こんにちは。からあげです。
今日は先日8月21日に入りに行った田代元湯温泉の記事をアップするとしよう。
体調不良でしばらく記録をまとめる気にならなかったが、ようやく回復したので早速やろうと思った。
潮風に吹かれて気分爽快。
田代元湯温泉 2016.8.21
たしろもとゆおんせん
場所は八甲田山の北側、県道40号線から少し奥に入ったところにある。
付近には有名な酸ヶ湯(すかゆ)温泉があるが、無料という魅力に抗うことが出来なかった。
自分はなんてケチなんだろうと思った。
田代元湯(たしろもとゆ)は青森県青森市駒込、八甲田山中にある「やまだ館」の跡地にある温泉のこと。
かつて存在した宿泊施設は廃業し廃墟となっており、温泉も廃湯となっている。獣道同然である山道の通行及び、温泉への入浴はすべて自己責任となる。
現在は木製の露天風呂と岩風呂(露天)の二つの湯船と、辛うじて倒壊を免れたものの屋根の一部が損壊した木造の建物がひとつを残すのみの廃墟である。しかしながら現在でも湯量は豊富であり、地元の有志により清掃が行なわれているが不定期であるため常に入浴可能な状態ではない。
木製の湯船は清掃が容易であるが、岩風呂はメンテナンス性が悪く排水も完全にできないためヘドロと藻が完全に排出できず、少なくとも3~4人で取り掛からなければ困難である。また、奥深い自然の中であるため、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、マムシ、ヤマカガシ、アオダイショウなどの警戒および、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、ブユ、アブ、蚊、ダニなどの防護も必要である。やまだ館
この場所にはかつて「やまだ館」という宿泊施設があった。電気も電話も無い一軒宿で、当時の交通手段は県道40号線に車を停めて徒歩で30分以上掛かる場所にあり、食料品などは山道を人力で運んでいた。そのため周囲の温泉宿よりも1,000円ほど宿泊料が高かったとされる。営業期間は5月~10月末までであった。1995年に廃業。その後施設は特に撤去もされないまま放置されていたが、2003年(平成15年)から2004年(平成16年)に主な建物および内湯が倒壊し、残っていた母屋の一部も2005年(平成17年)から2007年(平成19年)の大雪で全壊した。 更に2011年(平成23年)から2012年(平成24年)の豪雪で残っていた2階建ての木造建屋および奥の湯船の柱部分が半壊。そこへ到達するための単管パイプの橋(小)が雪の重みで歪曲して渡河危険な状態になったほか、最後の単管+ワイヤーの吊り橋も素人では回復不可能な状態にまで破損して渡河不可能となった。
なんでこの温泉に入りに行こうと思ったのかというと、ネットでたまたま見つけて興味が出てきたことと、近所の下湯温泉たぬきの湯が大雨で傷んでしまっていて入れなかったからだ。
さらに情報収集を行うと最近は手入れがほとんど手入れはされていなくて藪漕ぎを強いられるとのことだったが、行けばなんとかなるだろうと思った。
田代元湯の周辺地図
始め入口が分からなくてみちのく深沢温泉の奥の方からアプローチしたが、私有地立ち入り禁止のゲートに阻まれて先に行けないので、西側の駐車場の方から探すことにした。
駐車場から温泉までのルート図
周辺を歩き回って温泉のだいたいの場所は分かったが、温泉への山道の入口が分からなくてかなり迷った。
以前はキチンと付いていたと思われる入口の標識が朽ちて地面に落ちていた。
県道40号線、みちのく深沢温泉の入口。
深沢温泉の横を通り奥へゆく。
すると別荘団地の手前でチェーンにより封鎖されていた。
看板には、かもしかリゾート管理組合、私有地につき部外者立ち入り禁止と表示されていた。
ゲート手前の分岐のようす
左からやって来たところで、奥がゲート、手前が八甲田温泉方面となる。
仕方ないので引き返すことにした。
県道40号線沿いにある駐車場
およそ5台駐車可能
入り口が見つからなくて偶然見つけた駐車場に車を停めて歩いて探した。
地図で見ると大崩沢というのがあるので、県道40号線に架かる橋を起点にして探そうと思ったが、なぜか橋が見つからなかった。
あとで気がついたのだが、沢水は土管の中を通していたようで橋らしい構造物はなかったのだ。
駒込川沿いにあるというのは確からしいので、まずは川を探すことにした。
林道を下りてゆくと下の方から水の音がした。
周囲一帯は、駒込ダム建設のための工事が行われている。
幸い日曜日だったので、休みで人気はなかった。
ちょうど木々の切れ間から川が見えたので、見下ろすと昨日の大雨で増水した川が見えた。
温泉への山道の入口が分からなければ、川沿いを歩いてゆこうと思っていたが、川のようすを見て危険だと思った。
ここはなんとしても入口を見つけるしかない。
地図も持たずに勘を頼りに歩いていると、ガードロープのところにやって来た。
おや、これはなんか見覚えがあるぞ。
おお、そうだ!宇崎ツカさんのブログで見た覚えがある。
ヤブをかき分けてみると薄っすらとした踏み跡が見える。
しかもトラロープも付けてある。
ここだ!間違いない。
あいにく手ぶらでクロックスもどきを履いているだけだったので、一旦車に引き返すことにした。
参考リンク
宇崎ツカの開拓狩猟生活と車中泊旅行
【青森県温泉】崩れかけの吊り橋!廃墟に湧き続ける混浴露天温泉 【野湯】田代元湯【無料】 ツカたび2015
駐車場からゲートを抜けて下の方に下ってゆく。
十字路を真っ直ぐ。
そして突き当りのT字路を右に折れる。
すると直ぐ左手に入口がある。
車に戻ってカッパ上下、渓流シューズ、ヘルメット、グローブ、長袖ウインドブレーカー、食糧、水などを用意して入口に戻ってきた。
なんだか雨が降りそうな天気だが、ここまで来たからには引き返す訳にはいかない。
さあて、行くとしようか。
これが下に落ちていたコンパネ製の標識だ。
裏返してみても何も書かれていはいない。
なんとなく赤っぽい色が付着していたのみ。
入口から入って直ぐのところは笹が茂って視界が悪かった。
下の踏み跡をトレースしながら下って行った。
始めは濃かったヤブも下るにつれて薄くなって歩きやすくなってきた。
一時はどうなることかと思った。
ツカさんの記事には確か踏み跡があったハズ。
一年足らずですっかり消えてしまうことはない。
ようやく歩きやすい道になってホッとした。
ところどころピンクテープが取り付けてあった。
安心したのも束の間、なんと前方に沢が現れた!
これを渡渉するのだな。
沢には橋の残骸と思われる錆びた単管パイプが沈んでいた。
水量が多いが飛び石で渡れないこともない。
こういうこともあろうかと沢靴を履いてきたので問題なし。
普通にザブザブと入って渡渉する。
ふぅ~ちょっと緊張したな。
この小さな沢も昨日の大雨で増水しているようだ。
沢を渡ると少し沢沿いに歩く。
すると斜面が崩れていた箇所があった。
駒込川(こまごめがわ)に出たところ。
吊橋までは川の左岸(下流に向かって左側)を歩く。
間近でみると増水しているのがよく分かる。
川の水が薄茶色に変色している。
川沿いの道はところどころ崩れているところがあって注意を要する。
川に落ちたら増水した川に流されてしまう。
前方に例の崩壊しかけの吊橋が現れた。
一見すると問題ないようにも見えるが、油断は禁物だ。
しっかりとチェックを行う。
ざっと見て吊橋を揺すってみると意外に丈夫だったので、イケると判断した。
腐った木は触らないように下側のパイプに足を載せ、上側のパイプを掴んでカニ歩きをする。
体重と装備品の重量を合わせても約65kg。
ゆっくり動いても少し揺れるが、パイプが折れそうな音はしなかった。
余裕が出てきたので、途中で記念撮影。
カメラを落とさないように気をつけた。
ふぅ~、吊橋を突破したぞ!
3分ほどで渡ることが出来た。
それにしても折れそうで折れない橋だったな。
伊達に冬を乗り越えていない。
橋を渡ると川岸に岩風呂が現れた!
どれどれ、早くもおっさんは興奮気味だ。
近寄ってみるとガックリ。
見た瞬間、これには入りたくないと思った。
川の増水で水に浸かり、泥のようなものが溜まってしまっている。
こちらは変な藻のようなものが浮いている。
汚いのでも平気なおっさんだが、ここには入りたくないと思った。
岩風呂を過ぎてさらに奥の方に行ってみる。
すると木製の湯船が現れた!
見た瞬間これなら入れるかもと思った。
うむ、お湯は多少白く濁っているが、それほど目立って汚れている訳ではない。
湯船をよく見ると手前側に塩ビ管が埋まっていて、その中に湯が吸い込まれている。
これを外せば湯を抜けるのか。
なんとおっさんは勢い余って塩ビ管を抜いてしまった。
もういいか。
綺麗に掃除して入ることにしよう。
勢い良く排出されるお湯。
なんだか凄く面倒なことになってきた気がした。
お湯は10分ほどで抜けてくれた。
残り僅かになったところで、備え付けのブラシを使ってゴシゴシと洗った。
湯船の横には掃除道具や湯おけが置いてある。
綺麗に掃除をしたところで、塩ビ管を元のように取り付けてお湯を貯める。
このようすを見た瞬間、早まったことをしたなと思った。
湯量はそれなりにあるのだが、湯船が大きすぎてなかなか貯まらない。
持参した玄米ご飯を食べて一息ついてもまだまだ時間がかかりそう。
そこで近所をウロウロすることにした。
なんと他にも木の湯船があった。
ここはブクブクとした泡が漂っている。
草の下に何かの残骸が見える。
沢靴の底はフェルトで柔らかく、釘やガラスの破片を踏むと貫通してケガをする。
それなので、ヤブをかき分けて注意深く歩いた。
ホースは井戸のようなところから延びていた。
ここは源泉が湧く井戸なのか。
ブルーシートと建物の残骸、奥には井戸のようなものが見える。
湯船の上流側。
熱いお湯が次から次へと流れてくる。
これは豊富な湯量だ。
手前の岩風呂の方に向かって飛び石の道が続いている。
かつてはここを多くの人々が行き来していたのだろう。
こんなところにもコンクリート製の湯船があった。
いや、ここは湯を貯めておくところか。
建物の残骸。
こんもりとした山となっている。
豪雪地帯では廃屋となった建物はしばらくすれば雪の重さに耐えかねて潰れてしまうことだろう。
まだお湯が貯まらないので、川に出てブラブラする。
温泉前から上流側を写した。
こちらは下流側の吊橋方向を写す。
朽ちかけた吊橋がなんとも痛々しい。
お湯はまだかとおっさんはたいそうご立腹だ。
待てども待てどもいっぱいにならない。
もう仕方ない。
待っていたら日が暮れてしまいそうなので、4分の1くらい貯まったところで、湯船に入ることにした。
裸になってサンダルを履いて湯船に近づく。
湯船の周りは泥濘んでいて、裸足で歩くと泥だらけになってしまう。
まともなところにサンダルを置いてお湯に入った。
すると熱くて足がしびれてくる。
このまま寝そべれば湯に浸かれるが、熱くて熱くて我慢出来ない。
せっかく掃除したのにゆっくりと浸かることが出来ないとは。
仕方ないので、桶にお湯を汲んでばちゃばちゃと浴びた。
それでもかなり熱かった。
こんなことならどこかで水浴びした方が良かったなと思った。
お湯を浴びてさっぱりしたところで、服を着て靴を履き出発することにした。
いつまでもここに留まることは出来ない。
再び雨が降ってくるとも限らない。
用が済めばさっさと退散しよう。
もうすぐダム底に沈んでしまうので、今回が最初で最後の田代元湯となった。
建物が壊れて露天風呂になってしまったので、お湯が汚れて掃除しないといけないのは面倒だった。
しかし、ちょっとした探検気分が味わえておっさんも大満足だ。
最近、気分が優れなくて鬱々としっぱなしだったのに、少し気分が晴れた。
やっぱりゴロゴロしているんじゃなくて、外に出た方が気分転換になって良いと思った。
よし、岩風呂とも最後のお別れだ!
湯船に浸かることは出来なかったけど、なかなかいい雰囲気だったよ。
沈んでしまっても達者で過ごすんだぞ。
直ぐに魚達が寄ってくるので寂しくはないぞ。
吊橋のワイヤーに絡みついた草や流木。
川が増水するとここまで水に浸かるとなるとダムに沈む前に完全に崩壊してしまうかもしれないな。
行きは良くても帰りは渡れるとは限らない。
慎重にゆっくりと歩く。
単管パイプのつなぎ目が裂けたらそれでお仕舞い。
何本か繋ぎあわせているこのパイプ。
不思議と折れそうで折れない。
橋の半ばを過ぎてホッとしたところ。
縦になっているパイプはただぶら下がっているだけ。
強度アップには何の役にも立っていない。
帰りも道に迷わないように忠実に踏み跡を辿ってゆく。
この時は、地図を持っていなかったので、位置関係があやふや。
無事に入口に戻ることが出来た。
せっかくお湯を浴びたというのに、カッパで蒸れて汗が滲んでしまった。
下は脱いでいても暑かった。
本当になんのために温泉に入りに行ったか分からない。
まあ、自己満足のためだな。
なんとか雨に降られずに車に戻ってくることが出来た。
早速、道具の後片付けを行う。
湿度が高いので、干していてもそれほど乾いてくれなかった。
ここで駐車場から温泉までの所要時間を説明しておこう。
駐車場から山道入口まで 約15分。
山道入口から温泉まで 約25分。
合わせて約40分だった。
今回は工事が休みだったので、通行することが出来たが、工事中だと通れるかどうか分からない。
山道の入口入ってしばらくはヤブが濃いので、ケガをしないように長袖長ズボンを着用した方がいい。
沢の渡渉と崩壊しかけの吊橋があるとのことだったので、念のためヘルメットを被って沢靴を履いていった。
距離は短いが道の状態は良くないので、万全の態勢で行って欲しい。
ただし、どうなっても知らない。
こういうことは全て自己責任で。
何があっても自分のせい。
それが嫌ならお金を払って安心安全のちゃんとした温泉に入った方がいい。
予定では2018年にダムの底に沈んでしまうようだ。
温泉に入るチャンスは今年と来年くらいだろうか。
最後の吊橋が完全に崩壊して渡れなくなってしまうと、川の水が引いている時しか行けなくなってしまう。
行くなら早めに行っておいたほうが良いだろう。
もう私は一度入って十分満足。
正直なところ、川で水浴びした方が楽でいいと思った。
おわり
コメント
さすが隊長!田代温泉へのハードな道のりなんて余裕ですね。
日記楽しいです。
場所が分からなくて凄く迷いました。
ツカさんのブログを見ていたので、ガードロープを見た瞬間にこれだと分かりました。
元気を回復されて何よりです。
今回の探検、隊長の結論は「自己満足のため」であっても、自分では行けない所に連れて行ってもらって私はとても楽しかったですよ!
どうもありがとうございます。
今後もマニアックな場所を紹介したいと思います。