別れはある日突然やって来る。買い取り業者と契約を交わし、引き渡しの日を待つだけとなった我が愛しのジムニー。時が経てば経つほど別れが辛くなると思った。こういう時は勢いに任せてすぐに手放した方がいい。
2014年2月 山小屋付近の林道にて
山梨に土地を購入して移住した初めての冬。かつてないほどの大雪に見舞われて、ジムニーとともに山奥に閉じ込められてしまった。来る日も来る日も雪かきをして脱出しようと足掻いていた。当時はまだテント暮らしでジムニーに頼る部分が多かった。雪解けを待つほうが早いかと諦めかけていた時、麓から除雪車が上がってきてようやく脱出することができ、親父の四十九日の法要になんとか間に合った。
北海道と東北を2年続けてジムニーとともに旅に出て各地を回った。狭い車内で車中泊した日々を忘れない。こんなにも早い別れが来るとは思いもしなかった。
ジムニーに頼ると、探検家に必要な能力、強靭な精神力が育たない。PCTを歩きながら不要品処分のことを考えていると、ジムニーを手放した方が良いという考えしか浮かばなかった。どう考えても私には無用の長物と化していた。しかし、ジムニーは不要だと分かっていても、愛着があってなかなか決断できずにいた。今思えば、執着心でしかないのだが。
日本に帰国して山小屋に帰ると、無残なジムニーの姿があった。
私はこのジムニーを見ると、すぐに手放そうという気持ちになった。皮肉なことに根性なしの卑怯者に背中を押された形となった。
車が動かせなくなってからは、どこへ行くにも痛い脚を引きずって(PCTハイキングで傷めていた)長時間歩かねばならなくて、山での生活が非常に辛かった。車を手放すと決めてからも、車のない生活のことを考えると憂鬱な気持ちになった。
ところが、次第に足の傷が癒えてくると、冷静になって考えられるようになった。車のない生活でも、できないことはない。幸いなことに私はフリーであるため、毎朝決まった職場に通う必要もない。自分のペースで、自分のやりたいことすべきことを淡々とすることができる。
空気の抜けたタイヤを見た時、おっさんは心の中でガッツポーズをした。これはネタになる。ブロガー多しと言えども、タイヤをパンクさせられた奴はそういない。まだ東京で消耗してるの?(現在はまだ仮想通貨持ってないの?)の文句で東京のサラリーマンを煽り続けているあのイケダハヤト氏でさえ、車のタイヤをパンクさせられていない。おいしい。おいしすぎる!
無邪気に喜ぶおっさんを見ていたら、こっちまでなんだか嬉しくなってきた。車を手放しチャリダーとなったおっさんのブログなんて面白すぎやしないか?イケる。イケるぞ!
今朝起きると、ジムニーの燃料タンクからガソリンを抜こうという気になった。早くも気持ちが切り替わっている。燃料計の目盛りは4分の1から少し減っているくらい。5Lは余裕で抜ける。
ガソリンの抜き出しは、参考記事の要領で行う。今回、普段使っているビニールホースは小屋に置いてきたため、急きょ近くのホームセンターに行って2mだけ買ってきた。すると短かかったため、別のホースを継ぎ足した。それでもタンクの底に届かなくてガソリンを抜けなかった。変なところでケチってしまった。もういい。残りのガソリンはくれてやろう。こんなしょうもないことで時間を費やすのは勿体ない!
自転車屋から戻って来ると、車と一緒に記念撮影した。もう会えないと思うと寂しいけれど、このジムニーはきっと良いご主人様に巡り合うはずだ。気持ちよく送り出してやろう。
車の中からこんにちは。
冷静にあちこち観察すると、私のジムニー、運転席ドアを除けばかなり状態がいい。40万円は早まったか?いや、いいんだ。車屋だって金が要る。私が独り占めするのではなく、みんなで利益を分け合ったらいい。ジムニーと自転車を等価交換するくらいの考えでいい。
シートの座り心地を確かめる。ジムニーのこの安っぽさが堪んないんだよな。シートに揺られてあちこち行ったなあと感慨に浸る。
私の魂が詰まったエンジンルーム。こまめにウエスで拭いてキレイにしていた。見えないところをキレイにする。それが元船舶機関士の私のこだわりだった。
夕方、車屋に行きジムニーを引き渡して代車に乗って実家に戻ってきた。
日産ウイングロード
これがしばらく私の足となる。昨日の車屋の話だとオンボロの軽のライフだということだったが、バッテリーが上がり気味のため、急きょコイツに変更になったそうだ。そりゃそうだ。引き渡しは来週となっていたのに、翌日やって来ようとは思いもしなかっただろう。
どうだ!暇人のフットワークの軽さは相当なもんだろう?
自転車が納車されるまで、約2ヶ月間お世話になる。今日、自転車屋で話を聞いてきたところ、注文してから納車まで早くても一月くらいかかるそうだ。もう自転車はだいたい決めている。貰ってきたカタログを見ては広大なユーラシア大陸を走るところを想像してニヤニヤしている。
さあて、ジムニーは片付いた。調子に乗ってドンドン片付けていこうか。
おわり
コメント
自分のペースで自分のやりたいこと、すべきことを淡々とするだけでいい。
< そうですよ!その意気ですよ!
別れがくれば、
次は、
ステキな出会いが待っています。
隊長使用のジムニーを知らずに乗る人が裏山ですよ。
見えないところにこっそりサインしたくなりました。
いい人に貰われるように願っています。
隊長の新しい旅が始まるんですね。
新たなる相棒、楽しみにしてます。
そうです。新たな相棒の紹介はしばらく待ってくださいね。相当カッコイイですよ!
PCTの写真のフォトブックとかださないのでしょうか。
別サイトでPCTの特選写真を集めたギャラリーを公開予定です。
PCTスルーハイク達成、おめでとうございます!お疲れ様でした。
隊長と以前お会いした時に、ジムニーのソーラーパネルの発電量が少ない場合、アイドリングでサブバッテリーに充電していると伺ったのですが、その方法(システム)はこのブログには記載されていないのでしょうか?
ジムニー関連で探してみたのですが、見つからず…。
アイドリング充電ができれば、発電機を買う必要もなくてお得かなと思いまして。
電気は、シガーソケットから取っているのでしょうか?
(ジムニーを売ってしまわれる前に質問すれば良かったですね。苦笑)
お久しぶりです。
走行充電は、家庭用のAC充電器を使って別系統で行っています。
https://karaage.info/2015/11/17/204852/
https://karaage.info/2015/11/18/203821/
2つの記事を読めば分かると思います。
サブバッテリー系統とは切り離して別系統にして安全性を高めているのがポイントです。
シガーソケットは容量が少ないため、メインバッテリー直結のインバーターから充電器の電源をとっていました。
ジムニー関連は分かりにくいので、今度まとめようと思います。
早速の返信、ありがとうございます!
参考記事を何度か読み返して、何となくですがイメージを掴むことができました。
後は実践で頑張りたいと思います。
隊長のブログは、探検だけでなく、DIY(個人的には特に電気関係)に関心があります。
これからもブログ楽しみにしています。
自転車編、頑張ってください!!
DIYは試行錯誤の過程が非常に面白いですよ。
困ったことがあればメールください。