旅をしてもひとり

こんばんは。からあげです。

晴天続きだった愛知県は昨日、ようやく雨が降ってくれた。
夜遅くからぽつりぽつりと降り始めた雨が、夜半過ぎに急に土砂降りとなる。
トタン屋根に大粒の雨が打ち付け盛大な音を鳴らす。
その大雨も1時間ほどするとピタリと止んで辺りは一気に静かになり、再び眠りの世界に旅立って行った。

最近、朝のトレーニングを再び始めた。
いつもの距離を走ると下半身の関節周りがガタガタになって非常に消耗するので、3分の2程度に距離を縮めている。
無理をしていないためか、徐々に下半身に筋肉が付いて余裕が出てきたところだ。
調子が出てきたからといって無理をするとまた体がダメージを受けてしまうので、のんびりと体を慣らしてゆこうと思う。

今日は、この前名古屋の駅前アルプスに預けた登山靴を引き取りに行ってきた。
修理できない登山靴をいつまでも預かってもらっている訳にはいかない。
向こうにしてみれば、ただの邪魔な荷物に過ぎない。
開店時間に合わせて実家を出発する。

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店で登山靴を受け取った時は何だかホッとした。
ひと夏共に過ごして愛着が湧いていた。
修理出来るところを探して早く直してあげたい。
今回は、2度も出掛けることになって時間とガソリンを浪費してしまったが、車内に置くと靴底が剥がれやすくなることが分かって大きな収穫だった。

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タイヤの様子
見る分には今のところ問題はなさそうだ。
補修剤の出っ張りは少しずつ小さくなっている。
これを削って平らにしたくなる衝動に駆られるが、不用意に弄ると空気が漏れそうなので止めておく。

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出掛けたついでに図書館で本を借りてきた。

リヤカーマンアンデスを越える 永瀬忠志
垂直の記憶~岩と雪の7章   山野井泰史
荒野へ            ジョン・クラカワー
アグルーカの行方       角幡唯介
アマゾン源流生活       高野潤

最近は冒険ものが多くなっている。
人の書いた本を読んでいるだけで、非常にワクワクしてくる。
自分がこのような体験をしたら一体どうなるのだろうか。
そんなことを考えながら読み進めている。

 

2015-10-28-2

ところで、今日は北海道ネタを書くとしよう。
忘れない内に書こう書こうと思っていたが、次々と起こる難題に手間を取られてこれまで書くことが出来なかった。
今はようやく落ち着きを取り戻しつつあって、冷静にそして当時のことを素直に書けそうな気がする。

今年の夏は、北海道で車中泊をしながら登山などを行った。
宿には泊まらず、道の駅や無料のキャンプ場を渡り歩く貧乏旅行だ。
その時、私の周囲には同じように長期車中泊の旅行者が大勢いた。
その多くは定年退職者で60歳を遥かに超えているような人ばかりであった。
年配の人は大勢いるのに、中年と若者をほとんど見掛けないという、現代日本では珍しくない現象が見られた。
夏休み期間中、昼間は若者から同年代の人達を結構見掛けたが、学校や仕事の都合のためか、観光地にやって来ても写真を撮り終えるとすぐに出て行ってしまう。
私は時間に余裕があるので、観光地では細かいところまで丹念に見て回る。
周囲と自分とでは時間の流れがまるで違うということを改めて感じた。

旅に出ると普段は人見知りする私も無性に話したくなるのだが、話し相手がなかなか見つからない。
お年寄りに話しかけても怪訝な表情をして適当にあしらわれるのみ。
同年代のおっさんと話しをしたい。
しかし、同じように長期で回ってる同年代の旅行者とはなかなか会わない。
滅多に会わないので、偶然巡りあうと何時間も話をしたりする。
それは楽しい楽しい時間だ。
気が付くと日が傾いていたなんてこともある。
お互い時間に余裕があるとは言え、目的を持って旅している身なので、名残惜しいが適当なところで切り上げて別れる。
今回の旅でよく話した人は、羊蹄山の登山口で会った同年代のおっさん、芦別岳麓の無料キャンプ場で2度も会った同年代の縁あるおっさん、旭川の図書館で会った年上のおっさん、礼文島のキャンプ場で会った爺さん、興部道の駅であったバイク乗りの爺さん、伏美岳で会ったねえちゃんなどだ。
他にも読者や地元の人ともたくさん話したりした。

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そんな楽しいひと時を過ごすこともあったが、旅の大部分は人と話すことはなく、淡々と一人で車中泊生活を送っていた。
定年退職組や地元の人は、働き盛りなのにフラフラしているおっさんに異常なまでの警戒を抱くので、接触する機会は殆ど無かった。
始めの頃は自分から話しかけていたが、相手の反応があまりにも悪いので、そのうち話し掛けるのを止めた。
別に友達を作るためにはるばる北海道までやって来たわけではないが、周りの年寄り連中はつるんでいるのに、私だけポツンといるのは孤独を感じた。
子供の頃から孤独には慣れているはずだったが、慣れたとはいえ周囲から浮いてしまうと辛い時もある。
そんな時は、ラジオを聞きながら地図を見て旅のプランを練っていた。
まだ見ぬ大地を想像しながら何度も地図を見る。
面白い本が手に入ると貪るように読んだりもした。
熊嵐と森の邂逅は非常に面白かった。
本が私の心の空白を埋めてくれた。

人とコミュニケーションをして心の空白を埋めようとするのは、根本的に間違っているかもしれない。
他人は自分とは別個の人間、共通点を見つけて安心するのはおかしい。
これではダメだ。自分とトコトン向き合って対話する必要がある。
北海道では、一人でいる時間が圧倒的に長かったが、自分と向き合う時間が不足していたように思える。
駐車場では賑やか過ぎて自分と向き合うことは出来ない。
それでも、大樹町の海岸で焚き火をして過ごすことが出来たのは救いだった。
旅の終盤で不意にチャンスがやって来た。
流木を集めて火を焚くと心が穏やかになってゆくのが自分でも分かった。

今回は、ヒグマが怖くて一人で山奥にはなかなか入って行けなかった。
次回、北海道に行くときは、ただ一人自然の中に身を置いて、自分の奥底と対話したい。
一人でも寂しさを感じることのないたくましさを身に着けたい。
寂しさを感じるのは自分の中に雑念が入っているからだ。
怠惰、甘えなどを削りとってゆく。
それらを少しづつとっていけば、きっと世界一タフなおっさんになれるに違いない。

さあてブログ更新も終わったことだし、本を読むとしようか。

 

おわり

コメント

  1. ヤマザキ より:

    からあげ隊長、今日もブログ更新お疲れ様です。
    私も一人キャンプすることが多いので、一人での寂しさはよくわかります。やはりラジオは良き相棒ですね。
    意見、要望欄からメッセージをお送りしたのですが、見ていただけましたでしょうか?

    • karaage より:

      どうもありがとうございます。
      メールで返信します。

  2. undo より:

    羆嵐の著者である吉村昭さんの漂流という作品もオススメですよ

    • karaage より:

      羆嵐のあの迫りくる恐怖感は凄かったです。
      「漂流」ですね。今度読んでみます。

  3. JB23Wー9型XG5MT白 より:

    エッセイまとまりましたね、見事なものだと思います。
    一側面とは言え数ヶ月に及ぶ時間 を僅かな文字数にまとめるなんてのは才能が無ければ無理です。

    昨晩はこちらも土砂降りでした、不思議なんですが名古屋の天気と同じになるケースがやたら多いです。TVでのこの界隈の天気予報より名古屋の天気予報を参考にする方がよく当たります。15年間ずっとそうなんですよw

    流石にネットの天気予報は範囲が狭いので的中率高いですが、TVっていろいろの意味で終わってますね。

    • karaage より:

      どうもありがとうございます。
      当時の記憶を引っ張りだして書くと新たな発見があります。

      ネットの予報はコロコロ変わってある意味インチキなような気がします。

  4. さく より:

    隊長の趣旨に合うかは分かりませんが、厳冬期の冬山は自身と向き合うには最高の場だと個人的には思っています。
    私は黒部を数日間単独で歩きましたが、その間に感じた生きている実感、そして自分が何者で、何が出来て、何が出来ず、何をしたいのかという事を今までの人生全て合わせたよりも濃密に考えさせられた期間でした。
    夏山には無い静謐さの中に身を置いてみるのはいかがでしょうか。

    • karaage より:

      厳冬期の黒部は凄いですね。
      これまで何度か冬山登山の真似事をしてみましたが、すぐに跳ね返されました。
      冬山登山は自分と向き合うのにピッタリだと思います。
      余裕が出来たら挑戦したいと思います。

      • さく より:

        と言っても奥までは行けませんでしたけどね(笑)
        まだ本格的な冬山登山のご経験が無いのでしたら講習会の受講をお勧めします。
        難易度の低い山なら独学でも行けますが、やはり限界があります。命がいくつあっても足りません。
        北海道旅を見る限り、隊長は山岳探検家を目指しているようにお見受けしますが、そうであれば冬山登山スキルは必須ですので早めにスキルを身につけておいて損はないかと。

        • karaage より:

          どうもありがとうございます。
          山岳会に入って訓練している時間はないので、講習会しかないですね。
          冬山は装備品も高いので、財布と相談してみます。

  5. タッキー より:

    オッサンはどの年齢層なのですか。
    玄米食 トレーニング 登山家なので
    キャプテンアメリカのような人なんだと想像してます。

    冒険関連の本は他の人では出来ないような旅行ですね。

    このブログが圧倒的な人気を誇る理由は旅の毎日を準備や金銭食事にいたるまで具体的詳細に綴っていること 何よりも もしかして俺にでも出来る旅行だと読者に親近感を持たせているところにあるとおもいます。
    今までの山小屋編四国編北海道編を3部作または1冊の本にすれば今年の大ベストセラー。
    来年は白亜の御殿に住みながら山小屋生活を綴るなんてことがあり得るかもしれないです。
    既に寝太郎さんは白亜の御殿から河原キャンプ生活を綴っているかもしれないです。

    • karaage より:

      どうもありがとうございます。
      あまりの褒めっぷりに戸惑ってしまいます。

      別に豪勢な暮らしは望んでいません。
      自分の好きなように活動できる資金が欲しいですね。

  6. むじょう より:

    おはようございます。

    ふと思ったのですが、隊長の登山靴、

    ベロの欠けた部分を別な革で形成して接合(縫合)すれば

    通常の使用には耐えられるのではないかと思いました。

    よろしければ、ですが、

    私のつたないレザークラフトの技術

    (簡単な革バックが自作できるレベルです)

    で修理可能かどうか、拝見してもいいです。

    (拝見して、私の技術では無理だったらご甘受ください。
     
     また、仮に修理を承った場合、手持ちの材料でやるので

     代金等は全く不要です。

     逆に、完成度については、ゆるく見てください)

    私は名古屋市東区(徳川園近く)に家内と二人で

    のんびり暮らす57歳です。

    お気持ちが向きましたら、ご返信ください。

    以上 取り急ぎ 要件のみにて失礼いたします。

    • karaage より:

      どうもありがとうございます。
      メールで返信します。

  7. タッキー より:

    からあげさんはザンギとからあげの違いがわかりますか。
    札幌にいた時に毎日ザンギ屋さんの試食のザンギをつまみながら疑問でした。

    毎日通りがかりに目に入る佐藤浩一と娘のポスターが気になっていました。
    爺と娘はミスマッチだろうって。
    最近、これが起終点駅ターミナルの映画ポスターだってわかりました。
    舞台が釧路だから北海道としては大々的に宣伝したいのか。
    この映画の中にもザンギが出てきて、なるほど釧路が発祥の地なのだそうです。http://www.toei.co.jp/movie/details/1204609_951.html

    釧路には、どんな思い出がありますか。
    僕は昔、釧路湿原をサイクリングしていてパンクしてしまってひどい目にあった思い出はあるけど、最果ての地の釧路とか根室は大好きです。

    自然の中に身を置くというのは北海道ではなく山小屋ではダメなのですか。

    • karaage より:

      違いの分からない男です。
      似たものらしいというくらいしか知りません。

      釧路は町を素通りしただけなので思い出はありません。
      それより広大な釧路湿原に惹かれました。
      カヤックに乗って奥まで探検したかったですね。

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