PCT2017スルーハイクの記録~激闘の中央California編 その3~

こんにちは。からあげです。

 

リアルタイム更新を止めてからおよそ一月が経過した。今ようやくのんびりとした自分の時間を取り戻している。以前は夕方になると、「ブログを書かなくては!」などと義務感に襲われて凄く憂鬱な気持ちになっていた。小銭と暇つぶし、そして趣味として始めたブログだったが、いつの間にかブログに追われる日常を送っていた。

それはPCTでも例外ではなかった。歩き疲れてクタクタなのに、寝る間を削ってせっせとブログ更新をしていた。PCTを心から楽しめなかった最大の理由として他のハイカーとコミュニケーションをとれなかったことが挙げられるが、ブログ更新もかなりの部分あったのではないかと思い出される。丸1日限界まで歩いた後のブログ更新は苦痛でしかなかった。スマホの電源を入れて圏外だと分かるとホッとした。ただ、しばらくブログ更新ができないとネタが溜まってゆき、町に下りた時にまとめて書かねばならなくなるため、心から落ち着くことはできなかった。

 

それでは、佳境に入ってきた激闘の中央California編の続きをお届けしよう!

16日(金)  Vermilion Valley Resort過ぎから893mile付近まで

 
 
5時30分起床、6時出発
 
キャンプ地を出発して尾根を越えると、早くもCold Creekの渡渉が待っていた。しばらくCreek沿いを遡ってみると、倒木の丸太橋を発見!簡単に渡渉することができた。
倒れて間もない倒木は枝が残っていて手すり代わりになるため非常に渡りやすい。ただ、こうした倒木は毎回必ずあるわけではないので注意が必要だ。
歩いて渡れない水量ではなかったが、水に浸からずに渡ることができれば、それに越したことはない。一番安全確実な渡渉は水に浸からない方法だ!
 
 
川幅が広がり緩やかな流れとなったCold Creek。太陽が昇って暖かくなってきた。
ようやく体も温まってきた。
 
 
Cold Creekを遡っているところ。山陰の樹林帯はまだかなり寒い。
もう8時前だというのにCreek脇に一張のテントを見つける。中からゴソゴソと準備をしている音が聞こえた。PCTハイカーなら昨日VVRに寄っているはずだが、見かけなかった。
 
 
樹林帯の中のぽっかりと開いた場所で朝食にする。
残雪期のSierraを軽装で歩くことができるのは、こうして日向ぼっこできるから。天候は安定していて晴れの日が多く、日中は強い日差しで暑いくらいになる。その一方で、曇って日差しがないとかなり寒くなる。
 
 
フラットな樹林帯の中を行く。道に迷いやすく私が一番嫌いなところだ。
大雑把なJMTの地図だけでは非常に心もとないが、地図アプリのGuthookのお陰で楽に歩くことができた。紙の地図だと嵩張るし入手が大変なので、今後の海外自転車ツーリングではスマホの地図がメインとなるだろう。
 
 
Goodale Passの上り
 
峠の登りに差し掛かる頃になると、雪が緩んできたため非常に苦しい登りとなった。
テントの中にいたハイカーは追いついて来る気配は全くなかった。
 
 
11時過ぎ Goodale Pass到着!
 
Vermilion Valley Resort方面を望む。山陰に入っているため見えない。
ハイカーの姿はなく非常に静かだった。この時、すでに11時を回ってお昼近くになっていたため、先を急ぐことばかり考えていた。昨日のVVRでの荷物受け取りのタイムロスが非常に痛かった。
 
 
峠からの下りはフラットな場所が続くため、ルートを見失わないように気をつける必要があった。調子に乗って適当に歩くと大惨事を招きかねない。過去に何度もルートを間違っているため、地図で現在位置を確認しつつ下っていった。
 
 
Goodale Passを過ぎればPCTは近い。谷に沿って北東方向に向かって下りてゆく。
 
 
湖を越えて登り返せば、PCTに復帰できる。最短のルートで下りてゆく。
 
12時過ぎ、886mile付近からようやくPCTに復帰した。トレイルはしばらく谷沿いに続いている。
この先トレイルは急斜面のため右に大きく迂回するのだが、タイムロスの焦りがあり真っ直ぐ進んでしまった。
 
 
黄色のラインが私が歩いたところ、赤いラインがPCTとなっている。
わざわざ一番急なところから下りてしまった。
 
 
自作の杖2本を頼りに急斜面を慎重に下っているところ。途中でヤバイと思ったが、時すでに遅く引き返すに引き返せない状況となっていた。一歩一歩丁寧に下っていった。
滑落した場合は止まる方法はないため、下まで滑り落ちて行くことになる。
 
 
なんとか安全圏まで下りてきてホッと胸を撫で下ろす。緊張のあまり喉がカラカラになった。
やはりSierraではピッケルとアイゼンは必要装備だと思った。

下まで下りると、日当たりの良い場所で昼ごはんをとった。

 
 
その後、私の嫌いな樹林帯が続く。また道を間違えるんじゃないかと緊張しながら歩く。
 
 
Fish Creekが近づくと雪がかなり減って歩きやすくなった。遠くの方からCreekの轟音が聞こえてきた。
 
 
Fish Creekに架かる橋
 
この手前でVVRで会ったCrushと再会したところだった。彼は昨日VVRで泊まり、今朝Mono Creekを越えてやって来たそうだ。木陰で休憩していたので先にゆくと、早くも追いつかれてしまった。ちょうどいい機会だったので、橋の上で記念写真を撮った。このあとCrushと会ったのは、California北部のHut Creek Rim付近だった。
 
 
橋の上でポーズをとるおっさん。
それにしてもFish Creekの水量が凄い。
 
 
自作杖にはストラップがなく落とさないように常に強く握る必要があるため、手の皮がボロボロになってきた。握力の消耗が激しく手に力が入らないようにもなっていた。
他にショボい自作のチェーンアイゼンしか持たない私には自作杖2本は一番頼りになる雪山装備だった。
 
自作のWoodstaffは手軽に現地調達でき、いつでも投棄できて便利な反面、使い勝手の悪さを体力と根性でカバーしないといけない代物だった。それでもWoodstaffには非常に助けられた。
 
 
Fish Creekをしばらく遡ると、Tully Holeと呼ばれる窪地から一気に急斜面を登ることになる。この時、すでにバテていて頻繁に休みをとりながら歩いているところだった。
 
 
Fish Creekに転がる大きな岩
自然の猛威を感じさせる光景だった。
 
 
Tully Holeの底にある湿地帯
 
急な登りに備えて長めの休みをとる。
 
 
Tully Hole上部の日当たりの良い斜面をゆく。
トレイルが露出して歩きやすかった。
 
 
急斜面をクリアしてLake Virginia(10,314ft)に辿り着いたところ。
すでにCrushの姿はどこにもない。彼は遥か遠くまで行ってしまったようだった。
 
 
湖畔をゆく。
 
氷の上を歩かないように気をつけた。
この後、雪の裂け目で水を汲んでいる時、誤って手を滑らせてペットボトルを流してしまう。ペットボトルは雪の下の流れに吸い込まれてどこかに消えて行った。幸い浄水器は流されずに済んだ。水際で浄水作業をしていなくてよかったと思った出来事だった。
 
 
Purple Creek手前
 
ここを過ぎると樹林帯の急斜面を下ってゆくことになる。その途中、迂闊にも10mほど滑落してしまった。昨日のタイムロスを取り返そうと無理してオーバーペースで歩いていたため、疲労が蓄積して集中力が低下していたのだった。
滑落したのがPCT復帰直後の急斜面でなくて本当に良かった。幸い軽い打撲だけで滑落のダメージはほとんどなくて助かった。手に持っていた杖2本はどこかに飛んでいってしまったものの、なんとか回収することができた。
 
 
この日の最後、Purple Lakeから流れ出るPurple Creekの渡渉が待っていた。
すでに疲労困憊していたため、Creekの手前でキャンプしても良かったのだが、危険な渡渉を翌日に持ち越したくなかったため、倒木の丸太橋を渡ることにした。
翌朝、丸太の表面が凍る恐れもあった。
 
倒木の嫌らしい丸太橋で、表面は濡れて滑りやすく手がかりになる枝は少ない。そのため馬乗りになって少しずつ渡っていった。
 
 
Purple Creekを渡り、しばらく下った場所にフラットなキャンプサイトがあった。キャンプは温かい地面に限る。
渡渉で下半身がずぶ濡れになったため、Forester Pass前日ぶりに焚き火を行った。
 
 
ベアキャニスターに座って焚き火にあたる。そこら辺に落ちている枝はよく乾燥していて、紙ゴミを焚き付けにして火を付けると、一気に燃え広がった。
孤独なSierra山中、(いや私の人生そのものか?)で心が安らぐひと時だった。
 
 
データ
歩行距離 7mile+???(Goodale Pass Trail)
 
食事内容

寝起  パワーバー×1
朝食  マルチャン×1、スパム×1
行動食 リッツ×1、チョコレート×1
昼食  マルチャン×1、ツナ×1
行動食 クルフバー×1、チョコレート×1
夕食  マルチャン×1、ツナ×1

 

PCT52日目 6月17日(土)  893mileからMammoth Lakes手前まで

5時10分起床、5時40分発

キャンプサイトの地面が濡れていたため、ツエルトと寝袋が湿っぽくなる。グランドシート代わりに地面に敷いているタイベックシートだが、早くも防水性がなくなってしみてくるようになっていた。
このタイベックシートは驚くべき耐久性で、なんと日本に帰国するまで使い続けたのだった。今現在は畳まれて山小屋の収納で出番を待っているところだ。防水性以外は非常に気に入っている。

出発するとCreekを遡ってPurple Lakeに出た。まだ朝日が昇る前で静かな佇まいを見せている。湖畔はどこも雪に埋もれたままで、快適にキャンプできそうな場所はなかった。

今日の予定ではMammoth Lakesの町まで下りる。最新の情報によると、途中のリゾートReds Meadowはまだ営業を開始していない。補給と休養を兼ねて町まで下りることにした。

それにはまず山から下りねばならない。一昨日VVRで食料を補給して余裕があるため、小腹が空くとパワーバーを食べて歩いた。
アメリカでトレイルを歩いている間は、1本2$以上もするパワーバーを単に小腹が空いたからという理由で食べていた。今では考えられない贅沢ぶりだ。お金の力でどうにかハイキングを続けることができていたと言っていい。

Creekに架かる丸太橋

ついうっかりして橋を見落としてしまって、Creekの中を歩いて渡渉してしまう。
雪の中の歩行でどうせ濡れていたので、全く問題はなかったが。

日当たりの良い岩場の上で朝食をとる。

こうした場所を見つけるまでは朝食はおあずけとなるので、ご飯の時間が近くなると必死になって探すことになる。

今日は珍しく自作のチェーンアイゼンを付けてみた。Forester Pass以来となる。
付けて歩いているうちにズレてきてロープが地面と接してしまっていた。

このチェーンアイゼンはグリップ力は少ないが、岩の上を歩いても引っかかることはなく傷めることもないこと。さらにホームセンターで売っているような普通のチェーンを切ってロープで結んだだけの簡単な作りなので、どこでも作ることができるというのがメリットだ。ただ、雪の上ではもう少しグリップ力が欲しかった。
そのうち爪の付いたプレートを装着できるように改良したい。

この日もVVRで荷物受け取りのタイムロスを引きずっていた。
済んだことを嘆いていても仕方のないことなのだが、当時の私は全く余裕がなかった。
過酷なSierraが私を追い込んでいたと言ってもよい。

Reds Meadowが近づくにつれて雪が少なくなってきた。
谷筋は雪が解けてCreekのようになっていた。雪に埋もれたハッキリしないルートを辿ってゆく。

この日、一番辛かったのは、出だしから延々と山の斜面を横切って行かねばならないことがった。バランスを崩して何度も滑って転びながら歩いて行った。無雪期なら快適であろうトレイルがハイカーの体力を容赦なく奪う過酷なトレイルとなっていた。

Reds Meadowが近づきトレイル上の雪がおおかた消えてくれた。

Reds Meadowの森は山火事により消失し無残な姿を晒していた。

ところどころ雪解け水が流れていて水を汲むことが出来た。
落とし穴にはまらないように雪の上を慎重に歩いてゆく。

15時過ぎ Reds Meadowのリゾートに到着した。
建物の入口や窓はまだ固く閉ざされていたままで人気は全くなし。樹林帯の斜面の横切りに体力を消耗してしまい予定より遅めの到着となった。昼には着いているハズっだったが、全然体がいうことをきかなかった。お腹が空いていたので、木陰で2回目の昼食をとることにした。

Reds Meadowからは舗装道を歩いてMammoth Lakesの町まで下りた。この舗装路の状態だと車で入り込んでいるように思えた。通りがかりの車に頼み込めば、町まで載せて行ってくれるだろうと考えていた。

しかし、そんな私の希望は無残に打ち砕かれた。次第に道路上に残雪が増えてきて、車が通行可能な状態ではなくなった。

夏期は中腹のスキー場からReds Meadowまでバスが運行しているのだが、今シーズンは残雪が多く運行の見通しは全く立っていなかった。

日が陰る前に道路上で夕食をとる。ヒッチハイクの出来ない道路は、ただの殺風景な場所でしかない。
ヒッチハイク出来ない憂さ晴らしに道路上で休憩する。この時点でこの日のうちに町まで下りるのは厳しくなった。どこかキャンプできる場所はないか探しながら歩いていった。

Reds Meadowは名前のとおり窪地にある湿地帯のため、町へ下りるためにはまず窪地から脱出しなければならない。倒木と雪に埋もれた道路を上ってゆく。1日の行動の終わりに登り坂が出てくると非常にキツイ。


National Geographic John Muir Trail Topographic Map Guide P5より

Mammoth Lakesの町はReds Meadowの東にあるのだが、Mammoth Mountainを迂回するため、まずは北に上ってから東に向かうことになる。
その途中、ヘアピンカーブとなっていて、地図でみる限りは徒歩だとショートカットできそうな雰囲気なのだが、現地でみると急斜面の樹林帯となっていて、普通に道路を歩いて行った方が速いことが分かった。

樹木の合間からReds Meadow方向を望む。この付近だけは雪解けが進み緑の領域が多くなっている。しかし、トレイルに戻るとまだまだ雪は多い。

その後も道路歩きは続き、20時前峠付近の地面が露出していた場所でツエルトを張った。
朝から楽勝モードだったはずが、状況が悪い方向へ変わっていったため、体力の消耗度合いの割には距離を稼ぐことができなかった。ただ、翌日は確実に町まで下りることができるため、非常に気楽な一夜を過ごすことができた。

キャンプした峠付近のようす

雪の中から道路標識が顔を出していた。

702.2mile地点のKennedy Meadowsで下ろした新品のトレランシューズだったが、ショッキングなことにたった200mile歩いただけで穴が空いてしまった。

たった200mileで穴が空いてしまうとは!

両足の内側の部分に穴が空いてしまった。

ちょうど親指付け根の力がかかるところで、急斜面の登下降でトレランシューズにかなりの負荷が掛かっていた。アイゼンをほとんど付けなかったため余計に負荷がかかったと思われる。

 

データ
歩行距離 6mile+???(道路歩き)
 
食事内容

寝起  クリフバー×1
行動食 パワーバー×1
朝食  マルチャン×1、スパム×1
行動食 パワーバー×1
昼食  マルチャン×1、スパム×1
行動食 パワーバー×1
昼食2 マルチャン×1、パワーバー×1
夕食  マルチャン×1、スパム×1

遠い遠いMammoth Lakes
緩んだ雪の上を歩くのは思いのほか疲れます。たくさんの食料を詰め込んだバックパックは重たく、容赦なくハイカーから体力を奪いとってゆきます。そんななか、とうとう急斜面で滑落してしまいました。

 

PCT53日目 6月18日(日)  Reds Meadow過ぎからMammoth Lakesまで

7時起床、7時30分出発

本日はMammoth Lakesの町まで確実にゆくことができるため遅めの起床とした。
ツエルトを撤収してしばらく歩いて行くと、雪に埋もれた小屋を発見した。
小屋のおもての方に回ると、Minaret Vista Stationと表示されていた。

ちょうど下から上がって来たと思われる一眼レフカメラを抱えたハイカーに会う。スキー場までもう直ぐだと思われた。

Vista Stationから20分ほど歩くとようやく除雪された道路に出ることができた。
体が沈まず歩きやすいため、一気にペースが上がる。

しばらく行くと除雪中のブルドーザーが停められていた。
まだ朝早いためか、作業員の姿はない。

凄いパワフルなブルドーザーだ。コイツなら氷の塊だろうが、倒木だろうが、大きな岩だろうが押しのけることができるだろう。

ブルドーザーでざっと雪の退けてから、コイツでキレイに雪をキレイに片付けるようだ。
スパッと切れたった雪の壁が続いている。路面も露出して車も通行できる。

キレイに除雪された道を行く。
普段ならすでにReds Meadowまで開通しているはずなのだが、2017年は特に雪が多くReds Meadowまでの道路の開通は全く見通しの目処が立っていなかった。

8時ころスキー場まで下りてきた。日曜日だからか、朝から活気がある。
楽しそうだな~と横目でみながら歩いてゆく。

駐車場の方までやって来た。
実はこの時、スキー場からMammoth Lakesの町まで無料シャトルバスが出ているのを知らかった。駐車場の出口でヒッチハイクを行っていると、出てゆく車から好奇の目で見られる。

その後も恥を忍んでヒッチハイクをしていると、下から上って来たバスの運転手に声を掛けられ、無料シャトルの存在を知ったのだった。

再び駐車場に戻ってバスを待つ。マンモスの銅像が設置されていたので、その前で記念撮影をする。

6月中旬だというのに、まだ全面滑走可能な状態だった。Mammoth Mountainの標高は11,053ft(約3,300m)とかなり高いが、それでも珍しいことだったに違いない。

無料シャトルは途中Villageというところで乗り換える。
乗り換え時間を合わせて30分ほどで町まで下りてくることができた。

これが無料のシャトルバス

運転手さんが乗り換え方法を詳しく説明してくれた。リゾートタウンのMammoth Lakesはハイカーにもフレンドリーだ。

スキーリゾートらしく、バスの側面にスキー板が挿せるようになっていた。
麓のホテルに車を置いてバスで気軽にアクセスできるようになっている。

バス停のようす

季節によって運行スケジュールが異なっている。もちろんメインは冬。
多少の待ち時間はあるが、無料で乗れるのは非常に有り難い。
分かりやすいバスの路線図も表示されている。

リンク Mammoth Mountain Ski Area FREE MOUNTAIN SHUTTLE SERVICE

 

Mammoth Lakes 906.6mile地点 0.3mile歩き+バス

Sierraの東側、Mammoth Moutain麓にあるリゾートタウン。
無料のシャトルバスで楽に移動することができる。アウトドア用品店、大型スーパー、ホステルなどがあり、補給や休養をするにはピッタリの町。

町に下りると、真っ先に向かうはレストランだ。
トレイル上では常に飢えているため、町にいる時くらいは好きなだけ食べるようにしていた。

カリカリに焼いたベーコンとバターで炒めたじゃがいもと目玉焼き、ベーグルとジャムが付いてチップ込みで約16$。出てくると夢中になって食べ続け、あっという間に平らげてしまった。
接客ははっきり言って雑だった。アメリカではチップを払いたくないと思うことは度々あった。(身なりの汚いハイカーだからか、それとも肌の黄色いアジア人だからか、詳細は不明。)

食欲をある程度満たして店を出ると、レストランの近くにガソリンスタンドがあった。ガソリンスタンドといえばコンビニだ。ここアメリカではガソリンスタンドにコンビニが併設されているのが定番となっている。おっさんは尋常じゃない吸引力に吸い寄せられてゆく。

食後のおやつ

これらを全て平らげてようやくお腹が落ち着く。さあて、これからどうしようか?
すでにMammoth Lakesの町で休養をとることに決めていたので、キャンプ場に行ってみることにした。安いホステルもあったのだが、他のハイカーと相部屋では落ち着かないので、一人で寝られるキャンプ場が良かった。

片側二車線のだだっ広い道路を歩く。向こうに見えるのは、Mammoth Mountainだ。

コンビニから歩くことおよそ15分。町の外れにあるキャンプ場までやって来た。
広大なキャンプ場で全体像が全くつかめない。車で来るには便利だが、徒歩だと非常に不便で面倒くさい作りになっている。

無人の受付ポストで料金を確認すると、1泊23$という料金だった。リゾートのオートキャンプ場にしてはリーズナブルだが、徒歩でソロキャンプだと途轍もなく高い。こんな高いならホステルに泊まった方が良いと思ったが、ダメ元で交渉してみることにした。

キャンプ場にはCamp Hostと呼ばれるキャンパーの世話などをいろいろしてくれる管理人さんがいて、たいていリタイヤした老夫婦がやっていることが多い。シーズン中、ずっとキャンピングカーに泊まり込んで仕事をしている。ひょっとしたら人気の仕事なのかもしれない。

恐る恐るCamp Hostのところまで行って必死に交渉した。
「私は車のないハイカーでしかも一人。それなのに23$は高すぎる。まけて欲しい。Please!」などと訴えていると、「1.5mile奥に無料のキャンプ場があるわよ!」と返されたが、「そんなところまで歩けるかよ。」と内心思いながらさらに粘った。いい年したおっさんだがダダを捏ねていると、なんと半額にまけて貰った!この時、ダメ元でも言ってみるもんだと思った。ホステルに泊まりたくない一心で必死になって訴えたのが良かったみたいだ。

その後、サイトじゃないところに勝手にツエルトを張るなどしてスッタモンダがあったが、奥の方の静かなサイトに落ち着いた。1泊だけでは疲れがとれないため、2泊分の23$を封筒に入れて料金ポストに入れておいた。

着ている服を全て脱いで水道のところで洗濯をおこなった。こういう時、替えの下着があると助かる。出発前は荷物の軽量化で着替えを持たない計画を立てていたが、あとで冷静になって考えるととんでもない馬鹿な計画であることが分かって、下着の替えくらいは持つようにしたのだった。ズボンの代わりに海パンを履くとどこへ出ても大丈夫な格好になった。

着替えを持たない選択
こんにちは。からあげです。 今日は気温が高くなって夏のように暑い1日だった。 PCTの準備がようやく終わったところなので、物置小屋にこもってのんびりしようと思ったが、献血のついでに装備品の買い出しを行うことにした。 早目に家に帰ろうと思って

 

午後からは町の中を散策する。午前中は青空が広がっていたのだが、次第に雲が出てきて日が陰るようになってきた。Tシャツ1枚で歩いているとちょうど快適だった。

図書館に行ってみると、なんと日曜日で定休日だった。毎日トレイルを歩いていると曜日の感覚がなくなってくる。アメリカの図書館は日曜日が休館日であることが多く、慣れないうちは戸惑ってしまった。サービス業なんだから、日曜日こそ仕事しろというのはアメリカでは全く通用しない。

図書館の次にやって来たのは大型ショッピングセンターの中にあるスーパーVONS。
庶民的な価格のため、安心して買い物することができる。

広大な店内を歩く。大型カートでもらくらくすれ違えるように通路はかなり広い。
縦のラインに切れ目がないため、目当ても商品を探すのに、行ったり来たりして随分と歩かねばならない。ハイカーには大型の「Super Market」より、基本的なものなら全て揃う中型の「Grocery」の方が良い。

アメリカのベルトコンベア式にはもう慣れた。ただ、レジのおばさんがバーコードを読み取った商品を雑に放り投げるのだけは、少しムッとすることがある。本人に悪気はないのだが、日本人の私には気になって仕方なかった。
同じことを日本でしたら、たいていの客は怒るだろう。

スーパーではキャンプ場滞在のためだけの食料を購入した。ついでにアウトドア用品店でガスカートリッジ中も手に入れた。
この先の予定はまだ未定のため、食料を買い過ぎないようにした。

サイト内のピクニックテーブルで寛ぎながら、地図を見て今後の予定を立てる。
直ぐに決めるのは避け、翌日に持ち越すことにした。

食事をしながらブログを更新をしていると、どこからともなくカントリー風の音楽が聞こえてきた。しばらく経って雨がぱらつき始めたので、ブログ更新をほどほどにしてツエルトの中に逃げ込んだ。

 

データ
歩行距離 ???(道路歩き)
スキー場から無料シャトルバスに乗って町に下りる。
 
食事内容

寝起  パワーバー×1
朝食  レストランで食事、コンビニでおやつ
昼食  たくさん
夕食  たくさん

Campgroundの料金を値切る
スキー場から無料のシャトルバスに乗ってMammoth Lakesの町に降りて来ました。もちろんホステルは高いので泊まりません。安いキャンプ場にでも泊まろうと行ってみると、あまりの料金の高さに愕然としました。

 

PCT54日目 6月19日(日)  Mammoth Lakesにて休養日

この日は休養日として朝からゆっくりしていた。
前回、Independenceの町で休養日を2日とったのだが、全然休みが足りなかった。慢性疲労が蓄積しているため、1,2日休んだくらいでは疲れはとれるはずがない。予想以上に雪が多かったので、Mammoth Lakesにしばらく滞在して雪解けを待とうかともと思ったが、安く滞在できる場所がないし、ゴロゴロしていても暇なだけなので、もう1泊して先に進むことにした。

ただ問題なのが、次のTuolumne Meadowsのお店がまだ営業をしていなくて補給ができないということだ。

Yogi’sPCTHandbook 2016-2017より

 

距離表

Reds Meadow(906.6mile地点)
   ↓35.9mile
Tuolumne Meadows(942.5mile地点)
   ↓74.4mile
Sonora Pass(1016.9mile地点)

 
Mammoth LakesからReds Meadowに戻りPCTに復帰すると、次の補給場所はTuolumne Meadowsとなる。ところが、Hwy20(Tioga Raod)が冬期閉鎖中のため、Tuolumne Meadowsのお店も閉鎖されたままとなっている。
Reds MeadowからSonora Passまで一気に歩くとなると、およそ110mileとなる。1日15mileだと所要日数は7.3日となるが、Reds Meadowまでの距離、道間違いや迂回、渡渉待ちを考えると10日はみておきたい。
 
これまでの経験からいうと、自分の担ぐことができる食料は7日分が限界だった。
そこで考えたのは、Tuolumne Meadowsから一旦Lee Viningの町に歩いて下りて補給することだった。片道約20mileなので、歩けないことはない。不要な荷物をデポしておけば、2日で補給して戻って来ることも難しくはないだろう。
細かいことはTuolumne Meadowsに着いてから考えることにした。
 
 
次の補給場所をLee Viningとして、6日分の食料を持ってゆくことになった。
Tuolumne Meadowsまでは3日あれば着くが、念のため予備として3日分持つ。
画像では一番左が予備の行動食、縦のラインが1日分。
食事は1日3回、1食分はマルチャン1袋とツナまたはスパム1袋、加えてパワーバーなどが3個付く。
 
 
ベアキャニスターに食料を詰めたところ。
隙間なくキレイに詰めていったが、5日分で限界だった。
入り切らない食料は、そのままバックパックに詰めて持ってゆくことにした。

New Shady Rest Campground

料金 1泊23$

サイト内にベアボックス、ピクニックテーブル、焚き台、駐車スペース1台分あり。

共同のトイレ・水道・シャワー設備あり。
ハイカー専用サイトはないため、通常のオート区画を使用する。

アメリカで一般的なセルフサービスで料金を支払うシステム。
専用封筒に記入して代金を入れ、ミシン目から領収書を切り取ってから封をしてポストに投函、そして使用するサイトの入口に切り取った領収書をクリップで挟んでおく。

 
サイト内のようす。松林の中にあって日陰あり。
 
 
ベアボックス
 
クマに食料を荒らされない、サイト内に近づけさせないために、スチール製のベアボックスが設置されている。
 
 
下から手を突っ込んでロックを解除して開ける構造。
 
 
棚板はなし。ハイカーだと十分な大きなだ。ツエルト内が広く使えるように不要品も放り込んでおいた。
 
 
ピクニックテーブルでくつろぎ中
 
ベアキャニスターをゴミ箱代わりに使用している。
 
 
トレイル上では食べられないとうもろこしを茹でて食べる。
1本70¢ほどで安かった。
 
 
1本1.5$の怪しげなハムを食べる。値段相応であんまりうまくなかった。
頑張って半分食べたところで、我慢ならずに捨ててしまった。
 
この日は図書館に行ったり、スーパーに買い出しに行ったりしてのんびりして過ごした。
 
 
データ
歩行距離 0mile
 
食事内容

朝食  たくさん
昼食  たくさん
夕食  たくさん

再びSierraに備えて
Mammoth Lakesの町で休養と補給を済ませて準備万全となりました。慢性疲労が溜まっているため、もう一日休みたかったのですが、先を急ぐあまりキャンプ場での宿泊は2泊としてしまいました。今振り返ってみると、なぜこれほど焦っていたのか。本...

 

PCT55日目 6月20日(月)  Mammoth LakesからPCT復帰 渡渉失敗して引き返す。

6時起床、9時10分発

朝早くから起き出し準備をして、無料シャトルバスが運行を始めたころに出発する。
もう少しゆっくりしたい誘惑に駆られたが、歩かないといつまで経っても進めないため、渋々出かけることにした。

この日、無料シャトルでVillageまで出てからヒッチハイクをしてTwin Lakesまでゆき、そこからMammoth Passを越えてトレイルに復帰した。
先日、町まで歩いて下りて来たルートより、こちらの方が近くなる。

道路終点の登山口からMammoth Pass周辺は雪に埋もれていたが、それほど雪の量がなかったので楽に歩くことができた。

12時ころ Reds Meadows着

登山口から2時間ほど歩いてReds Meadowsに到着した。先日来たとき同様、閉鎖されたままであった。

14時55分ころ、Minaret Creekで渡渉失敗!

当時の状況はこれまで散々書いてきたので省略する。
自分とバックパックが流されなくて本当に良かった。

残雪期のSierraは渡渉が一番危険。 PCTスルーハイクは狂気!!
アメリカ西海岸、MexicoからCanadaまで延びる全長約4,200km(2600mile)のトレイル、それがパシフィック・クレスト・トレイル(Pacific Crest Trail、通称PCT)だ。このPCTを1シーズンで全行程を踏破す

 

20時過ぎ 峠付近でキャンプ

渡渉失敗後、Reds Meadowまで戻り、先日同様に道路を歩いて峠付近でキャンプした。

 

データ
歩行距離 ???
 
食事内容

朝食  パン、オレンジ、バナナ
昼食  マルチャン×1、ツナ×1、リッツ×1、ピーナッツ×1
夕食  ???

渡渉失敗!!
Mammoth Lakesの町からトレイルに復帰すると、PCTのAlternate RouteとなるJMTを歩くことにしました。JMT区間に入って直ぐ増水したCreekが現れました。何を焦っていたのか、Creekを強引に突破しようとしてしま...

 

PCT56~57日目 6月21日(火)~6月22日(水) 移動日 Mammoth LakesからMedfordまで

移動経路

6月21日 Mammoth LakesからSouth Lake Tahoeまで(約140mile)ヒッチハイク計4回

South Lakes Tahoe~Sacramento Amtrak(バス)34$
Sacramento~Medford Greyhound 96.5$

22日晩 車内泊

 

6時起床、8時過ぎに天日干ししながらツエルトを撤収して出発、スキー場から無料シャトルに乗って町まで下り、コンビニで朝食を済ませてから10時30分過ぎキャンプ場近くでヒッチハイクを開始した。二度目であるため、スムーズに町まで下りることができた。

一晩ゆっくり考えて残雪の多いSierraの区間をスキップすることにした。渡渉失敗後に早くもスキップが頭をよぎったが、他の選択肢を含めて再度よく考えた。その結果、Mammoth LakesからAsh Landまでスキップすることになった。朝起きると不思議と渡渉失敗を引きずっておらず、むしろサッパリとした気分だった。

スキップ後、Ash LandからはMammoth Lakesに向かって南に歩く。そのまま北上してカナダ到着後に戻って来ることもできるが、不安要素を持ち越すことになるし、余韻に浸ることなく急いで戻って来なければならないため、スキップ直後に歩いてしまうことにした。

 

スキップ候補地

Mammoth Lakes (906.6mile)
   ↓288.8mile
Sierra City(1195.4mile
   ↓303.3mile
Mt.Shasta(1498.7mile)
   ↓217.7mile
Ashland(1716.4mile)

スキップの候補地はSierra City、Mt.Shasta、Ashlandの3つの地点が挙がったが、距離と交通の便を考慮してAsh Landに決めた。1328.8mile地点のChesterという選択肢もあったが、この時はまったく眼中になかった。
Ash LandからMammoth Lakesまではおよそ800mile、1日25mile歩くとちょうどひと月後に戻ってくることになり、その頃になれば雪はすっかり消えているだろうと考えた。
現に再びSierraに戻ってきた時は雪はおおかた消え去り、非常に歩きやすくて読みどおり1日25mileペースで歩くことができた。
キレイな一筆書きのスルーハイクはできなくなるが、安全に歩くためにはやむを得ないことだった。
 
 
スキップ途中、South Lake Tahoeに寄り、バウンスボックスを回収した。送り先は宿泊先のホステルだった。
 
21日の晩、宿泊したホステルは「Mega Foot Hostel」で、旧名称は「Mellow Mountain Hostel」から変更されたばかりのようすだったが、公式サイトでは旧名称のままとなっていて詳細は不明。泊まった部屋は2段ベッド2つの4人部屋で、他の人間もすべてPCTのハイカーたちだった。

市街地の中、大通りから1本奥に入った場所にある。アウドドアショップやスーパーのあるショッピングセンターまで歩いて10分足らずとかなり便利な場所だった。

宿泊料1泊25$、荷物受け取り可(料金5$)
 
 
 

USPS Stateline Branch

 
ホステルから郵便局までおよそ30分。
バウンスボックスを送るためにやって来た。今後の予定を熟慮して発送先はMt.Shastaに決定した。スキップ先のAsh LandからMt.Shastaまでおよそ200mileで、移動日を含めると二週間弱となる。(Priority Mailの保管期間は二週間となっているため。)
 
 
 
ショッピングセンター内のアウトドアショップで浄水器とハーフパンツとベルトを購入した。
渡渉失敗の際、モンベルのサウスリムパンツがボロボロになり、ペットボトルに直付けしていた浄水器(Sayer Squeeze)は流されてしまった。
裾を絞ったロングパンツは水捌けが悪く抵抗となるため、ハイカーで定番のハーフパンツを選択した。
 
浄水器(Sawyer Squeeze) 43.19$
ハーフパンツとベルト 90.72$
 
Amtrak Tansit Center
 
スキップの経路はスマホアプリのGoogle Mapを使って調べたのだが、チケットの購入の方法までは分からない。時間に余裕を持ってやって来たのだが、どこにもチケット売り場が見当たらない。そこで親切そうな人に聞いてみると、なんとネット販売のみとなっていた。
そんな事情を全く知らなかった私はスマホと格闘してなんとかEチケットを手に入れることができたのだった。
 
Amtrakとはアメリカで有名な鉄道なのだが、実はバスも運行していて定番の長距離バスGreyhoundより運賃は高めとなっている。当時、後先考えずに勢いでチケットを購入してしまったのだが、AmtrakはEチケットのみでも乗車できるため問題はなかった。GreyhoundはEチケット不可で、プリントアウトした紙のチケットが必要となる。
 
Sacramento Greyhoundバスステーション
 
Amtrakとは対象的にGreyhoudはたいてい町外れの不便なところにある。そしてたいていホームレスやわけの分からない人間が周囲に屯している。小奇麗な格好をしていると、浮いてしまうことは間違いない。ハイカートラッシュ状態だったため、周囲に溶け込むことができた。
Sacramentoでバスを乗り換えたのだが、歩くとかなりの距離がある。
Google Mapのナビを頼りにたどり着いた。
Greyhoundの厄介なところは、Eチケットでは乗車できないこと。事前にバスステーションの窓口でチケットを手に入れるか、自分でプリンターで印刷しておく必要がある。日本のようにコンビニにマルチプリンターにはないため、私は常に窓口で受け取っていた。
予約番号を表示したスマホ画面を係員に見せると、番号を入力してチケットをプリントしてくれる。
 
バスの出発は夜の23時ころで、待合室でブログ更新したりネットをして過ごしたのだった。
 
決断
渡渉に失敗して死にかけた私はSierraをスキップすることに決めました。一筆書きのスルーハイクはなくなりましたが、気分はそれほど落ち込んではいませんでした。スキップしようが、自分の足で全て歩けばスルーハイクには違いはなし。そう思いました。
Trailを離れてSacramentoにやって来た
トレイルを離れるとスキップしようとしていることがハッキリと分かり、気分が沈みがちになりました。しかし、ずっと落ち込んでいるわけにはいきません。慣れない場所でバスを乗り継ぐのは大変ですが、スマホを頼りにSacramentoの町までやって来まし...

 

PCT59日目 6月23日(金) MedfordからAsh Landを経てPCT復帰、1706mile付近まで

 
 
定刻の15分遅れでSacramentoを出発したGreyhoundは途中のバス停でトイレ休憩と運転手交代を行った。ところが、やって来るはずの交代の運転手が現れず、次の便に乗り換えて約5時間遅れでMedfordに到着した。運転手は出発時間の遅れを取り戻すために頑張って運転して時間どおりに到着したのに交代者が来ないので、会社に電話をして怒りながらやり取りしていた。
「交代の人間はいつになったら来るんだ?」などと言っていたのだろう。いつまで経っても現れなかったため、運転手はバス停の係員に後を任せてどこかに行ってしまった。
 
Medfordのバス停
 
朝の5時過ぎには到着するはずだったが、10時前の到着となった。どこかで休憩してからヒッチハイクをしてトレイルに復帰する予定が大幅に遅れたため、休憩なしで行くことにした。
寝不足で体はボロボロだった。
 
 
ヒッチハイクを行う場所はInterstate5の入口。Google Mapで検索すると2つのインターチェンジが見付かった。同じくらいの距離だったため、北側のインターチェンジに向かうことにした。
 
 
始めに向かった北側のインターチェンジ入口はカーブの途中しか空きスペースがなく危険だったため、南側のインターチェンジまで移動することになった。インターチェンジの間の距離は約3mileだった。
バスの遅れに加えて場所の移動があり、2回目のヒッチハイクを開始したころには午後1時を過ぎていた。
 
 
1回目のヒッチでMedfordからAsh Landまで移動し、そのままInterstate5のインターチェンジ出口から入口に移動して2回目のヒッチでAsh LandからPCT入口のCallahan’s Lodgeまで移動した。
 
1回目に載せてくれた人は中国人の中古車ディーラーで車をAsh Landまで持ってゆくところだった。話を聞くとなかなか景気が良さそうだった。私がPCTを歩いているところだと言うと、頑張れよといいつつクーラーボックスから凍ったミネラルウォーターのボトルを何本か持たせてくれた。
2回目に載せてくれたのは、どこかに行く途中の白のピックアップトラックの爺さんだった。私の「Callahan’s Lodge」発音が悪くて理解できなかったので、地図を見せて指をさして「Here!Here!」お願いすると、ようやく分かってくれた。
 
Callahan’s Lodgeに到着したのは午後2時半ころ。Ash Landで食事や買い物がしたかったが、タイムロスのうえにわざわざ歩いてゆくのも面倒だったので、そのままダイレクトでやって来た。
夜行バスではほとんど眠れず疲れ切っていた。恐るべしGreyhound!
 
Interstete5と平行して走る旧道を歩いてPCTの入口に向かう。交通量が少なくて非常に歩きやすい。
 
 
午後3時前、PCTに復帰した。ここから南下しスキップ開始地点のMammoth Lakesを目指す。予定ではひと月後の到着となる。
 
 
トレイルから離れていたのはわずかに3日間だけだったが、トレイルに戻ると久しぶりのように思えた。寝不足で頭がぼーっとした状態で歩いていると、見晴らしの良いところから周囲の山々が見えた。
 
 
その時、遥か遠くに見えた山は途中で通過することになるMt.Shastaだった。富士山を思わせる雪を被った独立峰は私に日本のことを思い出させた。
 
 
トレイルに復帰して歩き始めると昼食をとっていないことに気が付き遅めの昼食を食べた。
睡眠不足と時間の遅れで食事どころではなかった。
 
食事をしていると、南に向かって歩いて来るカップルのハイカー2組がいた。話を聞いてみると、私と同様にSierraをスキップしてAsh Landから南に歩き始めたところだと言っていた。
その後もどこかで会うかもしれないと思っていたが、彼らとは二度と会うことはなかった。
PCTでは縁のある人間とは度々会うが、一度会ったきり二度と会わないという人間の方が多かった。これは私が他のハイカーの顔を覚えられなかったということも大きいかもしれない。
 
 
この日、トレイルから離れてフラットなスペースでツエルトを張った。
時間はなんと20時45分ころ。ちょうど夏至の頃で一番日が長くなっている時期だった。
寝不足で疲れているにも関わらずブログ更新してから寝袋に入ると、一瞬で意識を失い深い眠りへと落ちていった。
 
 
データ
歩行距離 10mile
 
食事内容

朝食  ドーナツ×2、Coffee
昼食  マルチャン×1、ツナ×1
夕食  マルチャン×1、ツナ×1

Ashlandまでスキップ
約1700mile地点のAshlandまでスキップして、ここから南に向かって歩き始めました。Greyhoundバスが5時間も遅れて大変な目に遭いました。寝不足で歩くのは非常に堪えます。

 

つづく

コメント

  1. おっさんのおっさん より:

    ブログを書き続けることがそれほど苦労されているとは知りませんでした、自分はなにもせずにからあげさんのブログに依存してましたので勝手なコメントを入れてしまい恥ずかしい限りです、申し訳ありませんでした、ぜひマイペースで頑張って下さい

    • karaage より:

      あまり気にしないでください。よくあることです。

      無理をして書いているとつまらないブログになってしまうので仕方ありません。
      前々からリアルタイム更新をやめようと思っていたのにキッパリと止められませんでした。

  2. 白山室堂御前荘 より:

    PCTでの隊長の戦い!
    いつも、楽しく読んでいます。
    隊長は、徒歩以外にもバスやヒッチハイクと
    いろんな、交通手段を利用している点が参考になります。

    なんか、
    この記事を読んで思ったことは、隊長さんの次の探検先は、
    PCT以上、PCT以下とPCTが基準になってしまいますので、選定が難しいですね。
    wikipediaでもPCT=からあげ隊長という感じになっています。

    私は、
    隊長と違い、
    ワンゲルレベルで今年は、岩手山と白山への登山計画を立てています。

    • karaage より:

      徐々にハードルを上げてゆくと、そのうち死んでしまいます。
      天寿を全うするか、事故で死ぬかの違いだけですが、最小限の手間で死にたいです。

スポンサーリンク