こんにちは。からあげです。
ヘリテイジ ストックシェルターにたどり着くまで
今回のPacific Crest Trail(PCT)でテントをどうするか?私にとって非常に大きな課題だった。トレイル上での宿となるシェルターは軽量化を重視しすぎると、快適性が失われてなかなか疲れがとれなくなるかもしれない。
かと言って居住性を重視して自立式のテントにしてしまうと、重たいうえに快適すぎてつまらない。あれこれ散々悩んだ結果、finetrackのツエルト2ロングに決定したのだった。
ツエルトロング2の使用感
PCTでのツエルトの使用に関しては後日詳細に書くことにするので、ここでは簡単に説明するだけにしよう。
ツエルト2ロングは過酷なシエラ山中でも機能し、私に歩く気力体力を与え続けてくれた。カウボーイキャンプ(シートを敷くだけで露天のまま寝るカウボーイスタイルのキャンプ)がメインだった南部の乾燥地帯を除いて、約2000mileも使用した。ツエルト独特の三角屋根の可愛らしさ、軽量コンパクトさは、他のハイカーからも度々注目を受けた。ペグダウンして立ち上げると、どこでも大きな居住スペースが生まれる。実に頼もしい奴だった。
特に樹林帯では抜群に使いやすかった。どこでもロープが取り放題でペグ効きも良い。立木にロープを取ると耐風性が大幅に向上する。自立式のテントみたいにポールが邪魔にならないため、不整形なすき間にもねじ込んで設営することもできた。
ただ、ツエルトは構造上の短所があった。ペグが効かない場所では設営が困難なことと、設営に時間がかかるということ。
欠点その1 ペグが効かない場所では設営が困難
砂地でも石があれば設営が可能だが、石探しにも結構時間がかかる。一見すると野営に良さそうに見えた車の来ない山奥の林道は、砂利を入れてから重機で踏み固めているため、カチカチで全くペグが入らない。夜の闇がすぐそこまで迫っているのに、なかなか設営場所を見つけられなくて焦ったことも多かった。
道路脇での野宿
未舗装部分は砂礫の地面でペグ効きがかなり悪かった。そこで雑草をペグ代わりにして張り綱を張ったこともある。
欠点その2 設営に時間がかかる
短所2つ目は設営に時間がかかること。四隅をきちんとペグダウンしてから片方2本ずつ張り綱をとって立ち上げる。合わせると8箇所ペグダウンする必要がある。そのうちどれか1本でもペグ効きが悪いときれいに張れず耐風性が低くなる。特にポールを支える張り綱が重要だ。そのため、ペグ効きを確かめながら何度も打ち直す必要がある。
ツエルトの設営でもっとも時間がかかるのはペグダウン。あとはちゃちゃっと済ませられる。いかにして手早くペグダウンを行うかが設営時間を短縮する鍵となる。設営に要する時間は、条件の良いところだと10分、悪いところだと30分くらいはかかった。
PCTでは距離を稼ぐために日没ぎりぎりまでまで歩き、日没と同時にねぐらを探し始めることが多かった。(スルーハイクだとそうせざるを得ない場面が度々訪れる。)
日中の長時間行動で消耗しているため、少しでも早くキャンプ適地を見つけて休みたい。ようやく場所が見つかっても、歩き疲れた消耗した体ではツエルトの設営は大変だった。効かないペグにイライラしたことが何度あったことか。その度、もう少し設営しやすいシェルターが欲しいと思ったのだった。
PCTハイカーのULシェルターを見学する
私はコミュニケーション能力と英会話能力のなさから、PCT約2600mileのほとんどを一人で歩いていた。他のハイカーがどう過ごしているのかは、トレイル上ですれ違ったときにじっくり観察して自分なりに推測していた。
中でも気になったのはシェルターだ。私は他のハイカーを避けて一人で行動していたため、どんなものを使っているのか知る機会がほとんどなかった。
7月中旬California北部にあるChesterという町の教会でキャンプした時、他のハイカーのシェルターを見学する絶好の機会が訪れた!
センターフレームのシェルター
一番気になったシェルターは、センターに長いポール1本、両脇に短いポール2本を配置するもの。コンパクトでありながら抜群の居住性がありそうだった。ツエルトに比べて耐風性もかなりあるように思えた。ドイツ人ハイカーから説明を聞きながら、私が求めていたシェルターの原型はコイツだ!と思った。これなら中央にポールを挿し込んでから両側2点をペグダウンすれば自立してくれる。
ただ、このセンターポールのシェルターには欠点があった。(これから私の推測)それは専用ポールを持ち歩かなければならないこと。木の枝やトレッキングポールでは代替できない。ポールの長さと材質が特殊なため(テントのポールより良くしなる)、途中で折れてしまった場合、入手が困難となる。などなど、少し考えただけでもいろいろと出てきた。
あとで気がついたことだが、ヒルバーグのアクトというシェルターに似ている。
モノポールシェルター
このようなモノポールシェルターは、端っこをペグダウンしてからセンターにトレッキングポール1本を入れて立ち上げる。ロングディスタンスハイカーにとってもっとも理想的な軽量コンパクトなシェルターといえる。ただコイツもツエルト同様非自立式なので、ペグ効きが悪いとまともに設営できない。(推測)
前述のセンターポールのシェルターなら両端2点をペグダウンするだけでいい。
私は見学したシェルター2つのいいとこ取りはできないものか、その後延々と考え続けた。センターポールは専用品で他に使いみちがない。モノポールはペグ効きが重要で設営に時間がかかりツエルトと大差なし。
オレゴン州のどこまでも続くフラットな樹林帯は、物事を考えるには最適な場所だった。歩く以外やることがなくて暇だった。(他のハイカーは誰かと話ながら歩いていることが多かった。)来る日も来る日も私は一人で歩きながら考え続けた。
センターポールの代わりはトレッキングポールしかない。トレッキングポールに代えて最低限の強度を持ったトレイルランニング用のポール。それ以外にない!
候補に挙がったシェルター
アライテント ビビィシェルター
ビビィザックはアメリカやヨーロッパではとてもポピュラーなビバーク用具です。
その形状は大きなシュラフカバーのようで、風土の違いもあって日本ではなかなか使いづらいものがありました。
従来型のビビィザックの使いづらい点を改良したのが新しい「ビビィシェルター」です。「ビビィシェルター」はツェルトとテントの中間に位置付けられる古くて新しいシェルターです。
テントよりも軽く、ツェルトよりも設営しやすいシェルターです。重 量 750g(本体+フレーム)
サイズ
設営時:全長220cm×最大幅100cm(足元53cm)×高さ98cm
収納時:28×12φcm フレーム40cm
素 材 30dnリップストップPUコーティング(エスフレッチャー)
フレーム #7075イーストン8.5φ
付属品 張綱2本 ペグ7本
アライのビビィシェルターは3点ペグダウンしただけで自立してくれる。メッシュのベンチレーションウィンドウも付いていて換気性が良さそう。ただ問題が1点あった。それは専用ポールが必要なこと。居住性と快適性を引き換えに専用ポールを持ち運ぶ必要がある。ポールは他に使いみちがない。
海外の辺境でポールが折れてしまったら、新しいポールが手に入らない。そのため交換用の予備ポールを持ち歩く必要がある。国内使用だと申し分ないのだが。。。むむむ。これは自分のイメージに合わない。
ヘリテイジ ストックシェルター
トレイルランニング時の仮眠休憩などで利用するプライベートシェルターです。
2本のストックを携行していれば、わずか270gでプライベート空間をスピーディーに作ることができます。ストックを合掌型(逆V字)にシェルター内で組み、前後2ヵ所をペグダウンするだけです。
2018年5月より入口向こう面に、吹き流し式のベンチレーターが一ヶ所設置され、換気性能が向上しています。重量 280g(ペグ2本込 乾燥時平均)
生地
本体:15Dナイロンリップストップ・透湿ポリウレタンコーティング(耐水圧1,000mm/平方センチ、透湿量8,000g/平方メートル/24hr)
カラー フォレストグリーン
「シェルター」で検索してみると、このストックシェルターが出てきた。これを見てTJAR(トランスジャパンアルプスレース 日本一過酷と言われる山岳レース)で使われているシェルターだったことを思い出した。
抜群の軽さで前後2点をペグダウンし、トレッキングポールを逆V字に挿し込んで設営するだけの簡単設計。多少窮屈な感じがするが、私の求めるものがある!耐久性に劣る短所は、丁寧に使えば問題ないだろう。
ほかの希望はタープと連携して設営できること。ミニマムサイズのシェルターに防水性は期待できない。雨の日はタープで雨を遮りシェルター本体で保温する。役割を分担させてお互いが性能を発揮できるようにする。パッと見た感じではタープと組み合わせて使うのは難しそうだった。
タープとの連携の問題を解消するために、またかなりの長い時間を要した。
長い間考えてようやく答えを手に入れたが、ここではまだ発表しない。ネットで検索した限りではタープと組み合わせた情報は大したものは出てこなかった。私の画期的なアイデアはストックシェルターの潜在能力をさらに引き出すことになるだろう!シェルターと合うタープがなければ自作する。自作前提で考えなければ問題は解決はしなかった。。。
自作タープの下でストックシェルターを設営(ストック使用、吊り下げ2バージョン)
次回へつづく