超軽量の自作バックパックをPCTで使った感想と消耗・劣化具合【後編】

こんにちは。からあげです。

 

 

前回に続いてこれから後半、レイパックのその後ようすなど。さあ、いってみよう!

バックパックのその後

無事ゴールのカナダに着いてPCTを歩き終えたあとは、約1月間の野宿放浪の旅をしてロサンゼルス空港から帰国した。

その後思いがけないアクシデントが発生し、バックパックを背負って遠くのお店まで買い物に行ったりしていた。愛知の実家にやってきてからも、徒歩生活でバックパックを使い続けていた。

そのためバックパックの状態は、PCT後の使用でのダメージも含まれることに注意して欲しい。

バックパックの状態は帰国後しばらく経った2018年1月5日現在のものです。
 
それでは現在でのバックパックのようすを詳しく報告してゆこう。
まずはメッシュポケット側。
背中側 
ショルダーストラップの付け根の修理の跡がよく目立つ。
サイドのようす
センターメッシュポケットの破れ。PCT終了後、河川敷で野宿している時に、ネズミと思われる生物に齧られてしまった。ゴミをメッシュポケットに突っ込んでいたのが悪かった。また1つ勉強になった。
429 Too Many Requests
破れたところは、マンモスレイクス(Mammoth Lakes)で購入した1.5mmのナイロンロープで修理した。こんなこともあろうかとずっと大事に持っていたのだった。
切り口をライターで炙ってほつれ止めしてから、ロープで編んで修理した。すでに3ヶ月ほど経つが全く問題なし。このまま使ってゆくことにする。
上から見たようす
エクステンションカラー数カ所を修理してある。薄っぺらな生地のため、重荷を入れると傷んでくる。
縫い目が傷んできたので、上から補修シールを貼ったが、縁が剥がれてきたため、周囲を縫って補強した。
ここは小さな穴だったが、念のため修理しておいた。
エクステンションカラーのコードロックは一番負荷がかかりやすいところ。
歩き始めて一月も経たないうちに傷んできたので、収納袋に使っていた大きいコードロックと交換した。
開け閉めする時、雑にコードロックを引っ張ると、コードが丈夫過ぎるためかコードロックの穴の内側が擦れて削れてくる。
付属していたコードロック
傷みが酷くなる前に対処しておく。軽量コンパクトだが、耐久性に欠けていた。
外したコードロックは、使用頻度の低い本体側の口のものと交換しておいた。
そして取り外したコードロックは収納袋用として使用した。
傷んだコードロックの穴
エクステンションカラーの口のコードロックは開け閉めが多く一番負荷がかかりやすいところ。本体側はそれほど開け閉めしないので負荷は軽い。
交換した大型のコードロック
大きいため扱いやすく耐久性も高い。ここだけは丈夫なものと交換しておいたほうがいい。
荷物をパンパンに入れると、コードロックが緩んでくることがあったため、出入り口を絞ったあとロープを縛っておいた。この留め方で緩んでくることはなかった。
エクステンションカラーのお陰で容量が飛躍的に大きくなる。重たい物(食料がいっぱい詰まったベアキャニスターなど)を上の方に入れるとバランスを崩したり荷崩れを起こしたりしやすいため、なるべくバックパックの中心部に入れておく。
始め重心が高いほうが楽に背負えると思い、ベアキャニスターを一番上に入れていたのだが間違っていた。フラフラ動いて全然安定しない。フレームレスの軽量バックパックの場合、重たいものはセンターに入れると安定して背負いやすくなる。(内側に巻くマットがフレーム代わりとなるため。)
エクステンションカラーを使わない場合はバックパック本体の口を絞る。
背中側のようす
エクステンションカラーを使わないと、多少重心が下がり気味になる。
町に下りる前日は、食料が残り少なくこのような状態となる。バックパックに負担を掛けないようにするために、少しでも荷物は減らした方がいい。
上から見たようす
このように本体側はキッチリ口を閉めないでも、エクステンションカラーの口をしっかり閉めておけば、荷物が飛び出てしまうことはない。
上をキッチリ締める上部ストラップのようす
力がかかっても本体の生地に負担がかからないような作りになっている。
このストラップをキッチリ締めると、荷物が安定して背負いやすくなる。
プラスチックバックルのようす
中の荷物を出し入れする度に付け外しするバックル。負荷がかかりやすいパーツだ。
少し不安だったが、特に問題はなかった。
サイドポケットのゴムを留めるコードロック。エクステンションカラーの口を留めるものと同じ。
ここはほとんど操作しないため傷みはなし。ゴムが伸びてきたら、少し締めるくらい。
サイドポケットに500mlのペットボトル2本を入れたところ。まだまだ余裕がある。
メッシュの良いところは、何を入れているのか分かることと、中に入れているものが乾いてくれること。濡れた衣類や水筒を入れるのにちょうどいい。
センターメッシュのようす
ネズミに齧られたほかは傷みはなし。サイドのメッシュより粗く丈夫なものとなっている。
センターメッシュの口にも、本来はゴムを通すことになっているが、使っているうちに伸びてきそうだったので、代わりに2.5mmくらいのロープを付けた。ロープが太くて扱いにくかったが、耐久性は全く問題なかった。付属のコードロックでは穴が小さかったため、少し大きなものと交換しておいた。
サイドのユーティリティーストラップのようす
目立った傷みはなし。ここに手洗いした洗濯物を干して乾かしていた。大型のものはセンターメッシュに入れたり、上に載せたりして乾かした。
バックパックに洗濯物を付けて乾かしているところ。生活感漂うパックだ。
ワシントン州に入ると曇りがちの日が多かったが、こうして干しているとだいたい一日で乾いてくれた。
バックパックの消耗で一番気になったのがストラップ類だった。シエラ前半では重たい荷物を背負わねばならず、かなり負荷が大きかったように思われる。
中のウレタンフォームがズレないように麻糸で縫ったところ。切れたのはここ一箇所だけだった。麻糸での補強はしないよりマシという程度だった。
ストラップの生地の裏表を間違えたらしい。本来は防水コーティング面が内側になると思われる。
使用しているうちに擦れてボロボロ剥がれてきた。
ボロボロになったコーティング面
ストラップの防水がなくなっただけで、使用上は問題はなかった。
角度を変えてもう一枚。
向かって左側のショルダーストラップの付け根
ここの傷みが目立ってきたのは、1000mileを越えてから。上から何重にも補修シールを貼ってから縫い付けて補強してあってかなり丈夫になっている。
たすき掛けで下げていたサコッシュのストラップと干渉して傷んでしまった。
裏側のようす
裏側はあまり負荷がかからない。
おかんに背負って貰ってストラップの干渉具合を確かめる。
ほんの僅かな擦れ具合だが、長距離を歩いているうちに影響が出てくるようになる。
付け根をアップ
サコッシュのストラップに使用したのは、100均の荷物用ストラップ。スーツケースの外側に巻くヤツだ。思いのほか丈夫でバックパックのストラップを攻撃した。
逆にこちらが弱ければ、サコッシュ側が傷んでいたことだろう。重要なのはバックパックだ。サコッシュはあとからいくらでも直すことができる。
超軽量サコッシュの自作
こんばんは。からあげです。 今日から3月、もう春だ。 ツエルトで寝るようになって久しい。 新規購入の寝袋の性能チェックをしつつ、騎士団長殺しを読んでいる。 奮発した甲斐があって、軽量コンパクトで保温力もバッチリ。 これでPCTではポカポカ温
 
向かって右側のショルダーストラップの付け根
こちらの方はサコッシュのストラップと干渉しないため、傷みは少ない。
裏側のようす
向かって左側のショルダーストラップ下側
ウレタンフォームより下側のストラップのみとなっている部分。ここもサコッシュのストラップと干渉して傷んできていた。上から100均の補修シールを貼って糸で縫って留めておいた。
ウレタンフォーム取付面の境界線付近が多少傷んできていた。
やはり荷物が重たいためと思われる。
少しめくってみると、糸が切れているのが分かる。
反対側はそれほど傷みはなかった。
向かって右側のショルダーストラップ下側
少し擦れているだけで目立った傷みはなし。
向かって左側のショルダーストラップ
下側のストラップ付け根も傷んできていた。歩いているうちに擦れてきたようす。できるところだけ、高級補修シールを貼り付けて補修しておいた。
プラスチックパックル周辺は、修理しにくいためそのままにしておいた。
引っ張ると生地の縫い目に負担が掛かっているのがわかる。ちょうど半円形のカーブのところで、曲線縫いするのが難しいところだった。縫い方が悪いと負荷が集中しやすくなって傷みやすくなるのか。
向かって右側のショルダーストラップ
こちらのダメージは少し。一応念のために、パッチを当てておいた。
右側より左側が傷んでいるのは、バックパックを背負う時に、いつも左側から肩を入れているためか。いつもの癖も影響があるかもしれない。
プラスチックバックルがショルダーストラップの方ではなく、本体付け根側に付く仕様のレイパック。意外にもストラップが緩みにくくて使いやすかった。
これは逆転の発想だ。ナイスアイデア。
半円形の底は非常に縫いにくかった。そして座りが悪くて、立てておくとバランスを崩して倒れることが多かった。このボトム形状にはイライラさせられた。
背中側は汗で濡れていることが多く、背中側にバックパックが倒れると、一瞬にして土や砂まみれとなってしまった。
ボトムはそっと置いていたため、目立った傷みはないが、腰が当たる部分の生地が擦れて傷んでいる。ここだけテカって見える。
生地のアップ
ここだけ擦れが酷く生地が薄くなっている。
ボトムのようす
ザラついた岩の上などで引きずるのが一番よくない。移動させる時は赤子を抱くように優しく持ち上げていた。
迷彩柄の生地に目立った傷みはなし。
乾燥地帯では景色に溶け込みいい感じだった。
センターストラップと吊り下げループのようす
バスで荷物を出し入れする時、乱暴に引っ張られたりしたが、下地の生地が二重のため耐久性は十分だった。目立った傷みはなし。
製作途中で取り付けたループは一度も使うことはなかった。邪魔なので途中でいくつか切り落とした。
こんな余計なもの付けるんじゃなかったと後悔。ひょっとしたらそのうち使うことがあるかもしれない。
裏返しにしてみた。こちらはセンターメッシュポケット側。迷彩柄の生地だ。
目だった傷みは見られない。
背中側のようす
コーティングが剥がれているのがよく分かる。特に底から腰に掛けてが酷い。
ショルダーストラップの付け根
意外にコーティングの剥がれは少ない。
付け根のアップ
何重にも糸を縫ってあるので少し硬くなっている。修理の歴史が垣間見れる思い出の修理痕。
ショルダーストラップの付け根の2重の生地の下あたりにコーティングの剥がれあり。
負担が一重の生地の方にしわ寄せが行っているようす。
ボトムから腰のあたり
一番傷みが激しいところ。今後も不安なく使用するには補強しておいた方がいいように思える。
擦れてボロボロになっているコーティングのアップ
パックパックの一番下には寝袋や着替えなど、軽くて柔らかい物を入れていたが、このようになってしまった。外側の擦れのダメージが内側にも及んでしまったと思われる。
サイドのようす
サイドもセンターメッシュ側の迷彩柄の生地と同じ。多少重たいが丈夫な生地だ。
縫い目の近くに僅かなコーティングの剥がれがあるだけだった。
ボトムの縫い目のようす
半円形で一番縫うのが難しかった部分だ。端のほつれ止めにかがり縫いを行ったが、それほど傷んではいない。
こちらも半円形のボトム部分と本体生地のつなぎ目
何重にも縫ったため、強度の不安は全くなかった。まだまだイケる。
エクステンションカラーの縫い目
生地にはところどころ傷みが見られたが、縫い目は至って大丈夫だった。ユザワヤで買った高級ミシン糸の耐久性はバッチリだった。
フレーム代わりとなるリッジレストクラシック。一番短いSをさらにカットして短くして軽量化してある。
非常に合理的なシステムだった。休憩時に取り出して使うことは、戻すのが面倒なのでやらなかった。休憩の時はツエルトのグランドシートとして使っていたタイベックシートの上に直で座っていた。硬いのもそのうち慣れてくる。
低すぎず高すぎずちょうどいい。中に入れるのはリッジレストに決まり。この組み合わせが最良であることを確信した。銀マットは耐久性がなくすぐにペチャンコになってしまう。

ウエストストラップの必要性について

シエラ山中では雪や岩場などでの急斜面の登下降、渡渉、そのほか倒木くぐりや倒木越えの際に不安定になりウエストストラップが欲しいと思った。

倒木くぐりでは、手を着いて四足歩行で進むことがあって、バックパックが頭の方にズレてきて鬱陶しかった。倒木越えでは太い幹を乗り越える時にバランスを崩しそうになった。

私のバックパックは、ウエストストラップとチェストストラップなしの仕様。オプションでを付けることができるが、これくらいは自分でなんとか用意して付けられそう。

ウエストストラップは取り外し式で十分だと思う。
使わない時に枝や岩に引っ掛けそうで危ない感じがする。常にストラップを気にかけねばならず、あったらあったで鬱陶しい思いをするはず。

必要になった時だけ、ボトムのショルダーストラップの付け根のループにロープを付けて、簡易なウエストストラップにしても良いような気がする。超軽量のレイパックには、丈夫なウエストストラップは似合わない。

今度実際に試してみようと思う。

自作バックパックまとめ

 帰国後ずいぶん経ってから、ようやく重い腰を上げて記事を書くことにした。細部まで念入りに詳しくチェックしてようやく記事にできたことにホッと安心している。
PCTのために作ったバックパックだが、軽くて使い勝手が良いので日常生活で使っている。軽くて持って出るにも全然苦にならない。普段使う時はリッジレストなしで直に荷物を入れている。重たい荷物ではないので、マットなしでも大丈夫だ。
今回、PCTで頑張ってくれたバックパックだが、これで役目が終わったわけではない。キッチリ修理して今年の海外に持ってゆくつもり。修理のプランはできているので、あとは直すだけ。
軽量な生地でも使い方に気をつければ、十分持たすことができると自信が付いた。今度は一から自分で設計したバックパックを作りたい。
1年前は全くミシンが使えなかったが、バックパックを作ったお陰である程度使いこなせるようになった。
 
この自作キットで出来上がったバックパックは単なるおまけ、真の価値は目に見えないものにある。それが何なのかは作った本人がよく分かる。
暇を持て余している人はレイパック作りにチャレンジしてみるのはいかがだろうか?やってみるだけの価値は十分にある!!
 
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