こんにちは。からあげです。
これまで1日毎に細かく記載していたPCTの記録の方針を変更して、町から町までを1つの単位として書くことにした。1日毎に事細かく書いていると時間がいくらあっても足りない。ロングトレイルでの生活は、慣れとともに単調になってゆき、取り立てて書くことがなくなってくる。毎日毎日同じことの繰り返しで新鮮さは失われる。書くことがないのにボリュームを増やそうと、微かな記憶を手繰り寄せて書く必要がある。それなのに無理して書こうとすると苦痛が伴ってしまう。
マルチャン一袋にツナかスパムを入れたかなど、パワーバーを何本食べたかなど、どうでもいいことをいちいち書く必要があるだろうか?と最近になってようやく疑問に思うようにもなってきた。ごく一部の熱烈なからあげファンには申し訳ないが、おっさんの身が持たないため、余分なものを削ぎ落として簡潔に記すことにした。書くたいことがある時は書きまくり、特に書くべきことがない時はあっさり流す。この方針でゆく。
さあて、Sierra後半戦に突入したおっさんにどんな試練が待ち受けているのだろうか?とくとご覧くだされ!
Sierra City(1195.4mile地点)からSoda Springs(1153.4mile地点)まで PCT83日目 7月17日(月)~PCT85日目 7月19日(水)
7月17日 1195.4mile~1180mile付近 15.4mile
7月18日 1180mile付近~1157mile付近 23mile
7月19日 1157mile付近~1153.4mile 3.6mile
(+2mileほどSoda Springsに向かって歩く。)
気付かないうちにテントが増えている。こっそり抜け出そう。
険しい山岳地帯のSierraをクリアしたハイカーたちは、Sierra Cityでようやく緊張感から開放される。いつもよりお酒が飲みたくなっても仕方のないことだろう。
ここSierra Cityは山間の田舎町でAT&Tは圏外のため、お店のフリーWifiを使用してネット接続する。ただ、回線が細く多くのハイカーが接続すると激重になるので、ブログ更新する時などは利用者が少ない深夜早朝に使う必要がある。私しか繋いでいないためか、非常に高速でスムーズにブログ更新と情報収集をすることができた。
Xは使用頻度が少ないためそれほど影響はなかったが、次第に他のキーも反応しなくなって使い物にならなくなってしまった。
しばらくはフリック入力に切り替えながら、だましだまし使ってゆくのだった。
Sierraの特別装備として、今回バウンスボックスから自作のチェーンアイゼンを取り出した。自作の杖とアイゼンで残雪を乗り越えてゆく。渡渉失敗から間もなく1月経とうとしているところだが、果たしてCreekの水量は減っているのか?そればかりが気になるのだった。
曾祖父さんが日本人で、彼が子供の頃日本に住んでいたらしい。そのため、日常会話レベルの日本語を話すことができた。久しぶりに日本語を話せるので、つい時が経つのも忘れて長話してしまった。
残量が少ないモバイルバッテリーに繋いだため、電気が逆流してしまったらしい。残量が満タンのバッテリーに繋いで、歩きながら急速充電を行った。
しばらく歩いていると、蚊が増える一方で素肌が露出している部分が喰われて痒くなってきた。時間はちょうど19時ころで、この蚊の大群のなか歩いてゆく気にはなれない。
ただ、Hwyとかなり近くて車の音が煩いため、耳栓をして眠ることになった。
Soda Springs(1153.4mile地点)3.4mileヒッチ
Hwy80沿いのスキーリゾートの小さな町。地元民より余所者が多いため、ヒッチハイクは意外に苦戦を強いられる。中規模のGroceryとPost Officeがあり、必要にして十分な補給ができる。熱心なTrail Angelもいて手厚いサービスも受けられるようす。
Soda Springs General Store
営業時間 午前8時から午後7時まで。ハイカーボックスあり。Wi-Fiなし、AC電源なし。
AT&T圏内。
味のある雰囲気の店入口。プランターや植木鉢に植えられた花が華やかさを加えている。
店前の軒下が休憩スペースとなっている。私が到着した時から出発するまで、誰一人として他のハイカーは姿を見せなかった。大きな町のTruckeeの方へ流れているようだった。お陰で思う存分リラックスすることができた。
ほとんどハイカーが立ち寄らないためか、ハイカーボックスは非常にPoorだった。
中に入っていたのは、ペーパータオルのようなものが一つ。メインのハイカーボックスはTrail Angel宅にあると思われる。TrailAngelを召喚する術を知らない私は問題は自分で解決するしかなかった。
店頭の掲示板に迷い犬の報奨金に付いて貼られていた。写真無しで名前と姿形の説明文だけで見つけることは難しいだろう。しかも報酬がたったの$100。
お店で2回買い物をして約$40支払った。次のEcho Lakeまで61.1mileで3.5日分の食料を持つ。
店の品揃えは肝心の袋入りツナはなく、缶入りばかりで詰めが甘かった。ただパワーバーやマルチャン、マッシュポテトなどは置いてあるので、贅沢言わずに店にあるものを買うことになる。
値段もそれほど高くはない。Truckeeにゆくことを考えたら、Soda Springsでの補給はそんなに悪い選択とは思えない。
バーガーコーナーがあったが、出来合いの物を電子レンジで温めて食べるスタイルだった。
ボリュームの少ないバーガー2つ食べる。むしゃむしゃゴックン。何だか物足りないが、そこそこリーズナブルだったためヨシとしよう。
今回始めて購入したヒマワリの種。以前、Lone Pine手前のSierra山中で袋ごと落ちていたのを拾ったのを食べたのだった。その時は湿気ていてあまり旨くなかったが、今回見つけたので買ってみることにした。
炒めて塩を振っているだけのシンプルな味。香ばしく噛みごたえがあり、地味に癖になる。
ハイキングをしていると、インスタント食品が中心となり、食物繊維が不足するので、こういう食べ物は非常に助かる。ただ一点だけ、面倒くさいことがある。それはあまりに下品なのでここで書くことは止めよう。一度食べれば、それがどういう意味か分かる。
店と同じ棟にPost Officeもある。用事はないが調査のために立ち寄ってみる。
なんとビックリ、通路のカウンターの上にフリーペーパーや紙くずがてんこ盛りとなっていた。こういうこともアメリカでは特に珍しいことではない。
店頭に設置されたマネキン
看板娘のようす。地元の人が時々訪れる静かなお店だった。
休憩や補給などをしたりして1時間ほどお店で過ごしたあと、店の前でヒッチハイクを開始する。Post Officeから出てきた車が早くも停まってくれたが、「2ブロック先までなんだ。済まないね。」とわざわざ声を掛けてくれた。地元の人は凄くいい感じだのだが、いかんせん人が少なすぎる。近所のおっちゃんが走り去ってしばらくすると、今度はボロの白いバンのおばちゃんが止まってくれた。
助手席にハイカーを載せてTrail Headまで送り届けるところだったようだ。非常にラッキーだった。あとで知ったのだがSugar MamaというTrail Angelでハイカーの送迎を行っている人だった。後ろの荷室に乗り込むと、おばちゃんの飼い犬が寄ってきてペロペロと私の足を舐めだした。おばちゃん同様にハイカー大歓迎の犬だった。
人懐っこい可愛い犬は大歓迎。しつこく吠える煩くて失礼な犬にはおっさん特製の拳骨を喰らわせてやる。
こうして無事にTrailに復帰することができたのだった。
Soda Springs(1153.4mile地点)からSouth Lake Tahoe(1092.3mile地点)まで PCT85日目 7月19日(水)~PCT87日目 7月21日(金)
7月19日 1153.4mile~1136mile付近 17.4mile
7月20日 1136mile付近~1111mile付近 25mile
7月21日 1111mile付近~1092.3mile 18.7mile
10時15分ころTrail HeadのDonner Passに戻ってきた。
行きは大変だったが、帰りはあっと言う間だった。峠に着くとハイカー2名が待っていて、私達を下ろすと入れ違いに2名を載せてSoda Springs方面に走り去った。
私が南に向かって歩き始めると、おばちゃんが窓から顔を出して「そっちじゃないわよ!」と教えてくれるので、「私は南向きだよ!」とおそらく聞き取れないであろう酷い英語で答えたのだった。
おばちゃんの名前を知ったのは貼り紙がしてあったから。「Sugar Mama」という。もし必要だったら、電話してね!」と丁寧に書いてある。Hwy40は交通量が少なく地元車も少ないため、ヒッチハイクに時間がかかる。嬉しいサービスだ。
Donner Passを振り返る。平日だったが、日帰りハイカーの姿が結構見られた。
スルーハイカーとは違いみな清潔でファッショナブルな出で立ちをしている。彼らは慣れているようで、こ汚いハイカーを見てもビックリしない。
スキーリゾートの中を歩いてゆく。広大なゲレンデを作るために樹木が伐採されて殺風景なのだが、たいてい電波が入るのでハイカーにとって悪いことばかりではない。しばらく山の稜線上に出れば、たいてい電波が入ってくれた。
景色の良い稜線上のルートが続く。Donner Passを越えてようやくSierra本番となる。
気になっていた残雪の量も大したことがないと分かり安堵する。
アップダウンは少なめでいて景色は素晴らしい。ハイカーのためにあるようなトレイル。Soda Springsで食事したこともあり快調なペースで歩いてゆく。
前方に見えてきたのはAnderson Peak。山の斜面に多くの残雪が見える。
Anderson Peakの山腹を巻く。ビッシリと残雪が残っているが、緩んでいるためトレランシューズのままでも何ら問題なく歩ける。4足歩行の犬は時々滑りながらも器用に歩いていた。
高山植物の花が多くなるとSierraに戻ってきたことを実感した。一月前はまだ早く花は全く見られなかった。
こういう遮蔽物のない稜線上のトレイルで雷雨に遭うと非常に怖い。あまりに天気が良いため、夕立が来るのではないかと警戒していたのだが、この頃は全くそんな気配はなかった。
Granity Chief手前の北側斜面から再び残雪が現れた。先日、Sierra City過ぎでフレンドリーなハイカーから「Sonora Passまではほとんど雪なし」と聞いていたので、かなり狼狽えた。
ルートを見失わないようにスマホアプリを頼りに歩いた。
時々、雪解け水でできた湿地帯に阻まれる。できるだけ靴を濡らさないようにキッチリ迂回した。
最後の斜面を上る。スキーリフトのような明確な目標物があると分かりやすい。
ところどころ急斜面となっていたので、露出した岩を頼りに上っていった。
峠を越えて南斜面に出ると一気に雪が減った。峠のところでハイカーのパーティーが休んでいたので、そのままスルーしてしばらく歩いて見晴らしの良いところで休憩する。
20時ころ、1136mile地点のキャンプサイト手前でキャンプすることにした。
私のハイカーセンサーが反応したためだ。水場に近いこともあり、すでにハイカーがキャンプしているように思えた。
昨日の読みは当たり、Creek近くでテントが張られていた。危ない危ない。
夜は冷え込み霜が下りてツエルトが濡れた。標高が上がるとともに朝晩の冷え込みが厳しくなってきた。
スタート直後のつづら折りの道を上り詰めると、朝靄に霞んだ山々が見えた。
稜線上に出るとスキーリゾートの施設が見えた。Wildernessとスキーリゾートの境界線に柵が設置されていた。
スキーリゾート境界線の標識
見晴らしの良い稜線上で、風を避けて少し下りたところで朝飯にする。
最近煙っぽいと思ったら、どこかの山火事の煙だったらしい。先程みた朝靄は実は煙だったのだ!スキーリゾートを見下ろせる見通しの良い稜線上で電波が入るため、強気でブログ更新した。昨日、上まで登ってこればツエルト内でできたのにと思った。
この日、樹林帯の中でで二人目の日本人ハイカーと会う。彼は20代半ばの若者で、5月11日にMexicoをスタートし、Sierraをスキップせずに歩いてきたそうだ。私も5月上旬から中旬に出発すれば良かったのにと非常に後悔した。彼と会ったあと数日間もこの気持を引きずることになった。
Sierra City手前でフレンドリーな韓国人ハイカーから数日遅れで日本人が来るよと教えて貰ったが、少し時間が経ちすぎているようだったので、別の日本人ハイカーだったかもしれない。
縁があれば何度も会ったりするが、逆に一度も会わないハイカーもいる。(一度も会わないハイカーの方が圧倒的に多い。)何度も会うハイカーは歩くペースや寄り道する場所が同じであることが多く、自然と親しみを感じる。
Twin Peaks
双耳峰の山。昔アメリカのドラマでTwin Peaksというのがあったな。大人気だったが、一度も観たことはなし。
快調に歩いていると、不意に便意を催したので、トイレットペーパー代わりの葉っぱを千切ってトレイル脇に逸れる。
この草はヒマワリのような黄色い花を付けて目立ち、葉っぱにフワフワした毛が生えているため、おしりには凄く優しい。
毟る葉っぱは1株につき1枚だけ。一度に毟ると枯れてしまうおそれがある。
こいつは極上の葉っぱだ。
葉っぱで拭くとそのままブツと一緒に穴に埋められるのがいい。おまけに紙の消費量を抑えることができる。
1124.8mile地点のTahoe Cityのヒッチポイント。ここからTahoe Cityまでおよそ12mile。ここはTahoe Rim Trailと言ってTahoe Lakeを一周するTrail Headでもあり、週末になると大勢のハイカーで賑わうらしい。その週末ハイカーの帰りの車に便乗して町まで下りることになる。
戻って来たハイカーに交渉せねばならず、難易度の高い場所となっている。
すぐ先にEcho LakeやSouth Lake Tahoeがあるため、わざわざ難しいここでヒッチハイクすることはない。
Sierraに入り緑が濃くなるにつれて、蚊にしつこくまとわりつかれて非常に鬱陶しい思いをした。ハーフパンツとTシャツの肌の露出が多い格好で歩いていると、すぐに蚊にボコボコにさされる。動きを止めるとさらに蚊が増えて大変になるため、常に動き続ける必要があった。
休みたくても休めない、そんな状況が長い間続いた。
このような樹林帯の水辺で蚊が大量発生している。水を汲もうと近づくと、待ってましたとばかりに蚊の大群が押し寄せてくる。水を汲む時は両手を使う必要があるため、一時的に無防備になる。とりあえず蚊の猛攻に耐えて水を汲んでおいて、蚊の少ない場所でゆっくり浄水する。なるべく水は持たないようにしたいのだが、落ち着いて水くみ浄水ができないため、汲める場所でたくさん汲んでおくこともあった。
ご飯を作りたいのに、蚊が多くてご飯どころじゃない。空きっ腹を抱えて歩き続け、蚊の少ない場所に着いたら勢いで食事を済ませる。暑いのにウインドブレーカーのフードを被り、体を揺すり、蚊を払いながらの食事となる。忙しなく食事を済ませるとすぐに歩き始める。
強力なDEETという虫よけスプレーがあるのだが、しつこい蚊に効くほどの薬だと絶対に体に悪いので一度も使うことはなかった。頭に被るヘッドネットは持っていたのだが、視界に入って鬱蒼しいため、ヘッドネットも一度も使うことはなかった。
20時ころ、さらに蚊が多くなってきて発狂寸前のところ、適当なキャンプサイトを見つけたので、素早くツエルトを張って中に逃げ込んだ。ペグを打ちロープを縛る時も両手を使い無防備になる。立ちどころにあちこち刺されてボロボロになってしまった。
Sierra山中の蚊はしつこく、夜間気温が下がろうとも活動的だった。私がトイレで外に出ると、群れをなして襲ってきた。オシッコをしっかり切らないままツエルトに逃げ込んだ。
翌朝恐る恐る外に出ると、またしても蚊が待っていた。超特急でツエルトを撤収していると、大を催してきた。決死の覚悟でお尻を出して用を済ませると、お尻もボコボコに刺されて大変なことになった。蚊が多いと何をするにも落ち着かない。
Middle Velmaから流れ出るCreekの渡渉をする。
水量のあるCreekだったが、流木をや枝などを置いて橋のようにしてあった。
濡れた木で滑らないように、杖を突いて慎重にクリアした。
湖面に映る山々
水面が穏やかで鏡のように映っている。
歩き始めてしばらくすると体は温まったが、太陽はまだ山陰に隠れているため日が当たらない。日陰の部分はまだ凍っている。
分かりにくいフラットな場所を抜けてようやくDicks Passの登りに取り付いた。
下に見えるのはDicks Lakeだ。まだ薄氷で覆われている。高度を上げてゆくと、蚊の気配がなくなった。
峠の登りからトレイルはすっかり雪に埋もれた。ハイカーの踏み跡を参考にしながら、自分の信じる道をゆく。
Dick Pass上部はフラットで方向感覚を失いやすい。目印の山を見ながら進んでいった。
Dicks Passの日当たりがよく地面が露出した場所で朝食にする。蚊がおらず落ち着いて食事をすることができた。濡れたツエルトやシートを干し、ソーラーパネルをセットしてモバイルバッテリーを充電する。
しばらくモバイルバッテリーを見ていたのだが、一向に充電される気配はなし。朝が早いとはいえ、もう十分に発電できるほど太陽が高くなっていた。隙間から砂が入ったり、直射日光で熱くなりすぎたりして調子が悪くなってしまったようだった。
USB挿し込み口のカバーを外して中を見てみたが、外観上異常はなし。
出先であるため、じっくりと調べるわけにもいかない。ソーラーパネルは電気を自給できて便利なのだが、重たくてかさばるのが弱点だった。
峠からDicks Peak方向を望む。峠からの景色は素晴らしく、さすがSierraだと言いたくなった。しばらく下ったところで気がついたのだが、濡れた靴下を立木に干していたのを忘れてしまった。戻ると1時間以上タイムロスすると思われたので、やむなくそのまま下りることにした。まだまだ十分履けるアンクルカットのメリノウールの靴下だった。
Dicks Passからの下り
湖と山々の眺めが素晴らしい。間違いなくSierra北部の見どころの一つだった。途中でパークレンジャー二人組と会ったが、挨拶のみでPermit(許可証)を見せろとは言われなかった。
薄氷で覆われたHalf Moon Lake。その名の通り半月状の湖なのだが、なぜだか丸っぽく見えた。
Dicks Passからかなり下って雪が減ってくると、多くのハイカーとすれ違うようになった。7月下旬になり家族連れのハイカーが多く見られた。彼らの装備を見るとマットやテントなど驚くほど大きく、巨大なバックパックを軽々と背負って歩いていたのだった。体が大きく体力があるアメリカ人は、装備の軽量化にさほど関心がないらしい。軽量化に拘っているのはスルーハイカーくらいだった。
Lake Aloha
小さな島が数多く浮かぶLake Alohaは間違いなく人気スポットだった。湖畔に数多くのハイカーの姿が見られた。一人やカップル、グループが思い思いのスタイルで寛ぎのひと時を楽しんでいた。
私はというと景色の良い岩場で荷物を広げて昼食をとりながらのんびりしていた。
すっごい楽しい。そう思わせてくれる素晴らしい景色が続く。スキップして時間稼ぎをしたため、素晴らしい景色の中をゆっくり歩くことができた。スルーハイクをしていると、必ず早すぎたり遅すぎたりして悔しい思いをすることになる。一度のハイクでPCTの全てを楽しむことなどできはしないのだ!
Echo Lakeに向かって高度を下げてゆく。次第に残雪は消えて緑が濃くなってきた。
トレイル脇にいた70歳くらいのカップルがイチャイチャしていたのには驚いた。私の気配に気がつくとさっと離れて平静を装っていた。
まあ、仲の良いことはいいことだ。そのまま墓場まで仲良く行っちゃいなよ!
Echo Lake周辺は別荘がたくさん見られた。渡しのボートも行き交っていて静かな湖畔にエンジン音を轟かせていた。Resort色が強くなると一気に興ざめする。夢の中から現実に引き戻された。
別荘を建てることは悪くない。ただこんな立派な豪邸が必要なのか?
シーズン中に短期間滞在するだけなのに、大金を積んで別荘を建ててしまう。せっかくのいい場所なのに勿体ない。
Echo Lakeの船着き場
Resortの雰囲気が漂っていてかなり華やかだった。身なりの汚い私は場違いのような気がして全く落ち着かない。さっさとお店で補給して先に進むことにした。
Echo Lake(1092.3mile地点)On Trail
Echo Lake湖畔にあるリゾートのお店。品揃えは悪く全ての物がバカ高い。
少し手間はかかるが、South Lake Tahoeまで下りた方が良い。
Echo Lakeの店
周囲は多くの人で賑わっている。
お店に入ると、品物の少なさと値段の高さに驚かされた。全てがリゾート価格でマルチャン1袋$1、袋入ツナが$3.2だった。一気に購買意欲が失せてしまった。ジュースとアイスクリームを買って$5.2、なんとカード使用料$1.5まで請求されたのだった。
ハイカーフレンドリーと言い難く、リゾート客目当てにがっぽり稼ぐ商売だった。驚くべきことに夏休みシーズンに入ったところなのに、まだバーガーコーナーが改装中だったこと。外で少し休憩すると直ちに立ち去った。
Echo Lake周辺は狭いため、手前の駐車場に車を停めて歩く。リゾート客相手にヒッチハイクしても無駄なことが分かり切っているため、Hwy50まで歩いてゆく。
17時過ぎ、South Lake Tahoeへヒッチハイクを開始する。
YogiのHandbookに書いてあったとおり、飛ぶように車が走っている。待避所に車を止めるためかなり前に立った。空飛ぶ車にサムアップしても全く反応なし。少しでも目立つようにと、黄緑色のウインドブレーカーを着て幸運のPCT赤バンダナを手に持ち行った。バックパックは重たいので、待避所においてきた。
Chesterに下りる時、一緒にヒッチハイクを行ったHobo Maxが言うには、「ホームレスと間違われないようにバックパックを背負った方がいい。」とのことだったが、バックパックはヒチハイクの成功率には関係ないように思えてならなかった。一人でのヒッチだと、車が止まった瞬間ダッシュして駆け寄る必要があるため、身軽でいた方がよい。(気が変わらないうちに駆け寄る。)
すると20分ほどで車が止まってくれた。
South Lake Tahoe(1092.3mile地点)9mileヒッチ
Lake Tahoe湖畔にある大きな町。大型のスーパーマーケット、ホームセンター、アウトドアショップがあり何でも揃う。町が大きいため移動するためにはヒッチハイクが必要となる。
宿泊は町北部にあるMellow Mauntain Hostelというホステルがおすすめ。
町外れで2回目のヒッチをしてデニーズまで辿り着いた。
2回目に載せてくれたのは鍵屋さんで、バンの後部が作業スペースとなっていた。
夏は鍵屋をやり、冬はバックカントリースキー・スノボのインストラクターで稼いでいるらしい。とにかく金がよく稼げるらしい。日本にも何度もやって来ていると言っていた。
レストランに入るとかなり待たされて案内されたのは一番入口に近い席だった。食べ物は注文したあと忘れた頃に持って来た。すぐに平らげて店を出ようとレシートを渡すと、「チップが書いてないわよ!」とウエイトレスに怒られた。ついうっかりしてチップを記入するのを忘れてしまってしまった。愛想のないウエイトレスの癖に生意気だと内心毒づきながらチップ記入してカードを差し出した。
食事を済ませて多少お腹が膨れると、キャンプ場に向かう。
リゾート色が強い町のため、安く泊まれる感じはしないが、とりあえず行ってみることにした。運が良ければ、ハイカー専用サイトがあるかもしれないと、自分に都合の良いことを考えた。
19時20分ころ、セントラルエリアの市営のキャンプ場に到着した。
予想通りリゾートな雰囲気がプンプンする。受付はどこだとウロウロして探す。
キャンプ場入口の閉まっている建物が受付兼ゲートのようだった。
すでに本日の受付は終了してしまっている。誰かに聞こうにも、暇そうに歩いている人間はいない。
キャンプ料金は駐車料込みで$44.16以上。
安いハイカー専用サイトがあるようには思えない。あとで知ったことなのだが、夏休みシーズンは混雑するため、事前予約なしには泊まることができない状態だそうだ。
道路から見えたオートサイトは隣との間隔が狭めで密集しているように見えたが、柵の隙間から覗くと凄く広々としていた。これだけ余裕があれば、どこでもキャンプできそうだった。管理人に交渉しようにもすでに受付終了してしまっている。どこにもハイカーの姿が見えないことから、ここはハズレに間違いはなく、他の場所をあたることにした。
片隅に置かれていたレンタサイクル。それほど人気があるようには見えない。
あれだよ、あれ。エコっぽい雰囲気を出すためにただ置かれているだけの自転車。
あてが外れてLake Tahoeを見ながら呆然とする。
とりあえず一晩くらいなら、湖畔の茂みの中で眠れないことはない。まだ明るく人が大勢いるため、野宿するには時間が早い。キャンプ場の隣にあった図書館の軒下でも野宿できそうだった。それほど焦る必要はない。
近くのスーパ-マーケット「Safe Way」で買い物して腹ごしらえする。
デニーズで食事しただけでは満腹にはならず。サンドイッチを食べる。
次のSonora Pass、Kennedy Meadows Resortに向けて食料を準備する。
75.4mileの距離で3.5日分の食料を持つ。
こうして休憩コーナーで準備をしつつゆっくりしながら暗くなるまで待っていたのだった。
21時前、すっかり日が暮れたころ、スーパーマーケットを出て図書館までやって来た。
湖畔で寝るより軒下で眠る方が良いと思った。明るいうちは人気があったが、暗くなった今は全くなし。
人目に付かない図書館の軒下でタイベックシートを敷いてカウボーイキャンプする。
目立って危険だが、ヘッドランプを点けてブログ更新を行った。折りたたみキーボードの症状が悪化し、Xの他に日本語入力切り替え、AとZのキーも反応しなくなった。Xだけならまだしも、日本語入力キーが使えないのは痛い。イライラしつつなんとかブログ更新を終えた。
この後すぐに寝袋に入って眠ろうとしたが、車の音が気になって仕方ないため、危険は承知で耳栓をして眠った。静かで眠りやすかったのはいいが、逆に周囲が気になってなかなか眠れず。それでもしばらくじっとしていたら意識を失った。
山中で悩まされた蚊は、町では全くおらず快適だった。まるで町中に殺虫剤を散布しているかのようだった。
つづく
コメント
隊長の書く記事に余裕が見えます。
なんか
一年前の隊長に戻ってきましたね。
愛知から山梨!
偉い!
この余裕いつまで持つか分かりませんが、しばらく休養したお陰で楽に書くことができました。
せっかく体験したことを忘れてしまうのは勿体ないですからね。