こんばんは。からあげです。
はじめに
ここでまずはじめに、バックパックの自作について説明しておくことにしよう!
以前にも書いたとおり、数ヶ月前からPCT用の超軽量バックパックを自作するために準備を進めていた。
アメリカ西海岸パシフィック・クレスト・トレイル(略してPCTと呼ばれる)というおよそ4,200kmの長大なトレイルを歩くためだ。ネットの記事や参考資料を読み漁り、おぼろげながらPCTの必勝法を掴むことができた。その必勝法とは荷物の軽量化。
毎日朝から晩まで歩き詰めの日々だと肉体に相当な疲労が蓄積されるはず。だから休みをとりつつのんびり歩きたい。しかしビザの日数(6ヶ月間)と冬の訪れによる降雪という時間的な制約があるため、少なくとも半年以内には歩き切らねばならない。そのためには荷物をできるだけ軽くして体にかかる負担を減らし、一日の歩行距離を伸ばさねばならない。
これまで数々の装備品を取捨選択して、できるうる限りの軽量化を行ってきたが、見直すとまだまだ軽量化の余地は残っていると感じる。荷物を入れて背負うバックパックも例外ではない。容量60L以上のバックパックだと、重さはゆうに2kg近くもある。重量は強度や耐久性の現れでもあるが、使用用途によっては過剰とも言うべきスペックだったり、モノが付いていたりする。ポケットやストラップ類、分厚い背中のパッド、分厚い生地などなど。
最近は一部のメーカーから軽量化されたバックパックが販売されようになったが、既製品は価格が高いという大きなデメリットがある。それなら自作するか?
私はこれまで裁縫は小学校の家庭科の授業くらいでしかまともに習ったことはない。学校にあった足踏みミシンで簡単なエプロンやカバンを作っただけ。
小屋で暮らすようになってからは、外仕事が増えて急に衣類の消耗が激しくなったため、手縫いで穴が空いたところの修理などをするようになったくらい。
そんな裁縫とは縁遠い中年男が、なぜ重要装備であるバックパックの自作という大それたことを考えたのか。
理由は裁縫技術を身に付けたかったから。
図面から製作していたら非常に時間がかかるが(それ以前にできない)、自作キットなら手間を大幅に省けて、それなりに使えるものを作ることができるだろう。
そんな風に自分に都合よく考えた。
バックパックは袋にストラップを縫い付けておしまい、という簡単なものではないくらいは自作素人の私でも分かっていたことだった。
軽量バックパックは欲しいが、既製品は高くて買えない。自作しようにも何から始めていいのか分からない。さてどうしたものか?そんな悶々とした気持ちを抱えていた時に、自作キットの販売を偶然知ることになる。
レイ・ジャーディンのマグマのように煮えたぎる情熱!
写真はレイ・ジャーディン(Ray Jardine)というアメリカ人が超軽量の自作キットなどを販売するサイト。
かつては名クライマーとして世界に名を轟かせていたというもの凄い爺さんだ。
今は軽量な道具を次から次へと開発しているそうな。
高齢でありながら、スキー・ハイキング・カヤック・ヨット・自転車などの遊びに夢中で、奥さんのジェニーと一緒に世界中を飛び回っているらしい。
なんてパワフルなおっさんなんだ!
そして羨ましい~。
レイおじさんは長年の活動で培った知識と経験をもとに本や自作キットも販売している。
詳しくは彼のサイトを読んで欲しい。
“Most pepole believe they lack the ability to use a sewing machine.
This is nonesense.”ほとんどの人は自分にはミシンを使う能力がないと思い込んでいる。
これはナンセンスだ!The sawing machine is automatic, and is extremely simple to use.
Driveing a car is more complex, and nealy everyone can easily do that.ミシンは自動で、非常に使いやすい。
車の運転の方が遥かに複雑だが、ほとんどの人が簡単に行うことができる。Don’t have time? Make the time!
なに?時間がないだって?なら時間を作るんだ!
Some pepole believe they lack the time for sawing.
Yet these same pepole will spend hours watching tv,browsing the internet or playing the game.縫製する時間なんてないと思い込んでいる人もいる。
しかし、そういった人はダラダラ長時間テレビを見ていたり、ネットをしていたり、ゲームをしていたりして時間を費やしていることだろう。Shift your paradigm by making your own gear!
自分自身の道具を作ることによってパラダイムシフトをするんだ!
So go ahead and break out of that old mold of imagined inabilities.
Shift your paradigm by making your own gear rather than buying it.
The gear you make yourself will be far more meaningful and rewarding, and your time spent sewing will be quality time away from the mindless tv and opinionated social networks.だから一歩先に進んで、使えない古い従来型の考え方から脱却するんだ。
道具は買うものではなく、自分自身で作ることで、パラダイムシフトするんだ!自分で作った道具は遥かに意味があり充実感がある。縫製に費やされる時間は、しょうもないテレビや視野の狭いソーシャルネットワークから離れて充実した時間となるだろう。レイ・ジャーディンHPより(和訳はおっさん独自の解釈による)
レイおじさんの情熱溢れる文章を読んでいると、ミシンをほとんど使ったことのない私でさえも、挑戦してみようかな?という気分になってくる。
一度バックパックを作れば、構造や作り方も分かって次回から自分で作ることができるだろう。
自作キットのメインコンテンツはバックパックの作り方。実は完成したバックパックは単なるおまけでしかない。
実際に作ってみてそのように思えた。
バックパック自作キットの購入
ショルダーサイズ L
パック容量 2800立法インチ(約45L)
*フロント、サイドポケット、エクステンションカラーの容量は除く。 バックパック単品$82.75、送料$21.61、合計$104.36
約12,000円(1ドル115円換算)
*2017年1月現在の価格
バックパックキットはレイおじさんのサイトから注文できる。
海外とのやりとりとなるため、念のため代金は安心安全のPAYPALで決済。VISAやMasterCardなどのメジャーなクレジットカードも使えたような気がする。
向こうにはPAYPAL登録の日本語の住所が送られるようなので、備考欄に英語表記の住所を記載しておいた。
さらにサイトメニューのコンタクトから、「先ほどバックパックキットを注文した者ですが、品物は日本のこちらの住所に送ってください。」というような英文メールで送っておいた。
日本からの注文はこの点だけ注意が必要と思われる。たぶん。
自作キットにはサイズがあって肩囲のサイズを選択できる。自分で適当にメジャーで測った。
するとだいたいLサイズになった。
レイおじさんがAT(アパラチアン・トレイル アメリカ東海岸のトレイル)をスルーハイクした時、2600立法インチのバックパックをメインで使い、高山帯のみ少し大きな2800立法インチのパックに変更したということだった。大は小を兼ねるということで2800立法インチを選択した。
エクステンションカラーを伸して、容量を増やすことができるので、荷物が入りきらないことはないだろう。だが大きなベアキャニスター(クマから食料を守るための円筒形の丈夫な容器)が中に入るかどうかだけ気になった。
参考:容量2200立法インチ(約36L)のスペック
重量 9.5オンス(約270g)
パック容量(本体) 約36L
ポケット(サイド、フロント) 約6.5L
エクステンションカラー 約20L
サイトから注文すると、アメリカから10日ほどで山梨の自宅に届いた。
荷物は航空便でUSPS(United States Postal Service)のPriority Mailで送られてきた。
思っていたより早かったのでビックリした。
よし、早速袋を開けてみよう!
中から自作キットを取り出したところ。
説明書とパーツが入っているだけの非常にシンプルなもの。
これはレイおじさん直筆のサインか。それとも奥さんのジェニーのものか?いやいやひょっとすると近所のパートのおばちゃんのサインかもしれない。
こういうのは地味に嬉しい。
袋から中身を出してみた。
うわ~、本当にパーツだけだな。
これを自分で組み立てることができるのだろうか?
不安と期待が徐々に膨らんでゆく。
英語で書かれた説明書。
イラストが描かれているので、英語を完全に理解できなくても何とかなる。
説明書とじーっとにらめっこしていると、あら不思議。
なんとなく意味が分かってくる。英語は習うより慣れろ。
ストラップやコードロックなど一式。
内容物一覧表を見てあるかどうか全てチェックする。
説明書はインチ表示のため、おまけにインチ仕様のメジャーが付属していた。
わざわざインチからミリに変換しなくてよかったので凄く役立った。
作業で使用した道具
【注】付属品以外で使用した道具
・ミシン(カガリ縫いなどができるコンピューターミシン)
・ミシン糸(普通の太さの60番)
・リッパー(縫い直すために糸を切るもの)
・チャコペン(マーキング用のペン)
・ハサミ(切れ味が良いもの。)
・セロテープ(型紙を貼り合わせるため)
・まち針
・ダブルクリップ
・定規
・帆布用針と麻糸(ショルダーストラップの補強用)
・瞬間接着剤(麻糸のほつれ防止)
以上がレイ・ジャーディンの超軽量バックパック自作キットの説明だ。
製作は次回からアップすることにしよう。
リュックサックのことをザックと呼ぶとアメリカ人に通じないかもしれないので、これからしばらくはバックパックと書くことにする。
つづく
コメント
ザック作りは、時間との戦いですね。それにしても、これだけの軽量装備でPCTに挑んだ日本人は、いないでしょう。
踏破、帰国したら日本中から Standing ovationですよ!!
また大げさな。
ハイカーは基本的に軽量装備ですよ。
そうでないと長期間楽しく歩けませんから。
ハイカーは基本的に軽量装備ですよ。
< 本当ですか?
隊長は、用心深いからいつも重装備じゃないですか!アメリカの山、谷、川、あの気温、あの距離ですよ。隊長の軽量装備で風林火山なPCTに挑むって凄いですよ!!
長い距離を歩くためには軽量化が必要なのです。
重装備だと単なる精神修行になってしまいます。
いちから作るのだと思っていました。
がっかりした半面、安心しました。
当然マニュアル通りに作ってからカスタマイズするのですね。
かついで歩いてみて改良のルーチンを期待しております。
バックパックの自作を舐めてはイケません。
いきなり4200km耐えうるものはできません。