車載インバーターのファンモーターベアリングのグリスアップ

こんばんは。からあげです。

 

今回のネタは、ジムニー(JB23W)に搭載しているインバーターだ。

インバーターは車中泊の時と非電化の小屋に電気を供給してくれる大事なアイテムだ。
もう使い始めて3年近くになる。
ソーラーシステムに組み込む前は助手席の足元に設置していた。
今現在は天井付近に移設していてゴミの混入などによる故障に気を遣わなくてよくなり快適になった。

ジムニー(JB23W)で快適な車中泊~車内電源用の大容量900Wインバーターを取り付けた~
こんにちは。からあげです。 900Wインバーターの取り付け 今回は車中泊用のインバーターの取り付けを行う。取り付ける車は普段のテント生活から旅に欠かせないジムニー(JB23W)。山林内では周囲の景色に溶け込み全く違和感がない。 先月中旬頃、

そんな大事なインバーターだが、最近になって電源を入れると異音がするようになった。
特に寒い日などはぐぉ~んという耳障りな音がする。
しばらくして機械が温まるってくると音が静かになる。
そんな嫌らしい症状が出ていた。

音の発生源は冷却用のファンだと分かっていたが、分解となると手間がかかるし、小屋だとゴミが入りやすいので、実家に来たら整備しようと思っていた。

ジムニーのルーフに搭載しているソーラーシステムに組み込まれているインバーター。
ソーラーパネル、インバーター、チャージコントローラー、サブバッテリーのどれか一つでも不調になると電気の供給がストップしてしまう。

今の生活に欠かせないソーラーシステム。
早目に直しておこう。

風が強いのでドアをロープで縛って作業する。
ちょうど自転車の荷台用のゴムがあったので、こいつを使って固定した。
いい感じだ。

インバーターを取り外す前にサブバッテリーとチャージコントローラーの端子を外しておく。
サブバッテリーは助手席の足元のスペースに設置している。

問題のインバーターはこちら。
ロープで縛って天井近くに固定しているので、着脱はかなり面倒。

車内は埃っぽいので電子機器の設置は天井付近がベスト。
長年の試行錯誤を重ねてようやくこの位置に落ち着いた。

ジムニーのソーラーシステムはおっさんの誇る自作アイテムだ!

ようやく取外したところ。
端材で作った丈夫なフレームのお陰でしっかりと固定できている。
未舗装の悪路を走っても問題なし。

 

ファンモーターベアリングのグリスアップ

インバーターを取外したところで、早速分解作業に入ることにしよう。
いつもの物置小屋の机が作業場だ。

分解するブツは、BAL(大橋産業)の900Wのインバーターだ。

すでに生産終了となっていて入手困難な品。
高出力と電圧のデジタル表示で使い勝手は良いものの、出力が矩形波なので注意が必要。
(家庭用交流100Vの扇風機を繋いで壊したことがある。)

参考リンク No.1780 DC/AC インバーター 900W【製造終了品】

 

問題のファンは背面側に付いている。
左右の大きな端子は電源入力端子。

外から見るとホコリを吸い込んで汚れが目立つ。
よしよし、すぐに掃除して綺麗にしてやるからな!

このインバーター作りが良いため、分解するのにあまり気を遣わなくてよかった。
全てビス止めでプラスチックの爪はなし。
ビスは全て見えるところにある。
底面のビスのうち3本は基盤固定用のもの。

ビスを外しそっと引っ張ってみる。
よし、動くぞ!

すんなりと外れてくれて、ほっと胸を撫で下ろす。
問題のファンが出てきた。

外したオレンジ色のカバーの内側にはなんと蜘蛛の巣があった!
ファンの吸い込み口から蜘蛛が入ったようだ。
危ない危ない。

角度を変えてもう一枚。
後ろにはアルミ製のヒートシンクが見える。

ファンのようす

DC ブラシレスファン
MODEL YM1204PKS1
DC12V 0.06A
MADE IN CHINA

今のファンモーターはたいていブラシレスのようだ。
授業で寝てばかりいたので、詳しいことは分からない。
能書きはいい、そんなことよりどうやって直すかが大事。

ファンを外したいところだが、念のため内部の電圧チェック。
テスターを当ててみると僅かに電圧がかかっていた。
危ない危ない。
コンデンサーには電気が蓄えられているので、そのまま作業すると感電するおそれがあって危険だ。

そこでアース線を接続して電気を放電させてやることにした。
インバーターの入力端子にケーブルを接続して反対側を地面に付けた。
アースさせてかなり電圧が下がったが、まだ0Vにはなっていない。
そこで端子間をショートさせてみたら、ようやく0Vになってくれた。

ふぅ~手間掛けさせやがって!お前は出来損ないの息子か?

作業再開!
ファンを取外したところ。
基盤と線がつながっているので無理に引っ張らないように注意した。

ファンの裏側のヒートシンク。
出力が大きいインバーターなので大型のものを付けているのだろう。

ファンモーターのシールを剥がしたところ。
中にファンのシャフトが見える。

ファンのシャフトのアップ。
シャフトには白い円形のC型クリップ(サークリップとも呼ばれる)が付いている。
これでファンを固定している。

始めC型クリップが付いているのが分からなくて無理に引っ張って壊しそうになった。
ネットで調べてみると、白いものがC型クリップだと分かった。

精密ドライバー(マイナス)2本を使って上手いこと外す。
C型クリップの切れ目にドライバーを差し込んでコジて隙間を広げて、2本のドライバーで上に持ち上げる。

1本目が切れ目に引っ掛けて持ち上げるメインの仕事、2本目がクリップの姿勢を保持するサポート担当だ。
クリップは口を広げないとドライバーの先を引っ掛けられない。

ようやくC型クリップを外したところ。
樹脂製で強度はそれほどなさそう。
壊れなくて良かった。

C型クリップの下にあるOリング。
非常に小さな部品なので失くさないように気をつける。

C型クリップを外すとファンを外すことができるようになる。
奥の方に茶色いOリングが見える。
2つのOリングでベアリングを密閉してグリスが漏れないようにしている。

シャフトの先のミゾにC型クリップが嵌まる。

ベアリングのようす。
ボールタイプではなく、スリーブタイプだった。
なんと完全にグリス切れを起こしていた!
これなら異音がしてもおかしくはない。

ベアリングに紙紐を突っ込んで掃除する。
一度だけドライバーを突っ込んでしまいハッとする。
おっとイケない。
硬いもので掃除してベアリングのシート面を傷つけたら、ベアリングが熱を持つようになってしまうかもしれない。

掃除した後でシリコングリスを塗布する。
いつものシリコングリスだ。
12,3年前、バイク整備の時に購入したものが今だに残っている。

紙紐の先にたっぷりとグリスを塗った。

ベアリングにたっぷりとグリスを入れたところ。
中のコイルに付着しないように気をつけた。

ファンのシャフトにも薄くグリスを塗っておいた。

作業に夢中のおっさん。
ああ、なんて楽しいんだろう。
毎日が工作!
贅沢な時間だ。

ファンを復旧するとついでに内部の掃除を行うことにする。
上の黒いカバーを外したところ。

前側のカバーは電源コードが繋がっているので外せない。
力を入れても外れないので、よく見ると繋がっていた。
危ない。壊すところだった!

このドーナツ型のコイルで電圧を変圧するのだな。
面白い形だ。

最後はコンプレッサーの圧縮エアで掃除をした。
ちょうど突風が吹いて自転車が倒れて水が入っていたバケツに当って水びたしになった。
幸い電気はショートしなかった。
なんか今日はトラップがいっぱいだな!

掃除が終わったのでそろそろ元に戻そうか。
これでしばらくホコリは大丈夫だろう。

元に戻したところ。
完全復活したインバーター。
果たして異音はなくなるか?

日のあるうちに元に戻すことができた。
毎度毎度ロープの解いたり縛ったり面倒だな。
しかし、これが一番簡単で確実な固定方法だ。
せっかくの固定用フレームをやり直すのは勿体無い。
面倒だがこのままゆくとしよう。

電源を入れてテストする。
異音はなくなって凄く静かになった。
この状態がいつまで持つか分からないが、たぶん2年くらいはOKだろう。
元のグリスが少なかったかもしれないし、ベアリングが熱を持ってグリスがなくなってしまったかもしれない。

 

今度同じような症状が出たら新品に交換することも考えよう。
ネットで探せばどこかにあるだろう。
整備しやすいインバーターで良かった。
これからも頑張って電気を供給してもらおう。
いつまでも。いつまでも。

このあと異音が出ることはなし。めでたしめでたし。
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