(モンベルストームハンター)、ザックカバー
シュラフ(モンベルダウン#3)、シュラフカバー
カット済み銀マット
テント装備一式
エスパースソロ本体、フライ、ポール、ペグ8本、アンダーグランドシート
ゴール0ソーラー充電器セット
USB充電ケーブル
エネループ単3✕8本
エネループ単4✕4本
ピンチ缶
タッパを入れ物として
安全ピン5個、耳栓1組、ダクトテープ少々、ペンライト(単4✕1本)、バンドエイド5枚、結束バンド5個、保温シート1枚、単4アルカリ乾電池✕4、ダイニーマ2mmロープ、10m
スマホ(ソニーExperia Z Ultra格安SIMのIIJみおふぉん)、腕時計(Gショックライズマン高度計、温度計装備)、携帯ラジオ(ソニー短波、AM、FM)、ヘッドランプ(ブラックダイヤモンド新ストーム単4✕4)
防水デジタルカメラ
水筒類
プラティパス2L、ナルゲンボトル1L、ハイドレーション用ストロー、サーモス保温水筒(500ml)
ストーブ、調理関係
MSR EX(別のストーブのハードケースに収納した)、メンテセット、チャッカマン2個、折りたたみ風防、遮熱板
燃料ボトル(30OZ、11OZフルで一本づつ)
燃料消費は、11OZボトル全消費、30OZ半分消費。
コッヘル大小1セット、折りたたみフォーク1本
その他
コンパス、登山地図(5万分の1)、運転免許証・保険証コピー、お金(約7万円)、笛、レザーマンのナイフ、予備メガネ、トイレットペーパー2巻
通信
スマホ(SONY Xperia Z Ultra 格安SIMのIIJみおふぉん)を定期的に取り出し通信可能かチェックしたところ、蝶ヶ岳山頂、北穂高小屋、穂高岳山荘で電波は不安定ながらも天気予報などの情報を入手することが出来た。
涸沢周辺はガラケーであれば通信可能と思われる。
三股第2駐車場
三股駐車場の手前1kmほどのところに第2駐車場がある。
入り口に小さな看板があるので見落とさないようにしたい。
ここで左下に下りてゆくと10台くらいは停められそうな駐車スペースがある。
林道を拡幅して作ったような駐車場で綺麗に整地され砂利が敷かれている。
奥の方に進むと数台停められそうな広場がある。
地元の作業者に聞いたところ、夏休みシーズン、特にお盆時期は混むので第2駐車場を整備した、とのこと。
付近に水場はないので、水は三股駐車場トイレ横の水場か延命水でポリタンクに汲んでおけばいい。
トイレもないので三股駐車場に行くか、そこら辺の山林に入って用を足すことになる。
まとめ
今回は、涸沢入りするために三股から蝶ヶ岳を越えることになったが、テント泊装備のザックを背負っても十分行動することが出来た。
以前は登りになると直ぐにシンドくなっていたので、随分と体力が付いたようだ。
食料は多めに持っていきモリモリと食べたので体力の回復が早かったのかもしれない。
装備品の取扱いは、スマホを除けば四国遍路に行っても問題ないレベルとなった。
ガラケーの時は稜線歩きで電波をよく掴んだが、スマホはほとんど通信できない状態で、バリエーションや冬山に行く場合問題あり。
今後どのようにして登山中にも通信できるモバイルを確保するか課題が出来た。
慣れた場所であったので、5万分の1の登山地図のみであったので、読図の訓練は出来ずじまいだった。
やはり事前に2万5千分の1の地図を入手し持ち運びしやすいように加工しておく必要がある。
コンパスと地図を疎かにする者は正規の登山ルートを外れる資格はないので、今後しっかりと準備していきたい。
おわり