みちのく潮風トレイル【26日目】~陸前高田から気仙沼まで~

こんばんは。からあげです。

 

今日、お昼前から降り始めた冷たい雨で体力をかなり消耗してしまった。
雨の中歩くのも辛いが、一番嫌なことは歩道のない車道歩きだ。
だったら、交通量の少ない道を選べばいいと思うかもしれない。
しかし、車の通らない道はたいてい曲がりくねった山道で、歩けども歩けども全然距離が伸びない。
もう私は寄り道せずに最短コースで福島県相馬市を目指すことにした。
早くこの苦痛から逃れたい、この一心のみ。

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せっかく昨日は橋の下でテントを張ったというのに雨は降らず。
なんだか凄く勿体ない気がした。

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JRの線路には草がぼうぼうに生えていた。
もう整備し直す気は全くないようだ。
新しい道路が線路を切り取られて作られている箇所もあった。
これを見て電車の復活はないと思った。

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陸前高田に入る前に迂回しなければならなくて、かなりのタイムロスをした。
ようやく国道45号線に出て海岸に近いところを歩いてゆくと、見渡す限りの荒野が広がっている。
民家は全くなし。
山手の方にかなり奥の方に見えただけだった。

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国道脇の5階建ての公営マンション。
4階部分までがめちゃくちゃに壊れている。

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このマンションに住んでいた住人は大丈夫だったのだろうか。

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ガソリンスタンドの看板の一番上まで水没したらしい。
看板の一番上にラインが引かれている。

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旧道の駅

ここも津波の被害を受けて閉鎖されたままとなっている。
震災の遺構として残してある施設のようである。

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内部も当時のまま。
津波の威力は凄まじい。

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海岸に広大な松原があったというが、津波によって1本を残し全て流されてしまった。
その残った松は奇跡の松として大切にされていたが、海水の影響のためか枯れてしまった。
その後、人工的に修復し今に至っている。

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奇跡の松とユースホステル

ユースホステルもめちゃめちゃに破壊されている。

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こちらは中学校。
最上階の3階部分が破壊されている。

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今日は陸前高田では食料の補給ができなかったので、国道沿いにあったコンビニでパンなどを購入した。
最近、コンビニで頻繁に買い物をするので、財布に穴が空いているようにどんどんお金が減ってゆく。
玄米を食べれば、格安でパワーを維持できるのにと考えてしまう。
歩き旅は、食費が嵩むのがかなり痛い。

ようやく宮城県入りしてさらに歩いて来たが、気仙沼手前の霧立(きりたち)トンネルは自動車道となっているため、歩行者の通行は禁止。
それで大回りしなければならなかった。

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ようやく霧立トンネルの向こう側にやって来た。
トンネルを抜ければ一般道なので、その次の唐桑(かわくわ)トンネルは歩行者でも通行可能。
ただし、歩道がないのでかなり危険なトンネルとなっている。

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旧道を通って峠を越えると果てしなく時間がかかる。
ひょっとするとまともに通れるかどうかも分からない。
しばらくの辛抱だ。
ヘッドランプを点滅モードにしてトンネルに突入する。

このトンネルの前から雨が降り出してすでにポンチョを着たままとなっている。
色が自衛隊みたいなので、非常に目立ち難いのが痛い。
狭い場所で脱ぐわけにもいかないので、着たまま歩くことにした。

歩けるスペースがほんのわずかしかないので、非常に怖い。
対向車のドライバーを睨みつけるようにしてドンドンと進む。
途中で疲れてもザックを下ろして休むわけにもいかない。
このトンネルは気合で切り抜けた。

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ホーマックの休憩コーナーでぐったり。

トンネルを抜けた後、ザックを下ろして休める場所がなかったので、延々と歩いて気仙沼の町までやって来た。
町に入った直ぐのところにあったホーマックに逃げ込む。
休み無しで無理して歩いたので、もう体はボロボロ。
冷たい雨に打たれて体力の消耗が激しい。

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ホーマックで厚手の靴下を購入した。
新たに購入したウォーキングシューズのソールが薄くて足が痛い。
少しでも足の負担を軽くする。

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気仙沼の海岸付近は壊滅的な被害を受けていた。
新興住宅地のように空き地が目立つ。
どこもかしこも工事中で迂回したりしているうちに方向感覚がおかしくなり道に迷う。

なんとか川の中洲地帯から抜け出し、イオンに辿り着くと中に入って食料品を調達した。
大船渡でまともな食料を買えなかったので、気仙沼ではどうしても買いたかった。
しかし、すでに時は夕方で日没までの猶予はなし。
さっさと買い物を済ませて店を後にした。

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店を出ると、周囲は薄暗くなっていた。
南の方に向かって歩いてゆくも、全然民家が途切れることはない。
完全に暗くなってしまうとねぐら探しが一層難しくなる。
動物的感覚で見つけたお寺の墓地の駐車場の片隅にテントを張った。
墓地周辺は民家が離れていることが多いので、町中での野宿にはいい場所だ。
日当たりがいい場所が多いので、雰囲気も悪くない。

 

明日は晴れるみたいだから、ようやく落ち着けるな。
さあて寒くなるようだから、暖かくして寝ようか。

 

おわり

コメント

  1. お銀 より:

    津波の時この沿岸の映像を一日中食い入るように見ていました。あまりの衝撃でテレビもパソコンもほとんどつけっぱなしでした。5年経った今でもほとんど手付かずで残っているんですね。自分の足で歩いて見るのは貴重な体験だと思います。辛い歩き旅ですがそれ以上に心に残るものがあると思います。

    • karaage より:

      はい。車では絶対に見られないものを見ています。
      この情報を読者と共有しようと思います。

  2. 一式陸攻 より:

    震災、津波の後は、生々しい。

    やはり、陸前高田周辺は、工事のダンプとかで騒がしいのでしょうか?

    隊長の記事から津波の威力が伝わりました。
    もう日本のメディアは、その辺の風景を伝えたりしません。

    放置された線路、公営住宅と日本人として復興を心からお祈りします。

    • karaage より:

      工事中の現場は凄い音です。
      重機の爆音が轟いています。

  3. 中野貴徳 より:

    おつかれさまです。

    今日は近くを通ると思い、探しに行こうかと考えてたのですが、時間が取れずじまいでした。

    寒さで雨でキツイ状況だったと思いますが、体調に気をつけて下さい。

    • karaage より:

      いえいえ、お気遣いなく。

      越前高田の惨状を目の当たりにして呆然としてしまいました。

  4. toshi より:

    だいぶ南下しましたね。
    青森も隊長が宿営した八甲田山周辺には道路脇に
    雪が残るようになってきましたよ。

    陸前高田の団地ですが、あの4階部分に漁船が
    突き刺さっていましたよ。
    取り壊してしまった近くの病院も同じ様な惨状でした。

    震災直後に現地で撮った写真を見ることはないのですが
    記憶に鮮明に残っています。

    • karaage より:

      最近、随分と冷え込むようになりましたからね。
      ちょっと前までいたところなのに、もう冬の到来ですね。

  5. ヤッシー より:

    震災の報道されない真の姿を観れたようで
    有難うございます。
    色々工夫されて生きているところは、もうじき定年を迎える自分に関して
    とっても参考になります! 有難うございます。
    是非是非 装備品の公開もお願いします。

    • karaage より:

      震災の5年後にこうして被災地を見て回れたのは非常にいい経験でした。

      はい、あとできっちりとアップします。

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