こんにちは。からあげです。
今日も梅雨にしてはまずまずの天気だった。
昨日、夕方になると濃い雲が来襲したが、雨がぱらついた程度で拍子抜けした。
それではあまり前置きを長くするとおっさんが疲れて来るので、さっさと今日の出来事をアップするとしよう。
今日は野反湖(のぞりこ)から切明(きりあけ)までの道のうち、渋沢ダムまで歩く。
昭文社の登山地図を見ると小黒部的な雰囲気があると書いてあって凄く気になった。
片道6時間以上かかる道のりなので、日帰りでも出来ないことはないが、黙々と歩くだけで詰まらない。
テントを持って出かけたい所だが、天気が不安定で雷雨に遭うかも知れないので、梅雨が明けるまでは日帰りメインで行いたい。
取り敢えず、今回は中間地点となる渋沢ダム(しぶさわだむ)まで歩いておいて、そのうち切明温泉の方から渋沢ダムまで歩いて全区間を歩くことにしようと思った。
昨日の白砂山登山でクマの気配を感じたので、今日は第一種クマ対策装備にて望むことにする。
熊よけの鈴とクマ撃退スプレーを装備する。
爆音ホイッスルも持って行くつもりだったが、ついうっかりして車に忘れてしまった。
途中で引き返すのも面倒なので、クマが居そうなところでは手を叩いておっさんアピールした。
6時10分白砂山登山口を出発する。
地蔵峠までは白砂山への道をゆく。
木の階段を登り切ったところで振り返る。
今朝は薄曇りで、昨日よりは良さそうな感じだ。
(この時、今日白砂山登った方が良かったかなと思った。)
ハンノ木沢に架かる橋
体が温まったところで、ウインドブレーカーを脱いでTシャツ一枚になる。
(もちろん、Tシャツ一枚だけではない。パンツにズボンも履いている。)
地蔵峠への登りで登山道に捨てられたワイヤーロープが目に付いた。
昨日もかなり目障りに感じた。
地蔵峠(じぞうとうげ)
ここから左に折れて切明方向にゆく。
先に行く前にお地蔵さんに登山の安全を祈願する。
今日も無事に戻って来れますように。
切明方向の登山道は思ったより道が良くて歩きやすかった。
笹に埋もれて鬱陶しい思いをすると思っていたのに、ちょっと拍子抜けした。
こんな道を歩く変わり者が意外にいるらしい。
というか定期的に笹の刈り払いをしてくれているお陰だろう。
北沢(きたざわ)の渡渉
まず初めに北沢を渡る。
水量が多いが、飛び石で渡ることが出来る。
去年、北海道で渡渉を何度もやって来たのでコツを掴んだ。
とは言ってもまだまだひよっこだ。
調子に乗り過ぎないようにしよう。
笹に囲まれた道にクマの糞が点々とあった。
今朝したばかりの湯気が出ていそうなものだった。
北沢からイタドリ沢を抜けて西大倉山までの間はクマの気配が濃厚だった。
鈴とクマ撃退スプレーを持ってきて良かったと思った。
樹木が切れたところで、野反湖が見えた。
ズームで撮影する。
草津白根山も良く見える。
さらに進むと笠法師山(かさほうしやま)が見えた。
山頂付近は笹原が広がり開放的な雰囲気だ。
イタドリ沢の付近は草が茂っていて足にまとわりついてきて鬱陶しい。
この付近だけ道迷いに注意だ。
登山道上に落ちていたクマの糞
これは時間が経ったやつ。
昨日したものだろうか。
繊維質たっぷりの糞だ。
西大倉山(にしおおくらやま)を越えると魚野川渓谷(うおのがわわけいこく)に向かって下ってゆく。
ところどころに生えているブナの大木に目を奪われた。
今回のルートのハイライトと言うべきはブナの原生林。
小鳥のさえずりと渓流の音を聞きながら歩く。
つづら折りの道を下ってゆく。
次第に渓流の音が大きくなってきた。
木の二股のところに草が生えている。
これはこういうふうに寄生する植物なのか。
朽ち果てた営林小屋。
随分と年月が経っているようだ。
傾斜は緩くなってきて、今日の目的地の渋沢ダムが近いことが分かる。
渋沢(しぶさわ)に架かる吊り橋
見た目は古いが意外に丈夫そうな橋だ。
橋の制限荷重は400kgとなっているが、念の為に一人ずつ渡ったほうがいい。
渋沢上流方向
渋沢ダムの方向
ワイヤーロープをチェックする。
表面は錆びているが内部は逝っていない感じだ。
多分、大丈夫だろう。
橋を渡って少しゆくとダムの広場が見えてきた。
この中に私のお目当てのものがある。
渋沢避難小屋
魚野川渓谷の奥地の渋沢ダムのところにある避難小屋。
今日のメインは、この避難小屋の調査だ。
現在持っている登山地図は14年前のもので、内容が正確がどうか分からない。
自分の目で確かめた方が早い。
さあ、小屋暮らしマニアのおっさんがチェックするとしようか。
小屋前に置かれた薪。
太い焦げた丸太が置いてある。
これを燃やそうとした奴がいるのか。
こういう渓流沿いでは、流木を拾ってきて燃やすのがいいだろう。
(やったことないが、多分そんな感じがする。)
小屋の入口
上の方に渋沢小屋と表示されている。
入口は普通の物置に使うような外開きのアルミのドアだ。
おっ邪魔しまーす!
おお、中は広々としているな。
よく乾燥してかび臭くない。
2畳半ほどの板の間(ただのコンパネ)と半畳の玄関だ。
3人なら広々、10人くらいでも詰めれば、なんとか寝れそうだ。
骨組みは鉄骨で屋根と壁は鋼板を打ち付けてある。
窓は2箇所で中は非常に明るい。
鉄骨に錆はない。
まだ建てられたばかりのようだ。
簡素な作りだが、耐久性はバッチリ。
いくら雪が積もろうとも潰れることは無いだろう。
鉄骨なので雷が落ちても大丈夫だ。
コンパネは半分にカットしたものを打ち付けてある。
ヘリでの荷揚げの関係でこうなったのだろう。
それにしても綺麗だ。
ここなら何不自由なく一晩を過ごすことが出来る。
小屋の入口にコンパネの端材で作った物入れがある。
何故かトイレットペーパーがたくさん置いてある。
作業員たちが泊まった時に残していったのか。
小屋はコンクリの基礎の上に載っけた感じだ。
昔の小屋の基礎を再利用したのだろう。
鉄板を挟んで小屋の鉄骨を浮かしてある。
鉄板で水平を調整したのか。
これだけ隙間があれば、湿気上がりが少なくて小屋が長持ちするだろう。
屋根の四隅に吊り上げ用の金具が取り付けられていた。
広い場所で組み立てて重機で吊ってここまで運んで載っけたのだろう。
この小屋は簡素な作りだが、非常に考えられて建てられている。
これまでのノウハウを凝縮したものが、この小屋だ。
小屋の奥の方にヘリポートらしき広場がある。
ここにテントを張るのも良さそうだ。
どこかにこれより奥でテントを張らないでくださいと看板があった。
ということは邪魔にならない安全なところならテントを張っても良いということだ。
広場の片隅にモッコが野積みされている。
小屋からダム方向に歩いてゆくと白い物置のような大きな建物がある。
この建物の脇に水が引いてあった。
パイプから流れる水。
多分近所の沢から引いて来ているものだろう。
試しに飲んでみたけど、お腹はどうにもならなかった。
念のため沸かして飲めば万全だろう。
この小屋はあくまで釣り人、登山者、ダム関係者の緊急時の避難用なので、仲間内で不法占拠したり長期で住み着いたりしない。
マナーを守り譲り合って綺麗に使おう!
小屋チェック終わり!!
小屋のチェックが終わったところで、ダムを見学させてもらう。
人気はないので、勝手にする。
切明へはダムの橋を渡って魚野川左岸沿いの道をゆく。
ダム湖を眺める。
なんだか水が青っぽい。
ダムの下流側を見る。
高低差はそれほどない。
北の日本海に向かって流れてゆく。
なんだか不思議な感じがする。
ダムの放水路。
勢い良く水が噴き出る。
渋沢ダム(しぶさわだむ)
渋沢ダムは、長野県下高井郡山ノ内町と下水内郡栄村との境、信濃川水系中津川に建設されたダム。高さ20.7メートルの重力式コンクリートダムで、東京電力の発電用ダムである。同社の水力発電所・切明(きりあけ)発電所へ送水し、最大2万キロワットの電力を発生する。
群馬県・野反湖に端を発し、長野県を経て新潟県へと流れる中津川の流域には、秘境・秋山郷があることで知られている。中津川を流れる水を利用した水力発電所の建設が大正時代に行われており、戦後間もなく水利権を継承した東京電力によって再開発されることになった。中津川の水源はダムでせき止められ、広大な人造湖・野反湖が誕生した。
切明発電所ならびに渋沢ダムの新設は、これと同時期に行われている。1953年(昭和28年)に着工、1955年(昭和30年)に完成した。渋沢ダムは野反湖の下流に位置し、平常流れる水のほか、水不足の際には野反湖の水が放流され、これを補給水として取り入れることもできる。水は発電所において最大2万キロワットの電力を発生したのち、放水路を通じて中津川第一発電所・高野山ダムへと送水されている。
切明方向へと続く道。
ダムより先は東電が管理しているようで、よく整備されている。
さあ、用事も済んだことだし戻るとしようか。
まだ9時を過ぎたばかりだが、深追いは危険だ。
というか全身汗まみれになったので、早く戻って水浴びしたいのだ。
右岸にも道があるが、これは東電のダム管理用らしい。
関係者以外立ち入り禁止の看板がある。
少し先にゆくと川岸に下りると思われる階段があった。
よし、もういい。
これにて戻ることにしよう。
戻る前に吊橋のコンクリブロックの上で休憩する。
玄米ご飯を少し食べてパワーを回復する。
一度に食べても吸収しきれないので、少しずつ食べるようにしている。
よし、撤収するぞ!
今度は切明からやって来るとしよう。
ここはキャンプ適地だ。
西大倉山までは上りとなる。
帰りはこの西大倉山を登り返さないといけない。
笠法師山再び。
なんだか坊さんが笠を被ったように見えるな。
それで笠法師山か。
ズームで落ち着きのない小鳥を撮影した。
ズームとピント合わせに時間がかかってコンデジの限界を感じる瞬間だった。
しかもピントが合っていない。
美味しそうなきのこ。
これは直感的に食べられると思った。
これまたきのこにピントが合っていない。
西大倉山(にしおおくらやま)山頂付近
ヤブに囲まれてハッキリしない。
多分ここらへん。
行きは気づかずに通りすぎてしまった。
地蔵峠から渋沢ダムまでは標識は一切ない。
地図を見て現在位置を確かめる必要がある。
西大倉山過ぎの展望ポイント。
西大倉山よりこちらの方が高い。
木が少ないので、景色がよく見える。
笹薮の中のけもの道。
どこかで奴はこちらを窺っていることだろう。
変に刺激すると怖いので、足早に立ち去る。
(クマ撃退スプレーは高価なので、出来るだけ使いたくないということもある。)
イタドリ沢
流れが細くて小さな沢。
行きは名もない沢だと思って写真を撮らなかった。
北沢まで戻ってきた。
ここを渡れば、地蔵峠までもうすぐだ。
沢沿いに生えていたブルーベリーのような実。
今日は笹の表面に白っぽいカスが浮いていた。
人がほとんど通らないので、汚れが溜まっていたのか。
ひょっとしてこれは笹のアクなのか。
そういえば、前回ネマガリダケを茹でた時、カセットボンベのガスが勿体なくて、短時間しか沸騰させなかった。
あれがマズかったのだろう。
ハンノ木沢手前の怪しげな穴。
この沢は崩れやすくなっていて工事した箇所が見えた。
登山口から渋沢ダム往復の所要時間は約6時間半。(休憩時間を含む)
途中で折り返したが、歩きごたえ十分の距離だった。
駐車場まで戻ると、着替えを袋に詰めてハンノ木沢まで戻る。
途中、登山者とすれ違った時、サンダル履きの軽装な私の姿を見て怪訝そうな表情をしていた。
まさか川へ水浴びしに行くのだとは思わないだろう。
今日はザックも水洗いした。
背中のクッション部分が汗を吸い込み気持ち悪かった。
今日はなんとか天気が持ちそうなので、洗濯しておく。
登山靴を陰干ししてよく乾燥させる。
ワセリンを塗りたくった後遺症があるようで、中は汗のシミが出来ている。
徐々に蒸れなくなってきているので、もうしばらくの辛抱だ。
ちなみに新しく購入したゴローs-8では、このような汗ジミが出来るようなことはない。
玄米ご飯を全部食べたが、まだ足りないのでラーメンを作る。
こういう時はガソリンストーブがいい。
ハイパワーで直ぐにお湯が沸く。
ご飯を食べてゆっくりすると野反ダムを見学する。
野反ダム(のぞりだむ)
竣工年月 昭和31年6月
ダムの型式 ロックフィルダム
ダムの高さ 44m
ダムの頂長 152.5m
ダムの天端標高 1,517m
満水位の標高 1,513m
流域面積 16.56平方キロメートル
湛水面積 1.8平方キロメートル
有効貯水容量 26,750,000立方メートル
利用水深 24m
道端に咲いていたアザミ。
色が鮮やかでつい撮影してしまった。
ノゾリキスゲ
ニッコウキスゲと呼ばれる花だが、日光の方でよく見られるからという理由で花の名前が付けられたようだ。
ここ野反湖周辺ではノゾリキスゲと呼ぶ。
湖面の青色に黄色い花が良く映える。
今日も野反湖の駐車場で車中泊する。
他の人は帰ってしまい静かになった。
明日は天気が悪いので、移動日とすることにした。
毎日山歩きをしていると、車内環境が破壊されてしまう。
たまにはのんびりしないとやっていられない。
体に悪いコーラを飲んでいると、ふと思い出した。
そういえば、今年の夏はリオデジャネイロオリンピックだったな。
全然興味ないわ。
さあて飯にしよう。
おわり
コメント
からあげさんの花の写真がほんとうにきれい。ニッコウキスゲ・コマクサ・あざみ・・・今まで載せていた高山植物の花々。これらは自分で行ったものにしか見れない植物で羨ましいです。風景写真も簡単に行けない所が多いので見ごたえあります。
どうもありがとうございます。
野反湖は湖畔に高山植物が生えています。
まるで北海道みたいな雰囲気でした。
小屋チェックの記事が面白かったです☆
自分もからあげ師匠を真似て、土地を買って、別荘(小屋)を作りたいなぁと思ってますので。
しかも、師匠の小屋を見る視点が鋭くて、勉強になります。将来、【小屋作りアドバイザー】で食べていけるんじゃないですか??
これからも、群馬〜東北中の小屋を見聞して頂きたいですww
そうですか。それは良かったです。
もともと細かいことに気がつく神経質な質です。
機会があれば小屋をアップしていきますね。
初めまして
約1ヶ月前に隊長のブログを見つけて以来、毎日楽しく拝見しています。
僕も隊長のような旅をしたいと思っています
登山と車中泊が好きです
現在は車を車中泊使用に改造しつつ、社会の檻に閉じ込められてどこにも行けない状態です。
日帰りか前日夜入り程度の狭い範囲内です。しかも四国の登山不適地に住んでいます(泣)
良い山が少なく、火山もありません
偽物のような温泉しかありません(泣)
いつかこの檻から飛び出して旅に出る予定でおります
これからも色々な山の情報を楽しみにしています
いつか行ける日を楽しみに隊長のブログをメモ書きしています
感謝感謝です
これからもよろしくお願いします。
行動すれば必ず道は開けます。
西日本の人は登山に不利な環境だと思いますね。
自分も長くいたので、良く分かります。