こんばんは。からあげです。
今回は、南アルプス北部、甲斐駒ヶ岳の北西に位置する鋸岳(のこぎりだけ)に登ってきた。
それでは早速アップしよう。
登山日 2016年5月7日~8日(1泊2日)
登山ルート・タイム
1日目(初日)
1120 林道ゲート~1430 飯場跡ログハウス(テント泊) 歩行時間 約3時間
2日目
0515 ログハウス~0550 富士川水源~0630 中岳峠~0800 三角点ピーク~0850 第1高点~1005 第2高点~1140 第1高点~1315 中岳峠~1415 ログハウス~1435 テント撤収出発~1700 林道ゲート 歩行時間 約11時間
初日 5月7日 飯場跡ログハウスまで
国道20号線から林道に入り釜無川(かまなしがわ)を遡る。
鉱山を出入りするダンプカーが走り回っているので気を抜けない。
未舗装だが整備されていて走りやすい。
しばらくゆくとゲートに阻まれる。
一般車はこれより通行不可。
ゲート手前の道路脇に駐車可能なスペースがあるが、大型車両の通行の邪魔になりそう。
仕方ないだいぶ戻るか。
邪魔にならないところ駐車場まで戻って車を停めてスタートする。
ゲートからかなり戻ってしまったが、トレーニングと思えばいい。
私は楽をしに来たのではなく、歩きに来たのだ。
本日の宿泊場所の飯場跡までは荷物たくさんで歩く。
釜無川沿いの林道を歩く。
ゲートを抜けるとダンプカーの往来はなく、工事関係者の車両がたまに通るのみ。
ただひたすらに歩く。
傾斜が急になってきた。
小屋石手前の二又に差し掛かった。
整備が行き届いている左へと進む。
堰堤で休憩する。
水を3.5Lも持ってきたので重たくて仕方ない。
あとで川の水を素直に汲めば良かったと思った。
川の上流には民家はなく水は綺麗そのものだ。
釜無川には立派な堰堤がたくさんある。
画像は本谷第5ダム(正式名称 本谷第五砂防堰堤)
ゲートより9km歩いてようやく林道終点のログハウスが見えてきた。
ゲートまでの距離を入れると全部で10kmは歩いたか。
元大昭和製紙の飯場跡。
その広い跡地に赤屋根のログハウスが建っている。
無人で施錠されていて宿泊は出来ない。
なんとも嬉しいことに、ログハウスの床下部分が無料開放されていた。
全面ウッドデッキ、水平、屋根付きだ。
遠慮無くウッドデッキにテントを設営させて貰った。
風が強かったので、張り綱を手すりや石に縛ってテントを固定した。
横から見るとこんな感じ。
多少風当たりは強いが景色は良い。
雨の日でも快適に泊まることが出来る。
どうもありがとうございます!
うは~、疲れた~。
休むか。
荷物を片付けると早速横になって休む。
ゴロ寝しながらおやつタイム。
炭酸水とじゃがりこだ。
炭酸水のラベルは軽量化のため外しておいた。
寝ながら飲むには熟練した技が必要。
じゃがりこを平らげると早くもプチに手を出した。
買った時から袋がパンパンになっていた。
それがさらに膨張している。
割れないようにわざと空気を入れているのか。
ハムカツとメンチカツ。
もう、ご飯まで待てない。
おやつを食べて元気になると、起き出してスーパーで買った惣菜に手を付けた。
あらら、今晩のおかずが。
1日目晩ご飯
玄米ご飯にメンチカツ、味噌汁。
味噌汁は、小分けの袋にわかめが入っているだけの簡素なもの。
おやつをたくさん食べてさすがにお腹は満腹になった。
満足満足。
食事のあとはラジオを聞きながら、翌日のプランを練っていた。
風はいっこうに収まる気配はなく、テントがバタバタを音を立てるのを耳にしながら9時前に眠った。
2日目 第2高点までピストン 林道ゲートまで
昨晩は風が強くてテントがバタバタしたり、小屋に下げてあった鈴がなったりして気になってなかなか眠れなかった。
アラームを3時前にセットしたのに、寝坊して起きたのは4時前だった。
なんたるミス!
朝ごはんは玄米ご飯におでんと鯖の水煮缶。
鯖缶は画像に写っていない。
途中で思い出して食べた。
お昼のご飯に巻きずし風の玄米おにぎり3個を作った。
おにぎりは手軽に食べられるし、パワーが出るので行動食にいい。
ログハウスを出ると、前の川を渡る。
対岸にペンキマークやテープが見える。
最初の河原歩きは、ペンキマークだらけで迷うことはない。
富士川水源
登山道分岐から50mほど奥にある水場。
石の間から水が湧き出ている。
ここでおいしい水を補給する。
富士川(ふじかわ)は、長野県・山梨県及び静岡県を流れる河川。一級水系富士川の本流であり日本三大急流の一つに数えられている。
釜無川本谷として、南アルプス北部、山梨県と長野県の県境に位置する鋸岳(のこぎりだけ)に源を発し、長野県富士見町にて八ヶ岳などを源流とする立場川と合流しながら、山梨県北杜市まで長野・山梨両県の県境を成す。北杜市にて山梨県域に入ってから尾白川、塩川、御勅使川などと合流しながら甲府盆地を南流し、西八代郡市川三郷町と南巨摩郡富士川町の町境で笛吹川と合流する。ここまでを釜無川と呼ぶ。
釜無川の名前の由来には諸説あり、上流の「釜無山」にちなむというものや、「水量が豊富で流れが速いため、釜を洗おうとするとすぐに流されて無くなってしまうから」という伝承に近いものなどが挙げられる。その中でも有力視されているのが、絶え間なく流れる様子を表した「クマナシ(隈無し)」に由来しているというものである。
一般的に釜無川と笛吹川の合流点より下流を富士川と呼び、そのまま富士山の西側を南流し、途中早川、常葉川、波木井川など更に下って静岡県に入ると稲子川や芝川などの支流を合わせ、富士市の雁堤南で東海道と交差し、富士市と静岡市清水区との境で駿河湾に注ぐ。
横岳峠(よこだけとうげ)
水源から鬱蒼とした樹林帯を登ってゆき、明るくなってくるとまもなく峠に到着する。
草地になっていてテント泊によい。
水は下の富士川水源で汲んでおく。
峠で東に折れてまずは三角点ピークを目指す。
振り返ると横岳が見える。
綺麗な円錐形だ。
高度を上げてゆくと鋸岳が見えてきた。
登りが結構急でしんどい。
休み休みして登ってゆく。
三角点ピーク
登山道の分岐から少し北側に行ったところにある。
標識はなく杭のみ。
少しウロウロして探してようやく見つけた。
編笠山方面に踏み跡が伸びていた。
三角点ピークからお待ちかねの岩稜歩きとなる。
落石や転倒に備えてヘルメットを着用する。
角兵衛沢(かくべえざわ)
戸台(とだい)方面へと下山することが出来る。
標識はなし。
第2高点の南東側に同じく戸台方面の熊ノ穴沢のルートもある。
三角点ピークを振り返る。
まもなく鋸岳山頂だ。
最後の急坂を慎重に登る。
鋸岳第一高点
鋸岳第一高点 2,685m 200名山
東端の熊ノ穴沢の頭から西端の三角点ピークまでの岩峰が鋸岳と総称されている。
その中で一番高い第一高点を山頂としている。
遠くから見るとノコギリの刃のようにギザギザとなっている。
右手前 仙丈ヶ岳(せんじょうがたけ)
左奥 間ノ岳(あいのだけ)と北岳(きただけ)
朝方は天気も良くて見晴らしは最高だった。
GW最終日の晴天なのに人影はなし。
静かな山頂を独り占めにする。
甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)へと続く縦走路
鋸から見る甲斐駒もかっこいい。
第一高点から第二高点に向かう。
ここから難所の少ギャップ、鹿の窓、大ギャップが連続する。
気を引き締めてゆく。
小ギャップの鎖場
下りは垂直に近い岩壁で足元が見えなかった。
上りの鎖場は長かったが、下りほど嫌らしくはなかった。
これが有名な鹿の窓
山梨県側から中をくぐって長野県側に下りてゆく。
この手前で残置ロープに惑わされて、脆い尾根に上がろうとしてしまった。
斜面は非常に崩れやすく木を掴むと直ぐに抜けてしまいヒヤヒヤした。
ふと下を見ると踏み跡を見つけたので、安全なところから下りて先に進むと鹿の窓がポッカリと口を開けていた。
鹿の窓からの下り
非常に岩が脆いので慎重に下る。
下の安全な場所から見上げた。
大ギャップの岩壁を迂回する。
ガレ沢を下る。
画像奥の割れ目の方に向かいそうになっていたが、昭文社の山と高原地図のおまけの冊子を読んでいたため下ると分かった。
ガレ場のため、踏み跡は極わずかだった。
参考情報(第2高点から第1高点へゆく)
第2高点から北へ進むと大ギャップとなり通行不能のため南西稜上の道を少し下る。
ダケカンバの中の草付きから右へトラバースすると大ギャップから落ち込んでくるガレ沢に出る。このトラバースルートは何本かあるので先を見極めながら選んで行く。
大ギャップからのガレ沢を過ごし第3高点(中岳)につながる岩尾根に沿って下ると岩尾根上にバンド(岩壁を横切る岩棚)があり、ここを進む。
岩尾根を回り込むと鹿の窓の岩溝に出る。落石に注意しながらこの岩溝沿いを直登する。なお、鹿の窓付近には鎖場が3箇所あるのが慎重に登降したい。
鹿の窓をくぐり山梨県側に出る。右下に少し下り、左手の小さな尾根通しに急降下すると、少ギャップの底に立つ。第1高点側には、7~8mほどの岩壁が垂直に立っている。
ここを慎重に登る。さらに岩稜上を気を抜かずに登れば第1高点はすぐだ。昭文社 2012年版 山と高原地図41北岳甲斐駒 小冊子P23より引用
しばらく下ると岩場を回りこむ踏み跡を発見!
草付きの斜面を登ってゆく。
鋸岳第二高点
鋸岳第二高点 2,575m
ようやく第二高点まで辿り着いた。
ほっと胸を撫で下ろす。
標識はなく古びた剣が刺さっているのみ。
甲斐駒ヶ岳を望む。
少し近づいて気持ち大きく見えるようになった。
第一高点のアップ。
山頂部分がポコッと飛び出ていてよく目立つ。
八ヶ岳方面
ほとんど雪は見えない。
仙丈ヶ岳から北岳
北岳より仙丈ヶ岳の方が雪が多く残っている。
北岳と間ノ岳をアップで撮影する。
標高第2位と第3位の山が肩を連ねる。
右 間ノ岳(3,190 m)
左 北岳(3,193m)
さて景色を堪能したので第一高点まで戻る。
そのまま真っ直ぐ第一高点までゆこうとすると断崖に阻まれる。
南西側に伸びる尾根を少し下ってゆく。
大ギャップの断崖を迂回するところで、気持ちが逸り下りきる前に進んでしまい断崖の上に出てしまった。
何度も行ったり来たりしてようやく下のガレ沢に降り立った。
ガレ沢に下りるルートを見つけてホッとしたところ。
まだ1時間も経っていないのに忘れてしまうとは。
ガレ沢を登り返し岩棚の道を進む。
大ギャップの岩場を迂回して下りてゆく時に水平に伸びるルートが薄っすらと見える。
紛らわしい残置ロープもあるので注意する。
不安定な道を歩く。
上からの落石にも注意する。
鹿の窓を長野県側から撮影する。
思ったより小さかった。
鹿の窓と小ギャップを抜けてようやく落ち着いた。
あまりの緊張に喉がカラカラに乾いた。
第一高点の近くまで戻ってくると山頂に人間を発見!
戸台から角兵衛沢を通って登って来た人だ。
今回会った唯一の登山者。
鋸岳さようなら。
第一高点で長めの休憩をとったあと下山を開始する。
本で調べてみるとこれはミヤマキンバイかな。
花期が7~8月となっている。
今年は暖かいから咲いてしまったのか。
登山道脇の倒木。
生木の幹が折れて倒れていた。
幹が太くならずに背だけ高くなってしまって強風に耐え切れなかったようだ。
これは背伸びばかりしないで、肝心要の幹を鍛えろという神のお告げか。
アオイスミレ
葉っぱの形から判断した。
スミレ科の花びら5枚の紫色。
本日、登山道で見かけたのは、ミヤマキンバイとアオイスミレの2種類のみ。
ログハウスに到着!
赤色の屋根は目立って良い目印となる。
テントに戻ると荷物をすべて出してテントを撤収する。
濡れたり汚れたりしていないので、スピーディーに撤収が完了した。
エスパースソロのフライのバックルを外して引っ張るだけの簡単仕様がなかなかいい。
快適な場所でもう一泊したくなった。
本当にいい場所だ。
また今度来よう。
どうもお世話になりました。
名残惜しいがログハウスを後にする。
さあて歩くか。
林道ゲートまでの距離の標識。
距離が分かって便利なんだけど、あと9.2kmもあると思うだけで疲れてくる。
途中、何度か休んで5時頃にゲート前に到着した。
ここから車までさらに歩くことになる。
感想
当初は第1高点までの予定だったが、欲を出して第2高点まで行ってみた。
想像を上回る岩場が続きスリル満点だった。
地図の解説書を読んで予備知識があったので、大ギャップの断崖を迂回するところを迷わずに通過して第2高点に立つことが出来た。
帰りに道に迷ってしまったのは正直怖かった。自分の思い込みが道間違いの元だった。
無理して強行突破しようとしたら、崖下に転落してあの世行きになっていたことだろう。
普通に歩くだけでもガラガラと崩れるような脆い岩肌の道なのでヘルメットは必須アイテムだと思った。被っているだけで少しは落ち着ける。
今回、岩場での体捌きとルートファインディングの能力が足りないと痛感した。
もっと訓練する必要がある。
険しくない山でも足元に注意してリズミカルかつ確実に歩くことを意識しよう。
あとは周囲をよく観察し、すばやく自分に最適なルートを見つけよう。
ぼーっと歩くのではなく、目的意識を持ってしっかり歩こう。
今回の鋸岳は本当に面白かった。
今度は、戸台から熊ノ穴沢から登って角兵衛沢を下りる周回コースや甲斐駒までの縦走もしてみたい。
主要装備品
75Lザック、ザックカバー、ウエストバッグ、登山靴(ゴローS-8)、12本爪アイゼン、軽アイゼン、ピッケル、ポール、カッパ上下、ポンチョ、銀マット、シュラフ(モンベル#3)、テント(エスパースソロ)、アンダーグランドシート、ペグ9本、腕時計、スマホ、デジカメ、モバイルバッテリー、ヘッドランプ(予備電池1セット)、ピンチ缶、携帯ラジオ、ストーブ(st-310)、カセットボンベ、角形アルミコッヘル、風防、コンパネ(ストーブ下敷き)、折りたたみナイフ、笛、ライター、プラティパス2L、ナルゲンボトル1L、ペットボトル500mL、トイレットペーパー、食料(主食 玄米 他多数)、防寒着(ホムセンジャンパー、しまむらパッチ)、着替え(パンツ、Tシャツ、靴下)、ヘルメット、帽子、タオル、登山用靴下、100円トランクス、ユニクロ速乾Tシャツ、綿100%カーゴパンツ、ウール長袖、ウインドブレーカーなど
コメント
登山おつかれさまでした。
天気も良く、爽快な登山だったのでは。
甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳から北岳、間ノ岳と、普段うちから眺めている山々をちょうど裏側からみた写真に親近感を覚えました。
戸台から奥へは釣りで良く行きます。そこからそちらへつながっているんですね。
大ギャップから無事生還されて何よりでした。ゆっくりお休み下さい。
晴れてくれて良かったです。
GW最終日とは思えないほどの静けさでした。
からあげ隊長お疲れ様です。
絶景ですね。
山小屋生活の記事も面白いですが、
このような道中のレポートは
臨場感がつたわって探検隊にふさわしいブログだと思います。
しかしながらやはり恐ろしい山ですね。
地元の東北の山などは穏やかで、長野の知人が
東北の山をだんご山などと呼称する気持ちが分かる気がします。
怪我にはくれぐれもお気を付けください。
どうもありがとうございます。
だんご山にもだんご山の良さがあると思います。
険しい山だけが良い山ではありません。
去年、北海道で学びました。
空気が澄んでいて気持ちよさそうですね。
静かで楽しめました。
すごいです!
どうもありがとうございます。
もう一言欲しいです。
コメント返しにくいです。
崖っぷちの甲斐駒に一人で行くからあげ隊長は、登山の上級者ですね。
隊長は、映画セブンイヤーズインチベットの主人公みたいだ。
東北に行く際は、奥入瀬に八甲田なんかもいいですよ。
どうもありがとうございます。
覚えておきます。