こんばんは。からあげです。
日が経てば経つほど、色鮮やかに蘇ってくるPCTの思い出。苦しい時や辛かった時の方が多かった気がするが、今となってはすごくいい思い出だ。今現在、トランプ大統領が世界を騒がせているが、アメリカ滞在中は全く平穏だった。行ってみる前と帰ってきた後では全く印象の異なるアメリカ。これが今回一番の収穫だったかもしれない。
世間の評判などは一切気にかけず、自分の五感で全てを感じる。
もう有名なロングトレイルを歩くのはゴメンだと思う反面、マイナーなトレイルは歩いてみたいという思いが湧き上がってきた。この気持ちが今後どのように変化してゆくのか?注意深く見守ってゆこうか。
それではお待ちかね、PCTの続きを書くことにしよう!
PCT45日目 6月10日(土) Independenceから793mile付近まで
出発の朝、5時ちょうど起床。2階のハイカー2人組はまだ起きていなくてホステル内は静まりかえっている。Independenceで休養日を2日とって随分体が楽になったが、まだまだ疲れは抜けきっていない。もう一泊するか迷いもあったが、同室の人間と気まずい雰囲気になるとかえって疲れるため、予定通り出発することにした。
バックパックの中に詰めれるだけ食料を詰め込み、残りはハイカーボックスへ。さあ出発の時がきた!
安宿のホステルにチップは必要ないと思われたが、ちょっと奮発してみた。
たった1$でジュースも買えないが、ささやかなおっさんの気持ちだ。受け取ってくれ!
今、冷静になって考えるともう1$奮発して2$にしておけば良かったなと思う。荷物受け取り料無料、1泊25$で泊まれるホステルは貴重な存在だ!PCT最安値クラスと言っていい。
ホステルを存続させるためにも、もう少しの気持ちが必要だった。
大通りに出るとスッキリした青空が広がっていた。毎日毎日晴ればかりで天気の心配をすることはほとんどない。雨と災難は忘れた頃にやって来る。
ヒッチハイクを行うため、ホステルから町外れのキャンプ場過ぎまで歩く。どのみち肝心な通行車両がいないため、町の中心部でヒッチハイクなんてできない。
06時10分、キャンプ場過ぎの何もない道路脇でバックパックを下ろしてヒッチハイクを開始する。ここで登山口のOnionValleyに向かう車を捕まえて載せてもらう作戦だ!ここで根気よく待ち続ける。
水道会社らしい白のピックアップトラックが行き来していたが、まったく無反応で載せてくれそうな気配は感じない。朝っぱらから山から下りてきた車が一旦止まって、助手席のハイカーをBishopまで送り届けて来てから再びやって来るようなことを言っていた。非常に有難かったのだが、Bishopまで往復だと80mileもあっていつ戻ってくるか分からないし、英語を正確に聞き取れたかどうか自信がなかったため、その後も粘り強くヒッチを行っていた。
待つこと2時間、4台目(水道会社のピックアップトラックは除く)にしてようやくヒッチハイクに成功した!載せてくれたのはWashingtonから友達のところにやって来た老夫婦。これからデイハイキングで登山口に向かうところだった。車は白のTOYOTAプリウス。
せっかく早起きしてヒッチを開始したのに、なかなか車が通らず焦っていた時だった。弱気になって明日出直そうかと考え始めたところだった。
駐車場の片隅でバックパックを整えると、8時30分過ぎに出発する。土曜の早朝だけあってちらほらハイカーの姿がある。私のことを無視して走り去った車の姿も見えた。余計なことを考えないで自分のハイキングに集中するためにも早く登山口から立ち去ることにした。
登山口から離れたところで一休みする。ふぅ~やっぱり一人の方がいいね。人に囲まれていると調子を崩す。
登り始めてからしばらく経って登山口の方向を振り返る。すでに山陰に入って登山口は見えない。
下りてきたのはまだ3日前だというのに、かなり雪解けが進んでいて地面が露出しているところが増えている。
Kearsarge Passに向かって一歩一歩登っているところ。3日前下りてきたばかりで土地勘があるため気分的にも非常に楽だった。ただ雪が緩み始めてきたため、体力の消耗が激しくなってきた。早く峠に辿り着かなければと、脚に力を入れてスピードアップする。
Kearsarge Pass手前からBig Pothole Lakeを見下ろす。
11時30分過ぎ Kearsarge Pass着
雪に刺さっていた鉄製の標識が倒れてしまっている。峠からの景色は緑が増えている気がする。Sierra入りしてから自作杖2本を使っていたが、短いほうが折れて使い物にならなくなってしまったので、峠に置いてゆくことにした。杖は2本ないと推進力が減るしバランスが悪くなるため、早めに変わりの杖を作ることにした。
PCTに復帰しGlen Passに向かって歩いているところ。すでに雪は緩み厳しい歩行を強いられていた。初日で食料が重たいため、あまり無理をしないようにした。しかし、多少の無理をしなければ歩けない。
Glen Passの上り
風が強くて寒いため、雪の緩みは幾分マシな気がした。途中で2組のパーティーがいたが、早くも行動を終えてキャンプの準備をしていた。
峠付近はかなり雪解けが進んで、ところどころトレイルが露出しているところあり。
16時40分 Glen Pass(11947 ft 約3600m)
風のやたら強い峠だった。岩陰に入って休む。周囲にハイカーの姿は全くなし。静かな峠を独り占めする。
Glen Passからの景色
本日のねぐらの見当を付ける。さあて時間も遅くなってきたので、サッサと下りてしまおうか。
Glen Pass下りの北側斜面は急で要注意だった。少し前の樹林帯で代わりの杖を作っていたため杖2本で下りられた。杖がなかったら、下山はかなり厳しかったことだろう。
Glen Passから下りている最中。トレランシューズのかかとを雪に蹴り込んで杖をしっかり突き刺して3点支持の要領で歩く。緊張で喉がカラッカラになった。
18時前ねぐらを探し求めて歩き続ける。雪がないフラットな場所が見当たらない。気温が下がる前にツエルトを張って休みたい。焦る気持ちを抑えて下ってゆく。
Upper Rae Lakes
水面が鏡のように反射して山々を映している。う、美しい~。
18時30分ころ Upper Rae Lakesの湖畔の岩の上でツエルトを設営した。
すでに日が陰り気温は急降下してきた。岩の上でペグが効かないため、そこら辺に落ちていた石を集めてロープを張った。
トレイルに復帰してようやく自分だけの時間を持つことができた。久しぶりに一人の夜をゆっくり楽しんだ。
朝食 サラミ、チーズ×1
行動食 バナナ×2、チーズ×5、お菓子×1
夕食 マルチャン×1、ツナ×1
PCT46日目 6月11日(日) 793mile付近から809mile付近まで
5時起床 晴れ
夜かなり冷え込んだが、岩の上だったため快適に眠ることができた。夜になって出てきた風は朝になると止んでくれた。谷が深く日が当たるようになるのはかなり遅い。寒いのでサッサと出発することにした。
5時40分 出発
Upper Rae LakesからはCreek沿いを歩く。スノーブリッジを探してできるだけ最短距離で歩いてゆく。下りてゆくと次第にCreekの水量が増えてきた。
待ち遠しい日差し。
体を温めるために、汗をかかない程度に少しオーバーペースで歩いてゆく。
日当たりの良い岩の上で休憩する。少し飛ばし過ぎたか。早くもバテてくる。
Baxter Creek合流点付近
徐々に水量を増すCreek。すでに渡渉が困難になってきた。実はここで渡渉する必要はないのだが、勘違いして早めに渡渉しようと思っていた。渡れる場所がなかったため、事なきを得た。仮に渡渉していたら、下流の激流に進路を阻まれたところだった。
激流に架かる倒木の橋
実はこの倒木を使ってCreekを渡ろうとしていたのだが、水しぶきを浴びた木の表面が凍結していたため渡ることができなかった。足を一歩踏み出したところ、ズルっと滑って落ちそうになった。危ない危ない。至るところに危険が潜んでいる。
視界にはないが、遠くから聞えるCreekの轟音を聴きいていると不安になってくる。
ただこの時は歩いてゆくことしかできなかった。
09時50分ころ
Woods Creekに架かるSuspension Bridgeに到着。橋の存在をすっかり忘れていた。いつまで立っても渡渉できずに焦りながら歩いていたところだった。橋の付近でキャンプしているハイカーたちがいたが、週末を利用して安全なルートから入って来たようだった。
てっきりCreekを渡れずに待っているのかと思って話しかけてみると、始め相手の言うことと私の想像が離れていて全然話が噛み合わなかった。終わりの頃になってようやく事の次第を理解することができた。
吊橋で渡れることが分かって安堵すると、急にお腹が空いてきた。
橋を渡る前にキャンプサイトの片隅で食事をとった。
日当たりの良い南斜面はほとんど雪がなかった。雪のあるなしで歩行スピードが全然違うため、1日でどれだけ歩けるかの見通しは全く立たない。土地勘があればある程度は分かるだろうに。
天然のウォータースライダー
水に磨かれてツルツルになっている岩に激流が流れている。流されたらあっという間にどこかに吹っ飛んでいってしまうだろう。離れているのに凄い音がする。
Sawmill Pass分岐手前を歩く。
すでに雪は緩んでいて足がめり込む。
樹林帯の中で5人くらいのパーティーに会う。日当たりの良い場所で焚き火をしながら休んでいるところだった。
フレンドリーな人たちでいろいろ話をしてくれた。うち何人かは自作のバックパックに興味があったようであれこれ聞かれた。軽量ギヤを持っている人がいたので私も質問攻めにしていろいろ聞くことができた。
写真は凧を上げているところ。ご機嫌なハイカーが凧を上げて見せてくれた。なんでも暇つぶしのおもちゃとして持っているそうな。
この日の天気は午後から一転して雲が出てきて風が吹き始め非常に寒くなってきた。あれよあれよと言う間に青空は雲に隠れて気温が急降下してきた。
3日前Bishopの帰りにCarolに車に載せて貰った時、「週末は気温が下がるそうよ。良かったわね。これで涼しく楽に歩けるわよ!」などとHeatwaveのことを話している時に言われた。
当時は全く気に留めていなかったのだが、急に寒くなってきてため思い出した。午後からは涼しいを通り越して非常に寒い1日となった。
Halfmile’s PCT Maps California Section H – Page 7より
805mile過ぎ、そのまま真っすぐ歩いて行ってしまいMt.Wynneを左に見て行こうとしてしまった。Pinchot Passとは全く別の方向でかなりのタイムロスをする羽目になった。
地図で現在位置を確認しながら歩いていると全然歩けないので、横着して自分の勘で歩いていたのだった。早めに気がついて良かったと胸を撫で下ろした。この時何故か急に地図が見たくなった。見えない何かの力が働いていたのかもしれない。
広大な雪原は方向感覚を鈍らせる。面倒臭がらずにちゃんと確認した方が良い。
Pinchot Passに向かって歩いているところ。無駄に歩いて体力を消耗してしまった。
風が強くて非常に寒い。何もない広大な雪原で身を隠す場所がない。
PCTで行動中、昼間なのに初めてフリースを着た日だった。Sierraではこの日と翌日の2回のみ。Washingtonのゴール直前では数回着た。歩いている最中にプラティパスのハイドレーションホースが凍って水が飲めなくなった。
Pinchot Passまでもう少し。時間はすでに17時ころとなっていた。
ねぐらを探すために早く峠をパスしておきたいが、体が言うことをきいてくれない。
17時15分ころ
Pinchot Pass(12,050ft 約3,670m)に到着。強風が吹き荒れ非常に寒い。
何かのおまじないか?
この1$札を盗ったら、お前は~~落ちるだろう。
岩陰に隠れて休憩しているところ。風が強くて全然落ち着いて休めない。じっとしていると体が冷えてくる。さあ、さっさと下りてしまおうか。
Pinchot Passから北側を眺める。景色を眺めてねぐらの見当を付ける。フラットで良さそうだが、果たして地面の露出している場所はあるだろうか?
北側斜面は緩やかでそれほど危険は感じられなかった。
Pinchot Passから下ってなだらかな場所まで下りてきたところ。どこにもねぐらは見当たらない。とにかく先に進もうか。
18時40分ころ Lake Marjorie付近
ハイマツの影の岩の上でツエルト設営。開けた場所で風当たりが強かったが、地面が露出している場所は少なくキャンプサイトを選べる状態ではなかった。ツエルトの張り綱の何本かは立木に結び耐風性を高めた。
あまりの寒さでツエルト内での食事をついに解禁!ついでに緑茶を飲んで体を温める。
クマ避けのため、ツエルト内では煮炊きしないようにしていたが、あまりの寒さに耐えきれず。この時はクマよりも保温の方が重要だった。
こうして寒い寒い1日は終わりを告げた。日が陰ると急激に気温が下がるため、早めに寝袋に入って休んだ。
寝起 クリフバー×1
行動食 チーズ×1、クリフバー×1
朝食 マルチャン×1、ツナ×1
行動食 ビーフジャーキー少々、クッキー1枚
夕食 マルチャン???
PCT47日目 6月12日(月) 809mile付近から826mile付近まで
05時20分起床 晴れ 強風
昨晩、日が暮れるとさらに風が強まり雪が降り始めた。そして夜中、強風のためポールの片方が倒れてツエルトが倒壊した。直してもどうせすぐに倒れると思ったため、諦めてそのまま眠った。(片方のポールが倒れたお陰で耐風性能がアップした。)
朝起きると倒壊したツエルトから這い出してすぐに出発の準備を始めた。なんとプラティパスやペットボトルの水が凍っていた。
6時出発。防寒着のフリースを着たまま歩いて体を温める。目指すはSouth Fork Kings Riverだ!
見通しの悪い樹林帯の斜面を下りてゆく。先行するハイカーの足跡がところどころに残っていた。
スノーブリッジを渡りSouth Fork Kings Riverの支流をクリアしてゆく。
樹林帯の中の開けた場所にキャンプした痕跡が残っていた。痕跡は新しく昨晩泊まったように見えた。ここだと風は防げるが、雪上のため下から徐々に冷えてくる。昨日は谷底まで下りずに湖畔の岩場でキャンプして正解だった。(その代わり風が強かったが。)周辺に地面が露出している場所はどこにもなかった。
07:20ころ
South Fork Kings River本流が現れた!おっさんの全身に緊張が走る。まだ朝早いにも関わらずかなりの水量がある。先行するハイカーたちの足跡を探したが、目立ったハッキリした場所はなかった。自分の勘を頼りに浅くて流れが緩やかな場所を探して渡渉した。
渡渉を終えたところ。川の水は氷水のように冷たくおっさんの体力を奪っていった。水没に備えてジップロックに入れてからベアキャニスタに入れたスマホを取り出した。本当に無事で何よりだ。体が冷めきらないうちに再び歩き始めることにした。
日向の岩場で遅めの朝食をとる。マルチャンを作るのは慣れたもので、いつの間にか無意識で作ることができるようになっていた。濡れたツエルトや寝袋を干しつつ、ソーラーパネルでモバイルバッテリーを充電する。
広大な雪原をゆく。自分の進んでいる方向が合っているか、時々不安になる。
Halfmile’s PCT Maps California Section H – Page 9より
Mather Pass手前での道間違い。
815mile付近から北に上らねばならないのに、そのまま真っすぐ進んでしまった。
峠の場所を間違えてしまった。ふと胸騒ぎがしたため、秘密兵器のアプリGuthookで確認すると、進行方向を大きく間違えていることに気がついた。
本来のコースに戻りMather Passに向かって歩く。峠はちょうど左に回り込んだところにあって分かりにくくなっている。
Mather Passは傾斜が緩いが雪が多いためかなり苦戦した。道間違いして無駄に体力を消耗したことが悔やまれた。
12:50 Mather Pass着
残雪が多く残るMather Passはひっそりとしていた。
天気は晴れで昨日より暖かく歩きやすかったが、少し風が残っていた。
Mather Passから下りてきたところ。峠からの下りは傾斜が緩かったにも関わらず、何度も転んでヒヤヒヤの連続だった。昼を過ぎて雪が緩んでいたことと足に疲労が溜まっていたためと思われた。
Palisade Creekに沿って歩く。ルートがハッキリしているため、非常に歩きやすかったが、雪が緩んでいるため体力の消耗が激しかった。
途中、Palisade Lakeの近くで遅い昼飯を食べた。
822mile付近のGolden Staircaseという急斜面に出た。直訳すると黄金階段。
日向の部分は地面が露出していたが、日陰はまだ多くの雪が残っており、急斜面を慎重に下らなければならなかった。
つづら折りのトレイルを見下ろす。トレイルは一番緩やかな斜面に付けられていたが、それでもかなり急だった。トレイルを外すとさらに急な斜面や崖が待っている。この部分が硬い雪に覆われていたら、自作杖2本とチェーンアイゼンだけでは突破は困難だったと思われる。
Golden Staircaseでは注意深くトレイルを辿ることが重要だった。何度も崖の上に出たりしながら、トレイルを探し回って下っていった。
Golden Staircaseを振り返る。
緊張が解けるとどっと疲れが押し寄せてきた。下から見上げると、こんな急斜面をよく下りて来られたもんだと思えた。
高度を下げてゆくと緑の領域が広がって行った。「今日は快適なねぐらにありつけるぞ!」などと期待に胸を膨らませて下りていった。
樹林帯に入ると、雪解け水でそこらじゅうが泥濘んでいた。
靴を泥まみれにしながら歩いていった。
緑が濃くなるにつれて野生動物の気配も濃くなってきた。途中で鹿を何度も見かけた。
クマの糞もあちこちに落ちていてクマの活動圏内であることも分かった。
トレイルが露出しハッキリしているため、ペースが上がる。すでに午後7時を回っているため、ねぐらを探しながら歩く。
新緑に包まれるトレイル
下の方はすでに春がやって来ていた。
生命力が満ち溢れる若葉。ちょっとエネルギーを分けて貰おう。
20時前、乾いた砂地の地面が現れたため、ここでキャンプすることにした。
ちょうど大を催して用を済ませたところだった。昨日と違って風はなく暖かかったため、遅い時間まで歩くことができた。
ベアキャニスターを離れたトレイル脇に置いて眠った。
寝起 パワーバー×1
朝食 マルチャン×1、ツナ×1
行動食 チーズ×1、クッキー×1枚、ビーフジャーキー少々、クッキー1枚
昼食 マルチャン×1、ツナ×1
夕食 マルチャン×1、ツナ×1
PCT48日目 6月13日(火) 826mile付近から846mile付近まで
05:15起床 05:40出発
樹林帯でのキャンプは風はなく冷え込んだのみで快適だった。しかし、結露でツエルトはびしょ濡れだった。まあ、いつものことだ細かいことは気にしにない。クマの気配は全くなかった。
おしゃれなJMTの標識
左端の絵がJohnの横顔だと分かったのは、この記事を書いているちょうど今。当時は何が何だかさっぱり分からなかった。ひょっとしたらトリックアートのようなものかもしれない。
白っぽい岩場をゆく。
Middle Fork Kings River
ジェットエンジンのような轟音が周囲に響いていた。渡渉はせずMiddle Fork Kings Riverの左岸(下流の方を向いて左側)を歩いてゆく。
Grouse Meadows周辺
谷が深くなかなか日が当たらない。
水場に生える植物。ミズバショウのようなものか。お尻拭くのに何度かお世話になった。紙を使わずに葉っぱを使えば、そのまま埋めることができるし、紙の消費量が減ってエコロジー。
ダメージを極力避けるため、葉っぱは1株から1枚ずつ頂いた。
どこを向いても絵になる風景が広がっていた。JMT区間は景色が特に素晴らしい。
贅沢を言うと、もう一月あとに歩きたかった。
振り返ると、カッコイイ山がそびえていた。
Bishop Pass分岐付近に架かる橋
雪解け水が多くても安心して渡ることができる。ここからBishop Pass(11,972ft)を抜けてBishop方面に下山できる。登山口までは11.8mile、登山口からBishopまで33.1mile。
ここからBishop Passを越えてエスケープするにしても楽に町までは下りられない。それなりの労力が必要となる。日本の本州の山のような感覚でいると、間違いなく痛い目に遭うことだろう。
Bishop Pass分岐過ぎの開放的な場所で朝食をとる。
ここに来るまでに大パーティーに猛追を受けたが、いつまで経ってもやって来ず。どうやらBishop Passの方に向かったようだった。
Independenceからトレイルに復帰して本日で4日目となる。そろそろ食料が乏しくなってきた。次のVermilion Valley Resortまで急がねばならない。
名も無きピークだが、いちいちカッコよすぎる。PCTで心残りだったのは、ピークをほとんど踏んでいないこと。
アメリカ本土最高峰MT.Whitneyに登るチャンスがあったが、体力と食料の余裕がなかったため中止したのだった。PCTはもう歩く気はしないが、JMTはもっといい時期に歩いてみたい。
樹林帯の中をゆく。歩く方向を間違えないように時々地図で確認する。
岩場をゆく。
日向でこの部分だけ広範囲で雪が解けていた。
835mile Srarr Camp付近の大きな岩の上で昼食をとる。
ここまで歩いてきたMiddle Fork Kings River沿いを見下ろして満足する。
雪が緩んでいるため、前進すると体力をかなり消耗する。
天気が良い昼間、Marmotも日向ぼっこをする。猫より少し小さめのネズミのような生き物だった。ぼーっとしているのをみると、こちらもぼーっとしたくなってくる。いかんいかん。食料に余裕はない。先に進もう。
一歩一歩雪の斜面を登ってゆく。
上部になるにつれて残雪の量が増えてきた。
本日向かうはMuir Pass(11,975ft 3,650m)だ!
行けども行けども峠が見えてこない。
最短コースであろうルートを選んでただ歩くのみ。日差しが強くてかなり暑くなってきた。Tシャツ一枚になって歩くと露出している肌がヒリヒリしてきた。
雪が緩んで一向に前進スピードが上がらず、たびたび足を止めては歩いてきた道を振り返っていた。
Muir Passにまだ着かない。まだかまだかと亀の歩みで進んでゆく。
疲れ切って日当たりの良い岩場で休憩する。
先を急がねばと思うと、無意識のうちに力が入り無駄に体力を消耗する。かと言ってのんびり歩いていると、いつまで経っても進めない。限られた食料しかないため、一旦トレイルに入ると歩き続けなければならない。
日焼けして顔面ボロボロになったので、首のタオルを巻いてみた。
時すでに遅し。このあとしばらく日焼けの傷みに悩まされた。
Muir Pass目前
もういい加減にしてくれないかと思いながら歩いた。
14:45 Muir Pass着
Muir Passの上りは急ではなかったが、多くの残雪に苦戦を強いられた。峠に着いた時には体が消耗しきっていた。峠はだだっ広くて、小さな石造りのHutと呼ばれる避難小屋があるのみ。
Muir PassのHut(避難小屋)
Emerency Onlyで緊急時のみ宿泊できる。トイレはなし。
Hutの壁に埋め込まれた標識
JOHN MUIR
Lover of “The range of light”
This shelter was erected through the generosity of
GEORGE FREDERIC SCHWARZ 1931
Sierra Club
U.S.forest service
ジョン・ミューア range of lightの愛好者へ
この避難所は1931年ジョージ・フレデリック・シュヴァルツさんの厚意によって建設されました。
シエラクラブ
U.S.フォレストサービス
翻訳してみたが、「range of light」という意味が分からない。直訳すると光の範囲。おそらくJMTのハイライト区間という意味なのだろう。ようは大事に避難小屋を使ってくれということだ。
中に入るとまず目に飛び込んでくるのが、鹿の角つきの暖炉。
しかし、封鎖されていて使用できない。好き放題してそのまま出ていってしまうハイカーが後を絶たないため、止む無くコンクリで埋めてしまったのだろう。
入口のドアは上下2分割となっている。冬期は上部を開けて中に入る。
明り取りの窓。
入口ドアと窓のお陰で、石造りながらも中は明るい。天気が悪い時は中で休憩してゆっくりするといいかも。この日は快晴で暑いくらいだったので、外の日陰で休憩した。
天井を見上げる。レンガ状にカットされた石が積み上げられている。これなら嵐が来ようともビクともしないだろう。
外から小屋のようすをみる。窓はかなり小さいが、いい仕事をしている。
屋根から突き出た煙突。煙突も石で作られている。
非常に味わいのある建物だった。
小屋の周辺に棲みついているMarmot。そこら中をチョロチョロと動き回っていた。まだ雪解け前で食べ物がないのに大丈夫だろうか、と勝手に気になった。
野生動物は逞しい。ハイカーから食べ物を貰ったり、夏の間に蓄えていた物を食べて凌いでいるのだろう。
バンダナを顔に巻いてますます怪しくなったおっさん。
なぜもっと早く巻いておかなかったと悔やまれる。時すでに遅く、顔は日焼けでボロボロになっていた。日焼け止めクリームは持っていたが、勿体ない気がしてほとんど使わなかった。仕舞いにハイカーボックスに放り込むことになった。
Muir Passからの下り
登り同様緩やかとなっている。雪が緩んだ緩やかな下りは滑落の危険がないため、大股でペースを上げて歩いた。
Muir Passw振り返る。すでにHutは見えなくなった。雪が緩んで苦しんだ登りだったが、下りの場合はあっという間に距離を稼ぐことができる。
体力の消耗を防ぐために、先行者のトレースを忠実に辿る。
常に単独行動の私が編み出した姑息なハイキング方法だ。コツコツ積み重ねてゆくと、1日の終りには大きな違いとなって現れる。
随分と下りてフラットになってきた。傾斜がゆるくなってくると、前進スピードが落ちた。
雪原をゆく。Evolution Lakeの多くはまだ雪の下に隠れていた。
お陰で自分の好きなように歩くことができた。
Evolution Valleyを見下ろす。地図で見るとCreekに沿って行けそうな気がしたが、実際に現地に行くと崖となっていて突破は危険だった。
Evolution Creekのようす
ここから先は滝のようになって流れ落ちていた。仕方なしに正規のルートを辿って行くことにした。
Evolution Lakeを見下ろす。
19時前、岩場の上で夕食ととる。ここでキャンプもできたが、快適に眠るため高度を下げておくことにした。マルチャンにスパムを入れると、腹持ちが全然違う。
雪に埋もれたトレイルを辿って下の方まで下りてきた。崖の上に出てしまった時、この先どうなることやらと思ったのだが、なんとか下まで降りることができた。
これで随分と気が楽になった。嫌な気分は持ち越さないことも重要。
ねぐらを探しながら雪解け水で泥濘んだCreek沿いをゆく。雪のない乾燥した大地を求めて樹林帯を歩いた。
20時過ぎ、大きな一枚岩の上にキャンプ適地を発見した。そこら辺から石を集めて岩の上にツエルトを張った。随分と高度を下げたお陰で快適に眠ることができるだろう。おまけに樹林帯の中であるため、風は吹かない。我ながらナイスな判断だった。
寝起 パワーバー×1
朝食 マルチャン×1、ツナ×1
行動食 チーズ×1
昼食 マルチャン×1、スパム×1
行動食 チョコレート
夕食 マルチャン×1、スパム×1
PCT49日目 6月14日(水) 846mile付近からBear Creek迂回のため、Florence Lake方面へ
5時起床、5時30分出発
夜はかなりの冷え込みようで、自分の選択が正解だったことが分かる。本日は朝一にEvolution Creekの渡渉が待っているため、手早く片付けて出発した。
木立の間に見え隠れしているEvolution Creekを左手に見ながら深い森の中をゆく。
848mile地点のRanger Station
小さなログハウスの建物で窓とドアは固く閉ざされていた。小屋周りのフラットなスペースで一息つく。
薪割りの途中で小屋仕舞いしたようす。玉切りした丸太が積み上げられていた。
Evolution Creekはたびたび幅が広がり流れが緩やかになる。まだ渡渉ポイントは先だ。さっさと行こう。
再び川幅が狭まり激流と化すEvolution Creek。もうこうなると渡渉は不可能だ。不安を胸に先に進む。
Evolution Creekの渡渉ポイント
水量の多い雪解け時期は正規の渡渉ポイントの手前で渡渉する。川幅が一気に広がって流れが穏やかになっている場所で、比較的安全に渡ることができる。
これ以降は橋があるため問題はなし。
泥濘む湿地帯をゆく。濡れて冷えた体を天日干しして温める。
渡渉ポイントを過ぎると、再び川幅が狭まり激流となる。さらに傾斜が強まり勢いを増す。
遠くの方から聞えるEvolution Creekの轟音を聴きながら、急斜面を下りてゆく。
Creekはどのような状況になっているのだろうか?想像するだけで怖くなってくる。
Creekの合流点まで下りてきてホッと一安心。下界はすっかり春の陽気となっている。
日当たりの良い場所で朝食をとる。湿った装備品を広げて天日干しして少しでも軽くする。
トレイル上の雪はすっかり消えてトレイルを見失うことはなくなった。迷うことなく歩くことができるので、一気にペースが上がる。
Creek沿いのトレイルをゆく。暖かさを通り越して暑いくらいになってきた。
John Muir Rockか?JMの名を冠した地名などがあちこちに点在する。
Kings Canyon National Parkを出る。
トレイル上に落ちていたクマの糞。雪がなくなってくると、次第にクマの痕跡を見かけるようになった。
渡渉困難なBear Creekを避け、Florence Lake経由で次の補給地Vermilion Valley Risortに向かうことにした。Independenceの町にいる時にPCTAのSnow Reportを確認すると、先のBear Creekは渡渉困難となっていた。トレイル上は常に圏外で、最新情報を確認できなかったため、無難に迂回することに決めた。
National Geographic John Muir Trail Topographic Map Guide P9より
迂回路のマップ
858mile付近からPCTを離れ、まずはMuir Trail RanchからFlorence Lake方面へ抜ける。
スマホアプリとJMTの地図を頼りに歩いた。トレイル上の雪がおおかた消えていたため、迷うことなく歩くことができた。
Muir Tail Ranch
PCTから1.5mileほど離れた場所にある山奥リゾート。食事不可、買い物不可。ここで送った荷物を受取ることもできるが、受け取り料が75$と高額だったり、発送方法が指定されていて補給に使いにくい場所。
私が想像する限り、金持ちの物好きを相手にする山奥の高級リゾートのようだった。
中のようすを窺ってみると、まだ準備中で営業していなかった。
かすかな人の気配がしていただけだった。中には入れなかったので、入口付近の木陰で昼食をとった。
Florence Lake方面へ続くトレイル。ところどころに道標があって踏み跡がハッキリしていたため、道に迷うことなく歩くことができた。
森の中で視界が開けた。湿地帯のようなところだったが、すでに干上がっていて草原になっていた。時々アブにまとわり付かれて鬱陶しい思いをした。
雪解け水で水没するトレイル。Muir Tail Ranchが荷揚げ用に使用している林道と何度も交錯する。林道にはキャタピラの跡が残っていた。麓まで荷物を取りにゆく手間を考えると、受取料75$はボッタクリ料金ではないことが分かる。
雷鳥のような鳥を発見。すでに冬毛から夏毛に生え変わっていた。
Florence Lakeに注ぐCreekを渡る。立派な橋が架けられていた。
そしてトレイルは得体の知れないCreekに飲み込まれていた。他を探したがどこにも道は見当たらない。ここを渡渉して先に進まねばならないことが分かった。
小高い場所からFlorence Lakeを望む。湖を横断するフェリーがあるのだが、まだ運行開始していなかった。
湖畔の道路を歩く。人気はなく静かな湖だった。
午後6時前、湖の畔で夕食をとる。岩の上は日当たりがよく乾燥していて居心地が良かった。
ちょうど麓まで下りてきて歩き疲れていた時で、先の迂回路をキチンと歩けるかどうか不安に思っていた時でもあった。
Florence Lake湖畔にはキャンプ場があったが、ピックアップトラック1台が停まっていたのみで、ひっそりと静まりかえっていた。ちょうどトイレのところに巨大なゴミ箱があったため、嵩張るゴミを処分してスッキリした。
Florence Lakeからはオフラインでも使えるスマホアプリのGuthookを使って道路を歩いた。
モードを切り替えると、道路が表示された。
Florence Lakeを出てから蚊の大群にまとわり付かれてイライラが募った。歩いているとTシャツ一枚でも暑いくらいなのに、ウインドブレーカーを着てフードを被り軍手まで嵌めたが、軍手の上からでも蚊が刺してきた。蚊は本能的にどこで血を吸えるか分かるようで、容赦なく襲いかかってきて血を吸った。
そのため、顔と手がお岩さんのようにボコボコになってしまった。
20時過ぎ、見通しの良い開けた場所でキャンプすることにした。
蚊の大群の追跡をかわしたところで、ようやく落ち着くことができた。
スマホを取り出して機内モードから通常モードに切り替えて電波状態を確認するとギリギリ電波を掴んでくれた。
Independenceからトレイルに復帰してようやく5日目にしてようやく圏内に辿り着いた。(Bear Creekを迂回せずにそのままPCTを歩いていれば、圏外のままだったと思われる。)
寝起 パワーバー×1
朝食 マルチャン×1、ツナ×1
昼食 マルチャン×1、スパム×1
夕食 マルチャン×1、スパム×1
PCT50日目 6月15日(木) Florence Lake方面からMono Hot Springsを経てVermilion Valley Resortへ
5時起床、5時30分出発
本日は878.7mile地点のVermilion Valley Resortで補給を行うため、早めに出発することにした。先日、Tehachapiの町から送った荷物が届いているかどうか、それ以前に営業しているか気になったが、行ってみなければ分からないので、行って確かめることにした。
舗装された林道はくねくねと曲がりくねって上り基調であったためかなり疲れた。
道路にはところどころ標識があるが、土地勘がなければ分かりづらかった。スマホアプリのGuthookを頼りに道路を歩いてゆく。
道路の分岐で右に折れる。
Mono Hot Springsを経てThomas A Edison Lakeへ。Vermilion Valley ResortはThomas A Edison Lakeの湖畔にある。
迂回ルートの地図
右端の黄色のラインがPCTとなる。今回、Bear Creekを避けるために大回りした。
VVRを出たあとはGoodale Passを抜けてPCTに復帰する。
道路脇に放置されたスノーモービル
放置されてから随分経つようで、あちこちボロボロになっていた。ガソリンを入れたところでエンジンは掛かりそうにない。
どこまでも続く道路歩きに早くも嫌気がさしてきた。救いは昨日散々悩まされた蚊の大群がどこにもいないこと。不思議なもので、場所がちょっと違うだけで蚊がいなくなる。
Creekに架かる鉄橋
橋を渡れば、Mono Hot Springsに近い。
橋の手前くらいから道路に沿って謎のパイプが敷設されていた。温泉から湧き出るお湯を送るパイプラインのようだった。
Mono Hot Springs (878.7mile地点)1.5mile歩き+BOAT+ヒッチ
山の中の温泉が湧き出るリゾート。補給・食事可。
Creek沿いの温泉は無料で入浴することができる。
Bear Creek迂回の際は、是非立ち寄って欲しい。
Mono Hot Springs入口の看板
リゾートは分岐から歩いておよそ5分ほどのところにある。歩くと地味に遠い感じがする。
お腹が空いていたので、何か食べ物はないかと寄ってみることにした。
リゾート内のStore
道を下りてゆくと、レストラン、お店、宿泊施設があるMono Hot Springsに到着した。時間は7時過ぎ。
お店の方で何やら作業をしていたので、行って話しかけてみると、なんと本日から営業を始めるようだった。非常にラッキーだった。
ただ、まだ準備中でもう少し時間がかかるということで、「近くに温泉があるから入って来なよ!」と温泉の場所を丁寧に教えて貰った。
温泉に入る前にまずは腹ごしらえをすることにした。
敷地内の山のような大きな岩の上でマルチャンを作って食べた。
日当たりがよくて最高の場所だった。
温泉は橋を渡たると直ぐに右に曲がってしばらく歩いた場所にある。
ハッキリした踏み跡があったので辿っていった。
温泉へは泥濘んだ場所を抜けてゆく。
行きはいいが、帰りは踏み外して足を汚さないように気をつけなければならない。
温泉は幾つかあるが、たまたま見つけたところで入ることにした。
誰もおらず貸し切り状態だった。
湯船のようす
目隠しはなし、スノコが敷いてある場所が脱衣スペース。ベンチの上に脱いだ服を置いて入る。備え付けの手桶はなし。
開放的な温泉でCreekの水音を聴きながら入ることができる。Creekの水量が減れば、橋を渡らずに渡渉して最短距離で来ることができる。お湯は適温で、湯船に浸かると、日焼けでボロボロになった肌にしみた。この温泉に入ったお陰で日焼けのダメージが早く回復した気がする。
温泉から戻るとお店で買い物する。準備中で陳列棚はスカスカだったが、こんな山奥で買い物できるだけでも非常に有難かった。あるものを適当に買った。
山奥リゾートの割には非常に良心的な価格だった。
これだけ買っておよそ15$。次のVVRで補給を行うため、必要最低限の買い物とした。
久しぶりに食べるアイスクリームの味は格別だった。
お菓子やアイスクリームを食べると非常に元気が出た。
レストランが開店するまではまだ時間がかかりそうだったので、先を急ぐことにした。
Creekの迂回がなければ、立ち寄ることはなかった山奥リゾートだった。こ汚いハイカーでもフレンドリーに接してくれて寛ぐことができた。
真新しい用水路のようなものがあった。
Thomas A Edison Lakeの堤防
Thomas A Edison Lakeは人工のダム湖のようだった。なぜかこの付近だけAT&Tは圏内であった。
地図アプリのGuthookを定期的にチェックしながら歩いていたため気がついた。
残念ながら、VVRまで行くとAT&Tは圏外となる。Verizonは知らない。
林間の未舗装の道路を歩く。時々車の運転手から頑張れよ!と声を掛けられる。
Vermilion Valley Resort(878.7mile地点)1.5mile歩き+BOAT
PCTハイカーの重要拠点。荷物受け取り可能(料金1つ25$)、PCTハイカーに限り無料でキャンプすることができる。
12時過ぎ、ようやくVVRに到着した。営業しているかどうか非常にドキドキしていたが、やって来るとリゾートのスタッフがあちこちで作業していたためホッとした。仮に営業前であっても、飢えたPCTハイカーを見殺しにすることはないだろう。
ココがメインの建物のレストラン兼お店
たまたまいた他のハイカーに話を聞いてみると、営業始めたのはつい最近らしかった。仮にVVRが営業していないとなると、IndependenceからMammoth Lakesまで120mile以上歩かねばならず、残雪期のSierraをスルーハイキングするのは非常に厳しくなる。
しかし、リゾートが営業する前の早い時期に通過していたハイカーもいたので、どうやって補給をして歩いたのか非常に気になった。重荷を背負ってゆくのは、かなりの体力と技術が要求される。増水したCreekで足止めを食らうと、途中で食料が尽きてしまう恐れがある。
Mono Hot Springsでマルチャンとおやつを食べたところなのに、もうお腹が減ってフラフラする。早く何か食べたいところだが、まずは荷物を受け取ることにする。
5月26日にTehachapiからUPSで送った荷物が届いているはず。(VVRはUSPS不可、UPSかFedExのみ)スタッフに名前を告げて帳簿で探してもらう。しかし、なんと名前はない!そんなはずはないと、UPSのレシートを見せて再度調べてもらう。すると、トラッキングIDから麓の集積所に届いているようだと分かった。
詳しくは分からないが、VVRへの荷物は麓の集積所に届けられ、スタッフが週1回か2回に取りにゆくシステムらしい。嬉しいことに午後から荷物を取りに行ってくれることになった。
荷物の件が片付いたので、バーガーを注文してからSODAを買って飲む。
1ドリンク目は無料となっている。キンキンに冷えたペプシとコーラを選んだ。
SODAとチーズバーガー合わせておよそ15$。お腹と背中がくっつきそうなほどお腹が空いていたためガツガツと食べた。昔、よく噛んで食べなさいと言われたような気がするが、あれは3食確実に食えることが保証された環境での話だ。飢えている人間が健康に気を遣ってゆっくり食べられる訳がない。私は断言する。一心不乱にチーズバーガーを食べた。
荷物の到着まで待つことになったが、やることがないので湖畔の日陰でシートを敷きゴロンと横になる。もちろんソーラーパネルを広げてモバイルバッテリーに充電しておく。
これがThomas A Edison Lakeを横断するBOAT。まだ陸揚げされたままだった。
湖の名前はThomas A Edison Lakeとなっていて、白熱電球を発明したかの有名なトーマス・エジソンと何らかの関係がありそうだったが、結局分からず仕舞いだった。
巻置き場のようす
暇な時にコツコツと薪割りをしているようす。スタッフが怠けるところかもしれない。
スタッフたちは準備に追われていた。日本だと営業開始前に準備を終わらせておくが、アメリカではオープン後に準備をしてゆくのが当たり前らしい。こんな光景がよく見られた。
今シートを掛けているウッドデッキには、スマホやモバイルバッテリーが充電できるようにAC電源が設置されていた。
お店の前のベアボックスがハイカーボックスとなっていた。食料と一般用品は分けられていた。
早速フタを開けてみると、中はスカスカだった!オープン直後でハイカーが少ないためらしい。
なんと食いかけのお菓子が入っていた!
アメリカのチップス類は大袋ばかりで食べるのが大変。途中で味に飽きてしまうこともある。
まだ入れたてのようでサクサク感があって美味かった。
まだまだ暇なので荷物の軽量化を行う。ツナの袋の余分な部分をカットする。
ペットボトルのシャワーキャップと浄水器に付けるホースをハイカーボックスに投入する。ただのゴミと間違われそうな気がする。
ドリルで穴を開けて作ったシャワーキャップだったが、一度も使用することなく処分することになった。川で水浴びすれば済むことなので、出番は全くなかった。
テーブルでお湯を沸かして緑茶を飲む。本当にやることがなくて暇だった。
スタッフにまだかまだかと聞いてみると、「もう直ぐ来るよ!」とのことだったが、一向に戻ってくる気配はなかった。
この日、VVRにいたPCTハイカーは私を含めて4人。トレイルネームをくれたCrush、Independenceのホステルで同部屋となったハイカー、自作のウッドスタッフ1本持つハイカーだけだった。各人単独でマイペースで自分の好きなように歩いていた。
Crushと同部屋ハイカーは渡渉困難とされていたBear Creekを越えて来たそうな。通常の渡渉ポイントから上流に随分と遡って渡渉したという。この先にも難所のMono Creekが待ち受けているが、Mono Creekを越えて行くようだった。
私は予定通りMono Creekも迂回してGoodale Passを越えてPCTに復帰する。
テーブルの上で食料を広げて計画を練っているCrush。
彼は8日分の食料を抱えて一気にSonora Passまで行くらしい。縦が1日分の食料。
朝と晩は調理して昼間はナッツ類などの行動食で済ませるらしい。スピードを出すために限界まで食料を減らす。数時間もあれこれ悩んでいた。
待てども待てども私の荷物はやって来ず。荷物は諦めてお店で食料を買って出発することにした。受け取り料の25$ではなく時間が惜しかった。キャンプ場なら無料で泊まることもできたが、少しでも距離を稼いでおきたいため、午後6時前に出発する。荷物受け取りの大幅なタイムロスが後々響いてくることになる。
ちなみに2017年は6月1日から荷物の受け取りサービスを開始し、6月10日過ぎ頃オープンしたらしい。事情を知らずに5月26日にTehachapiから荷物を送ったため、6月1日前に荷物が到着してしまいどこかに行ってしまったようだ。
UPSの追跡サービスで照会してみると、「配達済み」となっていた。
20時過ぎ、尾根に出る手前でキャンプした。私の目論見通り、Thomas A Edison Lake方向から飛んで来る電波をキャッチすることができた。スマホで情報収集しつつブログ更新して眠った。
寝起 パワーバー×1
朝食 マルチャン×2、スパム×1、パワーバー×1
おやつ ジュース、お菓子、アイス
昼食 チーズバーガー、ジュース
夕食 マルチャン、???
つづく
コメント
久しぶりのPCTの記事嬉しく読ませていただきました。
すでにご存知かもしれませんが
下のURLのYouTubeのPCT紹介動画にからあげ隊長が…
https://www.youtube.com/watch?v=3iaT2TlnmsE&feature=youtu.be
(1分52秒のところで一瞬ですがバッチリ写っています)
全編なかなかカッコイイ仕上がりの動画なので是非ご覧になってください。
こんなのよく見つけましたね!
これはBishopに地図を買いに行った時、トレイルネームを貰ったハイカー3人組にバス停の場所を聞いていた時のものです。
一緒に映っているのが、BrownとForester、一緒にいたCrushの姿は見えません。
あとから一人やって来た記憶があります。
同時期に歩いたハイカーの動画を見ると、より当時を思い出すことができました。
からあげ隊長様
メキシコ国境からのトレイル走破の実録をありがとうございます。更新をとても楽しみに待っていました。眺めるだけて歩いたこともないトレイルのことを付近の地名を調べならがら身近に感じてます。昨年11月初め、仕事でフレズノへ行く機会があり、遠くに積雪しているHigh Sierraの稜線を眺めていました。
サンフランシスコ・ベイエリアに20年近く住んだことがあり、子供がまだ小さいころ、雪の降らないベイエリアから、雪を見るためヨセミテ渓谷まで4時間位車でいったことを懐かしく思いだします。またインデペンデンスの南のツールレイクには、日系アメリカ人が強制収容されたところで訪問してみたいところです。
今後ともマイペースで記録の更新をお願いいたします。
長い間アメリカに住んでいるのですね。
PCTの記事を書くようになってから、アメリカ在住の方からもメールやコメントを頂くようになって非常に嬉しいです。
はい、マーイペースでボチボチ更新してゆきます。お楽しみに!
みちのく潮風トレイルを歩こうとして検索していたら、からあげさんと出会いました。
正月から読み始めて、「みちのく潮風トレイル」「四国遍路」と「北海道」編を読ませていただきました。
私の旅に大変参考になりそうです。
ありがとうございます。
そして、このサイトの記事を読むことが、毎日寝る前の大きな楽しみになりました。
さらに、未読分がまだたっぷりあるのが嬉しいです。
これからもがんばって下さい。
ところで、からあげさんは、熊野古道には関心はありますか?
NSさんの毎晩の楽しみになっているようでおっさんは嬉しいです。
もちろん熊野古道にも関心はありますよ。そのうち歴史背景を勉強してから歩くつもりです。
からあげさん 今晩は。
「熊野古道」の記事がアップされる時を、楽しみに待ってます。
こんばんは。
はい、あまり期待しないで待っていてください。
寿命が尽きる前には歩こうと思います。