みちのく潮風トレイル踏破記録 【その5】~宮古市からとどヶ崎まで~

2016日10月19日(13日目)

行程

宮古市中の浜から市街地まで   

歩行距離 17.8km 
行動時間 10時間20分(調査・休憩時間を含む)
ねぐら  道の駅「みやこ」

04:00 起床 くもり テント内14℃

昨晩も誰にも邪魔されずに静かな夜を過ごすことができた。
朝、起きると芝生の上一面に夜露がびっしりと下りていてビックリした。
もちろんテントのフライシートはずぶ濡れとなってしまった。
外に干していた洗濯物は濡れたままだった。却って濡れたような気がした。

06:10 出発

テントの撤収にもたついていて出発が少し遅れる。
公園を出て海岸から見る景色がなかなか良かった。
昨日は季節外れの暑さにやられてしまって大汗をかいてかなり消耗した。
今日の天気はどうだろうか。

姉ヶ崎(あねがさき)に向かって遊歩道を登る。
入口は難なく見つけることができた。
1日の始めからルートが分からないと、思わずイライラしてしまう。
今日の出だしは好調だ。

 

姉ヶ崎オートキャンプ場

所在地 岩手県宮古市崎鍬ヶ崎18-25-3
電話  0193-62-9911

トイレ、温水シャワー、炊事場あり。
フリーサイト20区画(1,030円)、管理費(310円)計1,340円

設備が整っている新しいキャンプ場。
料金はサイト使用料に加えて管理費が必要。
町が遠くて徒歩旅だと買い出しに行くのは無理。
(近くの休暇村なら何か売っているかもしれない。)

リンク 休暇村HP(姉ヶ崎オートキャンプ場)

07:00 姉ヶ崎オートキャンプ場

大を催したので、トイレを借りにやってきた。
キャンプ場内にお客さんの姿はなし。
管理人さんの姿も見えなかった。

オートサイトは13区画。
隣のサイトと離れていて、ゆったりとしたサイトとなっている。

オートサイトの各区画に設置されている流しとかまど。

縦長の箱は電源。
追加料金で電気を使用できる。

こちらがフリーサイト。
広くて開放的なサイト。
設備が整っていて快適そうなのだが、高い料金を払ってまで泊まりたいとは思わなかった。
整い過ぎていてどこか不自然なのだ。

姉ヶ崎付近の遊歩道は断崖の端の方にあって、ところどころに整備されている展望台から景色を眺めることができる。
ちょうどアカマツの切れ間から北の方の海岸線が見えた。

07:20 姉ヶ崎展望所

キャンプ場から少し行ったところに大きな展望台があった。
東屋の奥の方から姉ヶ崎の先端部を見下ろすことができる。

姉ヶ崎を見下ろす。
周囲の樹木が茂っているため、視界が狭まっている。

姉ヶ崎の周辺の遊歩道は、全くのフラットでアップダウンはなし。
快適な散歩を楽しむことができる。
アカマツ間から朝日が差し込んでいる。

浄土ヶ浜(じょうどがはま)方面へと続く海岸線。

遊歩道から下がったところにも展望台があった。
東屋は流されて基礎部分だけ残っていた。

低い位置から海岸を眺める。
向こうに見えるのは、重茂(おもえ)半島。

展望台から戻ってきたところ。
こんな重たいザックを背負うのが嫌になってくる。

沢沿いを歩く。
珍しく水が流れていた。

潮吹穴手前から日出島(ひでしま)を望む。

休暇村を過ぎると快適なフラットの道は終わり、アップダウンが出てくる。
このアップダウンが意外と体力を消耗させる。

08:15 潮吹岩(しおふきいわ)

潮吹岩の前の広場にザックを置いて一休み。
耳を澄ませていても潮吹きの音が全く聞こえない。
風が弱くて海上は穏やかとなっている。

潮吹穴の前までやって来たが、まるで潮を吹く気配はなし。

潮吹穴(しおふきあな)

陸中海岸は、日本でも屈指の自然美にあふれた海岸線として国立公園に指定されていますが、ここ宮古から北と南では、風景が違います。
北は200m近い大断崖が連なる隆起海岸。南は、リアス式の沈降海岸です。
この付近の海岸は、一億年前の海底が隆起したもので、当時堆積した石や砂からなる礫岩でできています。
隆起後は、海の侵食を受けて、洞門、潮吹穴、岩礁などの特色ある地形ができています。
目の前の岩礁に開いた穴は、陸中海岸随一の潮吹穴です。波が高い時は、30m以上も吹き上げますが、吹かない日も多くほら吹き穴と呼ぶ人もいます。

立て看板より

最後のオチが笑うところなのだろう。
景色を見ながらカロリーメイトを食べた。
ちょっと歩いただけなのに、もうお腹が空いてきた。

08:40 日出島漁港

日出島が目の前に見える小さな漁港までやって来た。
集落の中の小道を通る。
港付近に真新しいトイレがあったが、まだ完成前なのか閉鎖されていた。

漁師さんが箱メガネで海中を覗いている。
何を探しているのだろうか。

アップダウンの繰り返しにバテてきた。
まだ午前中だというのにどうしたことか。

大沢の海岸に巨大な防潮堤が建設されているところだった。
のどかな漁村に巨大な人工物は凄く違和感を感じる。

浄土ヶ浜の手前、蛸の浜(たこのはま)付近で墓地の中を通る。

墓地の中の水場。
水道の蛇口を捻っても水は出なかった。

浄土ヶ浜大橋下の墓地。
真新しい墓地が目立つ。
津波の被害者が眠っているのだろう。

墓地付近の迂回は分かりにくかったので、取り敢えず県道まで登ってきた。
浄土ヶ浜大橋の上は良き展望スポットで蛸の浜周辺の海岸を見下ろすことができる。

浄土ヶ浜大橋より蛸の浜を見下ろす。
工事により海水が濁っている。

県道248号線の脇に剛台(つよしだい)展望所あり。
ザックを置いて上まで往復した。
展望台の広場には東屋あり。周囲は樹木が生い茂り見晴らしはほとんどきかない。

11:15 浄土ヶ浜(じょうどがはま)ビジターセンター

剛台展望所からはそのまま県道を歩いてビジターセンターまでやって来た。
天気がいいので、濡れたテントを干したり、ソーラーパネルで充電したいためだ。
それにお腹が空いて目が回ってきた。

休憩所

ガラス張りで中はポカポカと暖かい。
せっかくお金をかけて作った施設なのに、利用者は全くいない。
観光客は、車で来て浄土ヶ浜を見るとパッと帰って行ってしまう。

野宿者にとって休憩施設は有り難いが、小奇麗過ぎて却って使いにくい。
そうか小汚い野宿者を寄せ付けないために小奇麗に整備したのか。

休憩所からビジターセンターまで繋がっている屋根付きの通路。
ここはビジターセンターが終わって観光客が帰ったあとでないとゆっくり休めない。
雨の日には良い休憩スポットだが、無駄に立派過ぎる。

駐車場の片隅にあるトイレ

綺麗な水洗トイレ。手洗い場で水汲み可能。
ビジターセンターの中にもトイレがある。

結局、駐車場の片隅で休憩することにした。
手すりにテントや衣類を干す。
少し風が強くてバタバタとなびいて干しにくかった。

干し物が片付いたので、ラーメンを作ることにした。
強風下でストーブを使うとガスの消費量が増えるので、陰になる場所を探したがどこにも見当たらなかった。
仕方ないので、前を横切る観光客をよそに、淡々と昼ごはんを済ませた。

昼食を済ませると、荷物を置いて空荷で浄土ヶ浜に向かう。
ビジターセンターから海岸の方に下りることができる。
エレベーターがあったが、歩き旅の途中なので階段から下りて行った。

海岸沿いには立派な遊歩道が整備されている。
私の前後には観光客の姿がある。

観光船乗り場。
日出島を回って戻ってくるコースのようだ。

浄土ヶ浜マリンセンター

桟橋に白鳥のボートや手漕ぎボートが繋がれているが、観光客は全て素通りしてゆく。
観光地に見られる寂しい風景だ。

陸揚げされたボート。
ほとんど使われることなく、置物としてこのまま朽ちてゆくのか。

マリンセンター前のトイレ

震災後に整備された真新しいトイレ。
前にはゴミ箱が設置されている。

浄土ヶ浜の周辺は、白っぽい岩が目立つ。
遊歩道脇の崖を写した。

浄土ヶ浜レストハウス付近の東屋

大型で非常に立派な建物。
下側には風よけとなる壁が付けられている。

広々とした東屋内部。
これならどんなテントでも張ることができる。
夜になって人が途絶えれば、ここは野宿者の天国となるだろう。

浄土ヶ浜レストハウス

簡単な食べ物や軽食をとることができそうな場所。
全く用はなかったので中には入らず。

12:40 浄土ヶ浜

雰囲気の良い静かな入江。
天気が良くて波は穏やかなので、ついマットを敷いて昼寝したくなるような場所だった。

周辺は砂利の海岸。
歩くとカラカラと音がする。

のどかな風景。
歩き旅の途中であることを忘れそうになる。

浄土ヶ浜の周辺だけは工事が行われていなくて静かで良かった。
聞こえるのは観光客の声のみ。

ビジターセンターの展示コーナーのようす

帰りはビジターセンターに寄って情報収集を行う。
浄土ヶ浜より南から釜石までの区間は、まだ未開通となっている。
トレイルマップがないとまともに歩けないことは、これまで歩いてきて分かっていたことだった。
情報収集の結果、宮古からは月山(がっさん)から本州最東端のとどヶ崎までがだいたいの予定ルートであることが分かった。
これだけ分かれば、手持ちのツーリングマップルの地図(12万分の1)で歩くことができる。

14:00 ビジターセンター発

浄土ヶ浜見物と情報収集のため、かなり遅くなってしまった。
いくつか展望台があったが、全て素通り。あまり寄り道ばかりしていられない。
今日の予定では道の駅。
行けばなんとかなるだろうと思った。

山を下りたところにある漁港。
ここから道の駅まではあと少し。
海岸すぐ近くの道は、工事中で通行止めとなっていたので、迂回するような感じで少し内陸の道を通って行った。

海岸近くは、空き地ばかりで、どこも工事中だった。
山際の方から順に住宅の建築が急ピッチで進められていた。

 

道の駅「みやこ」

場所   宮古港の岸壁近く。
営業時間 09:00~17:00

物産コーナー(食料品あり)、レストランあり。
24hトイレ、休憩所(24h開放)、軒下多数あり。
道の駅の建物周辺や岸壁付近でもテントを張ることが可能。
野宿のおすすめは休憩所。
最寄りのスーパーまで徒歩で約30分。

リンク 道の駅・みなとオアシスみやこ シートピアなあど

14:30 道の駅「みやこ」

道の駅に着くと、すぐさま施設のチェックを行った。
見極めてダメなら、買い物だけ済ませて先に進もうと思った。

建物の東端にある軒下。
広くて雨の日の野宿も快適。
まだ営業中で業務車両が出入りしていた。

西橋の出入り口

ここも広大な軒下があって荒天時でも快適に野宿することができる。
近くに外水道もあった。

敷地の東端にある24時間開放のトイレ

自販機コーナーの奥に右手にトイレ、そして左手には休憩所がある。
トイレ内の手洗い場で水汲み可能。

休憩所(24時間開放)

窓際にテーブルが設置されているのみ。
だだっ広い部屋で明かりは、センサーで点灯するようになっている。
(手動でON-OFFするスイッチはなし。)
どうても一般人向けの休憩所ではない。
ここにマットを敷いて寝てくださいとでも言っているように感じだった。

休憩所の他にも岸壁周辺でいくらでもテントが張れそうだったので、今日のねぐらは道の駅に決定した。
ねぐらが決まったところで、まずは物産コーナーで白米2kgを購入した。
白米の残りは少なくなっていた。

ザックは道の駅に置いて手ぶらで買い出しに向かう。
少し行ったところの小高い丘の上に古ぼけた建物が建っていた。
ここだけは津波の被害を免れたようすだった。

2階建てのアパートの1階部分が津波で流されてしまっていた。
鉄骨むき出しになっていたが、流された1階部分は駐車場として使われ、2階は普通に住民が住んでいるようすだった。

大通りまで出ると、賑やかになってきた。
津波で受けた傷あとはほとんど残っていない。

宮古市役所

大きな交差点近くにあった建物は市役所だった。
外には大きな横断幕が掲げられている。

市役所からさらに進むと右手にスーパーが見えて来た。
まずは手前にあったコンビニでカセットボンベ1本を購入した。
スーパーにもあったが、3本セットでしか売っていなかった。

道の駅から最寄りのスーパー玉木屋。
ここで食料をたくさん買い込んだ。
お腹が空いていたので、帰り道で歩きながらメンチカツとコロッケを食べてしまった。

道の駅に戻るとベンチに座って宮古産のいなだの刺し身を食べた。
久しぶりに食べる魚で非常に美味かった。

16:30 テント設営

道の駅の営業終了時間が迫ったので、荷物をまとめて外にでた。
まだ駐車場には、車がたくさん停まっていて人の出入りが多かった。
そこでトイレの裏の岸壁の片隅でテントを張ることにした。
背後の防潮壁が目隠しになってちょうど良かった。

目の前の岸壁は、車が入れないように封鎖して、漁網の干し場となっていた。
人気のある場所での野宿では、車に轢かれる危険もある。
こうして車が入って来れない場所に張れば、安心して寝ることができる。
近くの岸壁で会社の同僚と思われる集団がバーベキューをやっていていい匂いが漂ってきた。

買い食いしてお腹が膨れたので、少し休んでから休憩所に行ってブログ更新を行った。
ACコンセントがあったので、スマホを充電させて貰った。
ここでスマホとモバイルバッテリーを満タンに充電して、無事ブログ更新も終えることができた。
休憩所は暖かくて快適だが、トイレと間違えて入って来る人がいやしないかと思って、ここでの野宿は止めることにした。
センサーで自動で明かりが点くので、その度に起こされたのでは堪ったものではない。
天気が良い時は、外で野宿するに限る!

食事

朝 白麦ごはん、レトルトカレー、みそ汁
昼 カロリーメイト×2袋、袋ラーメン
夕 刺し身×1パック、メンチカツ×1、コロッケ×2、お菓子×2袋

 

2016日10月20日(14日目)

行程

宮古市街から月山(がっさん)まで  
歩行距離 20.8km 
行動時間 8時間30分(調査・休憩時間を含む)
ねぐら  月山頂上直下展望台

04:10 起床 はれ 

昨夜バーベキューの集団が帰ったあと、2名ほど散歩の人が通りがかっただけであった。
朝は夜明け前から出漁する漁船のエンジン音で賑やかだった。
岸壁の片隅に張ったテントなど誰も気にしない風で、出発までゆったりとすることができた。

06:20 出発 

出発時はプラティパスの水筒に2.2Lほど水を入れておいた。
今日は舗装路を歩いて対岸まで歩き、月山まで登るコース。
できるだけ余分な水を持たずに体力の消耗を抑える作戦だ。

写真は宮古大橋から月山方面を写した。
ちょうど月山の陰から日が昇ってきたところだった。
今日も朝から天気は快晴で天気に何ら心配はなかった。

宮古市内の国道45号線をゆく。
少し内陸の国道沿いは、津波で海水に浸かったようだったが、古い民家も残っていたので、被害は軽微なようすだった。
町を歩いていても津波の爪痕はほとんど見当たらない。
場所によって津波の被害の違いがあることが分かった。

市街地から出ないうちに、国道沿いのコンビニに寄り、パンなどの行動食を購入した。

海岸沿いの道路をひたすら南下する。
歩道があって歩きやすかった。
左は奥深くまで入り込んでいる宮古湾。

防潮堤に視界を阻まれて海が見えなくなった。
味けない道路を黙々と歩いた。
単に景色が見えないだけだが、体力の消耗が多いように感じる。

歩き疲れたので、歩道の片隅に銀マットを敷いて休憩する。
交通量が多い道路で、ドライバーからの好奇の視線にさらされるが、我関せず他人などお構い無しで休憩する。

08:55 津軽石交差点

津軽石は宮古湾の最奥に位置する町。
津軽石交差点から橋を渡り重茂(おもえ)半島の北西岸を上ってゆく。

運動公園周辺

広大な空き地の一角に建設中の野球場があった。
津波で流されてしまって再建しているのだろう。
付近には、使用可能なトイレは見当たらなかった。
数年経てば、運動公園の再建が終わり、良好な野宿スポットになる予感がした。

 

その後、月山登り口の白浜集落まで歩いた。
9時過ぎから強風が吹き始め、時おり真っ直ぐ歩くのが困難になるほどの風に吹かれた。
途中、風を遮るような物陰はなく、強風が吹くなかで道路脇にマットを敷いて休むしかなかった。
どこかの漁港で水を汲めるだろうと安易に考えていたが、水を汲めそうな場所は見当たらなかった。
最後の白浜集落が遠くに見えると、防潮堤の建設工事中が行われいるのが分かった。
これまで同様、水が汲めそうな場所はなさそうだった。
ちょうどその少し前、道路脇の崖から流れ落ちる沢を見たところだったので、そこまで引き返して水を汲むことにした。

強風のため、水の飛沫が降り注ぐなかでの水汲みだった。
ここで全ての水筒を満タン(約4L)にした。
沢の上流側に民家があるか分からなかったが、試しに飲んでみた感じ大丈夫そうだった。
白浜の集落のどこかに水場があれば、汲み直せばいいと思った。

10:45 白浜集落

ようやく白浜集落までやって来た。
昨日、浄土ヶ浜インフォメーションセンターで入手した地図によれば、神社のところに登山口がある。
それでそれらしき場所を探してみたが、どこにも見当たらない。
防潮堤の建設工事のまっ最中で、イマイチよく分からない。

消防団詰め所前にザックを置いて周囲を偵察する。
集落内も強風が吹き荒れ砂埃が舞っている。
そのため、住民は家に入ったっきり出てこない。
たまたま歩いていた人を捕まえ神社を聞いてみると、見える場所まで案内してくれて指で指し示してくれた。

集落内にあった遊歩道入口の標識。
工事現場の中に紛れてしまって非常に分かりにくかった。

11:15 月山登山口神社

山の麓にある鳥居が目印。
工事現場の陰になっていて近くまで来ないと見えなかった。
工事現場の中を邪魔にならないように突破して神社入口までやって来た。
集落内で水を汲める場所はあったが、管理者にいちいち許可を貰うのがめんどうだったので、水源不明の沢の水を入れたまま行くことにした。

山の斜面に佇む神社。
樹木に覆われていて周囲からは見えない。
ここで道中の安全を祈願して先に進んだ。

白浜集落に建設中の防潮堤。
重機の音がうるさくて頭が痛くなってきた。
休憩もそこそこに先に進むことにした。

海岸沿いの遊歩道をゆく。
トレイルマップ「宮古市北部~宮古市中部」の端の方に月山周辺が載っているが、今歩いている遊歩道の記載はなかった。
ビジターセンターで入手したマップのお陰で、遊歩道を見つけることができた。

遊歩道上には倒木が多かった。
荷物が軽ければ全然大したことないが、重たいザックを背負っているので、倒木を越えるのが一苦労だった。
上を越えたり、下を潜ったり、迂回したりとかなり面倒だった。

月山の西側に延びる尾根を登っているところ。
傾斜が急でしんどい反面、倒木がなくなって歩きやすかった。

遊歩道から林道に出たところ。
これより山頂直下の駐車場までは未舗装の林道を歩いてゆくことになる。
道路が荒れているためか、車が上がってくる気配は全くなかった。
単にこんな半島の先にある山など、だれも興味がないのかもしれない。

14:05 林道終点駐車場

車5台分くらい停められそうなスペースあり。
トイレや無線設備のような建物があった。

駐車場トイレ

台風の被害のため、当面の間閉鎖する、というような貼り紙がされて鍵が閉められていた。
外から見た感じ、汲み取り式のトイレで水は無さそうだった。
相変わらず風が強くて寒いので、さっさと山頂の方にゆくことにした。

14:10 月山(がっさん)山頂

駐車場の奥に延びる道を登ってやって来た。
山頂と思しきところには巨大なアンテナが建っていた。
見晴らしの良さそうな展望台があったので、早速行ってみた。

展望台から宮古市街を見下ろす。
風が強く飛ばされそうになる。
ウインドブレーカーを着て景色を眺めた。

宮古の町のアップ

目を凝らすと朝出発した道の駅が見える。
よくもまあこんなところまで歩いて来たもんだと思った。

宮古市から北側の海岸線のようす

浄土ヶ浜周辺が良く見えた。

重茂(おもえ)半島先端部のようす。
展望台から先の方に向かって踏み跡があった。

山頂広場にあるNHKの巨大アンテナ。

木の陰にあった月山神社。

三角点はアンテナ塔のすぐ近くにあった。
なんか邪魔者扱いされているような気がした。
可哀想にと、杭に憐れみを感じてしまった。

アンテナ塔横の山頂広場のようす。
建物の陰になるが、風が強い。
見晴らしが良いので、ここでの野宿も捨て難かったが、仕方ないので先に進むことにした。
神社の周辺の広場があったが、そこも少し風が強かった。
天気が良くて風がなければ、山頂周辺は絶好の野宿場所となるだろう。
ただし、水場はないので、麓から持って上がる必要がある。

 

月山山頂直下展望台

場所 月山山頂から鵜磯(ういそ)方面に少し下ったところ。

トイレ、水場なし

樹木が茂って視界はなし。
野宿は天気が良ければ山頂広場、悪ければ山頂直下の展望台がおすすめ。

14:50 テント設営

山頂での野宿を諦めて鵜磯方面に下山していると、森のなかにポッカリと空いたスペースを発見。
コンクリート製の展望台があった。
上に上ってみたが、周囲を樹木に囲まれていて視界はなし。
下の場所には壁があって風当たりが弱かったので、ここでテントを張ることに決めた。
ここならどんな嵐が来てもやり過ごせそうな気がした。

落ち葉が入りこんでいたので、ささっと退けてテントを張った。
下がコンクリートで冷たいが、夜露に当たる心配はない。
道の駅の野宿でテントを濡らしてしまって、少し重たくなっていた。

展望台周辺の広場

しっかりと草刈りがされていてテントを張ることが可能。
こちらの草地も野宿にはよい。

テントを張って荷物の片付けをしていると、鵜磯方面から軽装の兄さんがやって来た。
風が強くて姿が見えるまで全く気が付かなかった。
挨拶をして展望台からの見えない景色を眺めると、山頂の方に上がって行った。

食事

メモをし忘れて不明。
コンビニでパンを買って幾つか食べたような気がする。

 

2016日10月21日(15日目)

行程

月山からとどヶ崎まで  
歩行距離 17.6km 
行動時間 9時間20分(休憩時間を含む)
ねぐら  とどヶ崎灯台

04:00 起床 晴れ テント内 11℃

昨日吹き荒れた強風は夜半過ぎになると止んで、周囲は静けさに包まれた。
上空からジェットエンジンのような轟音が聞こえてきて少し怖かった。
ねぐらの周囲は人気が全くなくて落ち着いて寝ることができた。

06:00 出発

下山する前に展望台にザックを置いて山頂まで登った。
展望台からの景色を見るためだ。
昨日は水蒸気が多くて霞んでしまっていた。
今日はどうかな?

朝日を浴びる宮古港。
昨日よりクリアに見えるな。
登ってきた甲斐があった。
昨日と一転して風はほとんどなくて、落ち着いて景色を見るとことができた。

雲の間から覗く太陽。
雲から漏れる光が綺麗で撮影した。
まるで後光がさしているようで綺麗だった。

鵜磯(ういそ)方面へ下る。

登山道を20分ほど下ると林道に出た。
これより先の鵜磯までは、網目のように張り巡らされた林道を辿ってゆく。
要所要所の分岐には標識があるが、ないところもあって迷うことがあった。

07:00 簡易上水道

鵜磯集落の上にある簡易上水道までやって来た。
ここに来る途中でカモシカ1匹とヤブの中でうごめく謎の野生動物と遭遇した。

07:40 鵜磯集落内の舗装路

上水道からも意外と距離があった。
林道歩きで疲れてしまって休み休み下ってきた。
舗装路まで出ると大きなスクールバスが通って行った。
集落の中心部は少し海岸寄りの方にあるようで、この周囲は民家が点在しているだけだった。

鵜磯から荒巻の遊歩道を歩いているところ。
荒巻集落の手前の広場のようなところで、踏み跡が薄くなって少し迷った。

荒巻集落近くの小さな砂浜を通り過ぎたところ。
自然の海岸の風景が残っていて雰囲気が良かった。

音部(おとべ)漁港手前

海岸線の道路は津波の被害でかなり傷んでいた。

09:10 音部漁港

漁港内にある小さな神社。
石垣の上に小さな石碑が置かれていただけだった。

漁港内のようす

屋根付きの作業スペースが広かった。
雨の日の避難所として使えそう。
漁師さんたちがあちこちでゴソゴソと作業をしていた。

防潮堤の陰に設置されたトイレ

急に大を催してきたので、トイレを借りた。
まだ港湾整備の途中で、そのうち公衆トイレが整備されるかもしれない。

のどかな漁村の中をとどヶ崎に向かって歩いているところ。

09:45 宮古市立重茂中学校付近の消防団施設

県道41号線に出たところにある消防団の施設。
広場になっていたので、ここで休むことにした。

T字路の角にはとどヶ崎灯台への標識あり。
これを見て進むべき方向が分かって安心した。

広場内にある自販機

種類が多い充実した自販機コーナーだ。

車庫の入口にある水道

ここで休憩しようと思ったのは、水道があったため。
元バルブが閉まっていて水抜きされていた。
このタイプの水栓の使い方は分かるので、勝手に操作して水を汲んだあとで元通りにバルブを閉めておいた。

コンクリートブロックの上にザックを置いて休んだ。
高さがちょうど良くて、非常に楽に背負うことができた。

10:10 重茂(おもえ)漁業協同組合

立派な建物だったので、始めは役場だと思ってしまった。
重茂の集落は大きくて、探せばどこかに食料品を買える店があるように思えた。

岩手県北バス重茂営業所

仮設の待合所が設置されていた。
津波の被害を受けて、この高台の場所に移転してきたのだろうか。

津波記念碑

大きいものから小さいものまでいろいろな石碑があった。
中には古くて字が読めないようなものまであった。

重茂漁港へと下りる道。
防潮堤の工事中だった。

アワビの稚魚を育てる施設。
ガラス張りで暖かそうだった。
これも震災後に建設されたようす。

10:40 重茂漁港

重茂漁港より先は無人地帯となっている。
漁港内のトイレで水を満タンにしておこう。

漁港内の公衆トイレ

綺麗な水洗トイレだった。中の手洗い場で水を汲むことができる。

重茂漁港にも広い屋根付きの作業スペースがあった。
雨の日の避難場所として良さそうだ。

漁港の付近の崖に洞窟があった。
中は海と繋がっているような感じだった。

とどヶ崎遊歩道入口のある与奈(よな)はトンネルを抜けたところにある。

11:00 与奈(よな)

トンネルを抜けると小さな港がある与奈に辿り着いた。
付近に民家はなくて静かだった。
岸壁は地盤沈下してしまったようで、波が洗っていた。

できたばかりの橋のところで、昼飯を作ることにした。
お腹が空いたままでは歩けない。
とどヶ崎までの遊歩道に備える。

屋外で調理するのは野宿者の基本。
天気が良いので、こうしてのんびりと準備できる。
大根が重たいので、早く消費しよう。

ラーメンの完成!
乾麺だけだと全然お腹が膨れないので、あれこれ放り込んで具を増量する。
食物繊維をとるために、ラーメンには毎回大麦を投入している。

12:00 遊歩道入口

食事を済ませて荷物を片付けている時、上から3名の作業員が下りてきた。
情報収集のために話しかけると、みちのく潮風トレイルのルートを整備をしている人たちだった。
今回は測量して杭を打っているところだと言っていた。
この先の未開通区間のルートを聞くと、霞露ヶ岳(かろがたけ)鯨山(くじらやま)という2つの名前を知ることができた。
この情報は今後のルートの参考になって非常に助かった。
写真は遊歩道から与奈を見下ろしているところ。

「災害のため、立ち入り禁止」や「マツタケ山 入山禁止」の看板が設置されていた。
話を聞くところによると、問題なく通れるということだった。
ここまで来て、この看板を見ただけで引き返すわけにはいかない。
先に進むか引き返すか、現場を見て判断することにする。

とどヶ崎への道はアップダウンが少なく歩きやすい道だった。
杭を打ったところに目印の青テープが付けられていた。

杭とテープのアップ。
予定ルートに点々と打たれている杭。
踏み跡が濃くて目印がなくても全然迷う心配はなかった。

13:15 種刺(たねさし)海岸

とどヶ崎周辺の見どころの一つとされている種刺海岸。
人工物が見えない天然の海岸が広がっていた。

海岸で休憩する。
沖で漁をしている漁船のエンジン音が聞こえてきた。
海岸は角の丸い玉砂利が敷き詰められている石浜だった。
波が打ち寄せるとガラガラと小石が転がる音がする。

種刺海岸を見下ろす。
人工物がなくて良い海岸なのだが、打ち上げられたゴミが目立って残念だった。

種刺海岸から少し上がって斜面を横切るところで、路肩が少し崩れていた。
通行禁止の看板はこれのことを指しているのだろう。
注意して歩けば、全然問題なく通ることができた。

とどヶ崎手前には、何箇所か沢が流れていた。
周辺は無人なので、沢の水を飲んでも大丈夫だろう。
水の少ない秋でも水が流れていたのには、びっくりした。

14:30 船着き場

灯台手前に小さな船着き場あり。
灯台へは、船着き場へは下りずに、高台の方に上ってゆく。
この谷筋には小さな沢が流れている。

沢にある貯水槽

上流部からホースで引いてきて、この貯水槽に貯めている。
貯めた水はポンプで灯台のトイレの手洗い場に送られている。

貯水槽からオーバーフローしている水。
ここが貴重な水場となっている。
飲んでみた感じ大丈夫そうだった。
秋でもこの水量なら年中水が涸れることは無さそうだ。

灯台の方向へ延びている送水管。
一つは電気ケーブルが通っているのか。

船着き場のようす

岸壁の通路が海水に洗われている。
小さな船なら着けられそうだ。
灯台の点検に利用されているのだろう。

船着き場を見下ろす。

 

とどヶ崎灯台

場所 本州最東端のとどヶ崎

東屋、トイレ(循環式)あり。
水場は船着場近くの貯水槽から。

灯台の下に高さ1.5mほどの壁に囲まれた芝生の広場あり。
敷地内にdocomoのアンテナがありLTE感度抜群。
地の果て感が漂う最高の野宿ポイント。

14:40 とどヶ崎灯台

船着き場から上って高台から下ってくると、前方が開けて太平洋が広がっていた。
本州最東端の地まで、よくぞやって来たという充実感に満たされた。

灯台の入口

周囲は1.5mほどのブロック塀に囲まれている。
防風壁として利用できる。

塀の中は綺麗に刈られた芝生の広場がある。
海の見える場所には東屋が建っている。

東屋のようす

階段を登った高い位置にある。ただし風当たりは強い。
屋根の下にテントを張ることができる。
見た瞬間、ここでテントを張ろうと思った。

トイレ(水洗)

男女別の循環式トイレ。常時ポンプが運転していて汚水を循環させて微生物が分解している。
近づくとポンプの音が聞こえてくる。

トイレの手洗い場

船着き場の貯水槽からポンプで送られてきている。
蛇口をひねると、錆びて黄色く濁った水が出てきた。
洗濯するにも躊躇われるくらいの濁り具合だった。(構わず洗濯した)
飲水は貯水槽まで汲みに行こう。

docomoのアンテナ

沿岸で操業する小型漁船のために設置されたアンテナだと思われる。
LTE感度抜群で、ブログ更新もしやすかった。

とどヶ埼船舶気象通報送信所

この施設は、とどヶ埼船舶気象通報の送信(観測)所です。
船舶向けに、本施設で観測した風向・風速・気圧を電波で通報しています。
また、北にある尻屋埼灯台及び龍飛埼灯台、南にある金華山灯台では同様の通報の他に、テレホンサービスによる通報も行っておりますので、お気軽にご利用ください。
船舶にとって大切な施設ですので、建物を汚したり傷つけないようにご協力お願いします。

第二管区海上保安本部

広場から灯台を見上げる。
毎年秋になると灯台内部の一般公開が行われるらしい。

灯台から本州最東端の碑に向かう。
灯台入口のところに標識が設置されている。

本州最東端の碑

この向こうには遮るものは何もない。
水平線が見えるのみ。

崖の方から南の方の海岸線を写す。
遠くに霞んで見えるのは霞露ヶ岳(かろがたけ)か。
見応えのある断崖が続いている。

崖の下を覗いて見る。
落ちたらまず助からない。
運良く岩に当たらずに海に落ちても登ってこれそうな場所はない。

こういった岩場がところどころにあるので、暗くなってから不用意に歩くのは非常に危険。
転落したら命はない。

とどヶ崎灯台を望む。
地の果て感が漂う風景だった。こういう景色は滅多に見られない。

15:20 テント設営

最東端からの景色を堪能したところで、灯台に戻り東屋の下でテントを張った。
ウッドデッキから見る太平洋の眺めは最高だった。
この日は平日のためか、誰も灯台までやって来ず、最高の場所を独り占めすることができた。

東屋に備え付けられている温度計と思い出ノート。
旅の記念にいろいろと書いておいた。

この灯台からとどヶ崎先端まで行ける道があることを今になってようやく気が付いた。
当時は最東端の石碑に気を取られていて気が付かなかった。
凄く勿体無いことをしてしまった。
次回、訪れる機会があったら、岬の先端まで行ってみよう。

魹ヶ埼の名称について

「とどが崎」の「崎」について、地元では昔から土偏の「埼」を使っているとの訴えがあり、国道45号にある案内標識などは設置当初「崎」だったものが「埼」に直されている。しかし、国土地理院の地図上ではまだ直されていない。
宮古市では地名は国土地理院に従って「魹ヶ崎(とどヶ崎)」、灯台の名前は海上保安庁に従って「魹ヶ埼(とどヶ埼)灯台」で統一しているようである。灯台の名前は「観音埼灯台(神奈川県)」「尻屋埼灯台(青森県)」「大王埼灯台(三重県)」など土偏の「埼」のものがほとんど。漢字の意味としては「崎」は「地形」を表すため、その周辺地域の「地名」として住所などに使用される事が多く、一方の「埼」は「地点」を表すため、岬やそこに立つ灯台などの「名前」として使用される事が多い。

Wikipediaより

【注】魹(とど)は機種依存文字であったため、この記事では分かりやすいひらがな表記でとどヶ崎とした。
また、とどヶ崎の崎は正式には土偏の埼だが、面倒なので山偏の崎で統一することにした。

食事

朝   白麦ごはん、みそ汁
昼   パン×1袋、袋ラーメン×1
おやつ ココナッツサブレ×1
夕   白麦ごはん、みそ汁

 

このとどヶ崎が今回の一番盛り上がった場所だったように思う。
これより先は惰性で歩いていたような気がする。
この時すでに途中で止めるに止められなくなっていた。
しかし、歩き旅はまだまだ続く。
疲労とストレスが溜まり我慢の旅が続いてゆく。
一体このあとどうなってしまうのか。

 

つづく

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